JPS6121529Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、エンジンのリアオイルシール部の構
造に関するものであり、とくにエンジンの長さを
短縮するための構造に関するものである。

〔従来の技術〕

自動車におけるフロントエンジンフロントドラ
イブ化への対応、重量低減の要請等から、限られ
たスペース内にエンジンを配置する必要があり、
その場合エンジン全長の短縮化が望まれる。すな
わち、エンジンのエンジンルーム内への搭載にあ
たつてとくに問題となるのは、その長手方向にあ
る機器との干渉であり、エンジンの長さを短縮で
きれば大巾に搭載性が向上されることになる。ま
た、エンジンの長さの短縮は必然的にエンジンの
重量を低減させることともなり、車両軽量化、燃
費向上の観点からエンジン全長の短縮化が望まれ
ている。

本考案の構造の特徴を明確にするために、予じ
め従来のリアオイルシール部の構造を概略説明す
るとつぎの通りである。

すなわち、第１図は従来のエンジンのリアオイ
ルシール部の構造を断面にして示したものである
が、図中、１はクランクシヤフトで、エンジンリ
アウオール２の貫通部には、リアオイルシールリ
テーナガスケツト３を介してリアオイルシールリ
テーナ４がボルト５により取付けられており、リ
アオイルシールリテーナ４にはリアオイルシール
６が保持されてクランクシヤフト１の貫通部のオ
イルシールを果している。７はクランクシヤフト
ベアリングキヤツプでクランクシヤフトベアリン
グキヤツプ締付けボルト８によりエンジン本体２
に取付けられている。オイルパン９はクランクシ
ヤフトベアリングキヤツプ７と干渉しない位置
で、リアオイルシールリテーナ４の下部にスタツ
ドボルト１０を設けて該スタツドボルト１０を利
用してナツト１１を締め付けることにより、リア
オイルシール６の直下の位置に固定されている。
１２はリアエンドプレートで、リアオイルシール
リテーナ４にオイルパン９が取付けられているた
めリアオイルシールリテーナ４に取付けることが
できず、リアオイルシールリテーナ４からクラン
クシヤフト１軸方向と直角方向に離れた位置でボ
ルト１６によりエンジンリアウオール２に取付け
られている。リアエンドプレート１２のリアオイ
ルシールリテーナ４の近傍部分は、リアオイルシ
ールリテーナ４とオイルパン９との取付部よりさ
らにエンジンリア側にあり、さらにそのリア側に
フライホイール１３が配設されている。フライホ
イール１３はクランクシヤフト１にフライホイー
ル取付ボルト１４により緊締されているが、その
ねじ穴１５は該ねじ穴１５を通してのオイル洩れ
を防止する必要から、袋穴に形成されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記従来の構造にあつては、クランクシヤフト
ベアリングキヤツプ７と、オイルパン９のオイル
シールリテーナ４への取付部とは、互に干渉しな
いようにクランクシヤフト長手方向に直列に配設
されており、かつオイルパン９がオイルシールリ
テーナ４に取付けられていたのでリアエンドプレ
ート１２をオイルシールリテーナ４に取付けるわ
けにはいかず、かつリアエンドプレート１２のオ
イルシールリテーナ４近傍部をオイルシールリテ
ーナ４からさらにエンジンリア側に配設していた
ので、クランクシヤフトベアリングキヤツプ７の
幅Ａ、およびオイルパン９のリアオイルシールリ
テーナ４への取付部の巾Ｂ、並びにリアオイルシ
ールリテーナ４とリアエンドプレート１２間の距
離Ｃを加えた長さ（Ａ＋Ｂ＋Ｃ）は、それ以上短
かくすることはできず、必然的にエンジン全長が
長くなつていた。これに加え、前記ねじ穴１５を
袋穴としたので、エンジン全長の短縮化には限界
があつた。

本考案は、エンジンリアオイルシール部の構造
に改善を加えることにより、上記Ｃの距離をなく
し、ねじ穴１５の袋穴構造による制限をなくし
て、エンジン全長を短縮させることを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的に沿う本考案のエンジンリアオイルシ
ール部の構造は、リアオイルシールリテーナの下
部フランジ部をクランクシヤフトベアリングキヤ
ツプの下方にエンジンフロント方向に、延ばして
クランクシヤフトベアリングキヤツプとオーバラ
ツプさせて配置し、前記リアオイルシールリテー
ナのフランジ部にオイルパンを取付け、リアオイ
ルシールリテーナの前記オイルパンの取付部より
エンジンリア側にリアエンドプレートをリアオイ
ルシールリテーナとオーバラツプさせて配設し、
さらにクランクシヤフト端部のフランジ部にフラ
イホイール取付ボルト用のねじ孔を前記クランク
シヤフトフランジ部に貫通させて設け、フライホ
イールをクランクシヤフトに前記ねじ孔に螺合す
るフライホイール取付ボルトによつて取付け、フ
ライホイール取付ボルトのねじ部にはシール剤を
塗布したものから成る。

