JPS6059008B2 - 改良超高圧装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は超高圧装置、即ち比較的多量の固体の試料に確
実にかつ従来より高い加圧効率にて、６０ｋｂ以上の圧
力を付加することを可能にした高圧装置の構成における
改良に関する。

本発明者は、基本的に一対のパンチとシリンダとから成
るダイヤモンド合成用高圧装置に於いて、シリンダの筒
状中央穿孔に嵌合して十分に硬焼きされたアルミナ製の
剛性中空円筒体を配置することにより、圧力発生時のシ
リンダヘの負荷を大幅に軽減し、以て大型部品の製作が
容易な鋼を１−ｐＨ”刑−”冫ｊ−、、、Ｊ 抹ιノｉ
岬−↓ｎ高圧装置の処理容量乃至反応室容積を増加さ
せる方法を先に提案した（例えば特公昭４６−１８２３
４）。

これらの構成を用いれば黒鉛を出発材料とするダイヤモ
ンド合成に必要な５０ｋｂ程度迄の圧力は再現性よく容
易に発生させることができるが、６０ｋｂを超える更に
高い圧力を得ることは困難であつた。これは主として反
応室に面し圧力を封じ込めるアルミナに対する補強が不
充分なためこれが変形し加圧効率が低下するものと思わ
れる。上記の解決策の一として本発明者は特公昭５３一
２２３０４号公報に記載の構成、即ち該中空円筒体の内
壁面の両端部をパンチの円錐面と平行に近い角度の傾斜
面とした構成を先に提案した。この場合従来の構成に比
して中空円筒体はより均衡のとれた押圧下に置かれるの
て破壊されにくくなる。しかしこの場合も負荷圧力が大
きくなるにつれて中空円筒体の直円筒部と傾斜面との境
界部に於いて押圧力の均衡がこわれ、またこの結果水平
方向の割れを生じて傾斜面への押圧力が直円筒部の変形
’防止に有効に寄与しなくなり、直円筒部の変形が増す
ことになり、結局このタイプの反応装置の反応室を６０
ｋｂを超える超高圧下に安定して供することは未解決の
課題であつた。一方６０ｋｂ以上の圧力を発生し得る別
のタイプ・の高圧装置の例として、特公昭３６−２３４
６３号公報に記載の所謂ベルト型装置が知られている。

これは同様に一対の先細りパンチとその間に挾装される
環状ダイを有し、パンチの円錐面とこれに対向せる特独
の形状をもつ面との間に挾装されたガス）ゲットを介し
てパンチからの軸方向の押圧力をダイに加えることによ
り、圧力発生時にダイに水平割れを生ぜしめようとする
引張り応力に対抗せしめ以てタイの耐圧性を増そうとす
るものである。この構成において装置、特にダイの耐圧
性を増す為には理論的にはパンチの先端径をダイの内壁
径に比して著しく小さくしかつ湾曲部を長くすれはよい
が、ダイの材質として必須的に用いられる超硬合金は本
来大型部品の成型に適していないことから反応室の容積
が必然的に極めて小さく制限され、加えて発生圧力・容
積に比し相当に余剰のブレス荷重を必要とする欠点があ
つた。従つて本発明は大型部品の使用が可能な前者のア
ルミナ製中空円筒体をダイへの圧力緩衝材として用いる
構成を改良し、従来に比して中空円筒体の圧力減衰機能
をより確実にし、以てより大容積の反応室内により高い
圧力を負荷しうる様にした装置に関するものであつてそ
の要旨とするところは、対向配置された一対の截頭円誰
形パンチ、環状て且つ本質的に平行な筒状の穿孔内壁を
有し該パンチ間に挾装されたダイ、該穿孔内壁に内装し
且つ該内壁と同軸的に配置された剛性材質から成る中空
円筒体、並ひに上記の各パンチ、筒状内壁の端部及び中
空円筒体の端面間にそれぞれに隣接して配置されたガス
ケットを有する高圧発生装置において、上記中空円筒体
の切断面が中空円筒体の外壁の輪部線及びこれを長軸と
する本質的に半楕円形の曲線から構成されていることを
特徴とする改良超高圧装置に存する。

本発明装置に於いてはアルミナ中空円筒体はその断面に
ついて本質的に半円形又は半楕円形に形．成され、内壁
面に加わる荷重を最も効率的に中空円筒体に対する軸方
向の押圧力に転換することによつてアルミナ中空円筒体
の耐圧性を向上せしめると同時に変形を防ぐことによつ
て大荷重負荷時の圧力発生効率を向上せしめたものてあ
る。

