JPS6261689B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、精紡機や撚糸機のような繊維機械に
おける高速で回転する部分のための気体軸受、特
に精紡リングや精紡スピンドルのための気体軸受
に関する。

軸受要素として薄い膜を備えて多数の公知の気
体軸受は、これまで軸方向荷重を支持するのには
適していなかつた。最適の安定性を達することの
できるこの様式の気体軸受は、しばしば半径方向
荷重を支持する少なくとも一つの半径方向膜軸受
と軸方向荷重を支持する少なくとも二つの軸方向
軸受とを必要としている。この場合、各々の軸方
向軸受のそれぞれが一つの方向の軸方向荷重を支
持し、第一の軸方向軸受は、停止中や始動時の回
転部分の重量を受容するのに使用される。

精紡作業の間繊維機械が一定の速度で作動して
る場合、移動する糸はしばしば回転部分へ上向き
の軸方向の力を加え、この力が回転部分の重量を
かなりな量だけ超える可能性がある。この場合に
は、第二の軸方向軸の軸受面が、これらの上向き
力を支持する必要がある。しかしながら、この第
二の軸方向軸受の軸受面の担持力は、回転部分の
傾斜位置によつて制限される。即ち軸方向回転部
分の面と軸方向固定子面とが、時々相互に平行に
ならなくなることにより制限される。軸方向固定
子面に対して回転部分の面がこのように傾斜位置
にあるようになることは、回転部分が静的に最適
に釣合つていてもリングの動的不釣合いによつて
しばしば惹起される。

先行技術の従来の気体軸受にあつては、この第
二の軸方向軸受は、回転部分の重量を糸の上向き
に働く軸方向力よりも大きくすることができる場
合の他は省略することができないが、回転部分を
そのように重くすることは実際的ではない。

本発明の目的は、精紡機或いは撚糸機における
高速に回転する部分のための、少なくとも一つの
方向の軸方向荷重を支持することのできる軸受を
提供することである。

この場合、少なくとも一つの軸方向軸受を省く
ことが可能となる。

本発明による気体軸受の特徴とするところは、
ほぼ円錐台形状の面を構成するように形成される
軸受面を備える回転部分、この軸受面の隣接して
取付けられる軸受膜胴、上記軸受膜胴はほぼ円錐
台形状の面を構成するように形成され、第一の端
部と第二の端部を持つ少なくとも一つの膜から成
り、この膜が上記第一の端部と第二の端部におい
て円錐台形状軸受胴に対して接線方向で指向する
回転軸線部をもつ側方切欠きが形成されて弱くさ
れた部分を備えた各々一つの継手として形成され
ていることである。

本発明の主要な利点は、軸方向や半径方向の両
方向荷重が本発明による円錐膜による気体軸受に
よつて支持することが可能となることである。

従つて、気体軸受を一つ使用した場合には一つ
の軸方向軸受を省くことが可能となり、また気体
軸受を二つ使用した場合は二つの軸方向軸受を省
くことができる。更に、本発明はによる円錐膜に
よる気体軸受は、回転部分がその通常の回転軸線
から傾斜する場合ですら、軸方向荷重を支持する
ことができる。軸方向荷重を容易に支持できる点
において、回転部分の重量は小さく押さえること
ができる。この軽量な回転部分の使用は、回転部
分が圧縮空気を供給しないでもしばしば始動でき
ると云う付加的な長所をももたらす。軽量な回転
部分は、この気体軸受の速やかな加速作用および
同期作用も可能にする。その上摩擦モーメントが
小さいことにより糸張力も僅かとなる。

