JPS6143642Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車等の車両において、車両に搭
載したエンジンの吸気負圧を利用した制動倍力装
置に関するものである。

車両における制動力を、エンジンの吸気負圧等
の真空を用して増大する真空式制動倍力装置は知
られているが、これらは車両に搭載されるエンジ
ンがデイーゼルエンジンである場合において、当
該デイーゼルエンジンが吸入空気調節用の絞り弁
を備えていない場合とか、又は絞り弁を備えてい
ても絞り弁の閉によつて真空側に大きい負圧を得
ることができない場合には、エンジンによつて駆
動される真空ポンプを設けて高い真空を得て、こ
れを前記真空式制動倍力装置に作用するようにし
ているから、真空ポンプの設置のための費用が嵩
むばかりか、取付けスペース、重量及びエンジン
負荷が増大する。

また、ガソリンエンジン等のエンジンにおいて
その吸気系に設けられている吸入空気調節用の絞
り弁は、アクセルペタルに関連し、該絞り弁を閉
じたときに真空側に大きい吸気負圧が得られるも
ので、例えば絞り弁とアクセルペタルとをつなぐ
連動機構の故障等のためにアクセルペタルから足
をはなしても絞り弁が閉に戻らなくなつた場合と
か、或いはアクセルペタルとブレーキペタルとを
同時に踏み込んだ場合には、大きい負圧が得られ
ず、真空式制動倍力装置の効果を発揮することが
できないのであつた。

本考案は、車両に搭載されるエンジンにおい
て、その吸気系に絞り弁を備えている場合にはそ
の絞り弁を、また、吸気系に絞り弁を備えていな
い場合には吸気系に絞り弁を設けて該絞り弁を、
ブレーキペタルに当該ブレーキペタルを踏めば閉
じるように関連することにより、ブレーキペタル
の踏み込みの都度真空側の大きい吸気負圧が発生
するようにして、真空式制動倍力装置の効果を確
実旦つ的確に発揮させるものである。

次に本考案の一例を図面について説明すると、
図において１はデイーゼルエンジン、２はブレー
キペタル、３は該ブレーキペタル２に連動するマ
スターシリンダ、４は従来公知の真空式制動倍力
装置を各々し、真空式制動倍力装置４は、前記マ
スターシリンダ３から油圧が送られて来ればその
パワーピストン（図示せず）が真空圧で作動し
て、マスターシリンダ３からの油圧より数倍高い
油圧を、油圧通路５を介して車両の各車輪におけ
るブレーキ装置のホイールシリンダ（図示せず）
に送るようになつている。

そして、エアクリーナ６から前記エンジン１に
至る吸気通路７中には、バタフライ式の絞り弁８
を設け、該絞り弁８より下流側（エンジン側）に
設けたポート９を逆止弁１０とサージタンク１１
とを有する圧力伝達通路１２を介して前記真空式
制動倍力装置４に接続する一方、前記絞り弁８の
弁軸１３に固着したレバー１４にはばね１５を設
けて、絞り弁８を常時開の状態に付勢し、旦つレ
バー１４には、通電によつて絞り弁８を全閉にす
るように作動する絞り弁閉成装置としての電磁ソ
レノイド１６を設け、該電磁ソレノイド１６とバ
ツテリー１７とをつなぐ電気回路１８には、前記
ブレーキペタル２を踏めばONになるスイツチ１
９を設けて成るものである。なお、２０はブレー
キペタル２を踏んだとき点灯するストツプランプ
を示す。

この構成において、ブレーキペタル２を踏まな
いときには、絞り弁８は常時開いているから、当
該絞り弁８より下流側のポート９には、吸気負圧
は発生しないが、ブレーキペタル２を踏めば、マ
スターシリンダ３が作動すると同時に、スイツチ
１９のONによつて絞り弁閉成装置としての電磁
ソレノイド１６に通電されその作動により吸気通
路７中の絞り弁８が閉じ、該絞り弁８より下流側
には真空側の大きい吸気負圧が発生し、この負圧
がポート９から逆止弁１０付き圧力伝達通路１２
を介してサージタンク１１に伝達し、サージタン
ク１１内が高真空となる。従つてこれに連なる真
空式制動倍力装置４におけるパワーピストンに
は、前記マスターシリンダ３からの油圧による作
動信号により前記真空が作用して、パワーピスト
ンが真空圧と大気圧との差圧によつて摺動するか
ら、車両の各車輪におけるブレーキ装置のホイー
ルシリンダに油圧通路５から高い圧力の油圧が送
られて制動作用するのである。

なお、前記実施例はエンジンへの吸入空気調節
用の絞り弁を持たないデイーゼルエンジンに適用
した場合であつたが、本考案はこれに限らず、デ
イーゼルエンジンで絞り弁を持つたものや、ガソ
リンエンジンのように吸入空気調節用の絞り弁を
備えているエンジンの場合には、その絞り弁にブ
レーキペタルの踏み込みに連動して絞り弁を強制
的に閉じる絞り弁閉成装置を設けることにより、
同様に適用できるのである。また以上の絞り弁閉
成装置は、ブレーキペタルに関連して作動する機
械のものでも良いことはもちろんである。

以上の通り本考案は、エンジンの吸気通路に設
けた絞り弁より下流側にポートを設け、該ポート
をブレーキペタルに連動するマスターシリンダが
つながる真空式制動倍力装置に接続する一方、前
記絞り弁をブレーキペタルに該ブレーキペタルを
踏めば絞り弁が閉じるように関連して成るもの
で、ブレーキペタルの踏み込みによつて、真空式
制動倍力装置に確実に高真空を作用することがで
きるから、例えばアクセルペタルの故障によつて
絞り弁が閉じないときとか、或いはアクセルペタ
ルとブレーキペタルとを同時に踏み込んだ場合に
おいても真空式制動倍力装置の効果を発揮させる
ことができて、いかなる状態においても大きな制
動力を確実に得ることができるのであり、特に、
吸入空気調節用の絞り弁を有しないエンジンにあ
つては、これに真空式制動倍力装置を適用する場
合に真空ポンプを設ける必要がないから、構成簡
単で旦つ安価であると共に、スペースをとらない
ばかりか、エンジンの負荷を増大することがない
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す図である。 １……エンジン、７……吸気通路、２……ブレ
ーキペタル、３……マスタシリンダ、４……真空
式制動倍力装置、８……絞り弁、９……ポート、
１６……電磁ソレノイド、１９……スイツチ、１
０……逆止弁、１１……サージタンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの吸気通路中に設けた絞り弁より下流
   側にポートを設け、該ポートをブレーキペタルに
   連動するマスターシリンダがつながる真空式制動
   倍力装置に接続する一方、前記ブレーキペタルに
   関連して作動する絞り弁閉成装置を設けて成る車
   両における制動倍力装置。