JPS6146183Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動二輪車用多気筒エンジンに関し、
特に発電機と始動モータの配列構造に関する。

自動二輪車はその構造上エンジンを搭載するス
ペースが限られており、従つて、多気筒エンジン
においては当該エンジンに付髄して取付ける充電
用発電機（以下単に発電機という）及び始動モー
タ（以下単にモータという）等の配置を考慮し、
少しでもコンパクト化することが必要不可欠であ
る。そこで、エンジンのクランク軸と別軸上に発
電機軸を配置し、チエーン等で駆動させるように
し、エンジンの全幅を狭く形成し、カーブ走行時
におけるバンク角に余裕を持たせ、足元のスペー
スにゆとりを持たせるようにしている。

従来の自動二輪車用多気筒エンジンは第１，２
図に示すように、エンジン１のクランクケース１
ａの上部後方、且つ減速駆動部２と反対側の位置
にクランク軸１ｂと平行に発電機３及びモータ４
を配置し、クランク軸１ｂに固設した歯車５と発
電機軸３ａに固設した歯車６とをチエーン７で連
結すると共に、発電機軸３ａに固設した一方向ク
ラツチ８とモータ軸４ａに固設した歯車９とをア
イドルギヤ１０を介して噛合する。そして、始動
時にはモータ４の駆動力をアイドルギヤ１０、一
方向クラツチ８、歯車６、チエーン７、歯車５を
介してクランク軸１ｂに伝達し、当該クランク軸
１ｂを駆動し、運転時にはクランク軸１ｂにより
チエーン７、歯車６を介して発電機３を駆動させ
るようにしている。

しかしながら、上述したように発電機とモータ
とを分配して配置した構造においては、発電機の
軸穴の蓋体及びアイドルギヤの軸の抜け止めを
夫々各別に行なう必要があり、部品点数が多くな
り、これに伴ない加工及び組立工数が増加し、生
産性の低下や重量を増加を来す不都合があつた。

本考案は上記従来の不都合を除去する目的でな
されたもので、発電機の軸端部を封じる蓋体の外
周側近に、且つ発電機軸と平行にモータの出力軸
を配置し、当該モータの軸側端面により前記蓋体
を係止し、当該蓋体の逸脱を防止すると共に、発
電機とモータとの軸方向の長さを短縮させるよう
にした自動二輪車の多気筒エンジンを提供するも
のである。

以下本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳
述する。

第３図は本考案における自動二輪車用多気筒エ
ンジンの発電機とモータとの配置状態の断面を示
すもので、クランクケース２０にはチエーン７及
び一方向クラツチ４２を収納するケース２１、発
電機５０の収納ケース２２、アイドルギヤ６０の
収納ケース２３、蓋体４９の取付穴２４ａを有す
るフレーム２４、モータ取付用穴２５ａを有する
フレーム２５、発電機軸支持用の穴２６ａを有す
るフレーム２６が一体に形成されている。穴２４
ａ，２６ａは対向しており、且つ軸心が一致して
いる。また、穴２５ａは穴２４ａと平行に穿設さ
れている。そして、これらの穴２４ａと２５ａと
は接近した位置に設けられており、夫々ケース２
３と連通している。

軸受枠３０は略筒体状をなし、一側開口端には
フランジ３０ａが形成されている。この軸受枠３
０はシール部材３１を介してフレーム２６の穴２
６ａ内に嵌合されており、フランジ３０ａはネジ
３２によりフレーム２６に固定されている。軸４
０は発電機軸で、一側はシール部材３３及び軸受
３４を介して軸受枠３０の穴３０ｂ内に軸支さ
れ、他側は軸受３５を介してフレーム２４の穴２
４ａ内に軸支されている。この軸４０の一側の軸
心位置には穴４０ａが設けられており、更に、こ
の穴４０ａには周部に連通する通孔４０ｂ，４０
ｃが設けられている。

