JPS6311872Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は保安器盤にかかり、詳しくは、雷等に
よつて通信線路に発生した異常電圧から電子交換
機や電話機等を保護する保安器を取付けるための
保安器盤に関する。

（従来の技術及びその問題点） 近年、自動式電話交換機の電子化、デイジタル
化に伴い、いわゆる電子交換機が広く用いられる
ようになつてきており、この電子交換機は、電子
回路部品の高集積化、小型化によつてその全体が
小型かつ高密度、大容量のものへと日夜、改良さ
れている。

一方、この種の交換機においては、雷や送電線
等の地絡時における高圧電気所の接地電位の上昇
によつて通信線路に発生した異常電圧から交換機
ひいては個々の電話機や通話者を保護するため、
アレスタやバリスタ等の異常電圧吸収用の保安素
子からなる保安器を各回線毎に付設するのが一般
的である。そして、この保安器は、通常、主配線
盤（MDF）や中間配線盤（IDF）、保安器盤等に
対して着脱可能に形成されている。

しかるに、従来では、保安器の装着が不十分な
場合に外線側端子と接地間に保安器が接続されて
いない事態を生じることがあり、これによつて外
線側通信線から侵入してくる異常電圧が内線側交
換機や電話機等に印加されてしまい、各種機器や
人体の保護が図れないという問題があつた。

加えて、前述した主配線盤等においては、保安
器接続のための内部配線構造が複雑であるため、
主配線盤等が必然的に大型化し、電子交換機に実
装する際に高密度化、小型化を妨げるものであつ
た。

本考案は上記の問題点を解決するべく提案され
たもので、その目的とするところは、保安器を完
全に装着していなくとも外線側と接地間に保安器
が接続されるようにして内線側の交換機等を異常
電圧から確実に保護するようにし、しかも保安器
と、外線側及び内線側の通信線との接続に際し
て、保安器盤内部における配線スペースを少なく
して小型化、高密度化を図り、電子交換機への実
装を容易にした構成簡単な保安器盤を提供するこ
とにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案は、絶縁性の
基板と、前記基板上に一定の間隔をおいて立設さ
れた複数の仕切板と、これらの仕切板の相互間で
前記基板の上方に配設される絶縁性のセパレータ
と、前記基板に立設されて前記セパレータを貫通
し、外線側及び内線側の通信線がそれぞれ基部に
接続されると共に、前記セパレータの上方から装
着される保安器内の保安素子の一端に接続される
長尺の外線側ピン端子及び内線側ピン端子と、前
記基板に付設され、かつ前記外線側ピン端子と保
安素子の一端とが接続される際に前記保安器の下
端部から垂設されたアース端子が接続されるアー
ス接片とを備えたことを特徴とする。

（作用） 本考案によれば、保安器をセパレータの上方か
ら装着することにより、まず保安器のアース端子
とアース接片とが電気的に接続されると共に長尺
の外線側ピン端子が保安素子の一端に接続され
る。従つて、仮りに保安器の装着が不完全で外線
側と内線側とが遮断されている場合でも、外線側
の通信線と接地間には保安素子が直列に接続され
てることとなり、外線側の通信線路に発生した異
常電圧をアース側に確実に逃すことができる。

また、保安器を更にセパレータ方向に押し込め
ば、短尺の内線側ピン端子が前記保安素子の一端
を介して外線側ピン端子に接続され、外線側と内
線側とが電気的に接続されると共に、これらの線
路と接地間には保安素子が接続されたままの状態
が維持される。

（実施例） 以下、図に沿つて本考案の一実施例を説明す
る。

まず、第１図は平面図を示すもので、図におい
て１はほぼ長方形の基板であり、この基板１の一
対の長辺には側板２，３がそれぞれ立設され、ま
た基板１上には、側板２，３に直交するように複
数の仕切板４が互いに等間隔で立設されている。
そして、側板２，３及び仕切板４によつて包囲さ
れた基板１の表面には、詳しくは第２図に示す如
く長さの異なる長短２種類の角棒状のピン端子５
ａ，５ｂが多数立設されている。

ここで、仕切板４に沿つて等間隔に配設された
長尺のピン端子（外線側ピン端子）５ａのうちの
２本と、これらのピン端子５ａに隣接された短尺
の２本のピン端子（内線側ピン端子）５ｂとは、
後述する保安器１３に接続される電話回線１回線
分のピン端子群５を構成しており、互いに隣合う
仕切板４の相互間には、例えば５回線分の５個の
保安器１３を並べて接続するべく５つのピン端子
群５が配設されている。