〔作 用〕

上記の構造においては、リアオイルシールリテ
ーナにエンジンフロント方向に延びるフランジ部
を設けてそこにオイルパンを取付け、リアオイル
シールリテーナのフランジ部以外のところにリア
エンドプレートを配設するようにしたので、リア
エンドプレートはリアオイルシールリテーナより
エンジン後方に位置することはなく、従来に比べ
て第１図の距離Ｃが節約できることになり、エン
ジン全長を短縮化できる。また、フライホイール
をクランクシヤフトの端部フランジ部に取付ける
にあたり、ねじ部はねじの強度上一定値以上には
短縮できないので、ねじ穴を袋穴にするとねじ底
に残された肉厚が上部エンジン全長の短縮により
なくなるので、貫通ねじ孔としたが、ねじ部にシ
ール剤を塗布してねじ孔にねじ込むようにしたか
ら油洩れは生じない。

〔実施例〕

以下に、本考案に係るエンジンのリアオイルシ
ール部の構造の望ましい実施例を、図面を参照し
て説明する。

第２図ないし第９図は本考案実施例の構造を示
したものであるが、図中２１はクランクシヤフ
ト、２２はエンジン本体である。エンジン本体２
２のクランクシヤフト２１貫通部にはリアオイル
シールリテーナガスケツト２３を介してリアオイ
ルシールリテーナ２４がボルト２５により取付け
られており、リアオイルシールリテーナ２４には
リアオイルシール２６が保持されてクランクシヤ
フト２１の貫通部のオイルシールを果している。
２７はクランクシヤフトベアリングキヤツプで、
クランクシヤフトベアリングキヤツプ締付けボル
ト２８によりエンジン本体２２に取付けられてい
る。

クランクシヤフトベアリングキヤツプ２７は通
常は円形の外周形状を有しているが、本実施例で
はその下部を一部平坦に切欠くことにより切欠部
１２７が形成されている。リアオイルシールリテ
ーナ２４の下端部にはエンジンフロント方向に延
びるフランジ部１２４が形成されており、底面側
から見ると第３図に示すようにＴ字形になつてい
る。このフランジ部１２４は、クランクシヤフト
ベアリングキヤツプ２７の下方に延びており、切
欠部１２７が形成されているので、クランクシヤ
フトベアリングキヤツプ２７とは干渉しないよう
になつている。

リアオイルシールリテーナ２４のフランジ部１
２４にはオイルパン２９を取付けるためのスタツ
ドボルト３０が設けられており、ナツト３１を締
付けることによりオイルパン２９はリアオイルシ
ールリテーナフランジ部１２４にガスケツトを介
して固定される。したがつてオイルパン２９取付
用スタツドボルト３０の位置はクランクシヤフト
ベアリングキヤツプ２７の下方の位置にある。

３２はリアエンドプレートで、リアオイルシー
ル２６の下方に、リアオイルシールリテーナ２４
のフランジ部１２４以外の部位に位置して設けら
れている。リアオイルシール２６のリア側にはフ
ライホイール３３が配設されており、該フライホ
イール３３はクランクシヤフト２１にてフライホ
イール取付ボルト３４を介して取付けられてい
る。フライホイール取付けボルト３４用のねじ孔
１３５は、クランクシヤフト２１の端部のフラン
ジ部を貫通して延びており、該ねじ孔１３５を通
してオイルが洩れないように、フライホイール取
付ボルト３４のねじ部には、シール剤が塗布され
てねじ孔１３５にねじ込まれている。このよう
に、従来のように孔を盲構造とする必要がないの
で、クランクシヤフト２１端部のフランジ部の厚
みは、ねじ部に必要な長さを確保したまま従来に
くらべて小さくなつている。

