JPS63114936A - 低熱膨張鋳鉄とその製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は超精密加工用工作機部材等に用いるのに適した
低熱膨張鋳鉄とその製造法に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、工作機用ベッドなどには片状黒鉛鋳鉄が使用され
ていた。この材質の物理的性質及び機械的性質はＲＴ〜
１００℃の熱膨張係数が１０〜１２’Ｘ１０−’程度、
引張強さが１０〜２０　ｋｇｆ／ｍｍ２程度である。近
年、工作機による加工精度の要求が飛躍的に厳しくなり
、これに伴って工作機を構成する材料も気温による寸法
変化の少い低熱膨張材が要求されるようになっている。

これらの要求に応えるＲＴ〜１００℃の熱膨張係数が５
．０〜６．０Ｘ１０−’程度の鋳鉄材料は、片状黒鉛系
としてはミノ−バー鋳鉄、球状黒鉛系としではニレジス
ト鋳鉄（Ｄ−５）などが以前から存在している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、片状黒鉛系材質は、工作機部材に要求される他
の性質である減衰能は大きいものの、引張強さが２０ｋ
ｇｆ／ｆｆ１ｍ２以下と低く　、　２０ｋｇｆ／ｍｍ”
以上の要求機能部品には適用困難である。

一方、球状黒鉛鋳鉄系材質は引張強さは４０ｋｇｆ／ｍ
ｍ２以上と高い値を示すが、工作機部品に屡々要求され
る減衰能が低く、要求に応え得ない場合がある。

Ｎｉを多量に含む鋳鉄を通常用いられているＭｇ系及び
又はＲＥ系の球状化剤を用いて黒鉛の球状化処理を行っ
た場合、共晶状黒鉛（チャンキー黒鉛）又は部分的な球
状化不良黒鉛を屡々発生し、このため機械的性質が著し
く低下することがある６更には球状化処理後の溶湯処理
の有無およびその方法の優劣によって、部品の薄肉部に
は炭化物の発生による熱膨張率の増大と機械的性質およ
び加工性の劣化が、厚肉部においては粗大黒鉛の発生に
よる機械的性質の劣化などの不具合が生じる。

本発明の目的は、まず熱膨張係数が低く、しかも引張強
さが片状黒鉛系低熱膨張鋳鉄より大きく、更に付随機能
としては減衰能が球状黒鉛系低熱膨張鋳鉄よりも大きい
チャンキー黒鉛を含まないＣＶ黒鉛低熱膨張鋳鉄と本鋳
鉄を高品質水準に安定して製造する方法とを提供するも
のである。

ついで、熱膨張係数が極めて低く、しかもチャンキー黒
鉛を含まず肉厚変化による黒鉛形状の変動が小さい球状
黒鉛低熱膨張鋳鉄と本鋳鉄を高品質水準に安定して製造
する方法とを提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は化学組成が、重量％でＣ１，Ｏ〜２．７％、Ｓ
ｉ０．８〜３．０％、Ｎ１３０−４０％、〜１ｎ１．０
％以下、Ｃｒ３．０％以下、Ｔｉ０．５％以下。

Ｓ　ｂ　、　Ａ　ｓの一種または二種の総量が０．００
２〜０゜０２％、残部は鉄及び不可避的元素よりなる溶
湯にその残留量が０．２％以下となるようにＭｇ及び又
は希土類元素（ＲＥ）を添加した後、Ｆｅ−８ｉを基合
金とする接種剤でその添加総量がＳｉ当量で０．０５％
以上となるような接種を１回以上行なうことを特徴とす
る低熱膨張鋳鉄の製造法と、本製造法で製造され黒鉛組
織が球状化率３０％以上７０％未満のチャンキー黒鉛を
含まないＣｖ黒鉛の低熱膨張鋳鉄、および黒鉛組織が球
状化率７０％以上であるチャンキー黒鉛を含まない球状
黒鉛の低熱膨張鋳鉄である。

次に本発明の低熱膨張鋳鉄の化学組成数値限定理由につ
いて説明する。

Ｃ：組織中に黒鉛が発生する限界は約０．８％であるが
、１．０％未満では組織中の黒＠量が著しく減少し、鋳
造性および加工性が低下する。

２．７％を超えると特に厚肉鋳物においてキッシュ黒鉛
が多量に晶出して引張強さが低下し、また、鋳造欠陥も
発生し易くなる。

Ｓｉ：　０．８％未満では本来の黒鉛化促進機能が発揮
されず組織中の黒鉛量が著しく減少し、場合によっては
炭化物発生の恐れが生じる。

３．０％を超えると熱膨張係数を低位に抑制することか
困難になると共に靭性が低下する。Ｃ量によってはキッ
シュ黒鉛の発生を促進する。

Ｎｉ：他の化学組成が本特許請求の範囲においてＮｉが
３０％未満の場合あるいは４０％を超えた場合、何れも
ＲＴ〜１００℃の熱膨張係数が９Ｘ１０−”以上となり
本発明の目的と合致しなくなる。

