JPS6233027Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、遊子の導糸孔を経て引き出される緯
糸が導糸孔の傾斜側縁部分に案内されて導糸孔の
上側部分から引き出されうるようになすことによ
り、杼棚とシヤツトルとの間に緯糸が挟着され緯
糸切断等が生ずるおそれを極力に防止しうるシヤ
ツトルにおける緯糸張力調整用の遊子に関する。

（従来技術及びその問題点） シヤツトル側壁に設けた上下の摺動溝に嵌合
し、導糸孔を経て引き出される緯糸の張力を調整
する従来遊子の導糸孔の形状は、全て、第９図に
例示するごとく円形に形成されていた。従つて該
導糸孔ａから引き出される緯糸ｂは、導糸孔ａ側
縁部分の中央部ｃに案内されて引き出されること
となる。そのため、杼道を飛走してきたシヤツト
ルが杼棚に捕捉されて急激に運動を停止するばあ
いを考えると、導糸孔ａから引き出された緯糸ｂ
にたるみが発生し、該たるみ部分が杼棚ｄとシヤ
ツトルｅとの間に挟着されることがある。そして
このように緯糸が挟着されると、杼棚の上下運動
等の際に緯糸切断、緯糸損傷あるいは緯糸汚損等
を招き、織布の品質低下、製織能率の低下等種々
の問題を生ぜしめることとなる。

本考案は主としてかかる問題を解決しうるシヤ
ツトルにおける緯糸張力調整用の遊子の提供を目
的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案のシヤツトルにおける緯糸張力調整用の
遊子（以下遊子という）１は、シヤツトル２の側
壁３に設けた上下の摺動溝５，５に摺動自在に嵌
合し、弾性紐体７によりシヤツトル２の端部方向
に向けて引き寄せられかつ導糸孔９を経て引き出
される緯糸１０の張力を調整するものであり、該
導糸孔９の対向側縁部分１１，１２のうち、少な
くとも、遊子引き寄せ方向側とは逆方向側の側縁
部分１１を、その上端１６が下端１３よりも該逆
方向前方に位置するごとく略直線状に傾斜するよ
うに形成したことを特徴とする。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１〜２図において本考案の遊子１は、シヤツ
トル２の側壁３に設けた上下の摺動溝５，５に摺
動自在に嵌合し、その一側に穿設された透孔６に
結着された弾性紐体７によりシヤツトル２の端部
方向に向けて引き寄せられ、かつ導糸孔９を経て
引き出される緯糸１０の張力を調整する。該導糸
孔９は、対向側縁部分１１，１２が、その下端１
３を起点として逆方向斜め上方に略直線状に傾斜
し、かつ隅部１５，１５，１５が円弧状に形成さ
れたＶ字状を呈し、遊子引き寄せ方向側と逆方向
側の側縁部分１１は、その上端１６が下端１３よ
りも逆方向に位置する。

第２図はシヤツトル２に遊子を組込んだ状態を
示し、内側と外側に本考案の遊子１が取付けられ
ている。なお中央に取付けられている遊子１７の
導糸孔１９は、第５図において拡大して示すよう
に、対向側縁部分２０，２０がその上端２１を起
点として逆方向斜め下方に略直線状に傾斜する倒
Ｖ字状に形成されている。

然して本考案の遊子１においては、傾斜する側
縁部分１１に案内されて遊子引き寄せ方向とは逆
方向に引き出される緯糸１０は、第３図の拡大図
に示すごとく、自動的に、該傾斜側縁部分１１に
案内されてその上端部分に上昇する。その結果、
緯糸１０は、外側遊子１ａの導糸孔９をその最高
高さ位置において離れるため、シヤツトル２が杼
棚に捕捉されて急激に運動を停止するときにあつ
ても、従来遊子におけるばあいに比べて緯糸がよ
り高い位置から引き出されることとなり、（第３
図の拡大図及び第９図参照）、杼棚２２とシヤツ
トル２との間に緯糸１０が挟着される事態が極力
防止されることとなる。