軸４０の略中央には歯車４１がスプライン結合
により回転方向に係止されるように嵌装されてお
り、所定の歯底位置には軸４０の穴４０ｂと対向
して連通する穴４１ａが穿設されている。この歯
車４１の一側には略々円盤状の支持板４１ｂが一
体に形成されている。この歯車４１は１点鎖線で
示すチエーン７を介して図示しないエンジンのク
ランク軸に固設された歯車に係合されている。

一方向クラツチ４２は軸４０に歯車４１と隣接
して嵌装されており、被駆動部材４３はピン４５
を介して歯車４１の支持板４１ｂに固定され、駆
動部材４４は軸受４６、カラー４７を介して軸４
０に軸支されている。この駆動部材４４は歯車に
なつている。軸４０の一端にはナツト４８が螺合
されており、歯車４１、一方向クラツチ４２、カ
ラー４７、軸受３５の軸方向への抜けを防止する
ようになつている。更に、フレーム２４の穴２４
ａの開口部にはシール部材８０を介して蓋体４９
が嵌合されており、軸４０の端部側を封じてい
る。

軸４０の他端には発電機５０の回転子５１及び
フアン５２が装着されており、ネジ５３により当
該軸４０に固定されている。また、ケース２２内
には固定子５４が装着されており、更に、このケ
ース２２にはケース５５がネジ５６により装着固
定されている。

アイドルギヤ収納ケース２３内にはアイドルギ
ヤ６０が収納されており、このアイドルギヤ６０
はケース２３に穿設された軸穴２３ａ，２３ｂに
シール部材８１を介して嵌合された軸６１に回転
自在に軸支されている。軸６１にはピン６２が植
設されており、このピン６２は穴２３ｂの端部に
設けられたスリツト２３ｃ内に嵌合され、軸６１
の回転を防止するようになつている。

フレーム２５の穴２５ａ内にはシール部材８２
を介してモータ７０の出力軸７１のボス７０ａが
嵌挿されており、脚部７０ｂはネジ８５によりク
ランクケース１ａに固定されている。そして、か
かる取付状態において、モータ７０の出力軸７１
側端面７０ｃは蓋体４９及び軸６１の端面外周部
に当接しており、これらの蓋体４９及び軸６１が
ケース２４及び２３の穴２４ａ及び２３ｂから抜
け出すことを防止するようになつている。この場
合図示のようにモータ７０の端面７０ｃが蓋体４
９のほぼ全面、軸６１の端面の一部に当接するよ
うにしてもよく、或は蓋体４９、軸６１の端面の
適宜の個所に当接するようにしてもよい。モータ
７０の出力軸７１には周部に歯車部７１ａが刻設
されている。そして、アイドルギヤ６０の歯車６
０ａはモータ７０の出力軸７１の歯車部７１ａ
に、歯車６０ｂは一方向クラツチ４２の駆動部材
４４に夫々噛合している。

更に、クラツチ収納ケース２１とフレーム２４
との間に形成された膨出部２９にはフレーム２４
の穴２４ａと連通する連通孔２９ａが設けられて
おり、この連通孔２９ａには流路２７ａを有する
継手２７が螺合固定されている。この継手２７は
パイプ２８を介して図示しないオイルポンプに接
続されている。オイルポンプから吐出された潤滑
由はモータ７０の歯車部７１ａ、アイドルギヤ６
０等の各回転部分及び噛合部に、軸４０の穴４０
ａ，４０ｂ及び歯車４１の穴４１ａを通してチエ
ーン７、一方向クラツチ４２等の各部に、軸４０
の穴４０ｃ及びカラー４７の穴４７ａを介して軸
４０と当該カラー４７との周接面、軸受４６等に
夫々供給されるようになつている。これらの各部
に供給されたオイルは最終的にはクランクケース
２０内に流入し、再び前記オイルポンプに戻され
るようになつている。

