JPS6249953B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は液体金属冷却形原子炉の冷却材液面上
カバーガス領域における容器壁の温度を均一化し
た原子炉容器に関する。

液体金属冷却形原子炉において、炉心および冷
却材を内包する炉容器本体１は通常第１図に示す
ごとくペデスタル２の上に設置され、炉容器本体
１の上部の開口の内側にしやへいプラグ５（通常
は回転機能を持たない固定プラグ）が嵌合して組
立てられている。このため、炉容器本体１としや
へいプラグ外周面５１との間には、該両者の製作
公差や組立上の要求から定まるある大きさ以上の
間隙を持たせる必要がある。通常この大きさは数
十mmのオーダの値となるため次の様な問題が発生
する。

(1) この環状隙間（第１図Ａ部）で炉容器本体１
内のカバーガスが周方向流れを生じ、このため
炉容器本体１およびしやへいプラグ外周面５１
の壁温が周方向で異なつた値を示す。これまで
得られている知見によれば、この温度差は40〜
50℃をこす程度の大きさになるものと推定され
る。炉容器本体１の周方向に温度差が生じる
と、熱変形により中心軸に対して曲りを生ずる
ので、原子炉を停止させる際、制御棒を炉心に
挿入する能力が低減されるおそれがある。その
ため一般にこの曲りを拘束するために炉容器本
体１を下部の適当な位置で径方向に固定する設
計をとつているが、それでもこの程度の周方向
温度差が生じると、炉容器本体１の壁が低温の
方位側で圧縮力により座屈するおそれが生じ
る。

その上周方向温度分布による熱応力も加算さ
れるため、原子炉容器上部の強度設計が著しく
困難になつてくる。

(2) この環状隙間を通して炉心からの中性子が漏
洩するためしやへいプラグ５，６の上方の放射
線量強さを規定値以下におさえるためには、上
方に必要な追加しやへい体を設置するか又はこ
の隙間にしやへい体を挿入する必要がある。

(3) しやへいプラグは、放射線しやへい、熱しや
へい、機器搭載機能等からの要求のため、重量
の重い機器となる所から熱慣性も必然的に大き
くなる。原子炉の起動、停止やスクラム時その
他の過渡状態において原子炉冷却材温度が過渡
的に変化するので、それに伴なつて炉容器本体
１の壁面温度も変化する。この時、炉容器本体
１の内側が熱慣性の大きいしやへいプラグと直
面していると、しやへいプラグ側の温度が急速
に変化しないため、ここが低温ヒートシンクと
して作用し、炉容器本体１が単体の場合にくら
べて、容器本体１の壁面の軸方向温度勾配が増
大する。このため炉容器本体１の熱応力が大き
くなるので炉容器本体上部の強度設計が著しく
困難になつてくる。

以上の如き種々の問題があるため、炉容器本体
の上部としやへいプラグの嵌合部の構造に関して
は、相互の間隙を小さくし、中性子ストリーミン
グをおさえこみ、かつしやへいプラグと炉容器本
体間にある程度の断熱効果をもたせることが望ま
しい。そのために第１図のＡ部で示す円環状間隙
に断熱体を挿入することが考えられるがそれだけ
では、双方の胴の製作公差、組立のためのクリア
ランス等の制約上、やはり一定量のギヤツプがで
きるため問題の根本的解決にはならず特別な対策
手段が必要性となる。

本発明は上記の必要性を満たすためになされた
もので、しやへいプラグ外周面と炉容器本体の上
部の形状を考慮した上で断熱体を挿入すること
で、上述の諸問題点の解決をはかつた原子炉容器
を提供することを目的とする。

以下図面を参照して本発明の一実施例を説明す
る。第１図は従来の原子炉容器の全体を概略的に
示すもので、第２図は本発明の要部を示すもので
ある。すなわち、炉容器本体１は冷却材３を内包
し、上部に固定しやへいプラグ５や回転しやへい
プラグ６が設置されて蓋の役目をはたし、内部に
は通常アルゴン等の不活性ガスからなるカバーガ
ス４を封入している。

炉容器本体１の上部に傾斜面を設けて円錐状と
し、円錐面に例えばステンレス鋼のウール等の断
熱体７をしき詰めステンレス板（７に含む）を上
に当接して、さらにその上を断熱体支持具８で、
ボルト等により取付ける。該支持具８は例えば第
３図に示す様なセクタ状になつており弾性にとん
でいる。一方該支持具８の下端は、炉容器本体１
に設けられたストツパ１１の内部に嵌め込まれて
いる。

そして該支持具８で形成される円錐面に、相対
する位置に、しやへいプラグ外周面５１が据付け
られる。なお図では双方の胴共円錐状となつてい
るが、いずれか一方のみを円錐状とすることも設
計工夫によつては可能である。この面は少くとも
一方が円錐状となつているため、しやへいプラグ
５を組込むさいには、必要な作業スペースが確保
されるし、又該二胴の製作公差分は、断熱体７お
よび断熱体支持具８自体の弾性により吸収しなが
ら、双方の胴を軽く接触状態とすることができ
る。

以上説明のように本発明の原子炉容器はしやへ
いプラグ外側胴とのギヤツプを、クリアランスが
ほとんどなく軽い接触状態とすることができるた
め前述した問題点の(1)項の周辺流れによる温度不
均一現状を阻止できるし、又断熱体の材質選定に
より(2)項の中性子ストリーミング低減に有効であ
る。さらにしやへいプラグと炉容器間の熱授受を
制限することができるために(3)項の過渡温度変化
時の炉容器の軸方向温度勾配も十分低減すること
ができるため、十分な強度を有する原子炉容器を
提供できる。

また円錐形状を採用したことにより、炉容器本
体の製作公差や組立上のギヤツプ確保の問題も同
時に解決できている。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の原子炉容器を１部側面で示す縦
断面図、第２図は本発明に係る原子炉容器の要部
のみを部分的に示す縦断面図、第３図は第２図に
おけるＡ部を拡大して示す斜視図である。 １；炉容器本体、５；しやへいプラグ（固定プ
ラグ）、５１；しやへいプラグ外周面、５２；プ
レート、７；断熱体、８；断熱体支持具。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 炉容器本体と、この炉容器本体の上部開口を
   閉塞するしやへいプラグと、このしやへいプラグ
   の外周面と前記炉容器本体との間に介在した断熱
   体と、この断熱体を支持するための可撓性支持具
   とを具備し、断熱体と炉容器本体との接触面およ
   び断熱体としやへいプラグとの接触面の内少なく
   とも一方の接触面を円錐状に形成してなることを
   特徴とする原子炉容器。