JPS6238536Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は両軸リール、詳しくはリール本体にス
プールをもつたスプール軸を１対の軸受を介して
フリー回転可能に支持した両軸リールに関する。

一般に両軸リールは、クラツチをもち、該クラ
ツチの入操作でハンドル軸の回転を前記スプール
軸に伝動させて前記スプールに釣糸を巻取り、前
記クラツチの切操作で、前記スプール軸をフリー
回転可能とし、キヤステイング操作により釣糸を
投擲するごとく成している。

所で、キヤステイング時、前記スプールに巻装
された釣糸は、該釣糸の先端に取付ける仕掛けの
重さで引出されるのであるが、釣糸の引出速度よ
りスプールのフリー回転が早くなつて所謂バツク
ラツシユが生じ、このバツクラツシユにより釣糸
が絡み合つたり、スプールとリール本体との間に
喰込んだりするのであり、そのため一般にはブレ
ーキを装備している。

又前記ブレーキは、一般にブレーキシユーを用
いた遠心ブレーキが用いられているが、この遠心
ブレーキによると、前記ブレーキシユーをブレー
キドラムに摺接させて制動するため、前記ブレー
キシユーの摩擦などにより制動力が変化する問題
があつたし、制動力の調整を外部から行なえない
問題があつた。

しかして、以上の如き問題に対し、マグネツト
と金属導体とを用い、これらマグネツトと金属導
体との一方をスプールとともに回転するごとく成
すと共に、他方をリール本体に固定し、一方の回
転により磁束を回転させてうず電流を発生させ、
フレミング左手の法則により、回転側部材にその
回転方向と逆方向の力を与えて前記スプールを制
動するごとく成し、そして、固定側部材を、前記
リール本体に対し前記スプール軸の軸方向に移動
可能として、外部操作により制動力の調整が行な
えるようにしたものが提案された。

この方式によると接触部分がないため制動部材
の摩耗により、制動力が変化する問題を解決でき
ると共に、外部からの操作で容易に制動力を調整
できるのであるが、前記マグネツトと金属導体と
の一方をリール本体に支持すると共に、他方をス
プールに固定しているため、前記スプールを、太
さの異なる釣糸を巻取つたスプールに交換すべ
く、前記スプールをリール本体から取外すと、前
記マグネツトが外部に露出することになり、釣場
特に砂浜において前記スプールの交換を行なう場
合、砂鉄が侵入して前記マグネツトに吸着するこ
とが生じ、そのため制動力が狂う問題があつた。

そこで本考案は、以上の如き問題点に鑑み考案
したもので、マグネツトと金属導体とからなるブ
レーキを、ユニツト化でき組立を容易にできなが
ら、スプール交換時でも、マグネツトを外部に対
しシールすることのできる両軸リールを提供する
点にある。

即ち、本考案は、リール本体のスプール軸一端
側に、前記スプール軸の軸受ハウジングを設け
て、該軸受ハウジング内に、非円形内周面をもつ
た筒軸の一端部を軸受を介して回転自由に支持す
ると共に、側面に複数のマグネツトを周設し、軸
方向に対向する１対の第１及び第２リングを前記
スプール軸と同心円状に配置して、前記第１リン
グを固定し、前記第２リングを回転可能に支持す
る一方、前記筒軸の中間部外周に、前記各リング
間に介装され、前記各マグネツトに対向する電気
的導体を設けると共に、前記軸受ハウジングの開
放側に、該軸受ハウジングの内周部側から半径方
向内方に延び、前記筒軸の他端部外周に僅少間隔
で対向する内周面をもつた円板状のシール材を設
け、かつ前記リール本体に、前記第２リングの操
作具を設けたことを特徴とするもので、前記第２
リングの操作具による回転操作で制動力を任意に
調整できながら、円板状のシール材により容易に
防塵化が行なえ、しかも、リール本体への組立て
も容易に行なえるようにしたのである。

次に本考案リールの実施例を図面に基づいて説
明する。

図において、１，２はリール本体を構成する所
定間隔を置いて相対向する１対の第１、第２サイ
ドフレームであつて、第１サイドフレーム１は、
中心部に軸受ハウジング１１をもつ側板１２と、
該側板１２の外側に添設する添板１３及び該添板
１３の外側に添設する椀形カバー１４とから成
り、又第２サイドフレーム２は、中心部に軸受ハ
ウジング２１をもつ側板２２と、該側板２２の外
側に添設する椀形カバー２３とから成り、前記軸
受ハウジング２１内には後記するブレーキ５を内
装し、ブレーキユニツトを形成するのである。

