JPS609444Y2 - 複動形シリンダ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は複動形シリンダに係り、特にシリンダ本体のロ
ッド摺動部のシール構造に関する。

周知の通り複動形シリンダは、第１図に示す如くシリン
ダ本体１と、そのシリンダ本体１内に収納されたピスト
ン２と、そのピストン２のロッド３とを具えた構造とな
っており、ロッド３の往復運動は、ポート４を介してロ
ッド側室５へ、かつポート６を介してボトム側室７へ交
互に高圧流体、例えば圧油が送られることによって行わ
れる。

またシリンダ本体１のロッド摺動部には、ロッド３外周
面に付着するダストを取除くダスシール８と、高圧側を
シールするＵパツキンで代表される成形パツキン９とが
配設されている。

このような複動形シリンダにおいて、ロッド３の縮小時
にはロッド側室５内が、ここへ送られる圧油によって圧
力が発生し、特に大重量の負荷を動かす場合にはそれに
見合った高圧油が送られるので、前記ロッド側室５の圧
力はかなり高圧となり、高圧側をシールしている成形パ
ツキン９の破損が速くなる。

そして、もし成形パツキン９が破損した場合、高圧油が
ダストシール８部から外部へ浅瀬してしまう。

シカるに従来の複動形シリンダにおいては、図示の如く
成形パツキン９の背面におけるシリンダ本体１のロッド
摺動部内面に、低圧側である油タンク１０に連通するド
レン室１１を形威し、かっ該ドレン室１１の背後に低圧
側をシールする成形パツキン１２を配設した構造となし
ている。

そして、高圧側をシールする成形パツキン９の破損によ
りロッド側室５から洩れる高圧油をドレン室１１を介し
て油タンク１０に流して、ロッド摺動部から外部への油
の浅瀬を防止している。

しかし、従来の複動形シリンダでは、次に列記する欠点
がある。

（１） 通常は成形パツキン９で高圧側が完全にシー
ルされるため、ドレン室１１が油タンク１０に連通され
ているにも拘わらす該ドレン室１１内の油は油タンク１
０へ流れない。

即ち、ドレン室１１での油の循環がないため常に同じ油
がドレン室１１に留まることになる。

このため、高圧側成形パツキン９及び低圧側成形パツキ
ン１２の摺動摩擦熱と前記ドレン室１１の油とで熱授受
が十分に行われないばかりでなく油温も上昇して、両成
形パツキン９，１２は熱による劣化で寿命が著しく低下
してしまう。

（２）ロッドに付着したダストはダストシール８によっ
てかき落されるようになっているが、長期間の使用のう
ち該ダストシール８のリップが摩耗してダストのかき落
しが不十分となり、一部のダストがダストシール８を越
えてロッド摺動部内に侵入してくる。

そして、このダクトが高圧成形パツキン部に侵入した場
合、高圧成形パツキン９とロッド３とが傷つき、更に内
部に侵入すると油圧機器の各部の損傷を招くことになる
。

本考案の目的は、前述した従来技術の欠点を解消し、高
圧側をシールする成形パツキンの劣化を少なくして寿命
を長くでき、かつダストの侵入による成形パツキン及び
ロッドの損傷を防止できる複動形シリンダを提供するに
ある。

この目的を遠戚するために、本考案は、シリンダ本体の
ロッド摺動部に、ダストシールと互に離間する２個の成
形パツキンとを配設し、２個の成形パツキンの間を低圧
側に連通させた複動形シリンダにおいて、高圧側のシー
ル面に、２個の成形パツキン間の低圧部とロッド側室と
を連通させる溝を設けたことを特徴とする。

以下、本考案の詳細を図面に従って説明する。

第２図は本考案による複動形シリンダの断面図、第３図
は第２図における高圧側成形パツキンの一部分の側面図
、第４図は第３図のＴＶ−ＩＶ矢視断面図を示している
。

第２図において、１はシリンダ本体、２及び３はピスト
ン及びそのロッド、４及び６はポート、５及び７はロッ
ド側室及びボトム側室、８はダストシール、９は高圧側
をシールする成形パツキン（Ｕパツキン）、１１は油タ
ンク１０に連通するドレン室、１２は低圧側をシールす
る成形パツキン（Ｕパツキン）を示している。

しかるに、本考案による複動形シリンダでは、高圧側を
シールしている成形パツキン９のシール面に、ロッド側
室５とドレン室１１とを連通ずる溝１３が設けられた構
成となっている。

更に詳しく説明すると、前記溝１３は、成形パツキン９
の内、外シール面に、その軸心方向に沿つて複数側芽が
たれている。

また前記各部１３は、ロッド側室５の圧油が該溝１３を
通ってドレン室１１に流れる圧油を絞って減圧するよう
に、その断面積が小さくされている。

従って、本考案による複動形シリンダにわいては、ロッ
ド側室５に圧油が作用した場合、その一部の圧油が高圧
側成形パツキン９の各部１３から減圧された状態でドレ
ン室１１に流入し、かつドレン室１１から油タンク１０
へ流れる。

即ち、ドレン室１１内においてはドレン油が常に循環し
て、成形パツキン９及び１２の摺動摩擦熱を油タンク１
０側へ逃がすので、該摩擦熱による成形パツキン、特に
高圧側成形パツキン９の劣化が少なくなり、該成形パツ
キン９の寿命が長くなる。

また成形パツキン９は、これ自身の弾性により各部１３
の断面積が変化するので、ロッド側室５の圧力に変動が
生じても各部１３からドレン室１１へ流れる油量が略一
定となる。

即ち、ドレン室１１における循環量が略一定に保たれる
ので、成形パツキン９の劣化を更に少なくできる。

また、ダストの一部がダストシール８を越えてロッド摺
動部内に侵入した場合、低圧側成形パツキン１２を越え
た時点、即ちドレン室１１に到達した時点で該ダストは
循環する前記ドレン油と共に油タンク１０へ排出される
ので、高圧側成形パツキン９へ達することはない。

従って、該成形パツキン９及びロッド３がダストにより
傷つけられることは防止される。

尚、前記の実施例においては、ロッド側室５とドレン室
１１とを連通させる溝１３を、高圧側成形パツキン９の
内、外シール面に設けた例を示したが、該高圧側成形パ
ツキン９と接触するシリンダ本体１のシール面に溝を設
けてもよい。

以上説明したように、本考案によれば、特に高圧側をシ
ールする成形パツキンの劣化を少なくして寿命を長くで
き、かつダストによる成形パツキン及びロッドの損傷を
防止できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は従来の複動形シリンダを示す断面図、第２図は
本考案による複動形シリンダを示す断面図、第３図は第
２図における高圧側成形パツキンの一部分を示す側面図
、第４図は第３図のＩＶ−ＩＶ矢視断面図である。 １・・・・・・シリンダ本体、３・・・・・・ロッド、
５・・・・・・口ラド側室、 訃・・・・・ダストシール、 ９゜ １２・・・・・・威 形パツキン、 １１・・・・・・ドレン室、 １３・・・・・・溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ シリンダ本体のロッド摺動部に、ダストシールと互
   いに離間する２個の成形パツキンとを配設し、２個の成
   形パツキンの間を低圧側に連通させた複動形シリンダに
   おいて、高圧側のシール面に、２個の成形パツキン間の
   低圧部とロッド側室とを連通させる溝を設けたことを特
   徴とする複動形シリンダ。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項において、前記溝は
   、高圧側をシールする成形パツキンの内、外シール面に
   、その軸心方向に沿って複数個設けられていることを特
   徴とする複動形シリンダ。