JPS6118676B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、汎用エンジンのリコイルスタータの
改良に関するものである。

従来のリコイルスタータを備えた汎用エンジン
を第１図及び第２図に示す。フアンカバー１には
シリンダー２及びクランクケース３を覆い、この
フアンカバー１内へクランクケース３からクラン
クシヤフト４を突出して該クランクシヤフト４に
フアン５及び発電機６のロータ７を軸着している
と共に、クランクシヤフト４先端にフアンカバー
１外側方向に突出するカツプリング８を螺着して
いる。スタータカバー９は、フアンカバー１の外
周に螺着されており、上記カツプリング８を覆つ
てフアンカバー１の外側方向に突出している。こ
のスタータカバー９は、スタータシヤフト１０を
内側方向に突設してプーリ１１を回転可能に軸支
し、このプーリ１１に一端をスタータカバー９外
方向へ延出してノブ１２を取付けたプーリ回転用
引張ロープ１３を巻装し、さらにこのプーリ１１
を逆転させるコイルばね１４を配設している。そ
して、プーリ１１に出没可能に設けた爪１５を上
記カツプリング８の係入孔１６…に係脱自在に係
入させ、ロープ１３の引張によるプーリ１１の回
転をカツプリング８を介してクランクシヤフト４
に伝達するようになつている。

このように、従来のリコイルスタータは発電機
（電装部分）、フアンを内蔵したフアンカバーの外
側に膨出させて組み付けられている。即ち、上記
カツプリングは爪１５が欠損した時、又はリコイ
ルスタータを装置しない場合にロープを直接外周
に巻き付けて始動させる為、該カツプリングを必
要とし且つその幅も比較的大きく形成されてい
る。そして、上記膨出部は比較的大きいので狭い
所での設置、運搬等において不都合である。

又、この種エンジンのリコイルスタータとして
は、特開昭48−59232号公報及び実開昭52−
139947号公報に記載のものが知られている。特開
昭48−59232号公報に記載の先行技術例は、クラ
ンクケーシング突出部上にプーリ、圧着板、皿ば
ねが回転可能に支承されており、ロープを引張り
プーリを回転させると、前記圧着板が皿ばねを介
して摩擦力によりクランクケーシング突出部に支
持されているため、クランクの環状溝内の傾斜面
が圧着板のカムに接触し、圧着板のカムが傾斜面
上へ滑動して圧着板が皿ばねの押圧力に抗して始
動部材側へ移動し、圧着板の摩擦ライニングと始
動部材の縁が摩擦接続され、前記圧着板、皿ばね
とクランクケーシング突出部との摩擦力に抗して
圧着板、皿ばねを回転することにより、始動部材
が回転し、クランク軸が回転して始動するように
なつている。このため、皿ばねの押圧力、皿ばね
および圧着板とクランクケーシング突出部との摩
擦力、および摩擦ライニングの摩擦係数の設定を
うまくバランスさせないと、圧着板のカムがプー
リの傾斜面に当接し、圧着板が始動部材側に移動
して圧着板の摩擦ライニングと始動部材の縁が摩
擦結合する以前に圧着板が回転してしまい、始動
部材を回転させることができず、始動不能となる
おそれがある。

一方、実開昭52−139947号公報に記載の先行技
術例は、操作ノブを引くと、ロープを介してリー
ルが回動され、ラチエツト爪を支持する支持板を
同行回動させ、この時フリクシヨンプレートが摩
擦により遅動作するため、ラチエツト爪が起立さ
れてフライホイルフアンに刻設されたラチエツト
ギヤと噛合し、クランクシヤフトを回動させて始
動するようになつている。しかしながら、この構
成では、フリクシヨンプレートの摩擦力を適性に
設定しておかないと、摩擦力が小さすぎた場合、
フリクシヨンプレートは支持板に対して遅動作せ
ず、ラチエツト爪は起立せず、またフリクシヨン
プレートの摩擦力が大きすぎるとラチエツト爪が
フリクシヨンプレートによつて損傷するおそれが
あり、始動不能となるおそれがある。

