JPS6140734Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は女性用和服の広衿部に適用して好適
な新規な広衿芯に関する。

しかしてその目的は、女性用和服例えば式服、
訪問着、平常着および長襦袢等広衿仕立ての和服
を着用するに際し、その広衿部に前記広衿芯を適
用することにより衿肩廻りや衿付けがすつきりと
整い、前身頃の部分に凹みやしわがよらず、着付
け後見た目（外観）がよく、しかも着くずれのな
い着付けが簡単にできるようにした広衿芯を安価
に提供することにある。

従来知られた和服用衿芯は、第１図示の如く帯
状に形成した狭巾単調な剛直厚手の合成繊維布ま
たは合成樹脂シートＡからなり、衿肩廻り部Ｂを
わずかに円弧状に切欠いてなるバチ衿（細衿）専
用のものであつたゝめに、これを前記の如き広衿
仕立ての和服用衿芯として使用するときは、衿芯
Ａの剛直さに加えて巾Ｃが適用する広衿巾ｌ（第
１図参照）の半分にも満たない極めて狭い巾であ
ることから、着付け後における衿肩廻りのつけ根
側が沈んで衿部分のみががつちり押えられてぎこ
ちなく、その上衿肩廻りや衿付け部分に凹みやし
わがより、しかもこの凹みやしわが前身頃にまで
及んで美しくすつきりと整えられるべき衿肩廻り
部や前身頃部分までが誠に見苦しくなるので、着
付けした当事者としても決して着心地の良いもの
ではなかつた。

この考案は上記の欠点を合理的に解消したもの
で、その構成を図面とゝもに説明すれば次の通り
である。

図において１は帯状に形成した厚地の木綿布
（以下木綿布という）からなる広衿芯で、該広衿
芯１はその央部に広衿仕立ての衿１０の巾（以下
広衿巾という）ｌのほゞ1/2（ｌ／２）に相当す
る巾の衿肩廻り部２を設けるとゝもに、衿肩廻り
部２の下端縁を図示の如くやや円弧状に形成（切
欠）し、かつその央部には楔型（門型または半円
型でもよい）の小切欠き部３を形成する。４は前
記衿肩廻り部２の両側（本図の左右）に長手方向
に沿い一連に形成した平面末広がり状の広巾な袖
部で、該袖部の巾（最大）l′は前記衿肩廻り部２
の巾のほゞ３倍（3l／２）に相当する。５は前記
衿肩廻り部２およびこれに連続する袖部４の下部
に跨る裏面に縫着した前記木綿布１と同質の一連
に形成した山形状の力布で、該力布５は第３図の
如く前記衿肩廻り部２に対応して形成した切欠き
部３を有し、かつ前記衿肩廻り部２の裏面に当接
してその全面を被覆するとゝもに、その延出部
５′は前記袖部（広巾）４の上部６を除く下部に
被覆し、端縁部を縫製して表裏両者を一体ならし
める。

しかして上記広衿芯１の長さ（衿芯丈）は、楔
型の小切欠き部３の中央から左右対称に衿付け線
１３に沿い、衿肩廻りとおくみ下り（けん先）の
寸法に５〜７cmを加えた長さとすることが実用上
好適である。図中７は玉ぶち、８はミシン目、９
は裏衿の央部下端縁（背縫い線の延長部）と、そ
の対応する上端縁とに設けた雄雌関係にあるホツ
クである。ホツクに代え係止用に縫糸を用いても
よいことはいうまでもない。

この考案は上記の如く構成したから、その実用
に当つては、まず広衿仕立ての広衿１０の裏面す
なわち裏衿面に広衿芯１の表面（非力布面）を当
てがうに当つて、該広衿芯１の衿肩廻り部２の下
端縁に形成した小切欠き部３の央部を、身頃の背
縫い線１１端（背縫い線１１と衿付け線１３との
交点）に重ねた後、衿肩廻り部２の下端縁を衿付
け線１３に沿つて左右対称に該衿付け線上に重ね
（第４図参照）、次いで裏衿の央部（背縫い線の延
長部相当位置）に対設した雄雌ホツク９，９を嵌
着すれば、広衿１０は第５図示の如く２つ折り状
となつて裏衿面間に衿肩廻り部２を内包するこ
とゝなるから、前記広衿１０の非折り曲り部分を
広衿芯１の上端縁に沿い左右対称に内方へ折り曲
げれば、裏衿間に広衿芯１の上部を内包して末つ
ぼみ状部分１４を形成し、その下部に前記広衿芯
の袖部（広巾）４に縫着した力布５の延出部５′
が膨出する一方、その裏側の表衿は、第５図破線
に示す如く末広がり状部分１５を形成して所望す
る折りたゝまれた表衿を形成する。