また、一のピン端子群５を構成する４本のピン
端子５ａ，５ｂのほぼ中央には、挿通孔１ａがそ
れぞれ設けられている。

次に、６は仕切板４の相互間で基板１の上方に
着脱可能に取付けられるセパレータであり、この
セパレータ６は仕切板４の相互間に収容可能な帯
板状の基片６ａと、この基片６ａの中央部から垂
設された支持片６ｂとから構成され、全体として
ほぼＴ字形を呈している。また、このセパレータ
６はその長さ方向に沿つて５つに区分され、各々
が電話回線の１回線分に相当していると共に、基
片６ａにはピン端子５ａ，５ｂに合致する通孔６
ｃと、挿通孔１ａ通じる挿通孔６ｄとがそれぞれ
設けられている。

更に、第２図に示す如く基板１の裏面には、基
板１の表面の個々のセパレータ６に対応してアー
ス接片７が複数配設される。これらのアース接片
７は、例えば２枚の細幅の導電板をスポツト溶接
等によつて重合したもので、先の挿通孔６ｄおよ
び１ａに対応する位置には、後述の保安器１３の
アース端子１３ｇの先端部を受容する環部７ａが
互いに等間隔で形成されている。加えて、これら
の環部７ａに対向する一方の導電板には、環部７
ａ方向に向けて突部７ｂが突設されている。そし
て、かかるアース接片７は、第３図に示すように
基板１の裏面に多数突設された支持突部１ｂの相
互間に挟持されるように配設されたうえ、個々の
アース接片７の端部を共通アース板８にハンダ付
けすることによつて基板１に取付けられるもので
ある。なお、共通アース板８の両端部は、アース
接続部９に電気的に接続される。また、第３図に
おいて、１０は裏カバーを示している。

再び第１図において、側板２，３にはこれらの
内側の仕切板４相互間の空間に連通するように通
信線引き込み用のスリツト２ａ，３ａがそれぞれ
形成されている。これらのスリツト２ａ，３ａ
は、例えば一方のスリツト２ａが交換機、電話機
等の内線側の通信線１１ａを、また他方のスリツ
ト３ａは外線側の通信線１１ｂを引き込むための
もので、これらのスリツト２ａ，３ａから引き込
まれた束線状の各通信線１１ａ，１１ｂは、一方
の通信線１１ａの素線が短尺のピン端子５ｂの基
部に、また他方の通信線１１ｂの素線が長尺のピ
ン端子５ａの基部にそれぞれラツピング接続され
る。ここで、セパレータ６の長さは側板２，３相
互間の長さよりも短く設定され、各スリツト２
ａ，３ａに近接して露出された基板１の端部表面
には、「１，２，３，……，19，20」等の番号が
付されており、素線接続作業の便宜が図られてい
る。また、側板２，３の端部に近い基板１の端部
表面には「Ｌ」（Line）、「Ｔ」（Tel.）等の表示が
付され、外線側および内線側の区別が施されてい
る。更に、基板１の両端部には、本考案にかかる
保安器盤を取付けるための取り付け孔１２がそれ
ぞれ穿設されている。

なお、本考案は、基板１、側板２，３、仕切板
４およびセパレータ６等の主要な構成部材を、合
成樹脂等の絶縁材料にて形成することを予定して
いる。

しかして、仕切板４によつて区画された空間に
配設された各セパレータ６の上には、第４図およ
び第５図に示す如く各回線毎に保安器１３がそれ
ぞれ実装される。これらの保安器１３は、周知の
ようにその内部のプリント基板等に実装されたガ
スアレスタやバリスタ等の異常電圧吸収用の保安
素子（図示せず）を、通信線１１ａ，１１ｂとア
ース接片７ひいてはアース接続部９との間に介在
させるべく機能するもので、これらの保安素子を
ピン端子群５およびアース接片７とに接続するた
めの構造は以下に詳述するとおりである。

すなわち、第６図に示されるように保安器１３
は、その下端部に設けられかつ仕切板４の相互間
に挿入可能なコネクタ部１３ａと、保安素子が収
容されるカバー１３ｂとを備え、コネクタ部１３
ａの内部にはピン端子５ａ，５ｂを受容するガイ
ド孔１３ｃ，１３ｄが設けられていると共に、こ
れらのガイド孔１３ｃ，１３ｄの内面に沿つてジ
ヤツク端子１３ｅ，１３ｆがそれぞれ配設され、
また、コネクタ部１３ａの下端面から垂設された
アースプラグとしてのアース端子１３ｇに導通す
る共通端子１３ｈが付設されて構成されるもので
ある。

