JPS6217475Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は熱効率よく線材を加熱する線材加熱炉
に関する。

考案の技術的背景とその問題点 従来長尺の線材を連続して走行させ高温で急速
に加熱する線材加熱炉は炉の側面に複数個のバー
ナと、これに対向して複数個の排気孔とを配置
し、導管から混合気を導入して直接線材を加熱し
排気孔から排気ガスを取り出していた。この方式
の炉では炉内空間が有効に使用されず、又焔が走
行する線材に直接触れるので線材の品質を低下さ
せるなど種々の不具合があつた。

そのため筒形の加熱炉の一端にバーナを設け、
このバーナから燃焼ガスを炉内の燃焼室に供給
し、燃焼させながら線材を加熱し、燃焼室終端に
燃焼排ガスを導出する線材加熱炉が提案された。
第１図にこの加熱炉の概略を示す。１は燃焼室と
なる炉心管にして、２はその外周をおおう耐火
材、断熱材、３はバーナ、４は排気管、炉体は鋼
製のケーシング５でおおつて構成されている。図
の６は加熱される線材である。

このような加熱炉においては、特に1200℃以上
の高温になる場合は炉体の耐火材などの容積が大
きくなつて、炉体の蓄熱に要する時間、つまり所
定の温度になるまでの昇温時間が長くかかつてい
た。また燃焼後の排気ガスについても排熱回収を
行うために排気ガスを熱交換器に送り、燃焼ガス
に混合する空気を予熱しているが、未だ熱効率の
点からみて不十分であつた。

考案の目的 本考案はこのような点にかんがみなされたもの
であつて、線材を加熱するガス炉において所定の
加熱温度に到達するまでの昇温時間が短縮され、
燃焼排気ガスの有効利用をはかり熱効率を向上さ
せた加熱炉の提供を目的とするものである。

考案の概要 筒状の耐火物からなり燃焼室を形成する炉体
と、この炉体の外周をおおう断熱体と、燃焼室の
一端に配設されたガス噴射ノズルと、燃焼室終端
部に設けられた燃焼ガス排気部と、炉体と断熱体
との間に前記ガス排気部に連接し燃焼室入口近く
まで延伸して設けられた空間部とを備えた線材加
熱炉である。

このような加熱炉で線材を連続して走行させて
加熱すると、燃焼ガスは線材を中心に同方向に旋
回するように噴射されて燃焼室終端部にまで線材
に触れることなく流れ、燃焼排気ガスは前記空間
部を流れるので、燃焼室は炉体の内外両面から加
熱され、断熱体も炉体を経て燃焼ガスに加熱され
るとともに燃焼排気ガスにより直接に加熱される
ので、加熱炉として所定の温度に到達する昇温時
間が早くなる。このように排気ガスが利用されて
熱効率の向上がはかられるものである。

考案の実施例 本考案の１実施例を第２図に示す。燃焼室１１
をおおう耐火材からなる炉体１２の外周をおおう
断熱材１３が配設され、燃焼室１１の一端部に空
間部１４が取りつけられ、この空間部には燃焼ガ
スに混合する混合気体を導入する混合気室１５が
還設され、さらに燃焼ガスを噴射するガス噴射ノ
ズル１６が穿設されていて、これらの外周を鋼製
のケーシング１７で固着している。前記燃焼室の
終端部近傍に燃焼ガス排気部１８が設けられ、こ
のガス排気部に連通し、炉体の外周に沿つて燃焼
室の入口近くに至る環状の空間部１９が前記炉体
と断熱材との間に形成され、終端部はガス排気孔
２０につらなつている。

このような線材加熱炉にて連続して線材１０を
走行させて加熱するときには、混合気室に導入さ
れた混合空気と燃焼ガスとの混合気が噴射ノズル
から燃焼室の内壁面に向い、走行する線材を中心
に同方向に旋回するように噴射され、着火されて
のちも内壁面に沿つた旋回火炎を形成し、炉の中
心軸上を走行する線材に火炎が直接触れることが
なく、線材は旋回する火炎と燃焼室の内壁面との
輻射熱によつて均一に加熱される。このとき燃焼
排気ガスは環状空間部を通つて炉体を外側から更
に加熱することになるので加熱炉としての所定の
温度への昇温が一層早くなり、噴射される混合気
の熱の有効利用が一層強められることになる。す
なわち炉体１２は燃焼室での燃焼ガスの燃焼によ
る加熱及び空間部１９を通過する排気ガスによる
加熱双方により加熱されるため、燃焼室の加熱状
態を均一かつ高温に保つことができる。

なお、前記炉体としては、耐熱性を重視するも
のでは、高アルミナ質のもの（アルミナ80％以
上、好ましくは90％以上）がよい。また、炉温度
が1300℃程度あれば炭化けい素質、窒化けい素質
のものを用いると強度は大きい。

考案の効果 本考案の線材加熱炉は、燃焼室を形成する炉体
内を燃焼ガスが炉内を走行する線材に直接触れる
ことなく流れて内面から熱をあたえるが、流れ終
つたときまだ保有している熱量は多く、これを環
状空間部を流すことによつて炉体を背面からも加
熱するものである。したがつて本考案の加熱炉は
炉体の輻射熱を一層有効に活用でき、昇温が早く
所定の温度に上昇させるまでの時間が短縮でき、
熱効率の一層の向上とともに作業能率の向上をも
はかるものである。

さらに、本考案の炉では燃焼室より排気される
ガスの保有熱を炉体の背面で回収しており、その
分だけ排気損失は減少するので供給する熱が少な
くてすむ。この結果、従来と比較して消費ガス量
を大幅に減少させることができる。また、供給ガ
ス量が少ないので、燃焼室の負荷も小さくなり炉
体の耐火物の寿命も従来より長くなる。また、従
来の炉では空気を予熱し高負荷燃焼を行なつても
最高炉温度は1600゜〜1650℃程度であつたが、本
考案のものでは1800゜〜1850℃を保持することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の線材加熱炉の概略を示す断面
図、第２図は本考案の１実施例の概略を説明する
断面図である。 １０…線材、１１…燃焼室、１２…炉体、１３
…断熱材、１４…空間部、１５…混合気室、１６
…噴射ノズル、１８…燃焼ガス排気部、１９…環
状空間部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 線材を挿入して搬送する貫通孔を両端に有する
   線材加熱炉において、筒状の耐火材からなり燃焼
   室を形成する炉体と、この炉体の外周をおおう断
   熱体と、前記燃焼室の一端に配設され前記炉体の
   内壁面に沿つて燃焼ガスを燃焼させるガス噴射ノ
   ズルと、前記燃焼室の他端に設けられた燃焼ガス
   排気部とを備え、前記炉体と断熱体との間に一端
   部が前記ガス排気部に連通し他端部が前記燃焼室
   の一端に至る空間部が設けられ、この空間部に排
   気ガスを通過せしめ燃焼ガスの燃焼による加熱と
   ともに燃焼室を加熱することを特徴とする線材加
   熱炉。