JPS6119148Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、重量の比較的に大なる物品を吊り
下げた状態で搬送する設備に於て、搬送レールと
これよりも下方の台もしくは床との間での上記物
品の上げおろしを容易且つ確実ならしめるための
装置に関する。

ところで、重量の比較的に大なる物品、例えば
食用の枝肉を、天井近くの中空に架設した搬送レ
ールから吊り下げる状態で、該レールに沿つて搬
送する場合には、そのレール端に於て、これより
も下方の台もしくは床との間で、上記の物品を上
げ下げする必要が度々生じる。即ち上例の枝肉で
あれば、これを搬送レール上から垂下されたトロ
リーフツクに引つかけ或は該フツクから外しおろ
す作業が度々行なわれる。かかる物品の上げおろ
し作業は、該物品の重量が大なるため、人力で行
なつていたのでは、多大の労力を要し、且つまた
非能率的である。そこで従来に於ては、ホイスト
もしくはチエンブロツクを用いて、予め前記の物
品がかけられたトロリーフツクを搬送レールの高
さまで吊り上げた後、該レール上へ移し、或はま
た、そのレール上から物品をトロリーフツクごと
吊りおろすことが行なわれている。然し乍ら、こ
の場合には、労力は軽減し得たとしても、搬送レ
ールとの間でのトロリーフツクの受渡しに細心の
注意を要して、意外に手数がかかり、且つまたそ
の受渡しに失敗して、物品が不意に落下する危険
性も多い。

本考案は、上記したような従来の問題点に対処
して、搬送レールとの間での物品の上げおろしを
容易且つ確実ならしめるため、巻上げドラムに巻
き付けられたワイヤーもしくはチエーンの端を搬
送レールの端へ連結して、トロリーフツクの上端
に備えられた溝車を上記ワイヤー等に対する動滑
車に対応させ、この溝車がそのワイヤー等で搬送
レールの高さまで吊り上げられた状態に於ては、
ワイヤー等とレールとの間での溝車の乗り移りが
きわめて円滑に行なえるようにしたものである。
以下これを図面に示す実施例について詳述する。

図に於て１は倉庫その他の天井２に沿つてハン
ガー３で中空に架設支持された搬送レール、４は
該レール上から垂下された状態で該レールに沿い
自由に移動させ得るトロリーフツクである。上記
の搬送レール１は、上面に沿つて細巾のレール面
１ａを有し、またトロリーフツク４は、枠体４ａ
の上端に、上記のレール面１ａ上へ乗つて自由に
転がり得る溝車４ｂを回転自在に備え、下端に
は、吊下げ搬送の対象となる物品５が引つかけら
れ得るようなフツク４ｃを備えている。６は巻上
げ用のワイヤー（もしくはチエーン）であつて、
これの一端６ａは、上記搬送レール１の端へ、そ
のレール面１ａを延長する如く連結され、ワイヤ
ークリツプ７等を用いて結合されている。このワ
イヤー６は、上記の溝車４ｂを動滑車の如くに吊
り掛けて昇降させ得るものとし、従つて該ワイヤ
ーの他端部分６ｂは、天井２の附近に設置された
巻上げドラム８へ巻き付けられている。この巻上
げドラム８は、適当な動力源からドラム軸９へ随
時選択的に伝えられる正逆いずれかの回転によつ
て、巻取り方向及び巻戻し方向のいずれへも回転
させられるものとする。１０はトロリーフツク４
の巻上げドラム８による吊上げ高さの上限を規制
するリミツトスイツチであつて、該ドラムの近傍
に備えられ、トロリーフツクが所定の高さ、即ち
溝車４ｂがレール面１ａと同高もしくは僅かに高
い程度の高さまで吊り上げられたとき枠体４ａの
上端で押されて、ドラム軸９への回転の伝達を中
止させるようになつている。なお上記の巻上げド
ラム８は、図例では搬送レール１の端の上方にお
ける天井２の附近に設置されているが、その位置
に定滑車を設置して該ドラム自体は他所へ設置す
るようにしても良く、この場合の前記リミツトス
イツチ１０は、上記の定滑車附近へ備えられるこ
とになる。またこの巻上げドラム８には、図例で
はコーン形のものが用いられ、ワイヤー６の長さ
を予め算定して、トロリーフツク４の吊上げ完了
時に該ワイヤーの端が搬送レール面１ａの延長線
上へ正しく一致するように配慮されているが、そ
のワイヤー端とレール面延長線との間に僅かな狂
いが生じても、溝車４ｂの乗り移りには何ら支障
を来たさない。