また、前記第１及び第２サイドフレーム１，２
にはスプール３をもつスプール軸４を、１対の軸
受９，１０を介して回転自由に支持するのであ
り、また第１フレーム１側端部を外方に延長して
前記第１サイドフレーム１内に突出させ、この突
出部にピニオンギヤ６を回転並びに摺動自由に支
持すると共に、前記ピニオンギヤ６とスプール軸
４との間にクラツチ７を設け、クラツチ操作機構
８のクラツチレバー８１により前記クラツチ７の
係脱操作を行なうようにしている。

又、前記第１サイドフレーム１の添板１３とカ
バー１４との間には、支持軸１５を介してハンド
ル軸３０を回転自由に支持し、該ハンドル軸３０
の一端を前記カバー１４から外方に突出させ、こ
の突出部にハンドル３１を固定し、他端にマスタ
ーギヤ３２と摩擦板３３及び複数個のクラツチピ
ン３４ａをもつリターン板３４とを挿嵌して支持
するのである。

前記摩擦板３３とリターン板３４とは、前記ハ
ンドル軸３０に回転不能に挿嵌して該ハンドル軸
３０と共廻いするごとく成し、又前記マスターギ
ヤ３２は、前記ハンドル軸３０に遊挿して、前記
摩擦板３３を介して前記ハンドル軸３０からの回
動力を前記マスターギヤ３２に伝えるようにして
いる。

尚、前記摩擦板３３のマスターギヤ３２への圧
接力は、前記ハンドル軸３０の端部に螺合する調
整体３５により調整できるようになつている。

又、前記クラツチ７は、前記スプール軸４の中
間部に扁平面を設けると共に、前記ピニオンギヤ
６に、前記扁平面に係合する非円形内面をもつた
筒部を設けて構成するのであつて、前記ピニオン
ギヤ６の筒部を、前記操作機構８の操作で前記ス
プール軸４の扁平面形成部分から離脱させること
により、前記スプール軸４及び該スプール軸に固
定のスプール３をフリー回転可能としている。

又、前記クラツチ操作機構８は、前記ピニオン
ギヤ６を保持して常時前記クラツチ７が係合する
方向に押圧するクラツチヨーク８２と、このクラ
ツチヨーク８２を押圧する押圧部８１ａをもつた
フオーク状のクラツチレバー８１と、前記リター
ン板３４とから成り、前記クラツチレバー８１を
前記第１サイドフレーム１の添板１３に、前記ス
プール軸４に対し直交する方向にピン８３及び長
孔８４を介して往復動自由に支持すると共に、リ
ターンスプリング（図示せず）により復動方向に
付勢し、該クラツチレバー８１を押圧して前記ク
ラツチヨーク８２を軸方向に移動させることによ
り、前記ピニオンギヤ６を、前記クラツチ７が離
脱する方向に移動させ、又ハンドル３１を回転し
て前記リターン板３４に設けたクラツチピン３４
ａを前記クラツチレバー８１の先端に設けた接触
体（図示せず）に押当て、該クラツチレバー８１
を前記リターンスプリングの力で元位置に復動さ
せるとにより、前記ピニオンギヤ６を、前記クラ
ツチヨーク８２による押圧力でもつて前記クラツ
チ７が係合する方向に移動させるようにしてい
る。尚、前記クラツチレバー８１は、前記添板１
３に固定する前記ピン８３を中心に揺動可能にな
つていて、その先端に係合部を設けており、この
係合部を、前記添板１３に設ける切欠の段部に係
合させることによりクラツチレバー８１を往動終
端部位置で保持できるようにしている。

