JPS6158826B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は静電写真法で用いられるトナーに関
し、更に詳しくは低い熱エネルギーで定着可能
で、しかも潜像保持表面及びトナー用担体表面へ
のトナー膜形成が少ない、改良された乾式現像用
トナーに関する。

静電的手段によつて電子写真感光材料（導電性
支持体上に光導電層を設けたもの）や静電記録材
料（導電性支持体上に絶縁層を設けたもの）など
の表面に潜像を形成し現像する静電写真法は周知
であり、その基本的なものは米国特許第2297691
号明細書に記載されているわゆるカールソンプロ
セスである。この方法は光導電層上に一様に帯電
を行ない、引続き像状露光を施すことによつて露
光部の電荷を消散させて静電潜像を形成し、これ
を着色剤と樹脂とからなる乾式トナー粒子で現像
し、必要あれば得られたトナー粉像を紙等の転写
シートに転写した後、熱、圧力、溶剤、被覆処理
等の手段でトナー粉像を光導電層又は転写シート
上に永久的に定着するというものである。静電記
録材料を用いた場合は前述のような帯電及び像状
露光の代りに絶縁層に直接像状の帯電を施すこと
により潜像を形成し、以下同様な方法で現像す
る。

こうして形成された潜像を乾式トナーで現像す
る方法としてはパウダークラウド法（米国特許第
2221776号明細書）、カスケード法（米国特許第
2618552号明細書）、磁気ブラシ法（米国特許第
2874063号明細書）、フアーブラシ法（米国特許第
2902974号明細書）、接触現像法（米国特許第
2811465号及び第3166432号明細書）、加圧現像法
（米国特許第3152012号明細書）、磁性トナー法
（米国特許第3909258号明細書）等、多種多様であ
り、これらの幾つかは、今日商業的に広く使用さ
れているが、最も一般的に使用されている乾式現
像法はカスケード法及び磁気ブラシ法である。

カスケード法及び磁気ブラシ法においては通
常、感光材料（又は静電記録材料）としてドラム
状のものが用いられているが、カスケード法の場
合はこのような静電潜像を保持したドラム表面上
にトナーと担体粒子とからなる現像剤を流下させ
ることによつて現像が行なわれ、このトナー粉像
は普通、紙に転写された後、適当な装置によつて
加熱され、溶融定着される。トナー粉像転写後の
ドラムはクリーニングブラシなどで残留トナーを
除去することにより、また現像剤は消費されたト
ナーを補給することにより夫々有効寿命期間中、
反復使用（使用回数は数万回にも及ぶ）される。
一方、磁気ブラシ法の場合も静電潜像を保持した
ドラム表面に、トナーと帯磁性担体粒子とからな
る現像剤を保持した磁気ブラシを接触させること
により現像が行なわれ、カスケード法の場合と同
様、ドラム及び現像剤は有効寿命期間中、反復使
用される。

以上のように担体粒子を混合使用する現像法に
おいては現像剤は激しい機械的衝撃や剪断力を受
けるため、トナーは更に細かく粉砕されて担体粒
子表面にトナー膜として形成蓄積され、その結
果、現像剤の機能低下を招く。これに対しフアー
ブラシ法、接触現像法、加圧現像法、磁性トナー
法など担体粒子を混合使用しない現像法の場合は
担体粒子を特に使用しないので、このような欠点
は生じないが、カスケード法及び磁気ブラシ法と
同様、トナーは反復使用されるので、新たに潜像
保持表面へのトナー膜形成という問題が生じる。

これら潜像保持表面や担体粒子表面へのトナー
膜形成の現象はトナーが剪断及び衝撃力に耐え得
る強靭で高分子量の樹脂を含有するか、或いは表
面エネルギーの小さい樹脂を用いることにより減
少させることができる。しかしこのような樹脂を
多量に用いると、トナー粉像を迅速に定着するこ
とが困難であり、また定着に要する熱エネルギー
の増大を伴うので、高速複写には向かない。従つ
て高速複写用として比較的低温で容易に加熱定着
させるためには軟質で低分子量の樹脂を用いる必
要があるが、この場合はトナー膜形成の欠点が助
長され、紙のみならず、定着ロール上にも融着
し、ロールや複写物の汚れを起こし、更には現像
剤が凝集して粉体としての挙動を損なうなどの不
都合を生じる。

本発明の目的は以上の欠点を改良し、高速複写
においても安定した挙動を示し、比較的低い熱エ
ネルギーで、定着ロールや複写物を汚染すること
なく迅速に定着でき、しかもクリーニングが容易
で、潜像保持表面のみならず担体粒子表面へのト
ナー膜形成を低減した静電写真用乾式トナーを提
供することにある。

この日的は乾式トナー中にエチレン〜酢酸ビニ
ル共重合体とフルオロポリマーとを含有させるこ
とにより達成される。

本発明で使用されるフルオロポリマー（Ｂ成
分）は低表面エネルギー樹脂で、具体例としては
ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオ
ロエチレン、フルオロシリコンなどが挙げられ
る。

またエチレン〜酢酸ビニル共重合体（Ａ成分）
は例えば米国デユポン社で製造されているエチレ
ン60〜80モル％と酢酸ビニル40〜20モル％との共
重合体である。このものは軟化点約90〜200℃
で、前述のフルオロポリマーやポリエチレン等の
低表面エネルギー樹脂に対し良好な接着性を有し
ている。

