JPS6223355Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自転車に用いるリヤデイレーラー、詳
しくは、チエンを自転車の後輪に設ける多段スプ
ロケツトの軸方向に移動させ、前記スプロケツト
の一つに掛換えるリヤデイレーラーに関する。

一般に、此種デイレーラーは、自転車の後輪、
詳しくは、ハブ軸に取付けるブラケツトを備えた
支持部材と、この支持部材にリンク部材を介して
揺動自由に連結する可動部材とから成るデイレー
ラー本体の前記可動部材に、前記チエンを前記ス
プロケツトに案内する案内輪と、緊張輪とを１対
の左右プレート間に支持した掛換具を取付けてお
り、そしてこのデイレーラーを、自転車の後輪に
設ける多段スプロケツトの軸方向外方に装着し
て、前記案内輪及び緊張輪にチエンを掛設し、操
作ワイヤの牽引操作により前記可動部材を、リタ
ーンスプリングの力に抗して最大歯数の低速用ス
プロケツト側に、またこのスプリングの復元作用
により最小歯数の高速用スプロケツト側に移動さ
せて、前記チエンを多段スプロケツトにおける一
つのスプロケツトに掛換えるようにしている。

所で、前記チエンの掛換えによる変速操作時、
高速用スプロケツトから抵速用スプロケツトにチ
エンを掛換える場合には、前記チエンを高速用ス
プロケツトの歯先部から低速用スプロケツトの歯
先に対応する位置まで強制的に運ぶ必要性から、
デイレーラー本体側右プレートにおける案内輪の
支持側に、前記多段スプロケツトの方向に向かつ
て前記案内輪の外径より外方に延びるチエン押圧
部を設けて、この押圧部により前記チエンを高速
用スプロケツトから低速用スプロケツト側に強制
的に運んでいるのに対し、低速用スプロケツトか
ら高速用スプロケツトにチエンを掛換える場合に
は、前記可動部材と共に掛換具を移動させれば、
前記チエンが、低速用スプロケツトの歯から外
れ、所望のスプロケツトの歯先に落込んで噛合う
ため、前記右プレートと対向する左プレートに
は、前記チエン押圧部を設けることなく、前記案
内輪の支持側端部を案内輪の支持位置で終らせ
て、前記案内輪により、前記チエンを多段スプロ
ケツトの軸方向に移動させているのである。

所が、左プレートに前記チエン押圧部を設けて
いないため、低速用スプロケツトから高速用スプ
ロケツトへのチエン掛換時、このチエンは、前記
掛換具が低速用スプロケツトと対応する位置から
高速用スプロケツトと対応する位置に移動した
後、即ち変速レバーによる変速操作完了後、低速
用スプロケツトの歯から離脱して高速用スプロケ
ツトに掛換わることになる。

その結果、変速操作開始時からチエンが高速用
スプロケツトに掛換わるまでの間の時間が長く、
変速性が悪かつたのである。

本考案は以上の点に鑑み考案したもので、低速
用スプロケツトから高速用スプロケツトへの変速
性を向上できるようにしたのであつて、チエンを
前記スプロケツトに案内する案内輪と、緊張輪と
を１対の左右プレート間に支持する掛換具を備
え、前記左右プレートのうち、左プレートにおけ
る案内輪の支持側に、前記多段スプロケツトの方
向に向かつて前記案内輪の外径より外方に延び、
かつ、前記多段スプロケツトの低速側スプロケツ
トから高速側スプロケツトにチエンを掛換えると
き、該チエンと接触して、前記高速側スプロケツ
トに押圧するチエン押圧部を設けたことを特徴と
するものである。