上記のように構成されたエンジンのリアオイル
シール部の構造にあつては、エンジンの全長はつ
ぎのように短縮される。すなわち、リアオイルシ
ールリテーナ２４のエンジンフロント方向に延び
るフランジ部１２４にオイルパン２９が取付けら
れているので、取付用スタツドボルト３０の位置
が、従来構造のリアオイルシール６下方の位置か
らクランクシヤフトベアリングキヤツプ２７の下
方の位置に移り、第３図に示す距離ｌだけエンジ
ンフロント側にずれる。ただし第３図では上側が
本考案を下側が従来例を示している。その結果、
リアエンドプレート３２、フライホイール３３の
位置も前側にだすことができ、すなわちリアエン
ドプレート３２をリアオイルシールリテーナ２４
のフランジ部１２４以外の部分にもつてくること
ができ、第１図の距離Ｃを節約でき、その量だけ
エンジン全長が短縮される。この場合、クランク
シヤフト２１端部のフランジ部に形成されるねじ
孔１３５には、袋穴とすべきねじ底の肉厚が残さ
れないが、ねじ孔１３５を貫通ねじ孔とすること
により、必要なねじ長が確保されている。これに
よつて前記のエンジン全長の短縮化が阻害されな
い。もつとも、貫通ねじ孔とすると、油洩れに対
して対策されなければならないが、フライホイー
ル取付ボルト３４のねじ部にシール剤を塗布して
ねじ孔１３５にねじ込むので、油洩れは生じな
い。

〔考案の効果〕

したがつて、本考案のエンジンのリアオイルシ
ール部の構造によるときは、リアオイルシールリ
テーナの下部フランジ部をクランクシヤフトベア
リングキヤツプの下方にオーバラツプさせて位置
させ、そこにオイルパンを取付け、リアエンドプ
レートをリアオイルシールリテーナとオーバラツ
プさせて配設したので、オイルパンの後端位置を
エンジンフロント側に配置でき、かつ従来のリア
エンドプレートとリアオイルシールリテーナとの
距離を節約でき、エンジンの全長の短縮化を図る
ことができる。この場合、クランクシヤフトフラ
ンジ部のフライホイール取付ねじ孔は貫通ねじ孔
とするが、フライホイール取付ボルトのねじ部に
シール剤を塗布してねじ孔にねじ込むので油洩れ
は生じず、エンジン全長の短縮化は制約を受けな
い。これによつて、エンジンを車両の限られたス
ペース内に配置することが容易になり、エンジン
の搭載性を向上できる他、車両重量の低減にも寄
与することができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のエンジンのリアオイルシール
部の構造に係る部分断面図、第２図は、本考案の
一実施例に係るエンジンのリアオイルシール部の
構造を示す部分断面図、第３図は、第２図のリア
オイルシールリテーナとクランクシヤフトベアリ
ングキヤツプとの位置の関係を示す概略底面図
で、従来構造も併せ示してある概略図、第４図は
本考案実施例のクランクシヤフトベアリングキヤ
ツプの正面図であつて、その下端部に切欠部１２
７がつけられていることを示す図、第５図は従来
のクランクシヤフトベアリングキヤツプの正面図
であつて、下端部に切欠部がないものの図、第６
図は本考案実施例のリアオイルシールリテーナの
正面図、第７図は第６図の底面図、第８図は第６
図の断面図、第９図は各部品の結合を示す分解組
立斜視図、である。 図中の符号の意味はつぎの通りである。２１…
…クランクシヤフト、２４……リアオイルシール
リテーナ、２７……クランクシヤフトベアリング
キヤツプ、２９……オイルパン、３０……オイル
パン取付用スタツドボルト、３４……フライホイ
ール取付ボルト、１２４……フランジ部、１２７
……切欠部、１３５……フライホイール取付ボル
ト用ねじ孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リアオイルシールリテーナの下部にエンジンフ
   ロント方向に延びるフランジ部を形成して該フラ
   ンジ部をクランクシヤフトベアリングキヤツプの
   下方に該キヤツプとオーバラツプさせて配置し、
   前記リアオイルシールリテーナのフランジ部にオ
   イルパンを取付け、リアオイルシールリテーナの
   前記オイルパンの取付部よりエンジンリア側にリ
   アエンドプレートをリアオイルシールリテーナと
   オーバラツプさせて配設し、さらにクランクシヤ
   フト端部のフランジ部にフライホイール取付ボル
   ト用のねじ孔を前記クランクシヤフトフランジ部
   に貫通させて設け、フライホイールをクランクシ
   ヤフトに前記ねじ孔に螺合するフライホイール取
   付ボルトによつて取付け、フライホイール取付ボ
   ルト用のねじ部にはシール剤を塗布したことを特
   徴とするエンジンのリアオイルシール部の構造。