JPS625237Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は空気清浄用電気集じん器に関する。

電気集じん器の原理は、大部分が帯電していな
い粒子を導入し、相互に異なる電位にあるワイヤ
とそのワイヤの両側に配置された２つの金属シー
トのような２つの導電体の間を通過させる第１段
階でその粒子を帯電させ、帯電された粒子はたと
えば異なる電位をもつ２つの金属シートの間で分
離され、逆の極性をもつシートの方にひきつけら
れるようにされている。

電気集じん器の分離段階での効率はおおかたは
帯電段階の規模に依存する。従来、電気集じん器
の性能を増すために、帯電および分離段階での電
界の強さを増加させることや分離段階を長くする
ことが試みられてきた。これらの処置では、電界
の強さを無限に大きくできず、しかも効率を大き
く上げようとするには分離段階をかなり増さなけ
ればならないので、集じん器の性能はある水準ま
でしか高めることはできない。

帯電段階での電位の増加に関連して発生する大
きな欠点はオゾン発生の増加である。

現在商業的に利用されている電気集じん器は入
つてくる粒子のうち50〜60％のものを分離でき
る。本考案による電気集じん器は入つてくる粒子
の97％まで分離できる。

以下添付した図面を参照にして本考案を詳細に
説明する。

第１図に本考案による電気集じん器の斜視図を
示す。集じん器は帯電部１と分離部２を含む。帯
電部１と分離部２には第２図に示すように通し金
属シート３が共通に与えられている。これらシー
トの数は電気集じん器の組み立ての際変えること
ができる。帯電部の金属シート３の各対の間にワ
イヤ４が配置されており、ワイヤの各々は両側の
シート３と平行にかつその間のほぼ中心に配置さ
れている。ワイヤ４は絶縁材料のフレーム５に締
めつけられ、ワイヤ列が構成される。各フレーム
５は金属シート３にしつかりと固定されているこ
とが望ましく、シートの側面はフレームの方向に
向くようにされている。ワイヤの直径は0.05〜
0.25mmの太さである。同じコロナ電流では、ワイ
ヤが細いほうが太いワイヤよりもオゾンの発生が
少ないが、ワイヤの強度は減少する。前記通し金
属シート３の各対の間には分離部２のところで多
数の金属シート６が配置されている。第２図には
通しシート３の各対の間に３つのシート６が示さ
れている。シート６の数は、シート３間の距離、
シート６の電位、およびシート３と６の間の（１
枚より多いシートの場合は２つのシート６の間
の）所望電界の強さ等により決まり、１以上の奇
数個であることが好ましい。シート３と６の電位
は以下の説明から明らかになる。シート３と６は
たとえば0.5mmの厚さであり、アルミニウム、
銅、鋼鉄または適切な材料で製造してよいがアル
ミニウムが望ましい。空気は帯電部を通過してか
ら分離部を通過し、集じん器の後方終端部の背後
に配置された電動モーター８により駆動されるフ
アン７によつて集じん器の後方終端部から引き出
される。

電気集じん器は前方および後方終端部を除いて
は壁で囲まれており、空気は前述したようにしか
集じん器を通過できない。

通しシート３はワイヤ４とは異なる電位をも
つ。通しシート３の最も近くに配置されたより短
いシート６はワイヤ４と同じ極性をもつが、シー
ト６の電位は前述のようにシート間の距離と分離
部での所望電界の強さにより決定される。シート
３から数えて２番目のどのシート６もシート３と
同じ電位をもち、したがつてシート３に最も近い
シート６から数えて２番目のどのシートもこの最
も近いシート６と同じ電位をもつ。したがつて、
分離部ではシートは１つおきに同じ電位をもつこ
とになる。同じ電位をもつすべての装置は並列に
結合される。

