JPS6234544B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、厚手に織成された合成繊維不織布原
反にアスフアルトを含浸させる厚手アスフアルト
シート、あるいは表裏両面から異質のアスフアル
トを含浸させてる厚手アスフアルトシートの製造
方法に関する。

従来アスフアルトルーフイングと称されている
防水材料の一種であるアスフアルトシートは屑綿
等を抄造して原反を作るか、あるいは合成繊維の
短繊維を使用して原反を作成し、これにアスフア
ルトを含浸させてアスフアルトルーフイングを成
形していた。しかし、このアスフアルトルーフイ
ングは厚さが１mm前後であるため引張り等に対し
て弱く、下地コンクリートの亀裂に対して追従で
きずに引き裂けが生じ完全な防水層を形成するに
は二層あるいは三層に重ね貼りをすることが要求
されていた。

このような材料上の欠点および煩雑な作業上の
欠点を解消するために、エンドレスな長繊維の合
成繊維を用い、ニードルパンチ法や糊料により約
６mm前後の厚手に織成された不織布を原反としこ
れにアスフアルトを含浸させたアスフアルトシー
トが開発された。このアスフアルトシートは前記
のように従来のアスフアルトルーフイングに比べ
て３〜４倍もの厚みを有し、しかもエンドレスな
繊維を絡ませて成形された原反を使用しているた
め引張りに対して強く、下地コンクリート層に生
じた大きな亀裂に対しても十分追従しうる特性を
有するものであるから完全な防水性が期待される
ばかりか、厚手であるため一層の貼設でも十分防
水の目的を達するものである。しかし、粘度の高
いアスフアルトを厚みのある不織布原反に完全に
含浸させることは容易でなく、出願人はこの研究
に没頭し、先に針状突起を設けたロールを使用し
て不織布面に開孔し、これによりアスフアルトを
含浸させたり、あるいは深いアスフアルト溶融槽
を使用して温度差、液圧差を利用して含浸さす方
法を開発した。しかし、これらの方法はスピード
が遅く生産能率が思うようにならず、しかもいず
れもアスフアルト溶融槽を使用するため装置が大
がかりとなる欠点を有していた。

本発明は、上記のような非能率的な製造方法を
解消するためになされたものであつて、一対の加
熱された押圧ロールを多段に設け、これに不織布
原反を挿通し、この対向する一対の押圧ロールに
よつて成形される凹部に溶融アスフアルトを溜載
して原反層にアスフアルトを含浸させてアスフア
ルトシートを製造し、又は多段に設けられた押圧
ロールの最上段の一方の押圧ロールと原反シート
によつて形成されている凹部に溶融アスフアルト
を溜載し、次段の一対の押圧ロールの前記上段の
反対側の押圧ロールと原反シートによつて形成さ
れている凹部に上段のアスフアルトと異質の溶融
アスフアルト・溶融合成樹脂材を溜載して原反に
対して表裏両面から異質のアスフアルトを含浸さ
せるアスフアルトシートの製造方法を提供するも
のである。

添付図面により本発明の実施例を詳記すると、
第１図は不織布原反１に対して同一のアスフアル
ト３を両面から同時に含浸させるものであつて、
加熱された一対の押圧ロール２，２が直列に多段
に設けられている。図においては２′，２″と三段
に設けられているが、これは四段であつてもある
いはそれ以上であつてもよい。そして各ロール間
に不織布原反１を挿通する。この最下段の押圧ロ
ール２″，２″は図示の如くそのまま熱プレスのみ
で対向させ、上段の各ロールの対向部と原反シー
ト１によつて形成される凹部に溶融アスフアルト
３を溜載するものである。

このように熱押圧ロール２，２′，２″を構成し
て不織布原反シート１を下方に移動させると、こ
れにともなつて順次溶融アスフアルト３が上段の
押圧ロール２と次段の押圧ロール２′によつて原
反内部に浸透し、さらに最下部の押圧ロール２″
にてプレスされて完全に原反層に含浸してアスフ
アルトシートＡが得られる。ここに使用されるア
スフアルトは、ブローンアスフアルト、変性アス
フアルト、ゴムアスフアルトのいずれでもよい。

第２図は不織布原反１に対して表裏両面から異
質のアスフアルト３，４を含浸させるものであつ
て、厚手のアスフアルトシート一層のみで引張
り、引裂きあるいは截断に対して異る性質を有す
る二層のアスフアルトシートを貼合せた如き特性
を有するアスフアルトシートを製造する実施例を
示すものである。

図において一対の加熱押圧ロール２は２′，
２″のように三段あるいは五段の奇数段の直列に
設ける。（図は便宜上三段に配したものを示して
いる。）そしてこの各押圧ロールの間に不織布原
反１を挿通して下方に移動させる。