なお、アレスタ等の保安素子は、ジヤツク端子
１３ｅ，１３ｆと共通端子１３ｈとの間に接続さ
れる。

次に、この実施例において一の保安器１３が実
装される場合の作用を第６図及び第７図を参照し
つつ説明する。まず、第６図イに示すように保安
器１３のアース端子１３ｇを挿通孔６ｄ，１ａに
挿通させるようにして保安器１３を仕切板４の間
に挿入する。このとき、同時にピン端子５ａの先
端部をガイド孔１３ｃ内に案内することが必要で
ある。こうして保安器１３を若干差し込むと、ア
ース端子１３ｇの先端の首部１３ｉがアース接片
７の突部７ｂに係合していわゆるクリツクアクシ
ヨンが得られ、アース端子１３ｇとアース接片７
とが電気的に接続されると共に保安器１３が仮固
定状態となる。

この状態では一方のピン端子５ａがジヤツク端
子１３ｅに接続され、他方のピン端子５ｂはジヤ
ツク端子１３ｆに接続されていない。すなわち、
このときの各ピン端子５ａ，５ｂの接続状態は第
７図に示すとおりであり、保安器１３の装着が不
完全で外線側と内線側とが遮断されている場合で
も、外線側の通信線１１ｂと接地間には保安素子
２０が直列に接続されていることとなり、外線側
の通信線路に発生した異常電圧をアース側に確実
に逃し、この異常電圧がジヤツク端子１３ｆと内
線側のピン端子５ｂとの間のギヤツプを介して内
線側に侵入するのを防止することができる。

また、保安器１３を更に押し込んで第６図ロの
如くセパレータ６の基片６ａに当接させると、ピ
ン端子５ａ，５ｂ双方がジヤツク端子１３ｅ，１
３ｆにそれぞれ接続された状態となり、外線側と
内線側とが電気的に接続されるのは勿論のこと、
各通信線１１ａ，１１ｂとアース端子９との間に
はピン端子５ａ，５ｂ、ジヤツク端子１３ｅ，１
３ｆ、共通端子１３ｈ、アース端子１３ｇ、アー
ス接片７及び共通アース板８を介して所定の保安
素子が接続されることとなるものである。

（考案の効果） 以上詳述したように本考案によれば、保安器の
装着が不十分でそのアース端子がアース接片に接
続されただけの状態で外線側と内線側とが遮断さ
れていても、これと同時に長尺の外線側ピン端子
が保安素子の一端に接続されて外線側及び接地間
に保安素子が接続される構造であるため、外線側
の通信線路に発生した異常電圧を外線側ピン端子
→保安素子→アース端子→アース接片の経路で大
地へ確実に逃すことができ、この異常電圧による
影響が内線側の各種機器や通話者に及ばないよう
にしてこれらに対する保護の万全を期すことがで
きる。

また、外線側及び内線側のピン端子を通信線の
接続と保安素子の接続とに兼用することができ、
しかもこれらの配線をセパレータの上下において
行うことができるため、保安器盤の内部における
配線のための平面的なスペースを極力少なくする
ことができ、保安器盤の小型化が図れるという効
果がある。従つて、小型化及び高密度化が進む電
子交換機への実装が容易になり、また保安器盤自
体の保管や運搬にも便利でこれらに要するコスト
の低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すもので、第１図は
平面図、第２図は要部の分解斜視図、第３図は一
部を切り欠いた底面図、第４図は側面図、第５図
は第４図の右側面図、第６図イ，ロは作用の説明
図、第７図は第６図イに対応するピン端子の接続
状態を示す説明図である。 １……基板、４……仕切板、５……ピン端子
群、５ａ，５ｂ……ピン端子、６……セパレー
タ、７……アース接片、１１ａ，１１ｂ……通信
線、１３……保安器、１３ｇ……アース端子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 絶縁性の基板と、 前記基板上に一定の間隔をおいて立設された複
   数の仕切板と、 これらの仕切板の相互間で前記基板の上方に配
   設される絶縁性のセパレータと、 前記基板に立設されて前記セパレータを貫通
   し、外線側及び内線側の通信線がそれぞれ基部に
   接続されると共に、前記セパレータの上方から装
   着される保安器内の保安素子の一端に接続される
   長尺の外線側ピン端子及び内線側ピン端子と、 前記基板に付設され、かつ前記外線側ピン端子
   と保安素子の一端とが接続される際に前記保安器
   の下端部から垂設されたアース端子が接続される
   アース接片と、 を備えたことを特徴とする保安器盤。