Ｍｎ：Ｍｎは鋳鉄溶湯を清浄にし、鋳造欠陥を防止する
ために必要な元素であるが、１％を超えると熱膨張係数
が９Ｘ１０−’以上となり目的に合致しない。

Ｃｒ：Ｃｒは耐食性を向上するが３％を超えると黒鉛の
晶出が著しく困難になり、薄肉鋳物においては屡々炭化
物を晶出し熱膨張係数が大となる。

また硬度が上昇し切削性が低下する。

Ｔｊ、：Ｔｊは黒鉛の形状を安定してＣｖ化するに有効
な元素であるが、含有量の増加と共に熱膨張係数を増大
させ、更には１％を超えると黒鉛の晶出を阻害すると共
に切削性を低下させる。なお、Ｔｊは球状黒鉛系鋳鉄に
は原則として添加しない。

Ｓｂ、Ａｓ：本発明の特徴は通常有害元素として忌避さ
れる。Ｓｂ、Ａｓを一種又は二種以上含有させることに
有る。

高Ｎｉ系の鋳鉄溶湯は、Ｍｇ及び又は希土類元素で処理
した場合、極めて共晶状黒鉛（チャンキー黒鉛）を晶出
し易く、最終組織が共晶状黒鉛＋ＣＶ黒鉛又は共晶状黒
鉛子球状黒鉛となり、このために機械的性質が著しく劣
化する。

Ｓ　ｂ　、　Ａ　ｓの添加はこの共晶状黒鉛の晶出を抑
制するに顕著な効果が有り、しかも熱膨張係数を増大さ
せない。その含有量の下限はＳｂ、Ａｓの一種又は二種
の総量が０．００２％であり、これ未満では効果が薄い
。

総量の上限は０．０２％であり、これを超えて含有せし
めるとＭｇ及び又は希土類元素で処理しても組織中に片
状黒鉛が晶出し、安定してＣＶ状黒鉛組織又は球状黒鉛
組織が得難くなる。

Ｍｇ及び又は希土類元素（ＲＥ）：Ｍｇ及び又はＲＥは
低熱膨張鋳鉄の黒鉛形状を球状化率３０以上７０％未満
のＣｖ状または球状化率を７０以上の球状にするために
含有させるものである。ＣＶ黒鉛の低熱膨張鋳鉄を得る
ためには通常Ｍｇ及び又はＲＥを総量で０．００８〜０
．０３％含有せしめる。更にＴｉを０．０５〜０．３％
含有せしめることによって一層安定したＣＶ状黒鉛組織
を得ることができる。

球状黒鉛の低熱膨張鋳鉄を得るには通常Ｍｇ及び又はＲ
Ｅの総量を０．０３〜０　、３％含有せしめる。しかし
ＲＥが０．２％を超えると、接種による溶湯黒鉛化促進
処理を行なっても薄肉鋳物においては炭化物が晶出し易
くなり、熱膨張係数の増大と切削性の低下が起る。

続いて製造法である接種の効果について説明する。第１
表は本発明による球状黒鉛低熱膨張鋳鉄の接種前溶湯化
学組成を示したものである。第２表は本鋳物の肉厚を変
えて接種の効果を調べたものである。−次接種は何れも
Ｆｅ−８ｉ（７５）をＳｉ当量にて０．２％添加し、二
次接種はＦｅ−３ｉ（７３）　−Ｃａ（２）−Ａｌ（３
）合金をＳｉ当量で０．１％添加したものである。

第１表　　　　　　（ｗｔ％） 第２表 注：（）は炭化物発生 発明者等は、実験によって５ｍｍの肉厚鋳物において注
湯流に対し８１当量で０．０５％の接種を行なうことに
より、炭化物が消失することを確認した。尚、ここでは
球状黒鉛低熱膨張鋳鉄における結果を例示したが、ＣＶ
黒鉛低熱膨張鋳鉄においても接種による黒鉛粒数の増加
および球状化率の肉厚差での安定性は同様の傾向を示す
ことを確認している。

以下本発明の実施例をさらに詳細に説明する。

〔実施例、１〕 Ｎｉを含む戻り肩、金属Ｎｌを主体とする原料を３００
ｋｇ高周波電気炉にて熔解し、これにＣｒ合金、Ｔｊ合
金及びその他成分調整用合金を添加して元湯とした。

