JPS6143604Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はシヨツクアブソーバの補助弁機構に関
し、更に詳しくは自動車の前輪懸架装置に組み込
まれるのに最適なシヨツクアブソーバの補助弁機
構に関する。

前輪懸架装置のシヨツクアブソーバは自動車の
急発進時とか急加速時に、自動車に作用する荷重
によりピストンロツドが伸長する際には十分な減
衰力を発生しない。そのため、急発進時とか急加
速時に、自動車の前部が上方へ持ち上げられる、
いわゆるノーズアツプの現象が生ずる。

従来から、前記ノーズアツプ対策として、懸架
装置の幾何的配置の変更、シヨツクアブソーバの
減衰力特性の修正又は懸架装置に設けられるばね
のばね定数の増減などが採られているが、未だ満
足できる域には至つていない。これは、ノーズア
ツプに関係する前記事項の諸元設定が背反事項、
例えばシヨツクアブソーバの減衰力はノーズアツ
プ対策からは高い方が良いが、この結果、乗心地
が悪くなる、というような背反事項のため、ノー
ズアツプに対する効果のみでは決定できないから
である。

従つて、本考案の目的は、弊害面を可及的に抑
えてノーズアツプに効果のある減衰力特性を呈す
るシヨツクアブソーバの補助弁機構を提供するこ
とにある。

本考案はピストンに下端部で連結され、上端部
がシリンダから外部へ突出するピストンロツドに
設けられる補助弁機構である。この補助弁機構は
前記ピストンロツドにその軸線方向に開けられ、
下方で閉塞される孔と、該孔内を液密状態で滑動
する補助ピストンと、該補助ピストンを上方へ偏
倚させるばねと、該ばねを支えるばね受けと、前
記補助ピストンが上方へ偏倚しているとき前記孔
をピストンの上方の液室へ連通し、補助ピストン
が下方へ移動したとき該補助ピストンによつて遮
断される補助ポートと、前記孔をピストンの下方
の液室へ連通するオリフイスと、前記孔に圧力流
体を供給すべく外部へ突出しているピストンロツ
ドの部位で孔の上方部分に接続される配管とを含
む。この配管はエンジンの回転数に比例した圧力
を発生する手段に接続される。

以下に、図面を参照して本考案の実施例につい
て説明する。

本考案の補助弁機構１０は第１図に示すよう
に、シリンダ１２と、ピストン１４と、ピストン
ロツド１６とを備えるそれ自体公知のシヨツクア
ブソーバのピストンロツド１６に設けられる。

シリンダ１２は内筒１８と外筒２０とからな
り、内筒１８の内周をピストン１４が滑動する。
ピストンロツド１６はその下方の端部でピストン
１４に連結され、その上方の端部がシリンダ１２
のロツドガイド２２及びシール部材２４を通つて
外部へ突出する。ピストンロツド１６が伸縮する
と、ピストン１４に設けられた伸び用の弁機構２
６及び縮み用の弁機構２８によつて減衰力を発生
する。

本考案では補助弁機構１０によつてシヨツクア
ブソーバの減衰力特性をノーズアツプ対策に効果
があるように修正する。この補助弁機構１０はピ
ストンロツド１６に開けられた孔３０に関連して
設けられ、補助ピストン３２と、ばね３４と、ば
ね受け３６と、補助ポート３８と、オリフイス４
０と、配管４２とを含む。

孔３０は図示の例では、ピストンロツド１６に
その軸線方向に貫通して開けられており、中間の
肩３１をはさんで下方に位置する大径の孔部分４
４と上方に位置する小径の孔部分４５とからな
る。孔３０が貫通する場合、その下方はオリフイ
ス４０の作用を発揮させるために閉塞され、また
その上方は配管４２に接続されるか、閉塞され
る。

補助ピストン３２は中間で０リング４６を装着
しており、この０リング４６によつて液密とされ
た状態で孔部分４４を滑動する。

ばね３４はばね受け３６に掛止され、その上端
が補助ピストン３２に当接してこの補助ピストン
３２を上方へ偏倚させる。この結果、補助ピスト
ン３２は肩３１に押圧されている。ばね３４のば
ね力は、後述する配管４２に所定の圧力の流体が
供給されたとき、補助ピストン３２がばね力に抗
して下方へ移動できる大きさである。換言すれ
ば、配管４２の圧力が前記所定の圧力に達しない
ときには、補助ピストン３２はばね３４により上
方へ偏倚された状態に保たれる。