上記した構成に於て、搬送レール１から取り外
された状態にあるトロリーフツク４のフツク４ｃ
に、吊下げ搬送の対象となる物品５を引つかけ、
且つこれの溝車４ｂを、巻上げドラム８から繰り
出されたワイヤー６へ動滑車の如く吊り掛けた
後、巻上げドラム８を巻取り方向へ回転させる
と、そのトロリーフツク４は、第１図中の実線で
示す位置から真直ぐ上方へ吊り上げられて、搬送
レール１の端へ達し、溝車４ｂがレール面１ａと
同高もしくは僅かに高い程度の高さまで来たと
き、リミツトスイツチ１０の働きによつて停止す
る。然してこのときのワイヤー６の端は、搬送レ
ール１のレール面１ａを延長する線上にある。そ
こで、物品５を第１図に於て左方向へ軽く押すな
どして、トロリーフツク４に搬送レール１へ向か
う方向の僅かな力を加えてやると、該フツクの溝
車４ｂは、ワイヤー６の端からレール面１ａ上へ
極く自然に転げ渡る。従つてトロリーフツク４
は、巻上げ用ワイヤー６から搬送レール１上へ、
きわめて円滑に乗り移り、物品５をその下方に吊
り下げて、該レールに沿い搬送させ得る状態とな
る。

また巻上げ用ワイヤー６が上記の如く巻き上げ
られた状態にあるとき、第１図中の左方に鎖線で
示す如く、物品５を搬送レール１から吊り下げて
いるトロリーフツク４があるとして、これを該レ
ールの端まで移動させ、更に前進させる。すると
このトロリーフツク４の溝車４ｂは、レール面１
ａから該面の延長線上にあるワイヤー６の端へ極
く自然に転げ渡たり、そのトロリーフツク４を搬
送レール１上からワイヤー６へきわめて円滑に乗
り移らせる。従つて巻上げドラム８を巻戻し方向
へ回転させれば、このトロリーフツク４は、溝車
４ｂを動滑車としてワイヤー６により下降させら
れ、フツク４ｃに引つかけられている物品を吊り
おろすことになる。

以上の如く、本考案はトロリーフツクを吊り下
げて移動させるための搬送レールの端に、巻上げ
用ワイヤーもしくはチエーンの一端を、そのレー
ル面を延長する如く連結して、該ワイヤー等の他
端を巻上げドラムに巻き付け、上記のレール面上
で転がるトロリーフツク側の溝車を動滑車のよう
に対応させて、上記のワイヤー等でこのトロリー
フツクを昇降させ得るようにしたものであるか
ら、このような本考案によれば、重量の比較的に
大なる物品を対象として吊下げ搬送設備に於て、
搬送レール端とこれよりも下方の台もしくは床と
の間でのトロリーフツクの上げおろしを、該フツ
クに上記の物品が引つかけられたままで楽に行な
い得ると共に、溝車が搬送レール面と同高もしく
はこれに近い高さまで吊り上げられた状態で、ト
ロリーフツクのワイヤー等から搬送レール上へ、
或はその逆への乗り移りをきわめて円滑に行なわ
せることができ、従つて搬送レールで吊り下げ搬
送される物品の該レールに対する上げおろし作業
を、容易且つ確実に然も安全に行なわせ得る効果
が期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部欠截正面
図、第２図は側面図、第３図は平面図である。 １……搬送レール、１ａ……レール面、４……
トロリーフツク、４ｂ……溝車、４ｃ……フツ
ク、５……物品、６……ワイヤー、８……巻上げ
ドラム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中空に架設された搬送レールと、そのレール面
   上を転がる溝車によつて該レールから吊り下げら
   れるトロリーフツクとで構成された吊下げ搬送設
   備に於て、上記搬送レールの端に、上記の溝車を
   動滑車として吊り掛け得るような巻上げ用ワイヤ
   ーもしくはチエーンの一端が、そのレール面を延
   長する如く連結され、且つこのワイヤーもしくは
   チエーンの他端が、そのレール面もしくは該面よ
   り僅かに高い位置を上限として上記の溝車を昇降
   させるべく、適当な巻上げドラムに巻き付けられ
   ていることを特徴とする吊下げ搬送設備の物品昇
   降装置。