なおエチレン〜酢酸ビニル共重合体の量はトナ
ー全量に対し１〜80wt.％、好ましくは20〜50wt.
％であり、またフルオロポリマーの量は10wt.％
以下、好ましくは５〜〜0.1wt.％であるが、最適
量はトナーの製造法或いはトナーの形態によつて
適宜、決めることができる。

以上の成分の他に、本発明では通常の乾式トナ
ーに使用されている熱可塑性樹脂や可塑剤を併用
することができる。このような熱可塑性樹脂とし
ては例えばスチレン、ｐ−クロルスチレン、ビニ
ルナフタレン、エチレン、プロピレン、ブチレ
ン、イソブチレンなどのエチレン系不飽和モノオ
レフイン類、ハロゲン化ビニル、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニ
ル、カプロン酸ビニルなどのビニルエステル類、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ｎ−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル
酸ドデシル、アクリル酸ｎ−オクチル、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチルなどのエチレン系モノカルボン酸及びその
エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、アクリルアミドなどのエチレン性モノカルボ
ン酸置換体、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジ
ブチルなどのエチレン系ジカルボン酸及びその置
換体、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケト
ン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケ
トン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチ
ルエーテルなどのビニルエーテル類などのホモポ
リマー又はコポリマーや、ポリエステル、エポキ
シ樹脂、フエノール９ホルムアルデヒド樹脂、コ
ーパル、ダンマー、ロジン、クマロン〜インデン
樹脂、ワツクス類、アスフアルト類及びそれらの
混合物が挙げられる。なおこれらの樹脂はエチレ
ン〜酢酸ビニル共重合体と良好に相溶し得る。

本発明のトナー組成物は任意の周知の方法で作
成される。例えば全成分を溶融混練し、冷却後、
微粉砕する方法や、前記成分を溶媒中に分散し、
これを噴霧乾燥によつて微粉化する方法などがい
ずれも採用できる。

以下、本発明を実施例によつて詳述するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものでないこ
とはいうまでもない。なお部及び％は夫々重量
部、重量％を示す。

実施例 １ ポリスチレン 10部 エチレン〜酢酸ビニル共重合体 （酢酸ビニル含有量33wt％） 53部 ポリテトラフルオロエチレン微粉末 ７部 を順次加熱混練し、均一混合した後、カーボンブ
ラツク10部を添加し、充分混合分散して取出し、
冷却後、粗粉砕し更にジエツトミルで微粉砕して
平均粒径11ミクロンのトナーを得た。このトナー
を平均粒径150ミクロンの酸化処理鉄粉と混合し
現像剤とした。これを用いてリコー製PPC−900
型普通紙用電子写真複写機で複写テストを行なつ
たところ、定着に要する定着ロールの温度は140
℃であつた。また標準テストパターンによる連続
複写テストで2000枚毎に画像、光導電層、定着ロ
ールの汚れ状態を調べた結果、16000枚までは画
像等に何らの変化も認められず、20000枚で画像
に地汚れが生じ始めた。この地汚れは光導電層を
アルコールでクリーニングすることによつてなく
なり、再び連続複写テストを継続することができ
た。

実施例 ２ ポリスチレン30部、エチレン〜酢酸ビニル共重
合体（酢酸ビニル含有量28wt％）55部及びテト
ラフルオロエチレンとヘキサフロロプロピレン
（１：１）の共重合体微粉末５部を混合溶融し、
これにカーボンブラツク10部を混練分散した他は
実施例１と同じ方法で平均粒径12ミクロンのトナ
ーを得た。以下このトナーについて実施例と同様
な方法で連続複写テストを行なつたところ、
20000枚まで何らの変化も認められなかつた。こ
の場合の定着温度は160℃であつた。

実施例 ３ エチレン〜酢酸ビニル共重合体として酢酸ビニ
ル含有量28wt％のものを用い実施例１と同じ方
法でトナーを作成した。連続複写テストの結果、
定着温度150℃で16000枚まで何らの変化も認めら
れなかつた。

実施例 ４ ポリスチレン系樹脂エマルジヨン（固形分50
％）30部、エチレン〜酢酸ビニル共重合体（酢酸
ビニル含有量28wt％）エマルジヨン（固形分30
％）100部及びポリテトラフルオロエチレン微粉
末分散体（固形分30％）５部の混合物中にカーボ
ンブラツク５部を分散し、これをスプレードライ
ヤーで噴霧乾燥することにより平均粒径11ミクロ
ンのトナーを得た。連続複写テストの結果、定着
温度150℃で14000枚まで何らの変化なく複写でき
た。

比較例 ポリスチレン90部及びカーボンブラツク10部を
実施例１と同様な方法で製造して平均粒径11ミク
ロンのトナーを得た。連続複写テストの結果は定
着温度170℃で6000枚の複写で地汚れを生じた。
そこで光導電層をアルコールでクリーニングして
も、初期の状態まで回復することはなく、このこ
とから現像剤の機能が低下していることが認めら
れた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 着色剤と少なくとも下記の(A)成分及び(B)成分
   を含有する樹脂との混合物からなるトナーであつ
   て、トナー全量に対し(A)の量は１〜80重量％、(B)
   の量は0.1〜10重量％であることを特徴とする静
   電写真用乾式トナー。 (A) エチレン60〜80モル％と酢酸ビニル40〜20モ
   ル％との共重合体。 (B) フルオロポリマー。