最下段の押圧ロール２″は図示の如くそのまま
熱プレスのみで対向させ、最上段の押圧ロール２
にはその一方のロール２と不織布原反１との間に
形成される凹部に溶融アスフアルト３を溜載し、
次段の押圧ロール２′の前記上段のロール２と別
方向のロール２′と不織布原反１との間に形成さ
れる凹部に上方のアスフアルトとは異質の溶融ア
スフアルト４を溜載する。又押圧ロールが五段の
場合はこの組合せを繰返して構成するものであ
る。

このように熱押圧ロール２，２′，２″を構成し
て不織布原反１を下方に移動させると、これにと
もなつて最上段の押圧ロール２からは溶融アスフ
アルト３が不織布原反１の一面からのみ含浸して
次段の押圧ロール２′に移り、この押圧ロール
２′からは不織布原反１の未含浸層の面に異質の
溶融アスフアルト４が含浸してさらに最下段の押
圧ロール２″において熱プレスされて完全な表裏
異質のアスフアルトが含浸されたアスフアルトシ
ートA′を得るものである。

ここに使用されるアスフアルトは、ブローンア
スフアルト、変性アスフアルト、ゴムアスフアル
トあるいは合成樹脂でもよく、その組合せを変え
るものである。

本発明による厚手アスフアルトシートの製造方
法は、含浸用熱押圧ロールが多段に設けられてい
るため、原反不織布が可成りの厚みを有していた
としても浸透が数次に亘つて完全に行われ、しか
も最下段の押圧ロールで熱プレスされるから含浸
むらが生じることがない。又成形スピードは原反
の進行中に行われるものであり、従来の溶融槽に
浸漬する方法に比して数段の速度で成形されると
いう成形上の効果を有する。

実施例 １ （添付図面第１図の方法によるもの） 不織布原反はポリプロピレン繊維のエンドレス
な長繊維を使用し、厚さ５mm、ニードルパンチ数
140／cm²、含浸用のアスフアルトは軟化点95℃、
針入度35のブロンアスフアルトを使用した。溶融
アスフアルトの温度は150℃である。

各押圧ロールは直径20cmの金属製ロールであり
内面にヒーターを内蔵する。このロールの表面温
度を160℃に保つように調整し、ロール長さを原
反の幅に合せて２ｍのものを使用する。一段のロ
ール上に溜載するアスフアルトは12Kgであり、逐
次追加する。

押圧ロールを三段に設置し、各押圧ロールのロ
ール圧を30Kg／cm²とし原反不織布の送りスピード
を14ｍ／分として得られたアスフアルトシートＡ
は、これを切断してその断面を電子顕微鏡写真で
観察したがアスフアルトが芯まで完全に含浸され
ていた。

実施例 ２ （図面第２図の方法によるもの） 押圧ロールの形状、ロール圧、および表面温度
は実施例１のものを使用し、三段に配置する。最
上段の押圧ロールの一方に６Kgの溶融ブローンア
スフアルトを溜載し、次段の押圧ロールの一方の
ロール上に軟化点105℃、針入度37のゴムアスフ
アトを６Kg溜載し、温度を155℃に保つた。不織
布原反は厚さ６mmのニードルパンチ法による原反
を用い送りスピードを12ｍ／分とした。得られた
アスフアルトシートA′は、これを切断してその
断面を電子顕微鏡写真で観察したがアスフアルト
は相方からほぼ均等に含浸されていて芯まで完全
に浸透していることが確認された。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法の一実施例を示し、第２図
は別の実施例を示すものである。 １……原反不織布、２……加熱押圧ロール、
３，４……溶融アスフアルト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一対の加熱された押圧ロールを三乃至四段と
   直列に多段に設け、該熱押圧ロールに対して上方
   から厚手に織成された合成繊維不織布原反を導入
   し、最下段の押圧ロールを除いて上方の押圧ロー
   ル上に溶融アスフアルトを溜載し、不織布原反の
   通過と共に該原反にアスフアルトを含浸させてな
   ることを特徴とした厚手アスフアルトシートの製
   造方法。 ２ 一対の加熱された押圧ロールを三段あるいは
   五段と奇数段に多段に直列に設け、該熱押圧ロー
   ルに対して上方から厚手に織成された合成繊維不
   織布原反を導入し、最下段の押圧ロールを除いて
   上方の最上段の押圧ロールの一方のロール上に溶
   融アスフアルトを溜載し、次段の押圧ロールの前
   記と反対側のロール上に溶融合成樹脂等の前記上
   段の溶融物と異質の防水材料を溜載し、熱押圧ロ
   ールが五段の場合はこれを繰返して配置し、不織
   布原反の通過と共に該原反の表裏両側から異質の
   防水材を含浸させてなることを特徴とした厚手ア
   スフアルトシートの製造方法。