JPS624627Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、掘進機本体の前部に、内部周囲に
バケツトを形成するバケツト板を固定したカツタ
ホイルを回転自在に支持させ、掘進機本体の前部
がわにおける隔壁に、カツタホイルにより掘削し
た土砂をバケツトを介して搬入させるホツパを設
けたシールド掘進機に関するものである。

つぎに、この種の従来の周辺支持密閉形シール
ド掘進機を第１図ないし第４図により説明する。

掘進機本体４の前部における支持部材３には、
軸受５を介してカツタホイル１が回転自在に支持
されており、カツタホイル１の内部周囲には複数
のバケツトを形成するバケツト板２が間隔をおい
て固定されている。カツタホイル１の円筒状部に
は旋回ギヤ７が設けられており、この旋回ギヤ７
は油圧モータ９の出力軸に取付けたピニオン８と
かみ合つている。油圧モータ９は掘進機本体４の
前部における隔壁６と一体に設けた隔壁に固定さ
れている。隔壁６には土圧計１１が取付けられて
いるとともに、粘性付与剤注入管１２が設置され
ている。また、カツタホイル１がわにおける隔壁
６の側面にはホツパ１３が固定されており、隔壁
６のほぼ中央部には、一端をホツパ１３内に突出
させたスクリユーコンベヤ１０が設置されてい
る。

切羽が自立する地山の場合には、カツタホイル
１で掘削された土砂はバケツトに収容され、カツ
タホイル１の回転にともなつてカツタホイル１内
の上方へ運ばれ、投下位置に達するとホツパ１３
内に投下され、ついで、スクリユーコンベヤ１０
により後方へ搬出させられる。

切羽が自立しない地山の場合には、カツタホイ
ル１内部を掘削土砂で充満させ、土圧計１１によ
り土圧を管理し、切羽の崩壊を防止する。掘削さ
れた土砂は、その塑性流動性によりスクリユーコ
ンベヤ１０に入り、排出させられる。また、スク
リユーコンベヤ１０からの地下水の噴出を確実に
防止するために、粘性付与剤注入管１２から切羽
に粘性付与剤を注入し、透水性の土砂を非透水性
の土砂に変換する。この場合、掘削されたカツタ
ホイル１内の土砂は粘性付与剤によりある程度の
塑性流動性は持つが、カツタホイル１内が土砂で
充満された状態でバケツトに収容された土砂は、
カツタホイル１の回転により上方へ運ばれ、上方
からその自重によりホツパ１３内に落下し、スク
リユーコンベヤ１０により排出させられる。

ところが、地山が、粘着性が強く、塑性流動性
の乏しい粘性土、あるいは圧密すると固く締まる
砂等からなる場合には、下記のような不具合いが
生じる。すなわち、バケツトに収容された土砂が
カツタホイル１の回転により上方へ持ち上げられ
ても、土砂の自重では落下しない、いわゆる土砂
の居付き現象が生じる。この土砂の居付き現象が
起き始めると、掘進速度に対応した排土量よりも
少ない排土量となり、その分だけバケツト内に居
付いた土砂を締め固めることになる。そして居付
き現象は、カツタホイル１内の大部分の空間にお
いて土砂を固着させてしまう。このような状態で
は、カツタホイル１は、その内部にドーハツ状に
固着した土砂Ｅ（第３図、第４図参照）と共回り
し、大部分の掘削土砂はカツタホイル１の内部に
取り込めないことになる。したがつて、シールド
掘進機は掘進不可能の状態となる。

この考案は、粘着性土砂の居付きを防止し、カ
ツタホイル内を土砂で充満させないで掘進（すか
し掘り）を行う時の排土効率の向上をはかること
ができるシールド掘進機を提供することを目的と
するものである。

この考案は、上記の目的を達成するためのもの
で、掘進機本体の前部に、内部周囲にバケツトを
形成するバケツト板を固定したカツタホイルを回
転自在に支持させ、掘進機本体の前部がわにおけ
る隔壁に、カツタホイルにより掘削した土砂をバ
ケツトを介して搬入させるホツパを設けたシール
ド掘進機において、バケツト板に掻き板を着脱で
きるように構成するとともに、ホツパに、バケツ
トに対して干渉しない程度に接近させて取付ける
掻き板を着脱できるように構成したことを特徴と
する。