この元湯を逐次６０ｋｇづつ分は湯して下記５項目の実
験を行なった。

まず溶湯処理の方法及び鋳型について説明する。

１、溶湯処理 （イ）Ｃｖ化処理 Ｆｅ−５ｉ（４５）　　Ｍｇ（４，５）−ＲＥ（１，５
）合金を溶湯量に対し０．４５％を取鍋の底にセットし
上方より溶湯を注湯するいわゆるサンドイクチ法に依っ
た。

（ロ）ｓｂ及びＡｓの添加 後述の試料１及び２を採取した残湯１８０ｋｇに対し、
ｓｂの０．０２％、Ａｓの０．００５％を炉中でホスホ
ライザーにより添加した。

（ハ）接種 一次接種はＣｖ化処理が完了した取鍋溶湯表面にＦｅ−
３ｉ（７５）合金をＳｉ当量で溶湯量の０．３％添加し
攪拌する方法とした。

二次接種はＦｅ　−５Ｌ（７３）−Ｃａ（２）−Ａｌ（
３）合金粒を、注湯量の０．１％鋳型への注湯流中へ添
加する方法とした。

尚、接種処理を行なわない溶湯に対しては、予めＣＶ化
処理合金と共にＦｅ−５ｉ（７５）合金の接種によるＳ
Ｌ増量に見合う量をセットした。

２、鋳型 肉厚２５ｍｍと７５ｍｍのＹブロック鋳型に同一溶湯を
注湯することにより、ｓｂおよびＡｓの添加の有無およ
び接種処理の有無と方法が肉厚感度に及ぼす影響を検討
した。

次にＣＶ系鋳鉄５種類の実験の方法及び目的について説
明する。

ａ、実験１ 元湯に対しｓｂおよびＡｓの添加を行なわず、取鍋中で
黒鉛のＣｖ焙処理行なって一次及び二次の接種をせずに
注湯した。

ｂ、実験２ 実験１に対し一次及び二次の接種をすることによる効果
を検討した。

Ｃ６実験３ 元湯に対しｓｂおよびＡｓを添加し、黒鉛のＣＶ化処理
を行なって、−次及び二次の接種をせずに注湯した。実
験１との対比によりｓｂ及びＡｓ添加によるチャンキー
黒鉛の防止効果とそれによる機械的性質の影響を検討し
た。

ｄ、実験４ 実験３に対し一次接種のみを行なって注湯し一次接種の
効果を検討した。

ｅ、実験５ 実験４に対し二次接種も行なって注湯し二次接種の効果
を検討した。

各試料の分析結果は鉄と不可避的不純物と第３表に示す
とおりであった。尚試料Ｎｏは上記実験Ｎｏと対応する
。

第４表に熱膨張係数（２０〜１００℃）、機械的性質及
び黒鉛組織を示す。

第４表　　肉厚はｍｍ 〔実施例、２〕 Ｎｉを含む戻り屑、金属Ｎｉを主体とする原料を３００
ｋｇ高周波電気炉にて熔解し、これにＣｒ合金、及びそ
の他成分調整用合金を添加して元湯とした。

この元湯を逐次６０ｋｇづつ分は湯して下記５項目の実
験を行なった。

まず溶湯処理の方法及び鋳型について説明する。

１、溶湯処理 （イ）球状化処理 Ｆｅ−５ｉ（４５）　　Ｍｇ（４，５）−ＲＥ（１，５
）合金を溶湯量に対し０．８５％を取鍋の底にセットし
上方より溶湯を注湯するいわゆるサンドイツチ法に依っ
た。

（ロ）ｓｂの添加 後述の試料６及び７を採取した残湯１８０’ｋｇに対し
、Ｓｂ０．０２５％を炉中でホスホライザーにより添加
した。

（ハ）接種 球状化処理が完了した取鍋溶湯に対する一次及び二次接
種は〔実施例、１〕と同様に行なった。

尚、接種処理を行なわない溶湯に対しては、予め球状化
処理合金と共にＦｅ−５ｉ（７５）合金の接種によるＳ
ｉ増量に見合う量をセットした。

２、鋳型 肉厚２５ｍｍと７５ｍｍのＹブロック鋳型に同一溶湯を
注湯することにより、Ｓｂ添加の有無および接種処理の
有無と方法が肉厚感度に及ぼす影響を検討した。

次に球状黒鉛系鋳鉄５種類の実験の方法及び目的につい
て説明する。

ａ、実験６ 元湯に対しＳｂ添加を行なわず、取鍋中で黒鉛の球状化
処理を行なった後、−次及び二次の接種をせずに注湯し
た。

ｂ、実験７ 実験５に対し一次及び二次の接種をすることによる効果
を検討した。

Ｃ０実験８ 元湯に対しｓｂを添加し、黒鉛の球状化処理を行なった
後、−次及び二次の接種をせずに注湯した。実験６との
対比によりＳｂ添加によるチャンキー黒鉛の防止効果及
び球状化率の向上効果とそれによる機械的性質への影響
を検討した。

