JPS6220664Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は石油などを燃料とするエンジンを搭載
する車輌において、例えばエンジンへ加圧加熱空
気を圧送させる過給機からの吐出管路の一部に
て、エンジンに加圧加熱空気を送るエンジン過給
管路と、車輌暖房予熱のための補助暖房管路とに
分岐し、その分岐を切り換える切り換え手段と、
補助暖房管路の一部に流量または圧力を制御する
絞り弁を設け、且つ補助暖房管路の吐出口を車輌
運転席の下部に設けるか、または車輌の主暖房装
置の管路と連設することができるエンジン過給装
置である。

自動車のように石油などを燃料とするエンジン
を搭載する車輌においては、エンジンに加圧され
た空気を圧送してエンジンへの吸入空気の充填効
率を高め、エンジンの出力の向上を計るために過
給機が使われている。一般に過給機は０Kg／cm²の
大気を吸入し、0.4〜１Kg／cm²の圧縮空気を圧送
する。また空気の圧縮により0.1Kg／cm²当たり12
〜15度程度の温度上昇があるので、過給機の吐出
管出口温度は60℃程度が容易に得られる。すなわ
ち過給機の出口温度Ｔ_2adは で表される。ここでT₁＝０℃＝273〓で、圧縮比
ρは0.5Kg／cm²過給とし、Ｋ＝1.4と考えると となる。したがつて理論的な断熱圧縮温度上昇は Ｔ_2ad−T₁＝306.5−273＝33.5〔℃〕 となる。過給機では実際の出口温度をT₂とする
と断熱温度効率η_ad＝Ｔ_２ａｄ−Ｔ_１／Ｔ_２−Ｔ_１＝0.
5〜0.6であ り、実際の温度上昇T₂−T₁＝Ｔ_２ａｄ−Ｔ_１／η_ａｄ≒
60℃〜 56℃程度となる。

しかし従来車輌用の暖房装置はエンジンの冷却
水が運転により加熱される温水を熱源とし、特に
冬期冷却水の極めて低いときはエンジン始動後直
ちに走行することはできず、ある程度の時間、温
度が上昇するまで、暖気運転を必要とし、このよ
うな時には、エンジンの過給は必要としない。し
かも冬期においては車輌の車室内にも暖房は必要
ではあるが、冷却水が急速に暖房に適した温度に
達しないので、直ちに暖房装置の熱源として使用
できない欠点をもつている。

本考案の目的は従来のかかる欠点を除き、過給
機からの加圧加熱空気をエンジンへ送る吐出管か
ら分岐する補助暖房管路に通し、大きなエンジン
出力を要しない暖気運転中、補助暖房管路からの
空気によつて補助的に車輌の車室内を暖めるにあ
る。

以下に本考案の実施例を従来例と対比しつつ図
面を参照して説明する。

従来は第２図に示すようにエンジンと結合して
動作する過給機１はエアクリーナ１０を径て清浄
な空気を吸入管２から吸入し、吐出管路３によつ
てエンジンの吸入多岐管１１に吐き出すものであ
る。しかし本考案では過給機からエンジンに空気
が圧送される前に車輌の車室内を暖房するため
に、第１図に示すように吐出管路３を車室内用主
暖房装置１３と連設する補助暖房管路３′とエン
ジン過給管路５とに分岐する。この分岐部分には
外部から操作できるアクチユエータ１０′と連結
し、それぞれの管路への吐き出し空気を切り換え
るダンパ８を設ける。またダンパ８を補助暖房管
路３′側に吐き出し空気が圧送されるように切り
換えたとき、過給１からの風量を自動的または人
為的に調整するための絞り弁４を補助暖房管路
３′の先端近くに設ける。また補助暖房管路３′の
吐出口１２は直接車室内に導くか、または主暖房
装置１３に連結できる。一方ダンパ８が補助暖房
管路３′に送風中、エンジンにエアクリーナを通
つた清浄な空気を送出するための吸入管路６がエ
ンジン過給管路５の側方に突設させる。このエン
ジン過給管路５と吸入管路６の接合点の内部には
外部からアクチユエータ等の操作で開閉できるダ
ンパ９が設けられる。しかしこのダンパ９はアク
チユエータの操作によらずエンジンの吸気圧を利
用して自動的に開閉できる構造とすることもまた
可能である。

いま冬期など車内に暖房が必要ではあるが、エ
ンジンの冷却水が加熱するまで時間を要するの
で、大きな出力を要しない暖気運転中に過給機１
を作動させて、ダンパ８をアクチユエータ１０′
によつて吐出管路３の空気が補助暖房管路３′に
送出されるように切り換えることによつて、過給
機１からの60度程度の加圧加熱空気が主暖房装置
１３を経て室内に吹き出される。また絞り弁４を
操作して風量の調節が行なえる。この場合過給機
１からの空気はエンジンの吸入多岐管１１に送出
されないので、ダンパ９は吸入管路６を開く方向
に働かせ、スロツトル７を通して吸入多岐管１１
に空気が吸入される。

以上に述べたように本考案はエンジンの暖気運
転中で主暖房装置１３が作動するまで、過給機１
からの加圧加熱空気を補助暖房管路３′を通じて
車室内に送出できる。したがつて簡単な構造で、
エンジンが始動し、過給機１が作動すると直ちに
加圧加熱空気が室内に送り出され、ウオームアツ
プ時間を非常に短くする利点がある。その後エン
ジンが運転作動するとダンパ８をエンジン過給管
路５側に送風されるように切り換えても、主暖房
装置１３が加圧加熱空気を送出するので、車輌の
暖房は始動から運転走行に到るまでとぎれること
がなくなる。なおダンパ８の切り換えはエンジン
冷却水の温度を検出する信号をもつて自動的に行
なわれることも可能であるし、吐出口１２付近に
サイレンサーを設けても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のエンジンの過給装置の実施例
を示す構造図である。第２図は従来のエンジン過
給装置の例を示す。 図において、１……過給機、２……吸入管、３
……吐出管路、３′……補助暖房管路、４……絞
り弁、５……エンジン過給管路、６……吸入管
路、７……スロツトル弁、８……ダンパ、９……
ダンパ、１０……エアークリーナ、１０′……ア
クチユエータ、１１……吸入多岐管、１２……吐
出口、１３……主暖房装置、１４……エンジン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車輌用エンジンの過給装置において、過給機
   １より加圧加熱空気が圧送される吐出管路３を
   エンジン過給管路５と補助暖房管路３′に分岐
   させ、この分岐部分に切り換え手段を設けたこ
   とを特徴とする車輌用エンジンの過給装置。 (2) 補助暖房管路３′に絞り弁４を設け、加圧加
   熱空気の流量または圧力を制御できるようにし
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載のエンジ
   ンの過給装置。 (3) 補助暖房管路３′の吐出口１２を車輌の主暖
   房装置１３に連設した実用新案登録請求の範囲
   第２項記載のエンジンの過給装置。