電源の１端はシヤシに対して接地され、集じん
器に２つの電位を与える。

ワイヤ４とシート３の間の電位差は5000〜6000
ボルトの大きさである。

分離部での隣接シート間の電位差は1500〜2500
ボルトの大きさである。

本考案による電気集じん器には、既知の方法で
直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が整流器によ
り与えられる。

重畳された交流電圧は、脈動直流電位の頂上値
でのみコロナを生ずる臨界値をこえるような振幅
をもつ。その結果、脈動されるコロナが得られオ
ゾンの発生も少ない。

１つの要素を図示した第３図の実施例では、１
方の電位は正、他方の接地電位にされている。

動作原理は、帯電していない粒子がワイヤ４と
シート３の間の帯電部１を通過する際その間の電
界内のイオンによつて帯電されることである。こ
の方法で静電的に正または負の電位に帯電された
粒子は、分離部２に入り、そこで粒子が正に帯電
されている場合は接地シートに引きつけられ、粒
子が負に帯電されている場合は正の電位のシート
に引きつけられる。このようにして粒子は分離部
２に集められ分離部は必要な時に清浄される。そ
の結果入つてくる空気よりもかなり小さい粒子濃
度をもつ空気が分離部２の後方終端部を通つて集
じん器から流出される。

上述したように電気集じん器の性能を高めるた
めの試みが従来広くなされてきた。電界の強さを
増すとワイヤ４とシート３の間のフラツシユオー
バの危険性が増す。粒子とごみの蓄積でこの危険
性は特に分離部において大きくなるが、帯電部で
も大きくなる。フラツシユオーバはしばしば高電
圧で発生し、その結果、健康に非常に悪いオゾン
を発生する。その他にクラツクリング
（crackling）型の大きな妨害ノイズが発生し、発
火の危険性が増す。

効率を増すもう１つの方法は分離部をひろげる
ことである。しかし、この方法は帯電した粒子だ
けが集められ非帯電粒子は通過してしまうのでわ
ずかしか効率を上げられない。

本考案によれば、従来の装置では入つてくる粒
子の50〜65％の分離値であつたものを97％まで効
率を向上することができる。

本考案では同一の収集装置を空気の流れの方向
に直列に配置することができる。第３図には、フ
レーム５に締めつけられたワイヤ４からなる３つ
の帯電装置が示されている。帯電装置の数は所望
の効率が得られるようにある程度変えることがで
きる。しかし、最小限は２つであり、また５つ以
上の装置を使用しても効率の増加はあまり得られ
ない。３つの帯電装置で入つてくる粒子をほぼ
100％まで帯電する。

コロナを発生する脈動直流電位で粒子を帯電す
る際、上述のように脈動直流電位レベルが所定の
値より大きい時だけコロナが発生する。これは脈
動直流電位の値がコロナが形成される値より大き
い時だけ、入つてくる粒子がワイヤを通過する際
帯電されることを意味する。

帯電部に数個のワイヤが交互に配置される時、
効率はワイヤの数およびとりわけワイヤ間の距離
を正確にきめることによりかなり増加される。

ワイヤ間の距離は第１のワイヤで帯電されなか
つた粒子が次のワイヤの１つを通過する時帯電さ
れるようになつている。

２つの隣接したワイヤ間の距離は下記の式によ
つて与えられ、その最適距離はワイヤの数に依存
する。

Ｔを脈動直流電圧のサイクル時間、Ｖを集じん
器内での空気速度に等しい粒子速度、ｎをワイヤ
の数、ｂを各ワイヤ４と周囲のシート３の間の距
離とする時、ワイヤ間の距離Ｃは、一般に Ｃ＝Ｖ・Ｔ／（ｎ−ｋ） …(1) で与えられ、ここで、Ｏ≦ｋ≦ｎ−２、２≦ｎ≦
５である。

ワイヤ間の距離が小さいと、コロナの発生効果
が減退されコロナ電流が小さくなるので、その距
離をあまり小さく選ぶことはできない。コロナの
減少を避けるためには、ワイヤ間の距離を 0.6b≦Ｃ≦1.2×Ｖ・Ｔ／２ …(2) の範囲内に設定するのが適切であることが実験で
見出されている。

