JPS6121628Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ワイヤロープの端末アイ部の固定お
よびワイヤロープ同士の接続に使用されるワイヤ
ロープ締結金具に関するものである。

従来、ワイヤロープの端末アイ部の固定および
ワイヤロープ同士の接続には、ワイヤクリツプま
たはアイ形クランプが使用されているが、ワイヤ
クリツプの場合、取付けに手間を要するとともに
一旦締付後は締付力が時間の経過につれて減少し
てゆくために取付後の張力変動によつてワイヤロ
ープが抜け出すおそれがあり、またアイ形クラン
プによると、加工に特別な機械を要し、従つて現
場加工ができず、仕上がり後の長さが変更できな
い等、いずれも種々の欠点を有しており、実用性
に劣つていた。

本考案はかゝる欠点を除去し、端末アイ部の固
定およびワイヤロープ同士の接続を現場において
簡単に行なうことができ、かつ、ワイヤロープの
張力変動にも充分対応しうるワイヤロープ締結金
具を得んとするものである。

本考案の特徴とするところは、少なくとも二本
のワイヤロープが挿通される筒状体と、該筒状体
内において隣り合うワイヤロープ間に二個一対ず
つ介装されるチヤツクとから成り、このチヤツク
は、互いの片面同士が接触し、反対側の面が上記
ワイヤロープに接触する状態で上記筒状体内に互
いに逆方向から挿入されるように構成され、この
チヤツクの相接触する片面がテーパ面に形成され
るとともに、このテーパ面に鋸歯状の一方向性突
起が設けられ、同チヤツクの上記ワイヤロープに
接触する面が、ワイヤロープに対応する断面円弧
状の凹曲面で、かつワイヤロープ表面の凹凸にほ
ぼ対応する凹凸面に形成されてなるワイヤロープ
締結金具に存する。

以下、本考案の実施例を図に依拠して説明す
る。

１は筒状体、２，３は一対のチヤツクである。
筒状体１は扁平筒状に形成され、その内部空間１
１は、この金具が使用されるワイヤロープを挿通
させるに充分な幅を有し、高さは挿通されるワイ
ヤロープの径と本数に応じて設定される。また同
内部空間１１の上下両側１１ａ，１１ｂはワイヤ
ロープに対応する円弧状に形成されている。一対
のチヤツク２，３は、相接触する片面２１，３１
がテーパ面に形成され、その反対側の面、すなわ
ちワイヤロープに接触する面２２，３２がワイヤ
ロープに対応する断面円弧状に凹曲形成されてい
る。該両チヤツク２，３のテーパ面２１，３１に
は細かい鋸歯状の一方向性突起２３…，３３…が
形成され、この突起２３…，３３…が互いにかみ
合うようになつている。また、ロープ接触面２
２，３２には、ロープに対する接触抵抗を増すた
めにロープピツチに近似のピツチをもつて滑り止
め溝２４…，３４…が形成されている。こうして
ロープ接触面２２，３２がロープ表面の凹凸にほ
ぼ対応する凹凸面に形成されている。

この金具をワイヤロープ４の端末アイ部に固定
して使用するときは、第３図乃至第５図に示すよ
うに、ワイヤロープ４の本体部４１と折返し部４
２とを筒状体１に挿通させ、該両部４１，４２間
に一対のチヤツク２，３を、互いのテーパ面２
１，３１が接触する状態で互いに反対側から差し
込み、この状態で張力Ｆを付加する。この張力付
加によりチヤツク２，３がそれぞれ筒状体１内に
より深く入り込む方向に移動して互いのテーパ面
２１，３１がより強く圧接し、このチヤツク２，
３の楔作用によりワイヤロープ本体部４１および
折返し部４２が筒状体１内に強固に固定される。
この場合、ワイヤロープ４に加えられる張力Ｆが
大なるほど楔効果が高まり、従つてより強固なワ
イヤロープ固定状態が得られる。このため、ワイ
ヤロープ端末部を上記のようにして一旦固定した
後、負荷によつてワイヤロープ張力Ｆが増加した
場合、むしろその張力増加によつてワイヤロープ
固定力が高まり、またワイヤロープの伸びによつ
てワイヤロープ径が縮まつても、それに追従した
楔作用によつて変わらぬワイヤロープ固定力が発
揮されることとなる。