上記のような構成により、特に簡単かつ経済的
で寿命が長い気体軸受が得られる。

以下に添付した図面に図示し本発明による気体
軸受を、オープンエンド精紡機のロータの軸受と
して使用した実施例を基に本発明を詳しく説明す
る。

第１ａ図および第１ｂ図は、オープンエンド精
紡機のロータのための軸受として使用した場合の
円錐膜軸受と第一の軸方向軸受とから成る本発明
の気体軸受の好ましい第一の実施例を示してい
る。この軸受は基板１から成り、この基板１に対
して固定子２を固定している。三つの膜４が締付
け要素３によつて固定子２に対向するように環状
にかつ対称的に取付けられており、下向きに開放
する円錐台形状軸受胴５５を形成するようになつ
ている。固定子２は円錐台形状軸受胴５上で第一
の軸方向軸受の軸受面６をもつている。固定子２
には複数のノズル７が設けられており、それらの
ノズルを介して始動時に圧縮空気が供給される。
固定子２のこの軸受面６によつてロータ９の軸方
向軸受面８が支持され、これらの軸受面６および
８は、協同して第一の軸方向軸受を形成する。ロ
ータ９の軸方向軸受面８は、作動中空気静力学的
にエアクツシヨンを形成するために図示していな
い複数の螺旋状の溝を備えている。内部が中空の
ロータ９は、軸方向軸受面８の下方において下向
きに開放する截頭円錐胴面１０を有している。前
記三つの膜４は、予張力なしに表面１０に対向ち
隣接して置かれて、円錐台形状軸受胴５を形成す
る。基板１は、緩衝要素１１によつてケーシング
１２に取付けられている。

始動中軸受面８と固定子２の軸受面６との間に
はノズル７を経て圧縮空気が導入される。この圧
縮空気は、空気静力学的エアクツシヨツを構成
し、始動摩擦を減少する。圧縮空気流は、ロータ
９が所定の速度に達した場合、遮断されるのが好
ましい。何故ならその時点においてロータ９の軸
受面の螺旋状溝が固定子２の軸受面６とロータ９
の軸受面８との間で空気静力学的エアクツシヨン
を形成するからである。

同じようにロータ９が一定の速度になると固定
子２の円錐台形状軸受胴５とロータ９の円錐台形
状軸受胴面１０との間にも空気静力学的なエアク
ツシヨンが形成される。このエアクツシヨンは、
精紡糸（図示されていない）によつてロータ９へ
と加えられる上向軸方向力に対する低摩擦軸受と
なるように働く。もちろん、固定子２の円錐台形
状軸受胴５とロータ９の円錐台形状軸受胴面１０
とによつて形成される円錐台形状膜軸受は糸の張
力とリング（図示せず）との双方によつてロータ
９に対して加えられる半径方向力も受容するよう
に働く。更に第１ａ図および第１ｂ図による膜軸
受は、ロータ９がその通常の回転軸線から傾斜し
た場合ですら、上向軸方向力を受容する。

本発明による気体軸受の好ましい第２の実施例
が第２図に断面図で図示されている。この実施例
では、対向している二つ円錐台形状膜軸受から成
つている。第２図を参照して説明すると、上部固
定子２２は基板２１へと取付けられている。三つ
の締付け要素２３は、固定子２２に対向するよう
に環状に対称的に配列してある三つの膜２４を取
付けるのに使用される。これらの膜２４は、下向
きの開放している円錐台形状軸受胴２５を形成す
る。上部固定子２２に対向して下部固定子２６が
固着されており、この下部固定子２６は三つの締
付け要素２７によつて三つの膜２８が環状に対称
的に配列されており、上記膜は上向きに開放して
いる円錐台形状軸受胴２９を形成する。これらの
軸受胴２５，２９は、内部が中空ロータの二つの
円錐台形状軸受胴面３０，３１をほぼ予張力なし
に取囲んいる。基板２１は、ケーシング３４に対
して緩衝要素３３を介して取付けられている。第
２図の実施例は軽量なロータ３２と共に使用する
のに十分適している。ロータ３２を始動し易くす
るため下部円錐台形状軸受胴２９を形成する膜２
８は、細い孔を形成するのが好ましく、この孔を
介して膜２８へ接着したホース３６によつて膜２
８に対して圧縮空気が供給される。好ましくは、
圧縮空気の供給はロータ３２が一定速度になつた
時遮断される。何故ならその際下部固定子の円錐
台形状軸受胴２９とロータ３２の円錐台形状軸受
胴３１との間において空気静力学的エアクツシヨ
ンを形成し終わつているからである。

膜４，２４，２８は、例えば金属或いは合成物
質のような任意の適当な材料から形成される。こ
れらの膜は、真直ぐな条片として形成されている
か、或いは第３図に示されるようにロータ９，３
２の円錐台形状軸受胴面１０，３０，３１に対応
する円錐台形状軸受胴５，２５，２９から外した
展開条片として形成されている。また、膜４，２
４，２８の両端においては切欠き３７が形成され
ており、これにより捩じれ運動可能な弱い個所が
形成される。これらの切欠き３７は、ロータが酔
歩運動をした時、ロータの円錐台形状軸受胴面に
対して、それらの膜４，２４，２８が密接するの
に順応させることができ、従つて均一な空気間
隙、即ち均等に担持するエアクツシヨンが膜４，
２４，２８とロータ９，３２ほ円錐台形状軸受胴
面１０，３０，３１との間に形成される。