ばね受け３６は図示の例では、孔部分４４の下
端部を閉塞するねじ部材４８と一体となつてお
り、ねじ部材４８をピストンロツド１６に十分に
ねじ込んだとき、ばね３４を圧縮状態とする寸法
を有する。ばね受け３６はまた、補助ピストン３
２が下方へ移動したときのストツパ兼ねる。

補助ポート３８は補助ピストン３２が上方へ偏
倚しているとき孔部分４４をピストン１４の上方
に位置するシリンダ１０の液室５０へ連通し、し
かも補助ピストン３２が下方へ移動したとき、こ
の補助ピストン３２によつて遮断される位置に設
けられる。

オリフイス４０はねじ部材４８によつて閉塞さ
れた孔部分４４をピストン１４の下方の液室５２
へ連通する。このオリフイス４０と孔部分４４と
前記した補助ポート３８とにより、上方の液室５
０と下方の液室５２とは連通している。

配管４２は孔３０に圧力流体を供給するもの
で、シリンダ１０から外部へ突出しているピスト
ンロツド１６の部位で孔３０に接続される。図示
の例では、配管４２は孔３０の上端にねじ込まれ
た管継手５４により、ピストンロツド１６に連結
され、孔部分４５と連通している。この配管４２
の他方の端部はエンジンポンプ５６に接続されて
いる。配管４２の他方の端部はエンジンの回転数
に比例した圧力を発生する手段に接続される。

シヨツクアブソーバを自動車の前輪懸架装置に
装着して使用する場合、エンジン回転数の低い定
速走行時とかゆつくりした発進時には、エンジン
オイルポンプ５６の油圧は低く、補助ピストン３
２がばね３４に打勝つ力は発生しない。そのた
め、補助ピストン３２は図示の位置にあり、シヨ
ツクアブソーバが伸長するときの油液の通路は補
助ポート３８、孔部分４４及びオリフイス４０と
共に伸び用の弁機構２６となり、このときの減衰
力特性は第２図のＡとなる。

次に、急加速時のようにエンジン回転数が高
く、エンジンオイルポンプ５６からの油圧がばね
３４に設定した所定の圧力を超えるときは、補助
ピストン３２が下方へ移動し、ばね受け３６に当
接する。この状態では補助ポート３８は遮断され
るので、この補助ポート３８を通つての油液の流
動はなくなり、油液は伸び用の弁機構２６のみを
流動し、第２図のＢの減衰力特性を呈することと
なる。すなわち、ピストンの低速度域において高
減衰力が得られることとなり、急発進時とか急加
速時のノーズアツプを抑えることができる。

本考案によれば、ピストンロツドに設けた補助
弁機構によつて、急発進時とか急加速時とかにノ
ーズアツプを抑えることができ、操安性や乗心地
を改善できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の補助弁機構の断面図、第２図
は補助弁機構を備えたシヨツクアブソーバの減衰
力の特性図である。 １０：補助弁機構、１２：シリンダ、１４：ピ
ストン、１６：ピストンロツド、３０：孔、３
２：補助ピストン、３４：ばね、３６：ばね受
け、３８：補助ポート、４０：オリフイス、４
２：配管、５０，５２：液室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下方の端部でピストンに連結されかつ上方の端
   部がシリンダから外部へ突出するピストンロツド
   に設けられる補助弁機構であつて、前記ピストン
   ロツドにその軸線方向に開けられ、下方で閉塞さ
   れる孔と、該孔内を液密状態で滑動する補助ピス
   トンと、該補助ピストンを上方へ偏倚させるばね
   と、該ばねを支えるばね受けと、前記補助ピスト
   ンが上方へ偏倚しているとき前記孔を前記ピスト
   ンの上方の液室へ連通し、前記補助ピストンが下
   方へ移動したとき該補助ピストンによつて遮断さ
   れる補助ポートと、前記孔を前記ピストンの下方
   の液室へ連通するオリフイスと、前記孔に圧力流
   体を供給すべく前記外部へ突出しているピストン
   ロツドの部位で前記孔に接続される配管とを含
   み、該配管はエンジンの回転数に比例した圧力を
   発生する手段に接続される、シヨツクアブソーバ
   の補助弁機構。