また、チヤツク２，３のロープ接触面２２，３
２に滑り止め溝２４…，３４…を設け、このロー
プ接触面２２，３２を、ロープの表面の凹凸にほ
ぼ対応する凹凸面に形成しているため、楔作用が
一層効果的に発揮される。

なお、同様の目的で、ロープ接触面２２，３２
に鋸歯状の突起を設けることも考えられるが、こ
の場合には、突起がロープ４にくい込んでロープ
４が損傷し、破断力が低下するといつた幣害が生
じることになる。さらに、チヤツク２，３のテー
パ面２１，３１に設けた細かな鋸歯状の一方向性
突起２３…，２４…が噛み合うことにより、両チ
ヤツク２，３の抜け方向の移動が互いに阻止され
るため、上記張力Ｆと反対方向の力が作用して
も、チヤツク２，３が筒状体１から抜け出るおそ
れがなくなる。

上記した本金具の使用法および作用効果は、第
６図に示すように二本のワイヤロープ５，６同士
の接続に使用した場合も同様である。また、三本
のワイヤロープ７，８，９の接続に使用する場合
は、第７図乃至第９図に示すように、筒状体１内
において隣り合うワイヤロープ７，８および８，
９間にそれぞれ一対のチヤツク２，３を用いる。

なお、第４，５図と第８，９図を比較して判る
ように、チヤツク２，３の厚みやテーパ角度は用
途その他に応じて適宜変更しうるところである。

一方、チヤツク２，３の差し込みを容易にする
ために、該チヤツク先端部をテーパ状に形成して
もよい。

上記のように本考案によれば、ワイヤロープ端
末アイ部の固定および二本以上のワイヤロープ同
士の接続を一切の工具を使用することなく現場で
極く簡単に行なうことができる。また、チヤツク
の楔作用によつて強固で安定したロープ締結状態
が得られ、しかも張力に合つたロープ固定力が発
揮されるため、張力増加によるロープのすべりを
確実に防止することができる等、実用性にすぐれ
たワイヤロープ締結金具を提供できるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は筒状体の
斜視図、第２図はチヤツクの斜視図、第３図はワ
イヤロープの端末アイ部への使用状態を示す側面
図、第４図は同拡大側断面図、第５図は第４図
−線に沿う断面図、第６図は二本のワイヤロー
プの接続に使用した状態の側面図、第７図は三本
のロープ接続に使用した状態を示す側面図、第８
図は同拡大側面図、第９図は第８図−線に沿
う断面図である。 １……筒状体、２…，３………チヤツク、２
１，３１……同チヤツクのテーパ面、２２，３２
……同ロープ接触面、２３，３３……鋸歯状突
起、２４，３４……凹凸面を形成する滑り止め
溝、４〜９……ワイヤロープ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも二本のワイヤロープが挿通される筒
   状体と、該筒状体内において隣り合うワイヤロー
   プ間に二個一対ずつ介装されるチヤツクとから成
   り、このチヤツクは、互いの片面同士が接触し、
   反対側の面が上記ワイヤロープに接触する状態で
   上記筒状体内に互いに逆方向から挿入されるよう
   に構成され、このチヤツクの相接触する片面がテ
   ーパ面に形成されるとともに、このテーパ面に細
   かい鋸歯状の一方向性突起が設けられ、同チヤツ
   クの上記ワイヤロープに接触する面が、ワイヤロ
   ープに対応する断面円弧状の凹曲面で、かつワイ
   ヤロープ表面の凹凸にほぼ対応する凹凸面に形成
   されてなることを特徴とするワイヤロープ締結金
   具。