本発明は、上述した点に鑑みてなされたもの
で、クランクケース側面に突出したクランクシヤ
フトにフアンを軸着し、該フアンをフアンカバー
で覆つてエンジンを冷却する汎用空冷エンジンに
おいて、前記クランクケースとフアンとの間にク
ランクシヤフトを中心に貫通させてクランクケー
スに固定される円筒状軸部を設け、該円筒状軸部
の外周面に早ねじを形成し、該早ねじに螺合する
係合部を有するリコイルスタータプーリを前記軸
部に螺装し、リコイルスタータプーリをばねを介
してクランクケース側と連結し、リコイルスター
タプーリとフアンとに係脱する係合手段を設けた
構成としている。この構成により、始動不能にな
ることなくスタータの作動が確実であり、又摩擦
力を設定する必要がなく、更に前記圧着板、皿ば
ね、或はフリクシヨンプレートを必要としないと
共に、従来のクランクカバー外側に突出させてい
たリコイルスタータに比しカツプリング、スター
タシヤフトスタータカバー等が不用で大幅なコス
ト低減を図ることができ、又、フアンカバー外側
方向へのリコイルスタータの膨出をなくしてエン
ジンをコンパクトにできるようにした汎用エンジ
ンのリコイルスタータを提供することを目的とし
ている。

次に本発明の第一実施例を第３図乃至第６図を
参照して説明する。

フアンカバン２１は、シリンダー２２及びクラ
ンクケース２３を覆つており、このフアンカバー
２１内へクランクケース２３からクランクシヤフ
ト２４を突出して該フアンカバー内のクランクシ
ヤフト２４にフアン２５及び発電機２６のロータ
２７が軸着されている。軸部２８は、フアンカバ
ー２１内に位置するクランクケース２３の側面を
クランクシヤフトの軸方向へ突出して円筒状に形
成され、軸方向の中心にクランクシヤフト２４を
貫通していると共に、軸部端面が上記フアン２５
の内側面に臨んでいる。

上記軸部２８は、外周面に早ねじ２９が形成さ
れており、プーリ３０の内周面に設けた係合部３
１がこの早ねじ２９に螺合され、プーリ３０が早
ねじ２９に沿つて正逆転しながら軸方向へ往復動
可能に螺装されている。プーリ３０は、該プーリ
を回転させながら上記早ねじ２９に沿つて往動さ
せる引張ロープ３２が巻装され、このロープ３２
の一端はプーリ３０に止着され他端はフアンカバ
ー２１外に延出してノブ３３が取付けられてい
る。上記プーリ３０はクランクケース側に軸３４
を植設し、この軸３４に他端をコイルばね収納部
３５に止着したコイルばね３６の一端を止着して
いる。コイルばねの収納部３５はクランクケース
２３と一体に形成されている。

プーリ３０はフアン対向面にピン３７を突設
し、フアン２５はプーリ対向面にピン係入孔３８
を有して、プーリ３０の往動時にプーリ３０のピ
ン３７がフアン２５の係入孔３８に係入するよう
になつている。尚、図中３９はピストン、４０は
コネクテイングロツド、４１はクランク、４２は
出力軸、４３はエヤークリーナ、４４はマフラ
ー、４５はプーリのストツパーを示す。

次に本発明リコイルスタータの作用を説明す
る。

ノブ３３を介してロープ３２をコイルばね３６
の付勢力に抗して手前方向に引くことによつて、
プーリ３０が回転しながら軸部２８の早ねじ２９
に沿つてフアン方向へ往動し、プーリ３０のピン
３７がフアン２５の係入孔３８に係入してプーリ
３０の回転力がフアン２５に伝達され、クランク
シヤフト２４を回転させる。上記ロープ３２を引
き終つて手を離すと、プーリ３０はコイルばね３
６の一端が軸３４を介して止着されているので、
コイルばね３６の復元力によつて逆転しながら軸
部２８の早ねじ２９に沿つて復動し、フアン２５
の係入孔３８からプーリ３０のピン３７が離脱し
て自動復帰するものである。ピン３７と係入孔３
８は複数個設けられている。プーリ３０のストツ
パ４５はフアン２５側面とピン３７が圧接してリ
コイルスタータプーリが回転しなくなることを防
止するよう設定される。

