JPS6242177Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えば自動車等において動力伝達を
制御するために設けられているクラツチ装置に関
する。

自動車では手動変速のために変速機をニユート
ラル位置にした際に生じる不快な機械音が問題と
なつており、このような機械音の発生に、クラツ
チ装置のクラツチデイスクハブのインボリユート
スプラインと変速機入力軸のインボリユートスプ
ラインとの間のバツクラツシ量が大きな影響を及
ぼしていることがすでに明らかになつている。バ
ツクラツシを詰める対策としては、ばね力を利用
してクラツチデイスクハブのインボリユートスプ
ラインを半径方向、周方向へ軸のインボリユート
スプラインに押付けることがあるが、これは軸線
方向の摺動抵抗を増大させ、クラツチの切れ不良
の原因となる。また、別の対策としてクラツチデ
イスクハブのインボリユートスプラインを変速機
入力軸の軸線に対して傾けて形成することは、半
クラツチ操作時に部分的な偏摩耗が生じる。

本考案の目的は、クラツチの切れ不良等の弊害
を起こすことなく、クラツチデイスクハブのイン
ボリユートスプライン部のバツクラツシ量を減少
させることができるクラツチ装置を提供すること
である。

このためクラツチ駆動軸に固定されて摩擦係合
面をもつ係合板と、クラツチ駆動軸に対して同軸
的に相対回転可能に支持されるクラツチ従動軸上
に軸線方向移動可能にスプライン嵌合してクラツ
チデイスクを保持するクラツチハブとを備え、ク
ラツチデイスクが軸線方向に操作されて係合板と
の摩擦係合によりクラツチ駆動軸とクラツチ従動
軸とを連結するものにおいて、本考案によれば、
クラツチ従動軸上にスプライン嵌合してクラツチ
ハブにねじ溝を介して同軸的にねじ嵌合可能なバ
ツクラツシ調整環が設けられている。

図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第１図はクラツチ装置の全体を概略的に示して
おり、第１図においてクラツチ駆動軸としての機
関出力軸１には、摩擦係合面をもつ係合板も兼ね
るフライホイール１が固定され、クラツチ駆動軸
に対して同軸的にクラツチ従動軸としてのトラン
スミツシヨン入力軸３が設けられて、パイロツト
ベアリング４を介して相対回転可能に支持されて
いる。クラツチカバー５はボルト６によりフライ
ホイール１に固定されているとともに、ダイヤフ
ラムスプリング７の所定個所をピボツトリング８
により担持している。プレツシヤプレート１１は
外周部の所定個所においてストラツプ（図示せ
ず）を介してクラツチカバー５に支持され、さら
にリトラクテイングスプリング１２によりダイヤ
フラムスプリング７の外周縁と結合している。ク
ラツチデイスク１３は、両面にフエーシング９を
取付けられ、フライホイール１とプレツシヤプレ
ート１１との間に配置され、トーシヨンゴム１０
を介してクラツチハブ１４に結合され、ハブ１４
は入力軸３にスプライン嵌合している。入力軸３
に整合して突出形成されているベアリングリテー
ナ１５の円筒部外周には、ダイヤフラムスプリン
グ７の中央部分に当接作用するクラツチレリーズ
ベアリング１６を装着したクラツチレリーズベア
リングハブ１７が軸線方向へ摺動自在に備え付け
られる。クラツチ接続時ではクラツチレリーズベ
アリング１６はダイヤフラムスプリング７の中央
から軸線方向へ所定の遊びだけ離れる。レリーズ
フオーク１８は一端において軸１９の周りに揺動
可能に支持され、中間においてレリーズハブ１７
に結合され、他端においてインナケーブル（図示
せず）を結合されている。

第２図は実施例の主要部を示している。ハブ１
４の内周には、入力軸３の外周のインボリユート
スプラインに嵌合するインボリユートスプライン
２０を形成され、フライホイール側の端部の外周
面に雄ねじとしてのねじ溝２１を設けられてい
る。バツクラツシ調整環としての副ハブ２２は、
ハブ１４に同軸的に設けられ、ハブ１４と同様
に、入力軸３のインボリユートスプラインに嵌合
可能なインボリユートスプライン２３を内周面に
形成され、ねじ溝２１に嵌合可能な雌ねじとして
のねじ溝２５を設けられている内周部分を有し、
止めナツト２４とともにハブ１４にねじ込まれ、
すなわち回転角を調整可能に結合している。

入力軸３にハブ１４および副ハブ２２を嵌合さ
せた後、バツクラツシの調整を行なう。バツクラ
ツシの調整では、副ハブ２２をハブ１４に対して
周方向へ適当に回転させ、副ハブ２２のインボリ
ユートスプラインをハブ１４のインボリユートス
プラインに対してずらし、止めナツト２４は副ハ
ブ２２の回り止めのために設けられており、いわ
ゆるダブルナツト締めにより副ハブ２２の回り止
めが図られる。副ハブ２２の回り止めのために接
着剤の使用も可能である。

なお実施例ではハブ１４および副ハブ２２にそ
れぞれ雄ねじおよび雌ねじを形成して互いに嵌合
しているが、反対に、ハブ１４および副ナブ２２
にそれぞれ雌ねじおよび雄ねじを形成してもよ
い。また、副ハブ２２は実施例ではハブ１４に対
してフライホイール１側に設けられているが、ダ
イヤフラムスプリング７側に設けてもよい。さら
に副ハブ２２のスプラインの歯数をハブ１４の歯
数と等しくせず、副ハブ２２のスプラインの歯を
適当に省略できる。

このように本考案によれば、軸の外周にスプラ
イン嵌合可能なバツクラツシ調整用環をハブに同
軸的にねじ嵌合させ、このバツクラツシ調整用環
をハブ１４に対して適当に回転させることによ
り、バツクラツシ量を自由に調整することができ
る。こうして、手動変速のために変速機をニユー
トラル位置にした際の不快な機械音の発生を防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のクラツチ装置の実施例の全体
図、第２図は実施例の主要部を詳細に示す図であ
る。 １……係合板、２……クラツチ駆動軸、３……
クラツチ従動軸、１３……クラツチデイスク、１
４……クラツチハブ、２１，２５……ねじ溝、２
２……バツクラツシ調整環。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラツチ駆動軸に固定されて摩擦係合面をもつ
   係合板と、クラツチ駆動軸に対して同軸的に相対
   回転可能に支持されるクラツチ従動軸上に軸線方
   向移動可能にスプライン嵌合してクラツチデイス
   クを保持するクラツチハブとを備え、クラツチデ
   イスクが軸線方向に操作されて係合板との摩擦係
   合によりクラツチ駆動軸とクラツチ従動軸とを連
   結するものにおいて、クラツチ従動軸上にスプラ
   イン嵌合してクラツチハブにねじ溝を介して同軸
   的にねじ嵌合可能なバツクラツシ調整環が設けら
   れていることを特徴とするクラツチ装置。