JPS6241021Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、多段形油圧シリンダを用いた油圧式
エレベータに関し、特に油圧シリンダを安定に支
持する支持装置を備えた油圧式エレベータに関す
る。

（従来技術及びその問題点） 油圧式エレベータ、中でもロープを使用せずに
油圧シリンダによつてケージを下方から直接的に
支持し昇降させる方式のものは、建物の構造上多
くの利点があるので、中・低層住宅等に使用され
ている。この方式のエレベータでは、搬入スペー
ス、設置スペース等の都合により多段形油圧シリ
ンダがしばしば使用されているが、この場合にロ
ツドの座屈を防止するための方策を講じなければ
ならない。

この座屈防止手段として、従来から昇降路内壁
に沿つて昇降自在に設けられたサポート部材にロ
ツドを取付け、該サポート部材に支持されてロツ
ドの座屈の発生を防止するようにしている。

この座屈防止手段を備えた油圧式エレベータの
従来の最新技術としては、特開昭57−126380号に
提案されたものがある。

この最新技術は、ケージの背面部を覆う肉厚な
背面フレームとケージの底面を覆う底フレームと
からなる略Ｌ字状のケージ台を設け、このケージ
台の肉厚な背面フレームの内部に鉛直方向に延び
る中空筒状体を設け、この中空筒状体の内部をエ
レベータ駆動用の油圧シリンダのロツドが嵌入す
ることによつて該筒状体の内壁に支持されて油圧
シリンダの座屈防止を計ると共に、エレベータ自
体の昇降ガイドは上記ケージ台の背面フレームの
両側縁に設けたガイド係合部（ガイドローラ）を
昇降路の左右側壁に設けたケージガイドレールに
係合させることによつてエレベータ（ケージ）を
昇降自在に支持するようにしたものである。

この最新技術によれば、工場生産の段階で上記
一連の部材を組立ておくことができるため、取付
現場での作業が容易であるというメリツトがある
が、工場生産での生産途上において上記中空筒状
体の芯合わせと、背面フレームの両側縁に設けた
ガイド係合部の芯合わせをそれぞれ別個に行わな
ければならずその芯合わせ作業が非常に面倒であ
ると共に、上述のように背面フレームの両側縁に
ガイド係合部を設け、これに対応して昇降路の左
右側壁にケージガイドレールを設けるようになつ
ているため、当然にこのガイド係合部及びケージ
ガイドレールの設置幅分だけケージ幅が狭くな
り、昇降路を有効に利用することができない難点
がある。更に昇降路の左右両側壁にケージの負荷
を受けるガイドレールを設けなければならないた
め、少なくとも昇降路の両側壁を強固に構築しな
ければならない難点がある。

（問題点を解決するための技術的手段） 上記問題点を解決するために本考案に係る油圧
式エレベータは、昇降路１内に垂直方向に立設さ
れて伸縮駆動する多段形の油圧シリンダ６によつ
てケージ３を昇降させる油圧式エレベータにおい
て、前記昇降路１の奥壁面１ｂに、左右一対のケ
ージガイドレール２ａ，２ａを前記ケージの左右
方向幅にほぼ対応する間隔をもつて配設し、一方
ケージ３の背面及び底面を覆うと共に上方中央部
に支持具９を突設してなるケージ台８に、その背
面側にあつて、一定の対向間隔を有する左右一対
のケージガイド４ａ，４ａを垂直に配設し、これ
ら一対のケージガイドの互の対向面側にそれぞれ
サポート部材ガイド用のガイドフレーム１０ａ，
１０ａをケージガイド４ａ，４ａに沿つて突設す
ると共に、ケージガイドの上記対向面側と反対面
側にそれぞれケージガイドレール用のガイド係合
部４ｂ，４ｂを同じくケージガイドに沿つて設
け、上記サポート部材ガイド用の一対のガイドフ
レーム１０ａ，１０ａ間にサポート部材７を係合
すると共に、上記ケージガイドレール用の一対の
ガイド係合部４ｂ，４ｂにそれぞれ前記ケージガ
イドレール２ａ，２ａを係合し、前記支持具９に
前記油圧シリンダ６の一段目ロツド６ａの先端部
を連結し、前記サポート部材７に二段目のロツド
６ｂ又は二段目より下方のロツドの先端部を連結
し、且つ前記ケージ台８にケージ３を取付けてな
る構成を採用するものである。

（実施例） 以下に本考案の実施例を第１図及び第２図にも
とづいて説明する。

これらの図に示されるように、昇降路１の奥壁
面１ｂの左右両側端部に、左右一対のケージガイ
ドレール２ａ，２ａが、ケージ３の左右方向幅に
ほぼ対応する間隔をもつて垂直方向に取付けられ
ており、そしてこの一対のケージガイドレール２
ａ，２ａの幅方向中央位置に多段形油圧シリンダ
６が垂直方向に立設されている。