又、クランクケース２３から、フアン２５のロ
ータ２７外側を覆うように円筒状軸部２８を設け
たので、リコイルスタータ全体が外方へ大きく突
出することもなく、コンパクトに構成できる。

第７図に示すものは本発明の第二実施例であ
る。この実施例はリコイルスタータプーリ３０の
フアン対向面にスプリング４６を内蔵した摩擦板
４７を配設し、リコイルスタータプーリ３０が早
ねじ２９に沿つて往動する際、スプリング４６内
蔵の摩擦板４７がフアン２５に圧接され、該フア
ン２５を回転させるようになつている。

第８図に示すものは本発明の第三実施例であ
る。この実施例は、リコイルスタータプーリ３０
のフアン側に第１図に示す従来の爪４８を配設
し、フアン側にこの爪４８を係入させる係入部４
９を形成したものである。

このように本発明は、プーリ３０の係合部とフ
アン２５の係合部の構成は何ら問わないととも
に、プーリ３０を螺装する軸部２８は必ずしもク
ランクケース２３と一体に形成することなく別部
材にて形成してもよい。

以上説明したように本発明によれば、スタータ
の作動が確実であつて始動不能となる虞れがな
く、又摩擦力を設定する必要がないと共に、圧着
板、皿ばね、或はフリクシヨンプレートを必要と
しない。さらに、従来の如くフアンカバーの外側
に突出させていたものに比し部品点数が少なく構
造が簡単であり、しかもフアンカバーの外側方向
への膨出部がなくエンジン全体をコンパクトにで
きる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例のリコイルスタータを備えた汎
用エンジンを示す断面図、第２図は同上の側面
図、第３図は本発明の第一実施例のリコイルスタ
ータを備えた汎用エンジンを示す断面図、第４図
は同上の要部拡大断面図、第５図はフアンを示す
斜視図、第６図は第３図の側面図、第７図は本発
明の第二実施例を示す要部断面図、第８図は本発
明の第三実施例を示す要部断面図である。 図中符号２１はフアンカバー、２２はシリンダ
ー、２３はクランクケース、２４はクランクシヤ
フト、２５はフアン、２８は軸部、３０はプー
リ、３２はロープ、３６はコイルばね、３７はプ
ーリの係合部、３８はフアンの係合部を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クランクケース側面に突出したクランクシヤ
   フトにフアンを軸着し、該フアンをフアンカバー
   で覆つて導入した外気にてエンジンを冷却する汎
   用空冷エンジンにおいて、前記クランクケースと
   フアンとの間にクランクシヤフトを中心に貫通さ
   せた円筒状軸部をクランクケース側から延出して
   設け、該円筒状軸部の外周面に早ねじを形成し、
   この早ねじに螺合する係合部を有するリコイルス
   タータプーリを前記円筒状軸部外周の早ねじに螺
   装し、このリコイルスタータプーリをばねにてク
   ランクケース側へ前記早ねじに沿つて回転付勢す
   ると共に、前記リコイルスタータプーリ外周に該
   プーリをフアン側へ早ねじに沿つて回転移動させ
   る引張用ロープをその一端を止着させて巻装し、
   且つこのリコイルスタータプーリとフアンとに該
   リコイルスタータプーリがフアン側へ回転移動し
   たとき係合する一方、前記ばねにてクランクケー
   ス側へ回転移動したとき離脱する係合手段を設け
   たことを特徴とする汎用エンジンのリコイルスタ
   ータ。