JPS6117109Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はカツタ室がズリ搬送通路以外は切羽
に対して密閉構造となつたシールド掘進機に係
り、カツタ室内における掘削土砂（以下ズリとい
う。）の堆積固結を防止し、あるいは堆積固結し
たズリを除去すると共に、固結堆積した土砂の除
去後のカツタ室内の空間を必要最小限に抑えるこ
とができ切羽の安定を高めることができる密閉型
シールド掘進機に関する。

〔従来の技術〕

一般に密閉式シールド掘進機では、第１図に示
す如くカツタ室２が土砂搬送通路以外では切羽に
対して密閉構造となつており、カツタ１で掘削し
たズリをカツタ室２内に一旦導入したのち、その
導入ズリＳを土砂搬送通路を形成するスクリユー
コンベア３で取込んでカツタ室後方に排出してい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このため、シールド掘進時においてカツタ室２
内には常にズリＳが導入されることにより、その
ズリが上記カツタ室２の内周面上に堆積して固結
することがある。このようにカツタ室２の内周面
上にズリＳが堆積固結すると、それによつてカツ
タ１のズリ導入用スリツト（図示せず）が塞がれ
る。従つて、上記カツタ室２内に接続のズリを導
入できなくなり、しかもそのことによりカツタ１
が切羽全面地山側から過度の圧力（土圧）を受け
て回らなくなることがしばしばある。このような
ことからシールド掘進機には、カツタ室２内にお
けるズリの固結防止対策、あるいは固結したズリ
の除去対策が必要である。しかし、その対策とし
て末だ特に有効な手段は開発されていないのが実
情である。

従来たとえば、第１図中に一点鎖線で示すごと
くカツタ室２内に水ジエツト配管４を挿入し、こ
の配管から高圧水をジエツト噴出させることによ
りカツタ室２内を洗浄することは行なつている。
しかし、この程度の手段で上述のごときカツタ室
内ズリの固結防止や固結したズリの除去を確実に
行なうことはほとんど無理である。また、上記従
来手段の場合、設備も大がかりになつてメンテナ
ンスおよびコストの点においても不利である。

また、従来例として実公昭44−6221号公報に開
示されたトンネル掘削機強制排土装置が挙げられ
る。この装置にあつてはトンネル掘削機がカツタ
上部からズリをシユート内のコンベアに落し排出
する開放型である。

また、カツタバケツト内にスクレーパが設けら
れているが、このスクレーパは回転体であるカツ
タヘツドに設置されており、カツタヘツドの回転
にともなつて必ずスクレーパが作動され、カツタ
ヘツドの回転中に停止させたりまたスクレーパの
突出量を任意に調節することができない。

密閉型のシールド掘進機にあつてはカツタ室内
に土砂を充満させて切羽を安定させることが必要
であり、上記従来例を採用することができない問
題点があつた。

〔考案の目的〕

この考案は上記事情に鑑みて創案されたもので
ある。

本考案の目的は密閉型シールド掘進機におい
て、カツタ負荷が増大したときのみスクレーパを
カツタの回転力を利用してカツタ室内に固結堆積
した土砂を除去することができ、もつてカツタ室
の空間を必要最小限に抑えて切羽の安定を可及的
に高めることができる密閉型シールド掘進機を提
供するものである。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するために、シールドフレーム
の前端開口部にこれを覆つて回転自在に設けられ
たカツタの裏面側に掘削土砂を取込むカツタ室を
形成し、該カツタ室内の軸芯部に掘削土砂をシー
ルドフレームの後方へ搬出する土砂搬送通路の入
口側を挿入すると共に該土砂搬送通路の入口側を
中空部を介して、略同心円状に覆うカバーを設
け、該カバーの一部を切り欠くと共に一端を枢支
して半径方向外方へ回動するスクレーパを形成
し、上記中空部にスクレーパの回動手段を設けた
ものである。

〔実施例〕

以下に、この考案の好適一実施例を第２図、第
３図に基づいて説明する。これらの図に示すシー
ルド掘進機において、１０はシールドフレーム、
１１はカツタ架台、１２はシールドジヤツキ、１
３はカツタである。カツタ１３は裏面側に形成し
たカツタ室１４を有して上記架台１１にカツタ軸
受１５を介して回転自在に支承され、図示省略の
駆動手段で回転駆動されるようになつている。そ
して、上記カツタ室１４内には、この室内中心部
乃至軸芯部に臨んで土砂搬送通路を形成するスク
リユーコンベヤ１６の入口１７側が挿入してあ
る。即ち、切羽側の反対側になるカツタ室１４に
はその軸芯部に土砂搬送通路が取り付けられる。
その土砂搬送通路を形成するコンベヤの挿入部、
いわゆる上記入口１７を形成している部分のスク
リユーコンベヤケーシング１６ｂは、その外周面
との間に第３図に示す如く中空部１８を形成する
同心円状のカバー１９で覆われている。

このカバー１９の先端側底部にはカツタ室１４
内においてその軸芯部から半径方向外方へ出没自
在にスクレーパ２０が設けてある。

このスクレーパ２０は、上記カバー１９の一部
を切欠分離して、これにピン２１を介して枢支し
半径方向外方へ展開自在にしたアーム部材２０ａ
と、このアーム部材の先端部外側に設けた掘削ビ
ツト２０ｂとによつて構成されている。従つて、
アーム部材２０ａは上記カバー１９の切欠部２２
を開閉するカバーになる。

