JPS6234089B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、スノーモービルに使用される一般的
にゴム複合材で作られた無端の無軌条帯の特性及
び負荷耐久性能等を測定するための試験機に関す
るものである。

従来の技術 従来無軌条帯の試験機としては、無軌条帯を多
列のローラ又はゴムタイヤ上に押し付けて無軌条
帯を駆動するものや、駆動機構を有する無端ベル
ト上に被試験体を載せてその性能を評価するシヤ
シダイナモメータの如きもの（特公昭52−17282
号公報）が一般に知られている。

発明が解決しようとする問題点 前者の如くローラ又はゴムタイヤを擬似路面部
とする構成の試験機は、ローラ等の路面と無軌条
帯とが部分的にしか接しておらず、高速走行をす
ると無軌条帯が路面と接していない部分において
ばたつき現象が生じ、それによつて負荷以上の力
が装置全体にかかり、実際の走行試験ができなく
なり、従つて、低速度での試験は可能であつても
高速度で、しかも実負荷状態での試験ができない
という問題がある。

後者に於いては、擬似路面部が固定的に堅固に
支持されており、上下・前後方向共に動きの自由
度がなく、低速走行試験（時速数10Km）において
は十分使用に耐えうるが、時速200Kmにも及ぶ高
速試験の場合、無軌条帯に発生する大きな振動を
吸収できず、軸受等の装置部品に損傷を与えてし
まうため高速走行試験ができず、また、装軌車輌
自体を対象とした試験機であるため、装置が大が
かりなものとなる上、無軌条帯のみの試験を行な
うことは無理であつた。

スノーモービルにあつては時速200Kmに及ぶ程
高速化されつつあり、該スノーモービルに装着さ
れる無軌条帯については、その高速性能を実機装
着並の状態で試験できる高速試験機の実現が要求
されている。

本発明は上述の点に着目してなされたもので、
低速から200Km／ｈに及ぶ高速下において無軌条
帯に所定の荷重及び負荷（ブレーキ）を加えてス
ノーモービルが高速走行時の状況を擬似的に再現
して諸特性を正確に測定できる無軌条帯の試験機
を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 従来技術の問題点を解決する手段として、被試
験体である無軌条帯を懸架する懸架機構及び該無
軌条帯を駆動する駆動機構を備えた被試験部に対
し、前後ベルトプーリにて懸架された無端ベルト
及び該無端ベルトを駆動する駆動機構を備えた擬
似路面部をその下方に対接するように設置した無
軌条帯の試験機に於いて、該擬似路面部を昇降可
能なフレームにて懸架し、且つ該昇降フレームと
前記擬似路面部との間に内圧調整可能な空気ばね
を介在させ、且つ前記昇降フレームと前記擬似路
面部とを揺動可能なリンクにて連接したことを特
徴とする無軌条帯の試験機とした。

作 用 このような構成とすることにより前記昇降フレ
ームを上昇することにより擬似路面部と無軌条帯
とを圧接した後、空気ばねに内圧を調整すること
により無軌条帯に対して容易に所定の荷重を付与
することができる。更に、前記空気ばねと前記揺
動可能なリンクとの作用により、擬似路面部は上
下方向の動きには自由度を有するが前後方向の動
きは規制される構造となつているため高速走行試
験が可能となる。すなわち、本発明は、擬似路面
部を前記空気ばねとリンクとの作用により前後方
向の動きを規制すると共に、上下方向には自由度
を有するようにしたので、走行試験時に発生する
前後方向の力（摩擦力）に対してはリンクにより
安定して擬似路面部の位置を保つと共に、振動に
対してはそれを空気ばねにより吸収することがで
きる。従つて高速走行試験において発生する振動
が大となつても機械構成部品を傷めることなく試
験が可能となる。

実施例 以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

１は本体フレーム、２は該本体フレーム１の上
部フレーム１ａに取付けられた被試験部、３は該
被試験部２の下方に配置された擬似路面部であ
る。

前記被試験部２は前記上部フレーム１ａに取付
けられて被試験体である無軌条帯を懸架する懸架
機構を備える。該懸架機構は第３図に示すよう
に、上部フレーム１ａにブラケツト４を介して固
定された支持フレーム５を有し、該支持フレーム
５の前部（第３図において左方向）に前部スプロ
ケツト６が取付けられている。７はすべり板で、
中央部においてリンク８を介して前記支持フレー
ム５に連接され、後部においてリンク９，１０を
介して支持フレーム５に連接されている。１１は
すべり板７と支持フレーム５間に取付けられた圧
縮コイルばねで、該圧縮コイルばね１１の弾撥力
ですべり板７を下方に押し下げる方向に附勢して
いる。該すべり板７の後端部には後部スプロケツ
ト１２がねじ又は油圧シリンダ等のテンシヨン調
整機構１３を介して取付けられている。前部及び
後部のスプロケツト６，１２間に試験用の無軌条
帯１４が懸架され、前記すべり板７に摺接してい
る。前記被試験部２の構成において支持フレーム
５及び圧縮コイルばね１１は各々スノーモービル
における車体及び支持スプリングに相当するもの
である。

