JPS6143443Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は水などの液体を高速で噴出させること
のできる内視鏡装置に関する。

一般に、内視鏡によつて体腔内を観察する場合
には、その体腔内をある程度膨らませる必要があ
るため、体腔内に空気を送り込むようにしてい
る。また、体腔内を観察する際において観察窓に
粘液などが付着すると、観察ができなくなるの
で、このような場合は水を高速で噴出して上記粘
液などを洗い落すようにしている。

一方、内視鏡のチヤンネルを通じて体腔内に高
周波処置具を導入し、患部を高周波によつて処置
することが行なわれている。しかし、患部が大腸
内である場合には食物残渣などから発生する爆発
性のガス、たとえばメタンガスが大腸内に残留す
るため、これに引火して爆発する危険がある。そ
のため、内視鏡を通じて体腔内に二酸化炭素など
の不燃性ガスを送り込み、爆発生のガスと置換す
ることが行なわれている。

ところで、従来、観察窓に付着した粘液を洗浄
するためなどに水を高速で噴出させるには、体腔
内に空気を送り込むためのポンプの圧力を利用し
ていた。すなわち、内視鏡の操作部に設けられた
切換弁を操作することにより上記ポンプの圧力を
水が収容されたタンクに加えるようにしていた。
しかしながら、送気用ポンプの圧力を利用して送
水するようにすると、液体は気体に比して管路に
おける圧力損失が大きいから、先端部から十分な
速度で噴出されずに洗浄が良好に行なわれないと
いう問題があつた。

このような問題を解決するには上記ポンプの容
量を大きくすればよいのだが、ポンプの容量を大
きくすると経済性、騒音、設置スペースなどの問
題が生じるばかりか、送気の場合の送気量が多く
なりすぎて被検者に危険を与えることになる。

本考案は上記事情にもとづきなされたもので、
その目的とするところは、観察窓の洗浄などのた
めに液体を噴出させる場合に、治療用などとして
体腔内に送り込むために用意されている不燃性ガ
スなどのガス圧を利用することにより、上記液体
を高速で噴出させることができるようにした内視
鏡装置を提供することにある。

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第４図を
参照して説明する。図中１は内視鏡本体であり、
この本体１は挿入部２と、この挿入部２の基端に
連結された操作部３とからなる。上記本体１には
ライトガイド４とイメージガイド５とが挿通され
ている。ライトガイド４は、一端を挿入部２の先
端面に臨ませ、他端部を上記操作部３に接続され
たユニバーサルコード６に挿通している。このユ
ニバーサルコード６の末端には図示しない光源装
置のプラグに接続されるソケツト７が設けられて
いる。上記イメージガイド５は、一端を上記挿入
部２の先端面に設けられた観察窓８に光学系９を
介して対向させ、他端を上記操作部３に設けられ
た接眼部１０の光学系１０ａに対向させている。
したがつて、上記ライトガイド４から放出される
照明光により照射された部位が上記イメージガイ
ド５を介して接眼部１０で観察できるようになつ
ている。

上記本体１には第１の送気路１１が設けられて
いる。この第１の送気路１１の操作部３内に位置
する部分には逆止弁１２と第１の切換弁１３が設
けられ、操作部３から突出させた基端には送気用
のポンプ１４が接続されている。また、第１の送
気路１１の先端にはノズル１５が設けられ、この
ノズル１５は挿入部２の先端に設けられた観察窓
８に対向している。上記第１の切換弁１３は、第
２図に示すようにシリンダ１６と、このシリンダ
１６に上下動自在に挿入された２個のピストン１
７ａ，１７ｂを有するピストン軸１８およびこの
ピストン軸１８を上昇方向に付勢したばね１９と
からなる。そして、上記シリンダ１６の周壁下端
部に第１の送気路１１の下流側が接続され、この
下流側よりもシリンダ１６周壁の上部に上記第１
の送気路１１の上流側が接続されている。したが
つて、ピストン軸１８がばね１９によつて突出方
向に付勢された状態においては第２図ａのごとく
第１の送気路１１の上流側と下流側が遮断され、
また第２図ｂのごとくピストン軸１８を上記ばね
１９に抗して押込むと上記上流側と下流側とが連
通するようになつている。なお、上記ピストン１
７ａ，１７ｂの外周面にはパツキング２０が取着
されている。