ワイヤ間の距離Ｃの値の最大値は、(1)式では
Ｖ・Ｔ／２であり、(2)式では1.2×Ｖ・Ｔ／２であり(1
)式に比 べ1.2倍となつている。

なお、(1)式はワイヤ間の距離Ｃを粒子速度Ｖと
ワイヤの数ｎで表した一般的関数を示す式であ
り、一方、(2)式はコロナを減少させるためにワイ
ヤ４とシート３間の距離ｂを考慮した式であり、
ワイヤの数とは無関係に表した式である。

以上の２式を組み合わせて考えると、ワイヤ間
の距離Ｃは0.6bからＶ・Ｔ／（ｎ−ｋ）までの間で選択
された 値となることがわかる。

本考案による帯電部の効率はワイヤを加熱する
ことによりかなり改善される。ワイヤを加熱する
とワイヤ近くの空気密度が小さくなり、それによ
り単位時間につきより多くのイオンがワイヤのす
ぐ近くから飛び出すことが可能になる。

ワイヤの加熱、ワイヤの最適な相対的配置、お
よびワイヤを備えるフレームの最適な数により、
本考案の装置は入つてくる粒子のほぼ100％のも
のを帯電する。

全粒子のほぼ100％が帯電されることを背景と
して、分離部２の長さを印加電位および空気速度
に関係して選択することにより、ほぼ100％の分
離効率をもつ電気集じん器が得られる。分離部の
長さは帯電部の長さの約２倍から５倍に選択さ
れ、３倍の長さが好ましい。

前述したように、フラツシユオーバはオゾンを
発生する。既知の電気集じん器では分離部のシー
ト３，６の各々はシート表面上に均一に配置され
た絶縁体により分離されている。絶縁体の配置に
より、ほこりがその上に集まりクリープ放電によ
るフラツシユオーバが絶縁体表面に発生する。フ
ラツシユオーバの危険性を避けるため、より小さ
な電位を使わなければならない。しかも空気の流
れは各絶縁体のまわりに発生する不均一なうずに
より乱される。

本考案では、分離部２でのシート３と６は空間
をあけて分離されており、第４図と第５図に示さ
れているような絶縁材料のロツドで構成された支
持体９，１０により互いに平行に保持されるよう
に、シート３と６がそう入されるみぞ１１が与え
られる。後方終端を示す第６図において、支持体
は上部および下部の被覆金属シート１７に結合さ
れ、電気集じん器の側面金属シート１８に結合さ
れる。被覆シートは１〜２mmの厚さであることが
望ましい。電気集じん器の後方終端部において支
持体９と１２を各すみに、支持体１３を中心に与
えられる。シート３，６の各々は集じん器の縦の
側面上の支持体１０および集じん器の後方終端部
上の支持体１３にあるみぞ１１に保持される。

集じん器の後方終端部上の支持体９と１２の各
各は同じ電位をもつシートだけを保持する。支持
体９又は１２により保持されるように設計されて
いないシート３，６上のすみ１４は第７図と第８
図に示されるように切り落される。

たとえば第７図に示すように、銅またはアルミ
ニウムのストリツプのような導電体１５，１６が
各みぞ１１の中に折りこむようにすみにある支持
体９，１２の各々に沿つてのびている。したがつ
てすみを切り落されなかつたシート３，６だけが
前記導電体１５，１６と接触する。したがつて第
７図に示されているように、１方の電位をもつシ
ート３，６が１つの支持体１２上の導電体１１を
介して互いに平行に結合され、もう１つの電位を
もつシート３，６はもう１つの支持体９上の導電
体を介して互いに平行に結合される。