ｄ、実験９ 実験８に対し一次接種のみを追加して注湯し一次接種の
効果を検討した。

ｂ、実験１０ 実験９に対し、更に二次接種を行なって注湯し二次接種
の効果を検討した。

各試料の分析結果は鉄と不可避的不純物と第５表に示す
とおりであった。尚試料Ｎｏは上記実験Ｎｏと対応する
。

第５表　　　　　　（ｗｔ％） 第６表に熱膨張係数（２０〜１００℃）１機械的性質及
び黒鉛組織を示す。

第６表　　　肉厚はｍｍ 〔発明の効果〕 Ｃｖ状黒鉛鋳鉄においては第４表より明らかなようにｓ
ｂおよびＡｓを添加しない試料１および２には何れもチ
ャンキー黒鉛が晶出し機械的性質も低位であるのに対し
、ｓｂおよびＡｓを添加した試料３，４および５は何れ
もチャンキー黒鉛の晶出は観察されず機械的性質も高位
に有る。

次に接種の効果を見るにｓｂおよびＡｓの有無にかかわ
らず何れも接種を行なった試料は機械的性質が向上し、
肉厚感度が低くなっている。この傾向は試料４と試料５
を対比すると明白なように二次接種によって顕著に現わ
れる。尚熱膨張係数はｓｂおよびＡｓの添加の有無およ
び接種の有無によって変化は見られない。

以上述べたように、ｓｂおよびＡｓを含有させることと
、−次又は二次の接種を行なうことにより。

組織中にチャンキー黒鉛を含まず、機械的性質に優れ、
特に肉厚感受性の低い低熱膨張ＣＶ黒鉛鋳鉄を得ること
ができた。

球状黒鉛鋳鉄に於いては第６表より明らかなようにｓｂ
を添加しない試料６および７には何れもチャンキー黒鉛
が晶出し、機械的性質も低位であるのに対し、Ｓｂを添
加した試料８，９および１０は何れもチャンキー黒鉛の
晶出は観察されず、しかも黒鉛の球状化率が上がり機械
的性質が高位にある。

次に接種の効果を見るにｓｂの添加の有無にかかわらず
、いずれも接種を行なった試料は球状化率と機械的性質
が向上し肉厚感度が低くなっている。この傾向は試料９
と試料１０を対比すると明らかなように二次接種によっ
て更に顕著となる。

尚熱膨張係数は試料６ないし試料１０において変化は見
られない。

以上述べたようにｓｂを含有させることと、−次又は二
次の接種を行なうことにより、組織中にチャンキー黒鉛
を含まず球状化率が高く、機械的性質に優れ、特に肉厚
感受性の低い低熱膨張球状黒鉛鋳鉄を得ることが出来た
。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １、化学組成が、重量％でＣ１．０〜２．７％、Ｓｉ０
   ．８〜３．０％、Ｎｉ３０〜４０％、Ｍｎ１．０％以下
   、Ｃｒ３．０％以下、Ｔｉ０．５％以下、Ｍｇ及び又は
   希土類元素（ＲＥ）０．２％以下、Ｓｂ、Ａｓの一種ま
   たは二種の総量が０．００２〜０．０２％、残部は鉄及
   び不可避的元素よりなる低熱膨張鋳鉄。 ２、黒鉛組織が球状化率３０％以上７０％未満である特
   許請求の範囲第１項記載の低熱膨張鋳鉄。 ３、黒鉛組織が球状化率７０％以上である特許請求の範
   囲第１項記載の低熱膨張鋳鉄。 ４、化学組成が、重量％でＣ１．０〜２．７％、Ｓｉ０
   ．８〜３．０％、Ｎｉ３０〜４０％、Ｍｎ１．０％以下
   、Ｃｒ３．０％以下、Ｔｉ０．５％以下、Ｓｂ、Ａｓの
   一種または二種の総量が０．００２〜０．０２％、残部
   は鉄及び不可避的元素よりなる溶湯にその残留量が０．
   ２％以下となるようにＭｇ及び又は希土類元素（ＲＥ）
   を添加した後、Ｆｅ−Ｓｉを基合金とする接種剤でその
   添加総量がＳｉ当量で０．０５％以上となるような接種
   を１回以上行なうことを特徴とする低熱膨張鋳鉄の製造
   法。