本考案は以上の如く構成するリールにおいて、
前記スプール３のフリー回転時におけるブレーキ
５を次の如く形成したのである。

即ち、第１図に示したごとく、前記軸受ハウジ
ング２１内に、非円形内周面５０ａ（第４図参
照）をもつた筒軸５０の一端部を前記軸受１０に
より回転自由に支持し、かつ、前記スプール軸４
の軸端に、前記筒軸５０の非円形内周面５０ａに
係合する非円形外周面４ａを形成して、この外周
面４ａを、前記筒軸５０の非円形内周面５０ａに
係合させ、前記スプール軸４の一端を、前記筒軸
５０を介して回転自由に支持すると共に、前記軸
受ハウジング２１に、側面に複数のマグネツト５
１，５２をもつた軸方向に対向する１対の第１及
び第２リング５３，５４を、前記スプール軸４と
同心円状に配置して、前記第１リング５３を前記
軸受ハウジング２１の開放側に固定し、前記第２
リング５４を前記軸受ハウジング２１の底壁側に
回転可能に支持する一方、前記筒軸５０の中間部
外周に、前記リング５３，５４間に介装され、前
記マグネツト５１，５２に対向する円板状の電気
的導体５５を設けると共に、前記軸受ハウジング
２１の開放側に、該軸受ハウジング２１の内周部
側から半径方向内方に延び、前記筒軸５０の他端
部外周に僅少間隔で対向する内周面をもつた円板
状のシール材６０を設け、そして前記カバー２３
に前記第２リング５４と係合する係合ピン５６
と、つまみ５７とをもつた操作具５８を設け、前
記つまみ５７を前記カバー２３の外方に露出さ
せ、外部から前記第２リング５４の操作を可能に
したのである。

しかして以上の構成において、マグネツト５
１，５２をもつた１対の第１及び第２リング５
３，５４と、前記導体５５とにより、前記ブレー
キ５を構成すると共に、前記導体５５をスプール
軸４とは別に設け、かつ、前記軸受ハウジング２
１に軸受１０を介して回転自由に設ける前記筒軸
５０に設けたから、前記ブレーキ５を構成する前
記各リング５３，５４及び前記導体５５は、前記
軸受ハウジング２１をもとに予め組込んで、前記
軸受ハウジング２１とともにユニツト化ができる
のである。

従つて、斯くの如くブレーキ５を組込んでユニ
ツト化した前記軸受ハウジング２１を、前記側板
２２に組込んだ後、前記筒軸５０にスプール軸４
を嵌合するだけの簡単な操作で組立てが行なえる
ことになる。

しかも、前記軸受ハウジング２１の開放側に円
板状のシール材６０を設けて、前記第１リング５
３の外側に取付けることにより、前記筒軸５０と
ともに前記軸受ハウジング２１の内部閉鎖が可能
となり、前記スプール軸４を筒軸５０から離脱し
た場合でも、前記軸受ハウジング２１内に内装す
る前記各リング５３，５４のマグネツト５１，５
２が、外部に露出することがなくなり、その防塵
が可能となるのである。

従つて、釣場、特に砂浜でスプール３の交換を
行なう場合でも、砂鉄が前記マグネツト５１，５
２に付着することは確実に防止できるのであつ
て、制動力を常に一定に保持できるのである。

尚、前記軸受ハウジング２１の内周面は、第１
図のごとく段付になつており、開放側を大径とし
て、その内周面にはセレーシヨンなどの凹凸条を
形成し、前記第１リング５３の外周面にも凹凸条
を形成して、これら凹凸条を相互に嵌合させ、そ
して止め輪６１により固定している。また、前記
軸受ハウジング２１の小径部は第４図のごとく円
形内周面とし、かつ、この小径部の中心側には、
支持筒２１ａを設け、この支持筒２１ａの外周面
と、前記小径部内周面との間に前記第２リング５
４を回転可能に嵌合し、そして止め輪６２により
軸方向の移動を止めている。

従つて、以上の構成により、前記各リング５
３，５４及び筒軸５０は、開放側から容易に組込
めるのである。

また、前記軸受ハウジング２１の底壁には、第
３図のごとく前記第２リング５４の回転中心を中
心とする円弧状の長孔２１ｂを設けると共に、前
記カバー２３にも、第２図のごとく円弧状の長孔
２３ａを設けており、このカバー２３に設ける長
孔２３ａには、前記操作具５８の軸部５９に設け
る凹凸条５９ａに係合する位置決め体６３を設け
ている。

この位置決め体６３は主として板ばねにより形
成し、その弾性力により第２図のごとく前記長孔
２３ａの一部に保持するのである。

しかして、前記クラツチレバー８１を操作して
前記クラツチ７を離脱し、前記スプール３をフリ
ー回転としてキヤステイングを行なう場合、前記
スプール３とともに、回転する前記筒軸５０に設
けた前記導体５５が、該導体５５を挟んで相対向
する前記マグネツト５１，５２の磁界内で回転
し、この回転に伴ない前記導体５５を通る磁束の
方向が回転方向に変化するのである。そして、こ
の磁束の変化により前記導体５５にうず電流が発
生し、フレミング左手の法則により前記導体５５
の回転方向と逆方向の磁力が生じ、前記スプール
３を制動するのである。