また、上記操作部３内には第２の切換弁２１が
設けられている。この第２の切換弁２１は第３図
に示すようにシリンダ２２と、このシリンダ２２
に上下動自在に挿入されたピストン軸２３と、こ
のピストン軸２３を上昇方向に付勢したばね２４
とからなり、上記ピストン軸２３にはそれぞれ外
周面にパツキング２５が設けられた第１乃至第４
のピストン２６ａ〜２６ｄが形成されている。上
記ピストン軸２３は通常ばね24の付勢力によつて
第３図ａに示す状態に位置していて、この状態に
おいて上記シリンダ２２の周壁には第１のピスト
ン２６ａと第２のピストン２６ｂとの間に第２の
送気路２７の上流側が接続され、第２のピストン
２６ｂと第３のピストン２６ｃとの間に第２の送
気路２７の下流側が接続されている。さらに、シ
リンダ２２の周壁には第３のピストン２６ｃと第
４のピストン２６ｄとの間に送液路２８の上流側
が接続され、第４のピストン２６ｄよりも下側の
部分に上記送液路２８の下流側が接続されてい
る。なお、上記第２の送気路２７の下流側の他端
は上記第１の送気路１１の逆止弁１２よりも下流
側に接続され、また送液路２８の下流側の他端は
上記第１の送気路１１の先端部分に接続されてい
る。したがつて、第２の切換弁２１のピストン軸
２３を第３図ｂに示すように１段階押し下げる
と、第２の送気路２７の上流側と下流側が連通
し、さらにピストン軸２３を第３図ｅに示すよう
に２段階押し下げると、上記第２の送気路２７の
上流側と下流側が遮断されるとともに送液路２８
の上流側と下流側が連通するようになつている。

上記第２の送気路２７には、操作部３から突出
させた基端に第１の減圧弁２９と第２の減圧弁３
０を介してガス供給源としてたとえば高圧二酸化
炭素が充填されたボンベ３１が接続されている。
また、送液路２８には、操作部３から突出させた
基端に液体タンク３２が接続されている。すなわ
ち、この液体タンク３２は、第４図に示すように
有底筒状に形成された容器３３の上端開口が蓋体
３４によつて気密に閉塞されているとともにこの
容器３３の上部内周面には保持体３５が環状に突
設されている。この保持体３５がなす開口には隔
壁体としての圧力によつて膨張するベローズ３６
が落し込まれ、この開口端に設けられたフランジ
３６ａは上記保持体３５と容器３３内周面に螺着
された押えリング３７とにより気密に挟持されて
いる。したがつて、容器３３内は、上記ベローズ
３６により上部室３８とこのベローズ３６が突出
した下部室３９とに気密に隔別されている。そし
て、上記容器３３の周壁の下部室３９と連通する
部分に上記送液路２８の基端が接続されている。
また、容器３３には、下部室３９と連通する部分
に着脱自在な栓４０によつて閉塞された給水管４
１が接続され、この給水管４１から下部室３９に
液体としての水が充填されるようになつている。
さらに、容器３３の上部室３８と連通する部分、
すなわち蓋体３４には圧力導入管４２がその一端
を接続している。この圧力導入管４２の他端は上
記第２の送気路２７の第１の減圧弁２９と第２の
減圧弁３０との間の部分に接続されている。した
がつて、上記圧力導入管４２によりボンベ３１か
ら上部室３８に高圧二酸化炭素が導入され、この
二酸化炭素の圧力で上部室３８が常時加圧されて
いるので、上記第２の切換弁２１を操作して下部
室３９に接続された送液路２８の上流側と下流側
とを連通させれば、上記ベローズ３６が膨張して
下部室３９内に充填された水が加圧されて上記送
液路２８に吐出されるようになつている。なお、
上部室３８を加圧する高圧二酸化炭素の圧力、す
なわち下部室３９から吐出させる水の圧力は第１
の減圧弁２９によつて調節することができる。

つぎに、上記装置の作用について説明する。ま
ず、体腔内に空気を送り、この体腔内を膨らませ
る場合には、ポンプ１４を作動させたのち第１の
切換弁１３を操作し、この第１の切換弁１３によ
つて遮断されていた第１の送気路１１の上流側と
下流側とを第２図ｂのごとく連通させる。する
と、上記ポンプ１４から吐出される空気が第１の
送気路１１の先端に連通するノズル１５から体腔
内に吐出するから、この体腔内を膨らませること
ができる。

また、体腔内、とくに大腸内の患部を高周波処
置具によつて治療するため、体腔内の爆発性ガス
を二酸化炭素に置換する場合には、第２の切換弁
２１を操作して第３図ｂのごとくピストン軸２３
を１段階押し下げると、この第２の切換弁２１に
よつて遮断されていた第２の送気路２７の上流側
と下流側とが連通する。したがつて、第１の減圧
弁２９と第２の減圧弁３０とによつて所定圧力に
減圧されたボンベ３１の二酸化炭素が第２の送気
路２７の上流側，下流側を経て第１の送気路１１
に流れ、この第１の送気路１１の先端に設けられ
たノズル１５から流出して体腔内の爆発生ガスを
二酸化炭素に置換することになる。このとき、第
２の送気路２７の下流側から第１の送気路１１の
下流側に流入する二酸化炭素が上記第１の送気路
１１の上流側に逆流する虞れがあるが、第１の送
気路１１の下流側に設けられた逆止弁１２により
上記逆流が阻止される。また、ボンベ３１の二酸
化炭素は第２の減圧弁３０によつて十分底圧に減
圧して体腔内に送ることができるから、体腔内を
加圧しすぎるという危険性がない。