なお緯糸として箔糸を用いるばあいには、第１
図において一点鎖線で示すごとく、該緯糸の平面
部が導糸孔９の直線状側縁部分１１と接触しつつ
引出されるため、無心巻束あるいは木管から解除
された緯糸１０は該側縁部分１１において効果的
な「しごき」作用を受け、その巻ぐせが良好に矯
正される。ちなみに、従来の遊子にあつては導糸
孔が円形であつたため、緯糸が導糸孔の湾曲面と
接触しつつ引き出されることとなり、巻ぐせの矯
正が満足できるものでなかつた。又第２図におい
ては、内、外の遊子として本考案の遊子１を用
い、中央遊子１７の導糸孔１９を倒Ｖ字状に形成
しているため、解除された緯糸１０は、内側遊子
１ｂにおいて最高高さ置に、中央遊子１７におい
て最抵高さ位置に、そして外側遊子１ａにおいて
最高高さ位置に夫々存する、Ｚ字態（垂直面内に
おいてみる）で遊子間に張設されることとなり、
従来遊子を使用するばあいのごとく、緯糸が同高
さ位置にあるばあいに比べて、緯糸に加わる抵抗
が大となるため、緯糸の巻ぐせ矯正が一層良好と
なる。

なお、シヤツトルが第３図に示した杼棚と対向
する杼棚に捕捉されるばあいには、外側遊子が該
対向杼棚の入口側に位置し、導糸孔９から引き出
された緯糸は織物の耳まで引張られた状態となる
ため、緯糸が杼棚とシヤツトルとの間に挟着され
るおそれは第３図に示したばあいに比べて少ない
のであるが、本実施例においては、導糸孔９の遊
子引き寄せ方向側の側縁部分１２をも略直線状に
傾斜するごとく形成しているため、（第１図参
照）、シヤツトルが該対向杼棚に捕捉される際
に、従来遊子におけるばあいに比し、緯糸１０が
より高い位置において導糸孔９を離れる効果を期
待することもでき、（特に中央遊子として本考案
の遊子を用いるばあいには該効果をより期待しう
る）、該対向杼棚における緯糸挟着着のおそれを
略皆無としうる。

なお前記実施例における本考案の遊子１あるい
は遊子１７は、導糸孔９，１９を、セラミツク
製、陶製等の導糸孔部材を用いて構成したばあい
であるが、前記遊子１あるいは遊子１７の全体
を、第４図あるいは第６図に示すごととく、セラ
ミツク製、陶製、樹脂製等の一体成形品として形
成するばあいもある。なお導糸孔を導糸孔部材を
用いて構成するばあいには、該導糸孔部材は、第
７〜８図に示すごとく、Ｖ字状等に折曲された線
材２０を用いて形成されることもある。

（考案の効果） 本考案の遊子は、緯糸が導糸孔の傾斜側縁部分
に案内されて引き出されうるようになされている
ため、該緯糸は自動的に導糸孔の上側部分から引
き出されることとなり、緯糸が杼棚とシヤツトル
との間に挟着され、緯糸切断、緯糸損傷あるいは
緯糸汚損等を招くおそれを極力回避でき、織布の
品質を向上するとともに製織能率の向上をも期し
うる。さらに、緯糸が特に箔糸であるばあいに
は、前記作用によつてその巻ぐせが良好に矯正さ
れる効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２
図はその使用状態を示す斜視図、第３図はその作
用を説明する説明図、第４図は本考案の他の実施
例を示す斜視図、第５〜６図は本考案の遊子と併
用されうる遊子を示す斜視図、第７〜８図は本考
案の遊子の他の実施例を示す正面図、第９図は従
来の遊子をその作用とともに示す説明図である。 ２……シヤツトル、３……側壁、５……摺動
溝、７……弾性紐体、９……導糸孔、１０……緯
糸、１１，１２……側縁部分、１３……下端、１
６……上端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シヤツトル２の側壁３に設けた上下の摺動溝
   ５，５に摺動自在に嵌合し、弾性紐体７によりシ
   ヤツトル２の端部方向に向けて引き寄せられかつ
   導糸孔９を経て引き出される緯糸１０の張力を調
   整する遊子において、該導糸孔９の対向側縁部分
   １１，１２のうち、少なくとも、遊子引き寄せ方
   向側とは逆方向側の側縁部分１１を、その上端１
   ６が下端１３よりも該逆方向前方に位置するごと
   く略直線状に傾斜するように形成したことを特徴
   とするシヤツトルにおける緯糸張力調整用の遊
   子。