２つの正の電位と接地電位からなる３つの電位
を発生させることが好ましい。異なるフレーム５
のワイヤ４は導電体を介して集じん器の後方部に
ある結合部（図示されていない）で互に結合され
る。シート６には、導電体１５，１６の１つ及び
集じん器の後方部にある第２の結合部を介して電
位が与えられる。シート３，６はシヤシに圧接す
ることにより接地されている下部および上部被覆
シート１７と接触しているもう１つの導電体１
５，１６により接地される。

ワイヤ４を保持するための各フレーム５は絶縁
性材料でできており、フレームの側壁にはみぞ１
９が施されていて、第９図に示されているように
通しシート３をフレームに押し込む。フレーム５
の側壁には貫通穴２０が施されており、その中に
ワイヤ４が通される。フレーム５の外側２１には
穴を結合しかつ外部からの妨害に対しワイヤを保
護するみぞ２２が施されている。第１０図を参照
せよ。

以上述べたように、シート３，６の外側エツヂ
を保持すると、大きな利点が得られる。１つの利
点は絶縁体に沿つてクリープ電流が流れないので
２つのシート間のフラツシユオーバの危険性が減
少することである。本考案においては、みぞ１１
のシート３，６間の絶縁性をさらに増すために、
みぞ１１間に隣接シート間をいくらか離すくさび
のような突出部を形成し、それによりクリープ電
流の流れる距離を増すようにしてもよい。フラツ
シユオーバの数が少なければそれだけオゾン発生
が低下する。もう１つの利点は２つの隣接シート
３，６間の電位をシート間に絶縁体を配置したと
きと比較して増すことができ、分離部の効率を増
す。また、シート間に備えられた絶縁体は空気の
流れを乱さない。それにより空気の流れはかなり
小さい流速度の時、層流になり、より大きな流速
度のときは一様な乱流となる。これはシート３，
６上の粒子の一様な捕捉に都合が良い。さらにも
う１つの利点は集じん器の製造および分離部の清
浄が実質的に容易になることにある。