以下、この考案の一実施態様を第５図ないし第
８図により説明する。それらの図において、第１
図ないし第４図と同じ符号をつけたものは、同じ
もの、もしくは相当するものを表わす。

ホツパ１３の周壁の左右部には、それぞれ任意
組数（この実施態様においては、片がわに１組、
他方がわに２組）の支持片１６がバケツトに向け
て設けられており、各支持片１６には先端に掻き
板１４をそなえた腕板１５が取りはずしができる
ようにピン１７により取付けることができるよう
になつている。一方、バケツト板２には、掻き板
１８が取りはずしができるように取合い金具１９
により取付けることができるようになつている。

粘着性の強い地層、あるいは圧密すると固く締
まる砂等を掘進する場合には、第５図および第６
図に示すように、支持片１６に腕板１５をピン１
７により取付ける。この状態において、掻き板１
４の先端とバケツト板２の内がわ端縁との間に
は、カツタホイル１が回転するときたがいに接触
しないように隙間Ｇ（第６図参照）が形成され
る。カツタホイル１を回転させながら掘進を行え
ば、バケツトよりも内周がわの空間にある土砂は
掻き板１４により常に掻き乱されるので、居付き
の進行を防止できる。その結果、バケツト部の土
砂もバケツト部に固着することがない。なぜな
ら、カツタホイル１の回転にともなつて、バケツ
ト部にはいつてくる土砂は、シールド掘進機の推
進とともにカツタホイル１内周がわへ押し出され
ようとするからである。

流動性のない土砂の地層を掘進（すかし掘り掘
進）する場合には、第７図および第８図に示すよ
うに、支持片１６から腕板１５を取りはずし、あ
らかじめ取合い穴をあけたバケツト板２に、あら
かじめ取合い穴をあけた掻き板１８を取合い金具
１９により取付ける。この状態において、支持片
１６と掻き板１８の内がわ端縁との間には、カツ
タホイル１が回転するときたがいに接触しないよ
うに隙間Ｇ（第８図参照）が形成される。このよ
うにして掘削を行えば、バケツト板２および掻き
板１８は本来のバケツト部としての効力を発揮
し、掘進速度に合つた掻き上げ容量を確保するこ
とができる。その結果、安定した掘進速度が得ら
れる。

なお、腕板１５および掻き板１８の着脱は、隔
壁６に設けたマンホール（図示してない）から行
う。

以上説明したように、この考案によれば、掻き
板付腕板と掻き板との着脱により、粘着性の強い
地層、またはカツタホイル内に土砂で充満させな
いで掘進（すかし掘り）する地層に応じて安定し
た掘進施工を行うことができる。また、カツタホ
イル内部の外周を洗滌する噴射ノズルおよび粘性
付与剤注入管等の補助手段を設ける必要がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の周辺支持密閉形シールド掘進機
の一例を示す断面側面図、第２図は第１図の−
断面図、第３図は第１図のカツタホイル内に掘
削土砂が締め固められた状態を示す断面側面図、
第４図は第３図の−断面図、第５図、第７図
はこの考案の一実施態様を示す断面側面図、第６
図は第５図の−断面図、第８図は第７図の
−断面図である。 １……カツタホイル、２……バケツト板、３…
…支持部材、４……掘進機本体、５……軸受、６
……隔壁、７……旋回ギヤ、８……ピニオン、９
……油圧モータ、１０……スクリユーコンベヤ、
１３……ホツパ、１４……掻き板、１５……腕
板、１６……支持片、１７……ピン、１８……掻
き板、１９……取合い金具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 掘進機本体の前部に、内部周囲にバケツトを形
   成するバケツト板を固定したカツタホイルを回転
   自在に支持させ、掘進機本体の前部がわにおける
   隔壁に、カツタホイルにより掘削した土砂をバケ
   ツトを介して搬入させるホツパを設けたシールド
   掘進機において、バケツト板に掻き板を着脱でき
   るように構成するとともに、ホツパに、バケツト
   に対して干渉しない程度に接近させて取付ける掻
   き板を着脱できるように構成したことを特徴とす
   るシールド掘進機。