本発明においてはアルミナ中空円筒体の内壁面はその断
面が外壁の輪部線を直径とする半円形の場合に最高の耐
圧性が得られるが、超硬合金製パンチ及び鋼製シリンダ
の形状、寸法、更に反応室容積並びに所要圧力に応じて
外壁輪部線を長径とｚする半楕円形断面のものも利用可
能になる。ただしこの場合は圧力緩衝効果及び圧力発生
効率の点から長径／短径の比が２以下てあることが望ま
しい。また中空円筒体の成形を容易にするために上下端
に外周に接して外径の約２０％を超えない範囲で水平面
が、また内面において軸長の中央部付近に全軸長の約２
０％を超えない範囲で直円筒面を設けても差支えない。
この様に成形された内壁面は焼成後に特に仕上げ加工を
必要としない。アルミナ中空円筒体の端部に隣接して配
置されるガスケットの接触面は中空円筒体と密接すべく
相補的接触面形状を有していることが中空円筒体に対す
る効率的な加圧及び加圧時における反応室ノ内容物の異
常変形防止の点から望ましいが、下記に示す様に本質的
に水平な面とパンチの傾斜面に対してほぼ平行な面て構
成されていても達成圧力の点ではこれに近い効果が得ら
れる。

一方ダイ部材の内壁は従来全体を直円筒面に形成された
ものが使用されていたが、本発明に於いてはアルミナ中
空円筒体と隣接する部分のみが直円筒面に形成されてい
ればにの部分の両側はアルミナ中空円筒体と同様に円弧
又は楕円弧で形成しこの部分に押圧力を受けるべく構成
することができる。

この場合は湾曲面からの押圧力により内面の半径方向の
伸び変形が阻止されたダイは嵌合されたアルミナ中空円
筒体の半径方向の変形を効果的に阻止し、大なるバック
アップ効果を示す。こうしてアルミナ中空円筒体並びに
ダイに湾曲部を設け適切に押圧力を加える時には前記に
比して更に高い圧力を発生させることを可能ならしめる
ものである。次に本発明の効果を幾つかの実施例につい
て、特に添付図面に図示された構成に基いて説明する。

第１図及び第２図は従来の如く成形されたアルミナ製中
空円筒体を用いた高圧装置の構成例を示し、第３図及ひ
第４図は本発明による断面形状をもつ中空円筒体を用い
た構成例、第５図及び第６図はかかるアルミナ中空円筒
体を同様に湾曲面を設けられたタイと、組合わせて用い
た例を、特に第３図及び第５図には本発明装置の主たる
目的とするダイヤモンド合成反応の場合を例にとつて反
応容器内の構成を略示する。

これらの第１〜６図に示す各構成において、Ｂｉ及びＢ
ａの加圧下での相転移点における電気抵抗の不連続性を
利用しこれらの物質を圧力検出素子として用い、通常の
圧力の検定に於ける如く配置し、下記の要領にて反応室
内部に所定圧力を発生させるのに必要なブレス荷重を２
５．４ｋｂ１５５ｋｂ及び７７ｋ９の場合について比較
し、併せて反復使用の場合の耐久性を示す。

実施例１ 第３図に示す様に、軸に対しそ３３併の角度にて傾斜し
先端に直径７５Ｔ！Ｕｎの平面部をもつ超硬合金製の一
対の先細りパンチ３１及び中央に直径１７『軸長１７０
ｗｒＩｎの直円筒状内壁面を有する鋼製の環状ダイ３２
にて基本的に構成される高圧装置を用いた。

該中央穿孔に全軸長９５Ｗｒ１ｎ１内壁面直円筒部軸長
１５７０Ｆ７！、最小内径（直円筒部）７５ｗｆｔ、上
下端の水平面の幅８Ｔ！Ｕｎｌ湾曲面の断面曲率４０ｍ
ｍの、殆んど無気孔状態にすべく堅焼きされたアルミナ
製の剛性中空円筒体３３が嵌合されている。この中空円
筒体３３内に嵌合される反応容器３４は内径４０順、高
さ５０ｍＩｎて焼成ろう石で成形された。ダイ３２の内
壁端部、中空円筒体３３の上下端及びパンチ３１の円錐
面との間の空間に焼成ろう石製のガスケット３５を置き
、パンチ３１により加圧した。実施例２ 第４図に示す様に剛性中空円筒体４３として全軸長１１
０ｍ、内面の直円筒部の軸長５Ｔｆｒｍ、上下端の水平
部の幅５７Ｔ０１１、湾曲面の断面が長軸１０５ＷｒＩ
ｎ１短軸８５ＴｒＩＩｎの半楕円形に成形されたものを
用いた以外は、パンチ４１．ダイ４２及び反応容器４４
については実施例１の場合と本質的に同一のものを用い
た。

比較例 比較のため第１図の如く上記構成のパンチ１１及びダイ
に対して従来の形状に焼結成形されたアルミナから成る
剛性中空円筒体１３を用いて同様の実験を繰返した。

実施例３ この例で用いた高圧装置は第５図に示す様な先端面径２
０ｗｎ、傾斜角３０５の超硬合金製截頭円錐形パンチ５
１及び中央穿孔直径（直円筒部）３０Ｔｒ＄ｔの超硬合
金製環状ダイ５２にて基本的に構成され、特にダイの穿
孔の直円筒部（軸長２２ｍ）の両側にはこれと連続的に
断面曲率５ｍの湾曲面が設けられて外方に通じている。

