JPS6210722B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は金属材料の圧延に際し板クラウンを適
正に制御できると共に良好な板形状が得られる圧
延機列に関し、特に板クラウン、形状制御能力の
優れた２種類の圧延機すなわち凸状のクラウンを
付与した補強ロールを有する圧延機と少なくとも
一対のロールを軸方向に移動可能とした圧延機
（なお、この両者の圧延機については既に出願し
ている）とを組合せた圧延機列に係るものであ
る。 たとえば、鉄鋼のような金属材料の圧延におい
ては、大きな圧延荷重が作用するため、圧延ロー
ルに撓みが生ずると共にロール表面は扁平とな
り、さらに被圧延材エツジ部に幅拡がりを生じ、
従つて圧延された板材はその幅方向における厚さ
分布が、中央部が最も厚くエツジ部に近ずくにつ
れて薄くなる。特にエツジ部では急激に板厚が減
少する。これが現行の４段圧延機を用いた圧延法
において発生する板クラウンであるが、最終圧延
製品にこのような板クラウンがあると製品品質、
歩留りの点から好ましくない。又、圧延の中間工
程において前記した板クラウンが生ずると、その
クラウンが大きな場合は後の圧延工程で修正しよ
うとしても板材に波形状を生じ、圧延作業が困難
となる。このような場合、圧延された板材は板厚
分布形状共に不良である。 従来、板圧延において板クラウンを減少あるい
は制御する方法としては、予めロール胴部にバ
レル状のクラウンを与えておく方法、油圧シリ
ンダ等によつて上、下ロールにコンベツクスある
いはコンケイブなたわみを与える、いわゆるロー
ルベンデイング作用による方法、前記を組
合せた方法、等が一般的に実用化されている。し
かしながら、これら従来の板クラウン減少、制御
方法には種々の問題点が存在する。 すなわち、の方法では圧延材の変形抵抗が化
学成分、温度等によつて変化すること、板幅が
種々変化すること、ロールの熱膨張及び摩耗によ
りロールの形状が変化することなどの要因によ
り、種々の圧延条件に対し適正なクラウンを予め
ロールに付与することは実際上不可能なことであ
る。又、板波等を発生させることなく、つまり良
好な板形状を維持しながら板クラウンを変化させ
減少させることは極めて困難である。 のロールベンデイング装置によりロールに撓
みを与え板クラウンを変化させる方法の場合、ロ
ールネツク部の強度、ベアリングの寿命等の点か
ら現状の圧延機ではあまり強力な曲げ力を適用す
ることはできない。又、作業ロールは補強ロール
とほぼロール全胴長にわたつて接触しており、被
圧延材板幅より外側では作業ロールは補強ロール
によつて余分な曲げモーメントを受けているため
作業ロールのベンデイング効果はそれだけ減殺さ
れることになる。前記の理由から作業ロールベン
デイング効果は板端部近傍には現われるが、板幅
中央部までにはその効果を得ることはできない。 の組合せ方法でも、前記の方法の場合と同
様圧延材の変形抵抗の変動、板幅の変動ならびに
ロールの熱膨張や摩耗による板クラウン変化を吸
収できるほどの板クラウン減少効果はもたらされ
ない。 本発明者らは上達した従来の板クラウン減少制
御方法の問題点を解決し板圧延における板クラウ
ン減少制御を効果的に行なうことができる圧延機
について研究を重ねた結果、先に板クラウン、形
状制御特性のきわめて優れた独自の補強ロールを
備えた圧延機を開発し所望の良好な結果を得た
（なお、この圧延機については既に出願してい
る）。 上記の板クラウンを効果的に制御できる圧延機
を第１図に基いて説明する。この圧延機は幅Ｂを
有する被圧延材１を圧延する上、下の作業ロール
２ａ，２ｂと、該作業ロール２ａ，２ｂをそれぞ
れ支持する補強ロール３ａ，３ｂを有し、該補強
ロール３ａ，３ｂに、作業ロール２ａ，２ｂの有
効胴長よりも短かい有効胴長L′をもたしめ、この
有効胴長L′の両外側端側には段差を形成しかつ前
記有効胴長部L′には凸状のクラウンを付与せしめ
てある。なお、６ａ，６ｂは作業ロール２ａ，２
ｂのロールベンデイング装置である。かく構成す
ることによつて補強ロール３ａ，３ｂに適切な有
効胴長L′を設定すれば、その両端部に段差部を有
することから作業ロール２ａ，２ｂを有効にかつ
広範囲にベンデイングさせることができ、種々の
板幅水準に対して効果的なクラウン、形状の変
化、制御能力を発揮せしめることができるもので
ある。 一方、第２図に概略的に例示した少なくとも一
対のロールを軸方向に移動可能とした新形式の圧