本考案は前述した実施例に制限されることなく
実用新案登録請求の範囲内で変更することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による電気集じん器の斜視図、
第２図は本考案の電気集じん器の概略的な側面
図、第３図は電気集じん器の１要素を示す拡大
図、第４図は保持装置を図示している電気集じん
器の側面図、第５図は保持装置の詳細を示す図、
第６図は電気集じん器の後方側面図、第７図と第
８図は導電体を備えた保持装置を示す図、第９図
は電気集じん器の帯電部に関係したフレームの断
面図、第１０図は第９図のフレームを右から左に
見た側面図である。 参照符号の説明、１……帯電段階、２……分離
段階、３……通し金属シート、４……ワイヤ、５
……フレーム、６……金属シート、７……フア
ン、８……電動モーター、９および１０……支持
体、１１……みぞ、１２および１３……支持体、
１５および１６……導電体、１７……被覆金属シ
ート、１８……側面金属シート、１９……みぞ、
２０……貫通穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 帯電部、分離部及び電源を有し、該帯電部１
   は相互に平行な金属シート３の間に配置される
   と共に該シートとは異なる電位を有する複数本
   のワイヤ４を備え、また前記分離部は各々隣接
   間で異なつた電位を有する相互に平行な金属シ
   ートを備え、しかも前記電源は所要周期で変化
   する脈動直流電圧を発生する空気清浄用電気集
   じん器において、前記金属シート３間に位置さ
   れた複数本のワイヤ４の間の相対的な距離Ｃは
   Ｃ＝Ｖ・Ｔ／（ｎ−ｋ）によつて画定される範囲内にあ
   り、 ここでＯ≦ｋ≦ｎ−２、Ｖは粒子速度、Ｔは前記
   脈動直流電圧の周期及びｎはワイヤの数であつて
   ２≦ｎ≦５の範囲内にあり、しかも距離Ｃ
   は0.6b≦Ｃ≦1.2×Ｖ・Ｔ／２の範囲内にあり、ここ でｂは前記ワイヤと金属シート間の距離であるこ
   とを特徴とする空気清浄用電気集じん器。 (2) 実用新案登録請求の範囲第(1)項の電気集じん
   器であつて、ワイヤの周囲の空気密度を減少さ
   せるために各ワイヤ４は加熱されるように配置
   され、それによつてワイヤのすぐ近くのイオン
   発生を高めることを特徴とする前記電気集じん
   器。 (3) 実用新案登録請求の範囲第(1)項または第(2)項
   の電気集じん器であつて、２つの相互に平行な
   金属シート３の間にあるワイヤ４は、３本であ
   ることを特徴とする前記電気集じん器。 (4) 実用新案登録請求の範囲第(1)項、第(2)項また
   は第(3)項の電気集じん器であつて、前記ワイヤ
   ４を締めつけるためのフレーム５が備えられ、
   フレーム５は各々、シート３の長手方向に垂直
   にワイヤ４の縦列を含み、各ワイヤ４のための
   貫通穴がフレーム５に開けられており、ワイヤ
   ４の縦列は交互に２つのシート３間にのび交互
   にフレーム５の外側にのびている１本のワイヤ
   により形成されていることを特徴とする前記電
   気集じん器。 (5) 実用新案登録請求の範囲第(1)項から第(4)項ま
   でのいずれか１項の電気集じん器であつて、分
   離部２の長さは帯電部１の長さの２倍から５倍
   であることを特徴とする前記電気集じん器。 (6) 実用新案登録請求の範囲第(1)項から第(5)項ま
   でのいずれか１項の電気集じん器であつて、帯
   電部１と分離部２はその間に多数のより長い通
   しシート３を共通に備え、分離部には多数のよ
   り短いシート６が相互に平行にかつ前記通しシ
   ート３とも平行に配置されていることを特徴と
   する前記電気集じん器。 (7) 実用新案登録請求の範囲第(6)項の電気集じん
   器であつて、分離部２のシート３，６の間の距
   離は分離部２の２つの隣接シート３，６間にフ
   ラツシユオーバを発生させる臨界電位が帯電部
   １のワイヤ４と隣接シート３との間の電位と同
   じになるように設計されることを特徴とする前
   記電気集じん器。 (8) 実用新案登録請求の範囲第(6)項または第(7)項
   の電気集じん器であつて、前記通しシート３間
   のより短いシート６は１つから７つまでである
   ことを特徴とする前記電気集じん器。 (9) 実用新案登録請求の範囲第(1)項から第(8)項ま
   でのいずれか１項の電気集じん器であつて、シ
   ートのための保持装置９，１０，１２，１３は
   ロツドとして設計され、その中にシート３，６
   が挿入されるみぞ１１が施され、保持装置９，
   １０，１２，１３がシート３，６のエツヂに位
   置するようになつていることを特徴とする前記
   電気集じん器。 (10) 実用新案登録請求の範囲第(9)項の電気集じん
   器であつて、前記保持装置９〜１２のうちの２
   つのものは、それら保持装置に沿つてのびてお
   り前記みぞ１１の中に落ちこんでいる導電体１
   ５，１６を備えていることを特徴とする前記電
   気集じん器。 (11) 実用新案登録請求の範囲第(10)項の電気集じん
   器であつて、各シート３，６は、ある電位をも
   つ導電体が備えられた保持装置９，１２に施さ
   れたみぞ１１にそう入され、他の電位をもつ導
   電体を備えた保持装置９，１２と接触しないよ
   うにすみの部分を切り落したことを特徴とする
   前記電気集じん器。 (12) 実用新案登録請求の範囲第(1)項から第(12)項ま
   でのいずれか１項の電気集じん器であつて、電
   源は２つの変動直流電位レベルを与え、１つは
   ワイヤ４へ１つはシート３へのものであり、２
   つのレベルは正であり第３の極性は接地されて
   いることを特徴とする前記電気集じん器。