このようにして、発電機５０とモータ７０とを
略々対向させ、且つ軸４０（発電機軸）とモータ
出力軸７１とを平行に配置し、これらの両軸をア
イドルギヤ６０及び一方向クラツチ４２で係合す
る。更に、モータ出力軸７１をクランクケース２
０に設けた取付穴２５ａ内に嵌挿させて発電機５
０とモータ７０との軸方向の長さを出来る限り短
縮すると共に、モータケース端面７０ｃにより軸
４０の端面側蓋体４９及びアイドルギヤの軸６２
の端面に当接させ、これらの軸方向への抜け出し
を阻止するようにしている。

かかる構成において、エンジンを始動させる場
合、モータ７０を駆動し、該モータ７０がケース
端面７０ｃ側から見て例えば反時計方向に回転す
ると、アイドルギヤ６０が時計方向に回転し、一
方向クラツチ４２の駆動部材４４が反時計方向に
回転する。一方向クラツチ４２は駆動部材４４が
反時計方向に回転すると、係止固定されて被駆動
部材４３すなわち、軸４０が同方向に回転し、歯
車４１及びチエーン７を介して図示しないクラン
ク軸を前記反時計方向に駆動回転させ、エンジン
を始動させる。

エンジン始動後モータ７０を停止させると、軸
４０は前記クランク軸により引続いて反時計方向
に駆動回転され、この軸４０に固設されている発
電機５０が回転する。発電機５０は回転速度に応
じた電力を出力する。エンジンが始動してクラン
ク軸が反時計方向に回転すると、一方向クラツチ
４２の被駆動部材４３と駆動部材４４との間の係
止関係が解除され、駆動部材４４、アイドルギヤ
６０及びモータ７０は停止した状態に保持され
る。

以上説明したように本考案によれば、ケースの
発電機の駆動軸端部を封ずる蓋体の外周側部に該
駆動軸と平行にモータの出力軸を嵌挿し、該モー
タの端面を前記蓋体及びアイドルギヤ軸端面に当
接させてこれらを係止することにより、前記蓋体
及びアイドルギヤ軸の抜け出しを防止することが
でき、固定用のネジの必要がなくなり、部品点数
が減少し、これに伴なう加工及び組立て工数が減
少し、生産性を向上させることができる。更に、
発電機とモータとの軸方向の長さを短縮すること
ができ、エンジンを更にコンパクト化することが
できると共に、外観的にもすつきりした形とする
ことができる等の利点がある。

尚、本実施例では蓋体内側にオイルポンプに連
なる潤滑油路を有する場合を開示したが、蓋体内
側に潤滑油路等を有しない場合例えばグリース充
填等の場合には前記蓋体及びアイドルギヤ軸端面
に多少の隙間を設けて配置しても同様の効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動二輪車用多気筒エンジンの
発電機とモータとの配置状態を示す要部説明平面
図、第２図は第１図の側面図、第３図は本考案に
係る自動二輪車用多気筒エンジンにおける発電機
とモータとの配置関係の一実施例を示す縦断面図
である。 １……エンジン、７……チエーン、２０……ク
ランクケース、４０……軸、４１……歯車、４２
……一方向クラツチ、５０……発電機、６０……
アイドルギヤ、７０……モータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 発電機と始動モータとをクランクケース上部に
   配置すると共にそれらの各軸をクランク軸に平行
   に配し、且つこれらの両軸をアイドルギヤ及び一
   方向クラツチを介して係合させるタイプの自動二
   輪車用多気筒エンジンにおいて、前記発電機を収
   納するケースの当該発電機軸の端部側を封ずる蓋
   体の外周側近位置に穿設した穴に前記始動モータ
   の出力軸を嵌挿させて発電機と略々対向配置させ
   ると共に、前記蓋体及び前記アイドルギヤの軸端
   面に前記始動モータのケース端面を近接させ、こ
   れらの蓋体及びアイドルギヤ軸のケースからの逸
   脱を防止するようにしたことを特徴とする自動二
   輪車用多気筒エンジン。