JPS6212940Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はボールジヨイント用ダストカバーの改
良に関し、さらに詳しくは製作工程における能率
化を図るとともに、品質精度に優れたボールジヨ
イント用ダストカバーを提供することを目的とす
る。

ボールジヨイントは各種機械器具等に多数使用
されているが、一般に、その構成は第１図に示す
ごとく、ジヨイント基部たる大径ソケツト１の上
面に穿設された開口部１ａと連通する、該大径ソ
ケツト１の内部空室１ｂに小径軸２の下端に一体
成形された球状部２ａを嵌入して、該小径軸２の
軸方向への抜出を阻止するとともに、その半径方
向の回動と前記球状部２ａを基端とする所定の揺
動をなさしめるものであり、前記運動を円滑にす
るグリース３を封入するとともに、外部から大径
ソケツト１の開口部１ａへの塵埃等の侵入を阻止
するため前記小径軸２の柱部２ｂ外周から大径ソ
ケツト１外周にかけてダストカバー４が装着され
ているのが通常であり、また、該ダストカバー４
にはグリース抜き用ブリーザ５が設けられ、該グ
リース抜き用ブリーザ５には１本のスリツト６が
刻設されている。このスリツト６は長期間の使用
によつて老廃、汚損したグリース３を新鮮なグリ
ース３に交換する際に、またこの交換によつて圧
入充填されたグリース３の、ダストカバー４の変
形に伴なう余分量を抽出する際に使用されるが、
従来、該スリツト６は製作工程において適宜治具
をもつて手作業にて刻設するため、その深さを均
一にすることがきわめて困難であり、スリツト６
の深さが深過ぎると小径軸２が揺動する際のダス
トカバー４の変形によつてグリース３が過大に抽
出されるおそれがあるとともに、その深さがダス
トカバー４の変形に伴なつて進行する可能性があ
り、また逆に、スリツト６の深さが浅いとダスト
カバー４の変形の際にグリース３が適切に抽出さ
れず、この結果ダストカバー４が適切なたわみ形
状を示さなくなり破損等の不具合を招くおそれが
あるものとなつていた。そして、これに対しては
第２図に示すようなボールジヨイント用ダストカ
バーが提案されたが（実公昭48−18915号）、その
構成は、該ダストカバー４ａ中にグリースリザー
バとなる空洞７ａを穿ち、この空洞７ａ内部を、
細溝よりなる導入通路８ａによつてダストカバー
４ａ内部と制限的に連通させ、かつスリツトより
なる吐出通路９ａによつて外部と連通させてなる
のであり、この構成に対応する特殊な治具を必要
とするとともにその製作工程も複雑化せざるを得
ない問題点を有していた。

本考案は以上の点に鑑み、簡単な構成になり、
能率的に製作できるとともに品質精度に優れたボ
ールジヨイント用ダストカバーを提供せんとする
もので、そのため、ダストカバーのグリース抜き
用ブリーザに、グリース抜き用スリツトの刻設位
置確認用の凸条もしくは凹条を形成することとし
た。

以下、本考案の実施例を第３図ないし第５図に
したがつて説明すると、まず第３図は第１の実施
例を示し、図中５は公知のボールジヨイントに装
着されるダストカバーのグリース抜き用ブリーザ
であり、該グリース抜き用ブリーザ５には前述し
たグリース抜き用のスリツト６が刻設されてい
る。１０，１１は該グリース抜き用のスリツト６
の刻設位置を確認するためにブリーザ５に一体膨
出形成された環状の凸状であつて、あらかじめ設
定されるスリツト６の深さに合わせてその外側な
らびに内側に位置するように形成され、製作工程
中、ブリーザ５にスリツト６を刻設する際には、
該凸条１０，１１間にスリツト６の最深部が位置
するようにすれば、製品毎のスリツト６の深さに
ばらつきが生じることがないばかりか、各製品に
おけるスリツト６の刻設作業が頗る容易となり、
かつ刻設されたスリツト６の深さをその作動上最
良の位置に止めることができる。また、スリツト
６の最深部の内側に位置する凸条１１によつて、
該部におけるブリーザ５は肉厚が大きくなり、こ
のためダストカバーの変形に伴なうスリツト６の
深さの進行をも止める効果をも奏する。したがつ
て、本考案のボールジヨイント用ダストカバーは
前記スリツト６の最深部の内側に位置するように
なる凸条１１を形成すれば、同外側に位置する凸
条１０は必ずしも必要なく、第４図に示すごとく
凹条１２としても良く、第５図に示すごとく、内
側の凸条１０のみとしても良い。但し、この場合
には該内側の凸条１０にできる限り近づくまでス
リツト６を刻設する。

以上述べたように、本考案はグリース抜き用ブ
リーザの外周部のグリース抜き用スリツト最深部
内側位置に凸条を、そして外側位置に凸条または
凹条を形成したので、この凸条と凸条または凹条
との間がグリース抜き用スリツトの刻設位置確認
用目印となりグリース抜き用スリツトを適切に刻
設できることとなる。したがつて、適量のグリー
スを抽出し得るダストカバーを提供できる。さら
に、グリース抜き用スリツト最深部内側位置の肉
厚が厚くなるので、ダストカバーの変形に伴うグ
リース抜き用スリツトの深さの進行を防止でき
る。したがつて、本願考案のダストカバーは長期
間使用してもグリース抜き用スリツトの深さが進
行しグリース抽出量が過大となることがないの
で、常に適量のグリースをダストカバー内に保有
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであり、第１
図は従来のボールジヨイントの正断面図、第２図
は従来のダストカバーの要部断面図、第３図ない
し第５図は本考案に係るダストカバーの要部断面
図である。 １……大径ソケツト、２……小径軸、３……グ
リース、４……ダストカバー、５……グリース抜
き用ブリーザ、６……グリース抜き用スリツト、
１０，１１……凸条、１２……凹条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. グリース抜き用スリツトを刻設したグリース抜
   き用ブリーザを有するボールジヨイント用ダスト
   カバーにおいて、前記グリース抜き用ブリーザの
   外周部には、前記グリース抜き用スリツト最深部
   内側位置に凸条が形成されかつ外側位置に凸条ま
   たは凹条が形成されていることを特徴とするボー
   ルジヨイント用ダストカバー。