延機については既に特公昭50−19510号公報にて
説明されているのでここではその技術的根拠背景
については説明を省略するが、板クラウン形状制
御能力の極めて優れた新形式の圧延機である。こ
の図で１は第１図と同じく被圧延材であり、２
ａ，２ｂは作業ロール、５ａ，５ｂは軸方向に移
動可能なロール、４ａ，４ｂは補強ロール、６
ａ，６ｂはロールベンデイング装置、７ａ，７ｂ
はロール軸方向移動装置である。 上述した２種類の圧延機をそれぞれ単独あるい
は組合せて実用に供して圧延製品を得る場合、板
クラウンと板形状との関連が問題となつてくる。
通常の板材圧延においては板クラウンを変化させ
ると形状が劣化するから板クラウンは大きく変化
させ得ないと考えられていた。 本発明者らは上記の凸状のロールクラウンを付
与した補強ロールを備えた圧延機の実用化、なら
びにロールの軸方向移動が可能な新形式圧延機の
実用化に際しさらに一層の研究実験を行なつた結
果、板クラウンの効果的な制御と良好な板形状が
得られ極めて良質な圧延製品が得られる圧延機列
を見い出したのである。すなわち、本発明の特徴
とするところは、作業ロールに接する胴長を作業
ロールのそれよりも短かくすると共に、前記作業
ロールに接する胴部にクラウンを付与した補強ロ
ールを有する圧延機と、作業ロールと補強ロール
との間に配設された中間ロールを軸方向に移動可
能とした圧延機とにより構成される圧延機列にお
いて、前記胴部にクラウンを付与した補強ロール
を有する圧延機を圧延機列の上、中流スタンド
に、前記中間ロールを軸方向に移動可能とした圧
延機を圧延機列の下流スタンドに配設して、前記
胴部にクラウンを付与した補強ロールを有する圧
延機によつて主として板クラウン制御を行い、中
間ロールを軸方向に移動可能にした圧延機によつ
て主として板形状制御を行なうようにしたことに
ある。 以下本発明について詳細に説明する。 本発明においては圧延機列の上流、中流スタン
ドの１以上のスタンドに凸状ロールクラウンを付
与した補強ロールを有する圧延機を配設し板クラ
ウン制御を行ない、最終スタンドまたは最終スタ
ンドを含む下流スタンドにロール軸方向移動が可
能な新型式圧延機を配設し主として形状制御を行
なうような圧延機列である。これは板形状に前履
歴には関係なく一個のスタンドの圧延条件によつ
て決定されるという本発明者らの知見に基づく、
つまり平坦な製品形状を得るためには最終スタン
ドのみで形状制御を行なえば足り、上流、中流ス
タンドでは充分な板クラウン制御を行なえばよい
ということになる。しかしながら、以下に詳細に
説明するように、下流スタンドで被圧延材の板厚
ｈが薄くなるとわずかな板クラウン変化に対応し
て形状変化が大きいため形状を考慮しながら板ク
ラウン制御を行なわなければならず、形状、クラ
ウン制御機能がより優れた新形式圧延機を最終ス
タンドのみならず下流スタンドに配設した方が実
用的にはより安全である。 第３図は板クラウンの変化と板形状の変化との
関係を示す図表で、本発明者らが実験によつて得
た実測値を示している。図の横軸は板クラウン変
化から板巾方向にメタルフローがないとして求め
た板中央部と板端部の長手方向伸び差を板の端伸
びと中伸びに分けて縦軸は板形状から求めた伸び
差を端伸び及び中伸びにて表わし、端伸びを正、
中伸びを負で示している。通常板クラウン減少を
行なうために板クラウンを変化させると当然それ
に伴なつて板形状も変化することになるが、第３
図に示す本発明者の実験によれば、板クラウン変
化が板形状に与える影響は板厚および板幅によつ
て差異があることがわかる。すなわち、板厚ｈが
３mmの場合、板幅Ｂによつて差はあるが、板クラ
ウン変化が板形状変化に与える影響は比較的大き
い。しかし板厚ｈが６mmの場合には板クラウンを
大きく変化させても、それに伴なう形状変化は前
記の３mmの場合に比べ格段に小さい。これは板厚
が厚い場合には板幅方向に材料流れ（メタルフロ
ー）があるため、形状変化が相殺されてしまうか
らと考えられる。従つて、このことからまず板厚
が比較的厚い場合、即ち圧延機列における上流ス
タンド及び中流スタンドにて板クラウンの減少制
御を行なうことが形状変化に与える影響を考慮す
れば、極めて有利であることが明らかとなる。 本発明者らはさらに次のような研究実験を行な
い、本発明を完成させた。すなわち、板巾Ｂが３
フイートから７フイートの製造範囲であるホツト
ストリツプの仕上圧延機列に第１表のような各種
圧延機列を組込んで板クラウンの制御範囲を調査