一方、ケージ３には、ケージ台８がこのケージ
３の背面及び底面を覆うように装着され、このケ
ージ台８の上端部中央に支持具９が昇降路１の奥
壁面１ｂと対面する方向に一体突設され、この支
持具９に、前記油圧シリンダ６の一段目ロツド６
ａの先端が連結されていて、この油圧シリンダ６
の伸縮駆動によりケージ３が昇降されるようにな
つている。

また、ケージ３の背面を覆つているケージ台８
の垂直部背面にはその左右両側端部のそれぞれ上
下位置にケージガイド４ａ，４ａ，４ａ，４ａが
固着され、これらのケージガイド４ａ…を介して
それぞれの対向面側にガイドフレーム１０ａ，１
０ａが前記ケージガイドレールより狭い間隔をも
つて垂直方向に配設されており、またケージガイ
ド４ａ…を挾んで上記対向面側と反対面側に前記
ケージガイドレール２ａ，２ａに係合するガイド
係合部４ｂ，４ｂが設けられている。そして前記
油圧シリンダ６の二段目ロツド６ｂの先端には、
左右水平方向に延びるサポート部材７が装着され
ていて、このサポート部材７の両端の係合凹部７
ａ，７ａが前記ガイドフレーム１０ａ，１０ａに
上下垂直方向移動のみ可能に係合しており、前記
ケージガイド４ａ…の外側部に設けたガイド係合
部４ｂ，４ｂが前記ケージガイドレール２ａ，２
ａに上下垂直方向移動のみ可能に係合している。
尚、ケージ３はケージ台８上に載置されてボルト
等により一体的に取付けられる。またサポート部
材７は油圧シリンダ６の伸縮に伴つて上下移動を
行うが、一段目ロツド６ａの先端に対しては第１
図に示される状態よりも上方の範囲で移動する。

この油圧式エレベータの操作において、油圧シ
リンダ６が伸縮駆動するときは、ケージ３がケー
ジガイドレール２ａ，２ａに沿つて垂直方向に移
動するとともにガイドフレーム１０ａ，１０ａも
同方向に移動し、二段目ロツド６ｂが垂直方向に
大幅に移動するにもかかわらずサポート部材７は
その両端部が常にガイドフレーム１０ａ，１０ａ
に係合し、ロツド６ａ，６ｂ，６ｃの左右水平方
向及び前後水平方向への移動が規制されて座屈が
防止される。

上述の説明で理解できるように、ガイドフレー
ム１０ａ，１０ａの長さは一段目ロツド６ａのス
トローク長さより若干長くしておけばよく、もし
この長さがケージ３の高さよりも長い場合は、ガ
イドフレーム１０ａ，１０ａをケージ３よりも上
方または下方へ延設しておけばよい。

この実施例では、ケージ３は背面側のみで支持
されているので、ケージ台８、ケージガイド４ａ
及びケージガイドレール２ａをこれに耐える強固
なものとする必要があるが、建物は昇降路１の奥
壁面１ｂのみを強固に構築しておけば足りる。ま
た、サポート部材７は左右水平方向に帯状に延設
されていると共にその両端部がガイドフレーム１
０ａ，１０ａに係合されているものであつて、ケ
ージ３の背面と昇降路１の奥壁面１ｂとの間の収
容スペースが狭くて済み、また一方、ケージガイ
ドレール２ａ，２ａを昇降路１の奥壁面１ｂに配
設していると共にこれらのレール２ａ，２ａ幅を
ケージ３の左右方向幅に揃えているため、昇降路
１の側壁面１ａとケージ３の対向側面との隙間も
狭くすることができ、したがつて昇降路１の空間
部をきわめて有効に利用できる。

さらにこの実施例のような構成することによつ
て、各部品の工場出荷段階であらかじめ芯合せを
行つておくことができ、現地での組立部品点数の
減少とも相俟つて組立作業が迅速かつ能率的に行
える。

すなわち、ケージガイド４ａ、ガイドフレーム
１０ａ及び支持具９は全て工場においてケージ台
８に取付けて一体化しておくことができ、またサ
ポート部材７とガイドフレーム１０ａとの嵌合状
態及び支持具９との芯合せは、機械加工によつて
精密に行えるとともに工場内で調整が可能である
から、現地においてはケージガイド４ａのガイド
係合部４ｂをケージガイドレール２ａに係合さ
せ、油圧シリンダ６の芯合せを行い、ケージ３を
ケージ台８に取付けるだけの作業でよい。

なお、ケージガイドレールとケージガイドのガ
イド係合部、及びガイドフレームとサポート部材
間相互の係合方法は種々のものが採用でき、例え
ばレール又はフレームとその三面に当接して摺動
するガイドシユー、レール又はフレームとその三
面に当接して転動するローラガイドまたは凹溝を
有するレール又はフレームとその凹溝内を摺動す
るガイドシユー等を介して係合することができ
る。またサポート部材を油圧シリンダのロツドに
取付けるには、例えばサポート部材の中央の孔に
ロツドを嵌入しセツトねじで固定する方法、サポ
ート部材をロツド端面の上方に載置するとともに
ボルトで固定する方法またはサポート部材とロツ
ド端部とを螺着する方法等を採用することができ
る。本実施例においては三段形油圧シリンダを用
いたが、二段形または四段形以上においても同様
である。

