JPS626613Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、レコード盤の把持具に関するもので
あつて、レコード盤を、傷つけることなくまた指
の脂等が付着することなく取り扱えるようにした
ものである。

現在用いられている音響部品としてのレコード
盤は、塩化ビニール等で成形されており、軽量に
して割れる虞れのないものとして広く普及してい
る。しかしながら軟質である為に、音溝がプレス
された表面を爪で引つかいてしまつたり、ジヤケ
ツトへの出し入れの際に傷つけてしまうといつた
失敗が常に存していた。また、レコード盤を取り
扱う際に音溝部分に指が触れると、指絞や脂が付
着し、更にはその汚れ部分に塵が付着してしま
い、音質を劣化させるのみならず針を傷め、ひい
ては音溝を損傷することになりかねない。

そして更には、音溝内に詰つた塵芥を除去する
為にクリーナーをかける際或いは静電気防止剤を
吹き付ける際に、レコード盤の保持が極めて困難
である。等に静電気防止剤の吹き付けは、一定の
間隔離して全面に均一に行なわなければならず、
レコード盤の保持が甚だ難しいものとなつていた
のである。

而して本考案は、レコード盤の取り扱いに関す
る従来の上述したような不都合を解消するべく案
出されたものであつて、その要旨とするところ
は、先端に係合突起、基端に組付部を設けた作用
板と、組付部内にスライド自在に配置され、先端
にフツク部を設けた挾持板と、先端が作用板先端
に連結され、基端が挾持板に連結された弾性変形
が自在なアーチ形状の弾板とから構成される。

以下本考案の一実施例を図面に従つて説明す
る。

本考案のレコード盤把持具は、作用板１と挾持
板５と弾板８とから構成される。

合成樹脂等で成形される作用板１は、所望長さ
の細板形状であつて、先端部下面にはレコード盤
Ａの中心孔Ｂに嵌入する係合突起２が突設されて
おり、また基端部は上方に反転屈曲されて間隙を
形成する組付部３が設けられ、この組付部３には
指掛片４が設されている。

また前記組付部３内の間隙に、作用板１の長さ
方向に沿つてスライド自在に組付けられる平板形
状の挾持板５の先端には、一対のフツク部６が屈
曲成形されていて、このフツク部６はレコード盤
Ａの周縁部に係合するようになつており、更に挾
持板５の基端には指掛片７が立設されている。

上述作用板１と挾持板５とは弾板８を介して連
結される。即ち弾板８は弾力に富んだポリカーボ
等の合成樹脂等で成形され、先端が作用板１先端
部上面に連結され、基端が挾持板５に連結される
ものであつて、図示実施例では、少なくとも弾板
８と挾持板５とは一体成形されている。

そしてこの弾板８は、アーチ形状に十分に湾曲
して成形されていて、外力を受けることによつて
弾性変形が自在となるようになつており。何等外
力を受けない安定姿勢では、アーチ形状を維持し
て湾曲収縮することにより、挾持板５を作用板１
の先端方向に付勢している。

従つて作用板１の指掛片４と挾持板５の指掛片
７とに力を加えて、弾板８の弾力に逆らつて挾持
板５を作用板１の基端方向に引つ張ると、挾持板
５は組付部３内でスライドし、且つ弾板８はほぼ
平状姿勢に弾性変形する。そして上記力を解除す
れば弾板８の弾性復帰力によつて、挾持板５、弾
板８は原姿勢に戻るのである。

この場合、係合突起２とフツク部６との間隔
は、弾板８の安定姿勢ではレコード盤Ａの半径よ
りも十分に小さく、弾板８の変形姿勢では上記半
径よりも十分に大きくなるように、弾板８の長
さ、弾力等が設定される。

さて、作用板１を先端方向に押しながら挾持板
５を基端方向に引くと、上述の如く係合突起２と
フツク部６との間隔はレコード盤Ａの半径よりも
十分に大きいので、係合突起２をレコード盤Ａの
中心孔Ｂに嵌入して指の力を緩めると、挾持板５
は弾板８の弾性復帰力によつて作用板１先端方向
にスライドし、挾持板５の先端であるフツク部６
がレコード盤Ａの周縁部に側方より上下に挾持す
る形態で係合する。故にレコード盤Ａは、その中
心孔Ｂと周縁部にあつて作用板１と挾持板５とに
よつて挾持され、把持されることになる。

但し上記挾持過程は単なる一例であつて、逆に
先ずフツク部６をレコード盤Ａ周縁部に係合さ
せ、作用板１を先方に押し出す如くして係合突起
２を中心孔Ｂに嵌め込む形態としてもよいことは
もとよりである。

尚、第２図に見られるように、作用板１先端部
の係合突起２下面は、レコードプレーヤーに於け
るターンテーブルＣのシヤフトＤ上端の形状に対
応して凹部２ａとなつている。従つて上記把持状
態で、シヤフトＤ上面に係合突起２の凹部２ａを
当接すれば、レコード盤ＡのターンテーブルＣへ
の位置あわせが簡単に達成出来、再度挾持板５を
基端方向に引張スライドさせることによつて、把
持具をレコード盤Ａから外してターンテーブルＣ
上に載置することが可能である。

また、レコード盤ＡをターンテーブルＣから取
り出すには、フツク部６をレコード盤Ａ周縁部に
係合してレコード盤ＡをターンテーブルＣから多
少浮かし、シヤフトＤから中心孔Ｂを外して該中
心孔Ｂに係合突起を嵌め込む手段をとればよいで
あろう。

本考案に係るレコード盤把持具は、以上説明し
たような構成をとり作用を営むものである。従つ
てレコード盤の中心孔と周縁部との間に於て、弾
性材を利用することによつて簡単且つ確実にレコ
ード盤を把持することが出来る。この場合、該把
持具がレコード盤の音溝部分に触れることは全く
ないので、音溝を傷つけたり潰したり汚したりす
ることは全くない。また操作が極めて簡単である
ので、レコード盤のジヤケツトへの出し入れ、タ
ーンテーブルへの着脱が容易であり、またクリー
ナー、静電気防止剤等をかけることも容易であ
り、本考案は優れて有効なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る把持具の斜視図、第２図
は先端部の断面図である。 符号の説明、１……作用板、２……係合突起、
５……挾持板、６……フツク部、８……弾板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. レコード盤の中心孔と周縁部とに夫々係合して
   レコード盤を弾力を利用して挾持するレコード盤
   把持具であつて、先端部に前記レコード盤の中心
   孔に嵌入する係合突起を設けると共に、基端部を
   反転屈曲して組付部を設けた作用板と、前記組付
   部内に前記作用板の長さ方向に沿つてのスライド
   自在に組付けられ、先端に前記レコード盤周縁部
   に係合するフツク部を設けた挾持板と、弾性変形
   自在にアーチ形状に湾曲し、先端を前記作用板先
   端に連結すると共に基端を前記挾持板に連結した
   弾板とから成るレコード盤把持具。