以下本考案デイレーラーの一実施例を図面に基
づいて説明する。

図示したデイレーラーは、自転車の後輪Ｂへの
取付用ブラケツト１を備えた支持部材２と、該支
持部材２に１対のリンク部材３を介して揺動自由
に連結する可動部材４とから成るデイレーラー本
体Ａの前記可動部材４に、チエンＣを多段スプロ
ケツト１０に案内する案内輪５１と、緊張輪５２
とを１対の左右プレート５３，５４間に支持する
掛換具５を水平軸６を介して取付けたものであつ
て、このデイレーラーを、自転車の後輪Ｂに取付
ける前記多段スプロケツト１０における高速用ス
プロケツト１０ａの軸方向外方に装着して、前記
掛換具５を前記多段スプロケツト１０の半径方向
外方に配置するのである。そして前記案内輪５１
及び緊張輪５２に前記チエンＣを掛設し、操作ワ
イヤの牽引操作により前記可動部材４を、リター
ンスプリング（図示せず）の力に抗して最大歯数
の低速用スプロケツト１０ｂ側に、またこのスプ
リングの復元作用により最小歯数の高速用スプロ
ケツト１０ａ側に移動させて、前記案内輪５１及
び緊張輪５２に掛設したチエンＣを多段スプロケ
ツト１０の一つのスプロケツトに掛換えるのであ
る。

尚、前記掛換具５の左右プレート５３，５４
は、前記多段スプロケツト１０の半径方向に延び
る板体から成り、その長さ方向両端に、前記案内
輪５１及び緊張輪５２を支持する軸体５５，５６
の軸孔５７，５８を設け、これら軸孔５７，５８
に取付ける前記軸体５５，５６により、前記左右
プレート５３，５４の間隔をチエン幅よりやゝ広
く設定して互に連結すると共に、前記案内輪５１
及び緊張輪５２を回転自由に支持し、これら案内
輪５１及び緊張輪５２のうち、案内輪５１を前記
多段スプロケツト１０に対し近接する側に配置
し、緊張輪５２を多段スプロケツト１０に対し離
反する側に配置して、これら案内輪５１及び緊張
輪５２に掛設したチエンＣを、前記案内輪５１か
ら多段スプロケツト１０に案内するのであり、
又、前記左右プレートのうちデイレーラー本体Ａ
側に配置する右プレート５４の前記案内輪支持側
端部を、前記水平軸６を介して前記可動部材４に
揺動自由に支持し、この可動部材４と右プレート
５４との間にテンシヨンばね（図示せず）を介装
して、このばねの作用により前記掛換具５を第１
図時計方向に付勢している。又、前記左右プレー
ト５３，５４の軸孔５８側端部には、前記緊張輪
５２の外径より外方に延びるチエンガイド部５３
ｂ，５４ｂを設けている。

この考案は以上の如く構成するデイレーラーに
おいて、前記左プレート５３及び右プレート５４
における案内輪５１の支持側で、該案内輪５１に
掛設したチエンＣの出口側に、前記多段スプロケ
ツト１０の歯先面と近接する方向に向かい、前記
案内輪５１の外径より外方に延びるチエン押圧部
５３ａ，５４ａを設けて、前記低速用スプロケツ
ト１０ｂから高速用スプロケツト１０ａへのチエ
ン掛換時、左プレート５３のチエン押圧部５３ａ
により前記チエンＣを高速用スプロケツト１０ａ
側に強制的に押圧し、また前記高速用スプロケツ
ト１０ａから低速用スプロケツト１０ｂへのチエ
ン掛換時、右プレート５４のチエン押圧部５４ａ
により前記チエンＣを低速用スプロケツト１０ｂ
側に強制的に押圧するように成すのである。尚、
前記チエン押圧部５３ａ，５４ａは、その間隔
を、前記チエンＣの幅寸法よりやゝ広くするので
ある。