本発明の主要な利点は、ロータ９，３２の酔歩
運動をしている間でも、軸方向荷重を支持するた
めに二つの軸受面しか必要としないことである。
ロータ９，３２の重量を小さくできることから、
これらロータ９，３２は一般的に圧縮空気を供給
しないで始動することもできる。更にロータ９，
３２の軽量化によりロータ９，３２の全速度への
速やかな加速作用や同期作用が可能となりかつ低
摩擦モーメントのために糸張力も低くなる。従つ
て本発明により、特に構造が簡単で、経済的でか
つ長寿命の気体軸受軸受が得られる。

上記の好ましい実施例に関する種々の変更およ
び改変は可能である。この変更および改変は、本
発明の思想および特許請求の範囲に記載の特徴を
逸脱することなく、また本発明によつて得られる
長所を減殺することなく行うことができる。従つ
てこの変更および改変が特許請求の範囲によつて
包含されることは云うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１ａ図は本発明による気体軸受の横断面図、
第１ｂ図はロータを取外した気体軸受の底面図、
第２図は本発明による気体軸受の他の実施例の横
断面図、第３図は本発明による膜の図。 図中符号は、４，２４，２８……膜、５，２
５，２９……円錐台形状軸受胴。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 精紡機や撚糸機の高速回転部分用の気体軸受
   において、ほぼ円錐台形状の面を構成するように
   形成される軸受面を備える回転部分、この軸受面
   に隣接して取付けられる軸受膜胴、上記軸受膜胴
   はほぼ円錐台形状の面を構成するように形成さ
   れ、第一の端部と第二の端部を持つ少なくとも一
   つの膜４，２４，２８から成り、この膜４，２
   ４，２８が上記第一の端部と第二の端部において
   円錐台形状軸受胴５，２５，２９に対して接線方
   向に指向する回転軸線部をもつ側方切欠き３７が
   形成されて弱くされた部分を備えた各々一つの継
   手として形成されていることを特徴とする、上記
   気体軸受。 ２ 少なくとも一つの膜４が下方が開いている円
   錐台形状軸受胴５を形成している、特許請求の範
   囲第１項に記載の気体軸受。 ３ それぞれ少なくとも一つの膜２４，２８が互
   いに重なり合つている円錐台形状軸受胴２５，３
   ９を形成している、特許請求の範囲第１項に記載
   の気体軸受。 ４ 三つの膜４が下方が開いている円錐台形状軸
   受胴５を形成している、特許請求の範囲第１項或
   いは第２項に記載の気体軸受。 ５ それぞれの三つの膜２４，２８が互いに重な
   り合つている二つの円錐台形状軸受胴２５，２９
   を形成している、特許請求の範囲第１項或いは第
   ３項に記載の気体軸受。 ６ 少なくとも一つの膜４，２４，２８が軸受さ
   れるべき部分１０，３０，３１に予緊張されるこ
   と無く当接されている、特許請求の範囲第１項か
   ら第５項までのいずれか一つに記載の気体軸受。 ７ 膜４，２４，２８が真直ぐな条片として形成
   されて、特許請求の範囲第１項から第６項までの
   いずれか一つに記載の気体軸受。 ８ 膜４，２４，２８が円錐台形状軸受胴５，２
   ５，２９の湾曲部である、特許請求の範囲第１項
   から第５項までのいずれか一つに記載の気体軸
   受。 ９ 膜４，２４，２８が両端にそれぞれ一つの弱
   い位置３７を備えている、特許請求の範囲第７項
   或いは第８項に記載の気体軸受。 １０ 膜４，２４，２８が金属或いは合成樹脂か
   ら成る、特許請求の範囲第１項から第９項までの
   いずれか一つに記載の気体軸受。 １１ 膜４，２４，２８を固定するために各々の
   膜４，２４，２８に固定要素３，２３，２７が設
   けられている、特許請求の範囲第１項から第５項
   までのいずれか一つに記載の気体軸受。 １２ 軸方向の軸受として螺旋状の溝を備えた軸
   受が設けられている、特許請求の範囲第１項、第
   ２項或いは第４項に記載の気体軸受。