堅焼された焼結アルミナ製の剛性の中空円筒体５３は全
高１５ｗｆｔ１内径２０順、内面の直円筒部軸長５Ｔｎ
！ｎで、更にこの両側に断面曲率５ｗｎの湾曲面が連続
的に設けられている。焼成ろう石製の反応容器５４は内
径１２ｗｒｍ１高さ１２ｗ０ｎである。実施例４ 第６図の構成を用いた。

タイ６２の中央の穿孔には直径３０ｗｎ１軸長１８ＴＩ
ｒ！ｎの直円筒部とその両側に相連続して断面曲率１５
Ｔｆｒ！ｎの湾曲面が設けられている。アルミナ中空円
筒体６３の断面は長軸（軸長）１８Ｗｒ！ｎ１短軸（最
大厚さ）５Ｔｆｒ１ｎの半楕円形に形成された。パンチ
６１及び反応容器６４は実施例３の場合と本質的に同じ
ものを用いた。比較例 第２図に示す様に穿孔内面が本質的に直円筒状のみに形
成されている従来のダイ２２及びこれに嵌合されたアル
ミナ製中空円筒体２３を用いて上記実施例と同様に圧力
の検定を行ない比較に供した。

ダイ２２の穿孔は直径３０Ｔｆ＄ｉ１軸長３６順て直円
筒状内壁に隣接して（水平面に対し）３００の逆円錐面
が形成されている。パンチ２１及び反応容器２４の構成
は上記実施例と同じである。上記各実施例及ひ比較例に
おける各所定圧力発生に要したブレス荷重を次に示す。

本発明の装置は本質的に合成ダイヤモンドの工業的生産
に適している。

この用途に用いられる場合の反応室の構成例を第３図お
よび第５図に示す。図において外径２０Ｗ！ｉ１内径１
２順、軸長１２順の焼成ろう石製スリーブからなる反応
容器３５，５５中には例えば黒鉛１．３ｙ１合属コバル
ト粉末３．５ｙから成る混合試料が装入される。この導
電性の試料３６．５６の両側には相接してＭＯ製の電極
板３７，５７、更にこれに接続して軟鋼製のリング３８
，５８が置かれ、斯く構成された通電加熱回路部分には
両側のパンチ３１，５１を介して反応室加熱のための電
流が供給される。

リング３８，５８の内側にはパンチへの熱および電気伝
導抑制のために耐火物製の絶縁板３９，５９が充填配置
される。以上の例からも明らかなとおり堅焼されたアル
ミナで形成される剛性中空円筒体を本質的に半円形又は
半楕円形（長軸／短軸く２）の断面形状とした本発明の
構成によれば断面形状が矩形及び／又は梯形から成る従
来の構成に比して、１反応室内に特に７０ｋｂを超える
圧力を発生させることが容易になつた。

２ アルミナ中空円筒体の材質による圧力発生効率のば
らつきが小さくなり、発生圧力の再現性が向上した。

３鋼製、超硬合金製のいずれのダイの場合においても耐
久性の向上が得られた。

４更に中央穿孔の端部に湾曲面が設けられたダイと組合
わせて本発明の構成の中空円筒体を用いることにより、
特にダイ部材の耐久性の大巾な向上が得られた。

なお上記においてはアルミナ製中空円筒体やダイの形状
を説明するのに便宜上断面形状という語を用いたが、こ
れは図から普通に理解される通り０軸を含む面ョを断面
とした場合のことを指すものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の剛性中空円筒体を用いる典型
的な構成例、第３図〜第６図はそれぞれ本発明の中空円
筒体を用いた構成例を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 対向配置された一対の截頭円錐形パンチ、環状で且
   つ本質的に平行な筒状の穿孔内壁を有し該パンチ間に挾
   持されたダイ、該穿孔内壁に内接し且つ該内壁と同軸的
   に配置された剛性材質から成る中空円筒体、並びに上記
   の各パンチ、筒状内壁の端部及び中空円筒体の端面間に
   それぞれに隣接して配置されたガスケットを有する高圧
   発生装置において、上記中空円筒体の切断面が中空円筒
   体の外壁の輪郭線及びこれを長軸とする本質的に半楕円
   形の曲線から構成されていることを特徴とする改良超高
   圧装置。 ２ 上記半楕円曲線の長軸／短軸比ｋが、１≦ｋ＜２で
   ある、特許請求の範囲第１項記載の改良超高圧装置。 ３ 上記剛性中空円筒体が本質的に無気孔状態に焼結さ
   れたアルミナで形成されている、特許請求の範囲第１項
   記載の改良超高圧装置。