前記前部スプロケツト６は、前記無軌条帯を駆
動するため第１図に示すようにフレーム１５上に
設けたモータ１６、シヤフト１７及び増速機１８
等から成る駆動機構を介して駆動される。

前記擬似路面部３は第２図に示されるように、
支持フレーム１９の前後に取付けられた前部ベル
トプーリ２０と後部ベルトプーリ２１間に懸架さ
れた無端ベルト２２からなる。後部ベルトプーリ
２１はテンシヨン調整機構２３によつて前後移動
可能に取付けられている。前記支持フレーム１９
上縁には無端ベルト２２の下面を支持して無端ベ
ルト２２のたわみを防止する支持ロール２４が多
数取付けられている。前部ベルトプーリ２０は、
前記無端ベルト２２を駆動するため、フレーム１
５上のモータ２５、シヤフト２６、増速機２７及
びユニバーサルジヨイント２８等から成る駆動機
構を介して駆動されるようになつている。前記支
持フレーム１９はベース２９に一体に固着されて
おり、該ベース２９は、空気ばね３０を介して昇
降フレーム３１に支持されている。このようにし
て、前記擬似路面部３は、前記空気ばね３０を介
在させて、前記昇降フレーム３１上に設けられて
いる。該昇降フレーム３１は、前記上部フレーム
１ａにねじロツド３２を介して垂下されている。
該ねじロツド３２には上部フレーム１ａ上におい
てスクリユジヤツキ３３が螺合されており、該ス
クリユジヤツキ３３は昇降用モータ３４から中継
ロツド３５を介して同時に回転され、これによつ
てねじロツド３２が昇降するようになつている。
３６は前記昇降フレーム３１に固定されたブラケ
ツト３７に一端が枢支されたリンクで、該リンク
３６の他端は前記支持フレーム１９のピン３８に
枢支されている。これによつて擬似路面部３は上
下方向には自由に動き得るが、前後方向（第２図
において左右方向）の動きは規制される。該リン
ク３６はピン３８に対して着脱可能となつてお
り、無端ベルト２２を交換する際はピンから外し
て下方に揺動させておく。

次に動作を説明する。昇降用モータ３４により
昇降フレーム３１を上昇させ、無端ベルト２２を
無軌条帯１４に接触させた後、空気ばね３０に圧
縮空気を供給し、空気ばねの内圧を調整すること
によつて無軌条帯１４に所定の荷重を加える。す
なわち空気ばね３０によつて荷重の微調整を行な
う。次いでモータ１６を駆動して無軌条帯１４を
矢印方向に回転させ、同時にモータ２５を駆動し
て無端ベルト２２を矢印方向に回転させる。無端
ベルト２２の速度は無軌条帯１４の速度よりも遅
くなるようにモータ２５を速度調整し、これによ
り無軌条帯１４に負荷（ベレーキ）がかかるよう
にする。これによりスノーモービルが路面で高速
走行する場合と同一の条件下で諸特性、すなわち
損失、仕事量、効率及び長時間耐久性等を測定で
きる。

発明の効果 以上のように本発明によれば、擬似路面部とし
て無端ベルトを用いてこれを駆動するようにし、
かつこの擬似路面部の前後方向を規制すると共
に、上下方向には自由度を持たせて無軌条帯に圧
接させるようにしたので、200Km／ｈ以上の高速
下で高荷重時の性能、耐久試験が可能となり、空
気ばねの内圧を調整することにより無軌条帯に対
して容易に所定の荷重を付与することができるた
め、スノーモービルが高速走行する時の状況を擬
似的に再現して無軌条帯の諸特性を簡単且つ正確
に測定し得るという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係る試験機の一実施例を示
す正面図、第２図は、同上の左側面図、第３図
は、第１図の被試験部の詳細を示す正面図であ
る。 ２：被試験部、３：擬似路面部、５：支持フレ
ーム、６，１２：スプロケツト、１４：無軌条
帯、１６，２５：モータ、１９：支持フレーム、
２０，２１：ベルトプーリ、２２：無端ベルト、
２９：ベース、３０：空気ばね、３１：昇降フレ
ーム、３６：リンク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被試験体である無軌条帯を懸架する懸架機構
   及び該無軌条帯を駆動する駆動機構を備えた被試
   験部に対し、前後ベルトプーリにて懸架された無
   端ベルト及び該無端ベルトを駆動する駆動機構を
   備えた擬似路面部をその下方に対接するように設
   置した無軌条帯の試験機に於いて、該擬似路面部
   を昇降可能なフレームにて懸架し、且つ該昇降フ
   レームと前記擬似路面部との間に内圧調整可能な
   空気ばねを介在させ、且つ前記昇降フレームと前
   記擬似路面部とを揺動可能なリンクにて連接した
   ことを特徴とする無軌条帯の試験機。