そして、上記構成のスクレーパ２０は、アーム
部材２０ａの先端側裏側がカバー１９内の所謂中
空部１８に設けたスクレーパ回動手段たる油圧ジ
ヤツキ２３と連結してあることにより、このジヤ
ツキ２３の伸縮作動で出没駆動されるように構成
されていると共に半径方向外方へ突出量が任意に
調節できるように構成されている。

つぎに、上記実施例の作動を説明する。シール
ド掘進作業時において、カツタ１３で掘削されカ
ツタ室１４内に導入されたズリは、スクリユーコ
ンベヤ１６内に入口１７から取り込まれて、その
スクリユーコンベヤで後方に搬送される。このよ
うなシールド掘進作業時にはカツタ室１４内にズ
リＳが常に導入されることから、カツタ室１４内
の特に大径側中空室部１４ａにはズリＳが堆積す
ることとなる。そして、その堆積ズリＳは固結す
ることがある。堆積ズリＳが固結すると、従来例
で述べたごとく爾後カツタ室１４内へのズリ導入
が不可能になり、且つカツタ負荷が過度になつて
カツタ１３が回らなくなる。そこで、このような
事態を避けるべく、上記堆積ズリＳが固結したり
あるいは固結するおそれがあるときのみに、第３
図中に実線で示す状態の油圧ジヤツキ２３を延び
作動させる。これによりスクレーパ２０を第２
図、第３図中に実線で示す閉位置から２点鎖線で
示す開方向、いわゆる半径方向外方に突出させ
る。もつて、スクレーパ２０の掘削ビツト２０ｂ
を上記堆積ズリＳ中にくい込ます状態にする。こ
の状態でシールド掘進作業を行うと、カツタ１３
が回転してそれと共に上記堆積ズリＳが回転する
ことにより、この堆積ズリＳは固定側の上記スク
レーパ２０で掻き落とされあるいは撹拌されるこ
とになる。従つて、カツタ室１４内で固結したズ
リが除去されることはもとより、固結しようとす
るズリであつても、その固結が未然に防止される
こととなつて上記の事態を避けることができる。

また、上記スクレーパ２０は、油圧ジヤツキ２
３の伸縮量によりカツタ室１４内の軸芯部から半
径方向外方の突出乃至延長量が任意に調節するこ
とができ、固結堆積ズリの掻き落とし量を制御す
ることができ、カツタ室１４内の固結堆積した土
砂の除去後の空間を必要量最小限に抑えることが
でき、切羽の安定を阻害することがない。

更に、固結堆積ズリが発生しカツタ負荷が増大
したときのみ、スクレーパ２０を半径方向外方に
突出させ、これらを掻き落しあるいは撹拌させる
ことができるものであり、平常時にはスクレーパ
２０は不作動状態に維持することができるもので
ある。

なお、上記スクリユーコンベヤ１６は、カツタ
室１４内からズリを取込んで搬送する土砂搬送通
路を形成するものであれば、その他の例えばベル
トコンベア等であつてもよい。

〔考案の効果〕

以上要するに本考案によれば次の如き優れた効
果を発揮する。

(1) 回転するカツタ室に対して固定側である土砂
搬送通路の入口側を中空部を介して略同心円状
にカバーで覆い、このカバーの一部を切欠いて
一端を支点に半径方向外方へ回転するスクレー
パとし、上記中空部にスクレーパの回動手段を
設けたので、スクレーパを半径方向外方へ回転
させないときはスクレーパの回動手段が中空部
に隠れるとともにスクレーパがカバーの一部と
なり、土砂の流れや排出を阻害することがな
い。

(2) また、スクレーパをカツタ室の回転とは無関
係に作動、非作動状態にすることができるの
で、カツタ負荷が増大したときにスクレーパを
作動状態とすることによりカツタ室内に固結堆
積した土砂を掻き取ることができ、必要に応じ
てスクレーパを作動、非作動状態にでき、カツ
タ室の空間を必要最小限に抑えて切羽の安定を
可及的に高めることができる。

(3) 構造が簡単でメンテナンスおよびコストの点
において有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示すシールド掘進機の概略断
面図、第２図はこの考案の好適一実施例に係るシ
ールド掘進機の断面図、第３図は第２図の−
線に沿う断面矢視図である。 図中、１３はカツタ、１４はカツタ室、１６は
土砂搬送通路として例示したスクリユーコンベ
ヤ、１７は入口、１８は中空部、１９はカバー、
２０はスクレーパ、２３はその回動手段である油
圧ジヤツキである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シールドフレームの前端開口部にこれを覆つて
   回転自在に設けられたカツタの裏面側に掘削土砂
   を取込むカツタ室を形成し、該カツタ室内の軸芯
   部に掘削土砂をシールドフレームの後方へ搬出す
   る土砂搬送通路の入口側を挿入すると共に該土砂
   搬送通路の入口側を中空部を介して、略同心円状
   に覆うカバーを設け、該カバーの一部を切り欠く
   と共に一端を枢支して半径方向外方へ回動するス
   クレーパを形成し、上記中空部にスクレーパの回
   動手段を設けたことを特徴とする密閉式シールド
   掘進機。