そして、この制動力は、前記第２リング５４の
前記操作具５８による調整により制御できるので
ある。

即ち、前記操作具５８を回転操作すると、前記
第２リング５４が回転し、この第２リング５４の
回転で前記導体５５を挟んで対向する前記マグネ
ツト５１，５２の相対位置が周方向に変わり、前
記導体５５を通る磁束の数を変化させられるので
あつて、この変化により、前記スプール３に作用
する制動力を調整できるのである。

尚、前記各リング５３，５４に設けるマグネツ
ト５１，５２は、それぞれ対向状に設けるのであ
つて、例えば第１リング５３のマグネツトをＮ極
とした場合には、第２リング５４のマグネツト５
２をＳ極とするのであるが、各リング５３，５４
においてＮ極とＳ極とを交互に設けてもよい。

また、前記各マグネツト５１，５２は、前記リ
ング５３，５４と別に形成して、接着などの固定
手段で固定したり、前記リング５３，５４を合成
樹脂とし、その成形時、一体に埋込んでもよいの
であり、また、着磁法を用いて形成してもよい。

また、前記マグネツト５１，５２の形状は任意
に形成するのであるが、角形に形成すればよりリ
ニアーな制動力調整が可能となる。

又、前記操作具５８は、前記ピン５６を用い
て、直接前記第２リング５４に結合したが、その
他、ギヤ等を介して間接的に連動させるごとくし
てもよい。また、前記シール材６０は、第１リン
グ５３とは別に形成して、前記第１リング５３の
外側に取付けるが、前記第１リング５３の内径を
前記筒軸５０の外径に近づけて、一体に形成して
もよい。

以上のごとく本考案は、軸受ハウジングに筒軸
の一端部を軸受を介して回転自由に支持して、こ
の筒軸の中間部外周に、前記各リング間に介装さ
れた電気的導体を設けると共に、前記ハウジング
内に、前記導体に対向するマグネツトをもち、軸
方向に対向する１対の第１リングと第２リングと
を内装して、スプールのフリー回転時におけるブ
レーキを構成したから、前記マグネツトの磁力を
利用したスプールの制動が行なえながら、前記ブ
レーキを、前記軸受ハウジングをもとに組込んで
ユニツト化できるし、また前記第１又は第２リン
グを利用して軸受ハウジングの内部を、前記筒軸
とともに閉鎖し、前記各リングに設けるマグネツ
トを外部に対し遮断した防塵化が可能となり、従
つて釣場特に砂浜でスプールを交換する場合で
も、砂鉄が侵入して前記マグネツトに吸着するこ
とを確実に防止でき、制動力を調整した所望の制
動力に維持できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案リールの実施例を示す断面平面
図、第２図は左側面図、第３図は軸受ハウジング
の底面図、第４図は第１図−線における断面
図である。 １，２……第１、第２サイドフレーム（リール
本体）、３……スプール、４……スプール軸、５
……ブレーキ、５０……筒軸、５１，５２……マ
グネツト、５３……第１リング、５４……第２リ
ング、５５……電気的導体、５８……操作具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リール本体にスプールをもつたスプール軸をフ
   リー回転可能に支持した両軸リールにおいて、前
   記リール本体のスプール軸一端側に、前記スプー
   ル軸の軸受ハウジングを設けて、該軸受ハウジン
   グ内に、非円形内周面をもつた筒軸の一端部を軸
   受を介して回転自由に支持すると共に、側面に複
   数のマグネツトを周設し、軸方向に対向する１対
   の第１及び第２リングを前記スプール軸と同心円
   状に配置して、前記第１リングを固定し、前記第
   ２リングを回転可能に支持する一方、前記筒軸の
   中間部外周に、前記各リング間に介装され、前記
   各マグネツトに対向する電気的導体を設けると共
   に、前記軸受ハウジングの開放側に、該軸受ハウ
   ジングの内周部側から半径方向内方に延び、前記
   筒軸の他端部外周に僅少間隔で対向する内周面を
   もつた円板状のシール材を設け、かつ前記リール
   本体に、前記第２リングの操作具を設けたことを
   特徴とする両軸リール。