した。

【表】 ここで凸状のロールクラウンを付与した補強ロ
ールを有する圧延機の場合、ロールクラウンを付
与するロールの有効胴長L′及びロールクラウンの
大きさΔＤ（第１図参照）は各スタンドにおいて
板形状の中伸び発生限界から決めたもので各スタ
ンドのL′及びΔＤは第２表の通りである。

【表】 さらにロール軸方向移動可能な新形式圧延機の
場合ロールの摩耗及びスポーリング防止などの観
点から、移動ロール端部は板巾端部と一致すると
きを最大ロール移動量とした。またロールベンデ
イング力の制御範囲はNo.１〜No.６スタンドにおい
ては０〜100トン／チヨツク、No.７スタンドは０
〜180トン／チヨツクである。このような６種類
のスタンド配列における板製品の板クラウン制御
範囲は第４図に示すような結果が得られた。図よ
り明らかなように板クラウンの大きさ及びその制
御範囲からみるとスタンド配列Ｂが最良ではある
が、Ｄ、Ｅ、Ｆの場合も実用的に必要な板クラウ
ンの大きさ及び制御範囲ではＢとほぼ等しいこと
がわかつた。 そこで本発明者は次のような理由から本発明の
優位性を確認し、実用的に有効な発明であること
を見出した。すなわち、スタンド配列Ｂの場合ロ
ールを軸方向に移動可能とした新形式圧延機はス
タンドの大きさ、ロール移動装置、ロールの使用
本数及びロール耐用性などの点から設備費、稼動
費が他の圧延機より割高となるため所望の板クラ
ウン形状制御特性が得られる限りにおいて新形式
圧延機のスタンド数は少ない方が経済的である。
凸状ロールクラウンを付与した作業ロール胴長よ
りも短かい胴長をもつ補強ロールを有する圧延機
は、設備費、稼動費は従来の４段圧延機と同程度
で割合でありこの圧延機を含む本発明のスタンド
配列Ｄ、Ｅ、Ｆは板クラウン形状制御特性からみ
るとスタンド配列Ｂとほぼ同等となつており、実
用的ならびに経済的に極めて有効である。 第５図に本発明の圧延機列の一実施例を示す。
図において下流スタンドのNo.６及びNo.７スタンド
にロール軸方向移動可能な新形式圧延機を上、中
流スタンドのNo.１〜No.５スタンドに凸状ロールク
ラウンを付与した補強ロールを有する圧延機を配
設している。これよりNo.１〜No.５スタンドにおい
て主として板クラウン制御を行ない、No.６、No.７
スタンドで主として形状制御を行なつている。形
状制御はNo.７スタンドだけでも十分効果は得られ
るが、下流スタンドでは圧延材の板厚が薄いので
板形状変化が敏感なため本実施例ではNo.６スタン
ドにも形状クラウンの制御機能の優れた新形式圧
延機を配設している。 以上説明したように本発明は板クラウン制御と
板形状制御を両立させうる圧延機列であり、その
実用的価値は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る圧延機列を構成する凸状
ロールクラウンを付与した補強ロールを有する圧
延機を示す図。第２図は本発明に係る圧延機列を
構成するロールの軸方向移動可能な新形式の圧延
機を示す図。第３図は板クラウン変化と形状変化
の関係を示す図。第４図は各種スタンド配列の場
合の板クラウンの大きさ及び制御範囲を示す図。
第５図は本発明に係る板クラウン形状制御圧延機
列の一実施例を示す図。 図面で１は被圧延材、２ａ，２ｂは作業ロー
ル、３ａ，３ｂは凸クラウンを付与した補強ロー
ル、４ａ，４ｂは補強ロール、５ａ，５ｂは軸方
向移動可能なロール、６ａ，６ｂはロールベンデ
イング装置、７ａ，７ｂはロール軸方向移動装置
である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 作業ロールに接する胴長を作業ロールのそれ
   よりも短かくすると共に、前記作業ロールに接す
   る胴部にクラウンを付与した補強ロールを有する
   圧延機と、作業ロールと補強ロールとの間に配設
   された中間ロールを軸方向に移動可能とした圧延
   機とにより構成される圧延機列において、前記胴
   部にクラウンを付与した補強ロールを有する圧延
   機を圧延機列の上、中流スタンドに、前記中間ロ
   ールを軸方向に移動可能とした圧延機を圧延機列
   の下流スタンドに配設して、前記胴部にクラウン
   を付与した補強ロールを有する圧延機によつて主
   として板クラウン制御を行い、中間ロールを軸方
   向に移動可能にした圧延機によつて主として板形
   状制御を行なうようにしたことを特徴とする板ク
   ラウン形状制御圧延機列。