従つてこの状態で常法により着付けするように
すればよい。

以上説明したようにこの考案は、帯状に形成し
た厚地の木綿布の央部に広衿巾のほゞ1/2相当巾
の衿肩廻り部を形成し、該衿肩廻り部の下端縁を
やゝ中弧状に形成するとゝもに、その央部の小切
欠き部を形成したから、これを広衿仕立ての裏衿
面に前記の如く当接使用する時に、衿肩廻り部の
巾が広衿巾の1/2相当巾であり、かつ厚地の木綿
布からなるため、剛直感がないばかりでなく、衿
肩廻りのつけ根側が沈んで段部を生ずることもな
く、また衿部分のみががつちり押えられるという
ぎこちなさもないし、しかも多用による生地の傷
みを末然に防止することができる。

またこの考案は、前記衿肩廻り部の両側に長手
方向に沿い平面末広がり状の袖部（広巾）の巾を
衿肩廻り部の巾のほゞ３倍相当巾となる如く一連
に形成するとゝもに、前記衿肩廻り部および袖部
（広巾）の下部に跨る裏面に、衿肩廻り部に対応
して形成した切欠き部を有し、かつ前記衿肩廻り
部を被覆しその延出部が袖部の下部を一連に被覆
する如く形成した前記木綿布からなる山形状の力
布を当接し、その端部を縫製して表裏一体とした
から、本案をさきに述べた如くその表の面を衿肩
廻り部の下端縁央部に形成した楔型小切欠き部
（央部）を背縫い線と衿付け線の交点上に重ね、
衿肩廻り部の下端縁を衿付け線に沿つて左右対称
に重ねこれを前記の如く対設したホツクで係止す
ると、広衿芯は係止部分が２つ折り状となるの
で、残余の部分を広衿芯の上端縁に沿つて左右対
称に内方へ折り曲げることにより、表衿は広衿芯
上に末つぼみ部分を形成してその下部に広衿芯の
袖部（広巾）が膨出することゝなる一方、その裏
側の表衿は末広がり状の所望する折りたゝまれた
部分を簡単容易に得ることができる。

従つてこの状態で常法によつて着付けする時
は、衿肩廻り部や前身頃部分に凹みやしわのよる
ことのないことは勿論、特に胸部相当部には力布
で裏打ちされた広衿芯の袖部（広巾）の下部が当
接することゝなるので、従来見られたように胸部
相当部に補助布を介装する必要もなく、該部分を
すつきりと整えることができて見た目がよく着く
ずれのおそれもない（第６図参照）。

さらに本案は広衿仕立ての和服例えば式服や長
襦袢等そのいずれにも共用できるのでその用途は
広範であり、しかも構造至簡にして増産に適する
から安価に供給することができる。

さらにまた本案は前記の如く厚地の木綿布から
なるので、洗濯が可能であり、しかもアイロン掛
けができるので常時清潔状態を保持させる上で好
都合である。このことは従来品が合成樹脂製品で
あることから、洗濯はできてもアイロン掛けがで
きず使い捨て同然であつたことに比べ遥かに有利
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す平面図、第２図は本案表
面を示す平面図、第３図は同裏面を示す平面図、
第４図および第５図は広衿仕立ての裏衿面に本案
を取付ける場合の段階的説明図、第６図は広衿部
に本案を適用した場合の着付け状態を示す略示的
説明図である。 １……広衿芯、２……衿肩廻り部、３……切欠
き部、４……袖部（広巾）、５……力布、５′……
力布の延出部、７……玉ぶち、８……ミシン目、
９……ホツク、１０……広衿、１１……背縫い
線、１３……衿付け線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 帯状に形成した厚地木綿布の央部に広衿巾の
   ほゞ1/2相当巾の衿肩廻り部を形成し、該衿肩廻
   り部の下端縁をやや円弧状に形成するとゝもに、
   その央部に切欠き部を形成し、かつ前記衿肩廻り
   部の両側に長手方向に沿い平面末広がり状の袖部
   を衿肩廻り部の巾のほゞ３倍相当巾となる如く一
   連に形成するとゝもに、前記衿肩廻り部および袖
   部の下部に跨る裏面に山形状の力布を一連に縫着
   してなる広衿芯。