（考案の効果） 本考案によれば、昇降路１の奥壁面１ｂに、左
右一対のケージガイドレール２ａ，２ａを前記ケ
ージ３の左右方向幅にほぼ対応する間隔をもつて
配設し、この昇降路１の奥壁面１ｂのみでケージ
３の負荷を受けるようになつているため、その奥
壁面１ｂ側のみを強固に、且つ正確に構築すれば
よいから、それだけ昇降路１の構築作業が容易で
ある。

また本考案によれば、ケージ３の背面及び底面
を覆うと共に上方中央部に支持具９を突設してな
るケージ台８に、その背面側にあつて、一定の対
向間隔を有する左右一対のケージガイド４ａ，４
ａを垂直に配設し、これら一対のケージガイドの
互の対向面側にそれぞれサポート部材ガイド用の
ガイドフレーム１０ａ，１０ａをケージガイドに
沿つて突設すると共に、ケージガイドの上記対向
面側と反対面側にそれぞれケージガイドレール用
のガイド係合部４ｂ，４ｂを同じくケージガイド
に沿つて設けるようになつているため、工場生産
によつてこれら一連の部材を一体的に取付け、且
つ各部材間の芯合わせを行うことができ、取付現
場ではケージガイド４ａのガイド係合部４ｂをケ
ージガイドレール２ａに係合させ、油圧シリンダ
６の芯合わせを行い、ケージ３をケージ台８に取
付けるだけでよいから現場での取付作業が極めて
容易である。

さらに本考案によれば、工場生産においてケー
ジ台８の背面側に垂直に配設した一対のケージガ
イド４ａ，４ａを中心にその対向面側にサポート
部材ガイド用のガイドフレーム１０ａ，１０ａ
を、その反対面側にケージガイドレール用のガイ
ド係合部４ｂ，４ｂを一体的に設けるようになつ
ているため、これら一連のガイド部材の芯合わせ
が上記ケージガイド４ａの芯合わせだけで自動的
に芯出しが出来るため、一層芯合わせ作業を容易
に行うことができる。

さらにまた本考案によれば、上述の一連のガイ
ド部材をケージ台８の背面側と昇降路１の奥壁面
１ｂとの間に配設するようになつているため、昇
降路の各側壁面とこれに対向するケージの側面と
の間には何も介在するものがなくなつて、それら
の対向間隔を最小限に狭くできる。したがつて、
昇降路の内部空間を最大限有効に利用することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す背面図、第２図
は第１図の−線拡断面図である。 １……昇降路、１ｂ……奥壁面、２ａ……ケー
ジガイドレール、３……ケージ、４ａ……ケージ
ガイド、４ｂ……ガイド係合部、６……油圧シリ
ンダ、６ａ……一段目ロツド、６ｂ……二段目ロ
ツド、７……サポート部材、８……ケージ台、９
……支持具、１０ａ，１０ａ……ガイドフレー
ム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 昇降路１内に垂直方向に立設されて伸縮駆動す
   る多段形の油圧シリンダ６によつてケージ３を昇
   降させる油圧式エレベータにおいて、前記昇降路
   １の奥壁面１ｂに、左右一対のケージガイドレー
   ル２ａ，２ａを前記ケージの左右方向幅にほぼ対
   応する間隔をもつて配設し、一方ケージ３の背面
   及び底面を覆うと共に上方中央部に支持具９を突
   設してなるケージ台８に、その背面側にあつて、
   一定の対向間隔を有する左右一対のケージガイド
   ４ａ，４ａを垂直に配設し、これら一対のケージ
   ガイドの互の対向面側にそれぞれサポート部材ガ
   イド用のガイドフレーム１０ａ，１０ａをケージ
   ガイド４ａ，４ａに沿つて突設すると共に、ケー
   ジガイドの上記対向面側と反対面側にそれぞれケ
   ージガイドレール用のガイド係合部４ｂ，４ｂを
   同じくケージガイドに沿つて設け、上記サポート
   部材ガイド用の一対のガイドフレーム１０ａ，１
   ０ａ間にサポート部材７を係合すると共に、上記
   ケージガイドレール用の一対のガイド係合部４
   ｂ，４ｂにそれぞれ前記ケージガイドレール２
   ａ，２ａを係合し、前記支持具９に前記油圧シリ
   ンダ６の一段目ロツド６ａの先端部を連結し、前
   記サポート部材７に二段目のロツド６ｂ又は二段
   目より下方のロツドの先端部を連結し、且つ前記
   ケージ台８にケージ３を取付けてなる油圧式エレ
   ベータ。