一方、挿入部２を体腔内に導入して検査や治療
などを行なうと、その先端面に設けられた観察窓
８に粘液などが付着して良好な観察が行なえなく
なる。このような場合には、上記第２の切換弁２
１のピストン軸２３を第３図ｅに示すように２段
階押し下げてこの第２の切換弁２１により遮断さ
れていた送液路２８の上流側と下流側を連通させ
る。すると、上記送液路２８の液密状態が開放さ
れる。すなわち、送液路２８の上流側先端が第１
の送気路１１を介してノズル１５に連通するの
で、液体タンク３２の上部室３８に加わるボンベ
３１からの二酸化炭素の圧力でベローズ３６が膨
張して下部室３９に充填された水を加圧すること
になる。したがつて、下部室３９に充填された水
は送液路２８を流れ第１の送気路１１を介してノ
ズル１５から高速で吐出するので、このノズル１
５に対向した観察窓８を洗浄する。すなわち、液
体タンク３２の下部室３９に充填された水を第２
の減圧弁３０によつて減圧される前のボンベ３１
の高圧な二酸化炭素で十分に加圧してノズル１５
から高速で吐出させることができるため、観察窓
８の洗浄を良好に行なうことができる。

このようにして観察窓８を洗浄したならば、第
１の切換弁１３を操作してポンプ１４から吐出さ
れる空気を第１の送気路１１を介してノズル１５
から流出させれば、上記観察窓８に付着した水滴
が除去されるため、観察窓８を観察に支障のない
状態に清浄することができる。

なお、この発明に係る液体タンク３２の構造
は、第５図に示すように容器３２に隔壁体として
のパツング４３を有するピストン４４を液密な状
態で上下動自在に設け、上部室３８に加わる圧力
で上記ピストン４４を押し下げて下部室３９に充
填された水を加圧するようにしてもよい。

また、ガス供給源としてのボンベ３１から供給
されるガスはチツソ、被検者に施薬される麻酔用
ガス、液体が気化することにより発生する気化ガ
スあるいはジユールトムソン効果により物体を冷
却する冷媒の気化ガス、すなわち内視鏡とともに
使用される冷凍処置装置の冷媒を利用するなどし
てもよい。

さらに、送液路２８から吐出される液体は患部
の血液を洗い流すための水または体腔内に散布さ
れるべき薬液であつてもよい。

以上述べたように本考案は、送液路の基端に液
密な液体タンクを接続し、この液体タンクに収容
された液体を送気路の基端に接続されたこの送気
路に高圧ガスを供給するガス供給源のガス圧で加
圧するようにしたから、従来に比べてたとえば観
察窓を洗浄するための水などを高速で噴出させて
上記観察窓を良好に洗浄することができる。ま
た、上記送気路の上記液体タンクよりも下流側に
はこの送気路を流れる高圧ガスを減圧する減圧弁
を設けたから、体腔内に高圧ガスを流入させる危
険性がないばかりか、上記液体タンクの液体は上
記高圧ガスによつて十分高圧に加圧することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本考案の一実施例を示し、
第１図は概略的構成図、第２図ａ，ｂは第１の切
換弁の作動を示す説明図、第３図ａ，ｂ，ｃは第
２の切換弁の作動を示す説明図、第４図は液体タ
ンクの断面図、第５図は本考案の他の実施例を示
す液体タンクの断面図である。 １……内視鏡本体、２７……送気路（第２
の）、２８……送液路、３１……ボンベ（ガス供
給源）、３２……液体タンク、３６……ベローズ
（隔壁体）、４４……ピストン（隔壁体）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内視鏡本体内に送液路と送気路とが設けら
   れ、上記送気路の基端にはこの送気路に高圧ガ
   スを供給するガス供給源が接続されるものにお
   いて、上記送液路の基端には液密な液体タンク
   が接続され、この液体タンクに収容された液体
   は上記ガス供給源のガス圧で加圧されるととも
   に、上記送気路の上記液体タンクよりも下流側
   にはこの送気路を流れる高圧ガスを減圧する減
   圧弁が設けられていることを特徴とする内視鏡
   装置。 (2) 上記液体タンクは、内部に収容された液体と
   ガス供給源からの高圧ガスとを流体密に隔てる
   とともに上記高圧ガスの圧力により変位して上
   記液体を加圧する隔壁体を備えていることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   内視鏡装置。 (3) 上記ガス供給源のガスは不燃性ガスであるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   または第２項記載の内視鏡装置。 (4) 上記ガス供給源のガスはジユールトムソン効
   果により物体を冷却する冷媒の気化ガスである
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項または第２項記載の内視鏡装置。 (5) 上記ガス供給源のガスは麻酔用ガスであるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   または第２項記載の内視鏡装置。 (6) 上記ガス供給源の不燃性ガスは二酸化炭素で
   あることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第３項記載の内視鏡装置。 (7) 上記ガス供給源の不燃性ガスはチツソである
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第３
   項記載の内視鏡装置。