斯くて本考案によれば、第２，３図に示す如く
低速用スプロケツト１０ｂと対応する位置（第３
図は鎖線位置）にある掛換具５を高速用スプロケ
ツト１０ａと対応する位置（第３図の実線位置）
に移行させるべく操作ワイヤを緩めると、前記リ
ターンスプリングの復元作用により、前記掛換具
５が高速用スプロケツト１０ａと対応する位置に
移動するまでの間に、左プレート５３のチエン押
圧部５３ａが、案内輪５１と低速用スプロケツト
１０ｂとの間のチエンＣに接当して、このチエン
押圧部５３ａにより前記チエンＣを、鉛直線Ｘに
対し大きく傾斜させて、そのチエン傾斜角αを大
きくでき、チエンＣの掛換ポイントを早めること
ができるのである。従つて前記掛換具５が高速用
スプロケツト１０ａと対応する位置に移動するま
での間に、前記チエンＣの低速用スプロケツト１
０ｂからの離脱を開始でき、前記掛換具５が高速
用スプロケツト１０ａと対応する位置に移動する
と直ちに前記チエンＣを高速用スプロケツト１０
ａに掛換えることができ、変速操作開始時からチ
エンが高速用スプロケツト１０ａに掛換わるまで
の間の時間を短縮できるのである。因みに前記チ
エン押圧部５３ａのない従来のデイレーラーにお
ける前記チエンＣの鉛直線Ｘに対する傾斜角β
は、本考案の傾斜角αに比べて大幅に小さいので
ある。

また第１，３図に示す如く高速用スプロケツト
１０ａと対応する位置（第３図は実線位置）にあ
る掛換具５を、低速用スプロケツト１０ｂと対応
する位置（第３図の鎖線位置）に移行させるべく
操作ワイヤを牽引すると、前記掛換具５が低速用
スプロケツト１０ｂと対応する位置に移動するま
での間に、右プレート５４のチエン押圧部５４ａ
が、案内輪５１と高速用スプロケツト１０ａとの
間のチエンＣに接当して、このチエン押圧部５４
ａにより前記チエンＣを低速用スプロケツト１０
ｂ側に強制的に押圧するのである。従つてこの場
合も前記チエンＣの掛換えを迅速に行なうことが
できるのである。

以上の如く本考案は、チエンを多段スプロケツ
トに案内する案内輪と、緊張輪とを１対の左右プ
レート間に支持する掛換具を備え、前記左右プレ
ートのうち、左プレートにおける案内輪の支持側
に、前記多段スプロケツトの方向に向かつて前記
案内輪の外径より外方に延び、かつ、前記多段ス
プロケツトの低速側スプロケツトから高速側スプ
ロケツトにチエンを掛換えるとき、該チエンと接
触して、前記高速側スプロケツトに押圧するチエ
ン押圧部を設けたから、低速側スプロケツトから
高速側スプロケツトへのチエン掛換時、前記左プ
レートのチエン押圧部により、前記チエンを高速
側スプロケツトに強制的に押圧して掛換えること
ができるので、変速操作開始時からチエンが高速
側スプロケツトに掛換わるまでの間の時間を短縮
でき、変速性を著るしく向上できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は多段スプロケツトと共に自転車のフレ
ームに取付けた状態を示す正面図、第２図は掛換
具を低速用スプロケツトと対応する位置に移行さ
せた状態の説明図、第３図はチエン掛換時の状態
を示す説明図、第４図乃至第６図は掛換具の左プ
レートのみを示すもので、第４図は正面図、第５
図は側面図、第６図は第４図−線拡大断面図
である。 ５……掛換具、５１……案内輪、５２……緊張
輪、５３……左プレート、５４……右プレート、
Ｂ……後輪、Ｃ……チエン、１０……多段スプロ
ケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チエンを自転車の後輪に設ける多段スプロケツ
   トの軸方向に移動させ、前記スプロケツトの一つ
   に掛換えるリヤデイレーラーであつて、前記チエ
   ンを前記スプロケツトに案内する案内輪と、緊張
   輪とを１対の左右プレート間に支持する掛換具を
   備え、前記左右プレートのうち、左プレートにお
   ける案内輪の支持側に、前記多段スプロケツトの
   方向に向かつて前記案内輪の外径より外方に延
   び、かつ、前記多段スプロケツトの低速側スプロ
   ケツトから高速側スプロケツトにチエンを掛換え
   るとき、該チエンと接触して、前記高速側スプロ
   ケツトに押圧するチエン押圧部を設けたことを特
   徴とするリヤデイレーラー。