JPS6027344B2 - 直径の大きな圧力容器の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、直径の大きな圧力容器の製造方法に関し、特
に、圧力容器の円筒部と鏡板との接続部の形成方法を改
善した製造方法に関する。

（従釆の技術） 直径の大きな圧力容器においては、鏡板は、一般に従来
のフランジ継手を介して、円筒部に接続されている。

このようなフランジ継手による接続部は、比較的長く半
経方向に突出している。なぜならば、このフランジ継手
は、結合ボルトを通すための穴を備えていなければなら
ないからである。直径の大きな圧力容器は、その寸法が
、鉄道輸送のための制限寸法や、道路輸送のための制限
寸法を上回っている場合には、圧力容器を設置する場所
で、溶接等によって組み立てられる。

前述のフランジ継手自体も、寸法が大きいために、圧力
容器の設置場所で溶接によって組み立てられることにな
る。（発明が解決しようとする問題点） 上述のフランジ継手は、圧力容器の接続部を礎成するも
のであるから、所定の寸法精度を必要とするが、圧力容
器の設置場所のように、工場以外の場所のように、工場
以外の場所では、フランジ継手を所定の寸法精度で製作
することが困難であった。

したがって、圧力容器の組立が困難になる場合があった
。本発明の目的は、圧力容器の円筒部と鏡板とを接続す
るための部品の寸法が、鉄道輸送等のための制限寸法を
上回っている場合でも、この接続部品を工場であらかじ
め製造しておくことのできるような、圧力容器の製造方
法を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するための本発明の構成を、実施例に
対応する第１〜第３図を用いて説明する。

本発明は、円筒部４と、鏡板５と、円筒部４と鏡板５の
間に設けた可榛性のパッキング要素１８，１９とを有す
る、直径の大きな圧力容器３を製造する方法において、
次の特徴を有する。まず、円筒部４と鏡板５とを接続す
るための部品として、従来の半経方向に延びるフランジ
継手を使用せずに、薄い２個の環状部品７，１１を使用
する回すなわち、これらの環状部品７，１１は、円筒部
４と同程度の厚さ‘こされる。したがって、環状部品７
，１１は、可操性を有し、輸送の際に、弾性的に楕円形
に変形されうる。環状部品７，１１は、円筒部４と鏡板
５とに溶接されてこれらを接続するために使用されるも
のであるから、円筒部４と同じ直径にされる。環状部品
７，１１は、互いに接続できるように、封止装置１６，
１７，１８，１９．２４と鎖錠装置１５，３０，３１を
有する。そして、このような環状部品７，１１をあらか
じめ工場で製造する。一方、円筒部４と主要部６と鏡板
５の主要部１０は、圧力容器３を設置する場所で、個々
の構成部品から、溶接によって製造する。工場で製造し
た環状部品７，１１は、輸送のために、テンション装置
６９によって、弾性的に楕円形に変形させる。環状部品
７，１１を、このように変形させることによって、この
環状部品を鉄道輸送等の制限寸法内に収めることができ
る。その後、変形させた環状部品７，１１を、圧力容器
３の設置場所へ輸送する。次に、環状部品７，１１から
テンション装置６９を取り外し、２個の環状部品７，１
１の一方７を円筒部４の主要部６に溶接し、他方１１を
鏡板５の主要部１０に溶接する。円筒部４と鏡板５とを
接続するには、環状部品７，１１に設けられた鎖錠装置
１５，３０，３１を利用すればよい。（実施例） 次に、添付図面によって、本発明の実施例を説明する。

第１図において、従来のフランジ継手２を備えた高圧ボ
イラー１は、本発明の方法で製造される圧力容器３に取
り囲まれている。圧力容器３は、円筒部４と鏡板５を有
する。円筒部４の下方は、第１図に示されるていないが
、所望の形状に形成しうる。例えば、円筒部４は、ほぼ
球状の圧力容器から上方に突出する部分を構成する。円
筒部４の主要部６は、圧力容器の設置場所で、その構成
部品から、溶接により組み立てられる。この主要部６は
、工場で製造された環状部品７と、圧力容器の設置場所
で、溶接されることになる。鏡板５の主要部１川ま、圧
力容器の設置場所で、その構成部品から、溶接により組
み立てられ、半球状体を構成する。

この主要部１０は、工場で製造された環状部品１１と、
圧力容器の設置場所で、溶接されることになる。環状部
品７，１１は、円筒部４と同じ直径にされ、円筒部４と
同程度の厚さにされる。円筒部４の環状部品７は、その
開放端に厚肉部１２を備えており（第２図参照）、この
厚肉部１２は、外側に、鎖錠装置の一部をなす、球面体
のへこみ１５を備えている。厚肉部１２の端部正面には
、２つのへこみ１６と１７が設けられており、これらの
へこみ１６と１７のそれぞれに、可操性のりング状のパ
ッキング１８と１９がはめこまれている。鏡板５の環状
部品１１は、その開放端に厚肉部２０を備えている。こ
の環状部品１ １は、その開放端が二股状に作られてお
り、外側に下向きに延在した脚部２２を備えているとと
もに、内側に短い脚部２３を備えている。両脚部は、差
込へこみ部２４を介して、互いに分離されている。この
差込へこみ部２４は、水平面に対してわずかに傾斜しか
つ下向きに末広がりとなるテーパ面を構成する。上述の
差込へこみ部２４は、圧力容器３が組み立てられた状態
で、円筒部４の厚肉部１２の上部を収容するようにされ
ている。また、内側の脚部２３の外面と、厚肉部１２の
上部の内面とは、鉛直面に対してわずかに傾斜しかつ上
向きに末広がりとなるテーパ面を構成する。圧力容器３
が組み立てられた状態で、内側の脚部２３のテーパ面と
、厚肉部のテーパ面とは、わずかな遊びを介して向かい
合っているかあるいは互いに接触している。外側の脚部
２２の周囲には、たとえば１０川固程度の、多くの半径
方向の穴３０が設けられている。

これらの穴３０の鞠線は、圧力容器３の軸線に対して直
角な面内にある。穴３０は、外方に末広がりとなるよう
なテーバ面を有するとともに、最も内側の部分では、わ
ずかに球面状を呈する。穴３０の、最も内側の、一番小
さい直径は、ボール３１の直径より小さく設定されてお
り、穴３０のそれぞれに１つずつボール３１が収容され
ている。両厚肉部１２，２０は、クランプリング３３に
取り囲まれており、このクランプリング３３の上側にア
ィレット３４が取り付けられている。

持ち上げ装置（図示せず）のフック３５をアィレット３
４に挿入して、クランプリング３３を吊り上げることが
できる。クランプリング３３は、断面が台形の環状みそ
４０を備えており、この環状みぞ４０の上部に沿って、
テーパ面４１が形成されている。クランプリング３３の
下部には肩４３が設けられており、この肩４３の内蓬は
、外側の脚部２２の外径より小さく設定されている。第
３図は、低床車６８‘こ環状部品７，１１を乗せて、こ
れらを輸送する状態を示す。

これら環状部品７，１１は、十字形に配置されたテンシ
ョン装置６９により、弾性的に楕円形に変形させられ、
楕円の短軸が、鉄道輸送の制限寸法内に収まるようにさ
れている。すなわち、第３図に示す低床車６８の前方か
ら見れば、鉄道輸送の制限寸法城は、略長方形の領域と
なる。そして、この長方形の領域の対角線に沿って、変
形された環状部品の楕円の短軸を配置すれば、最も大き
な楕円形を、上述の制限寸法域内で通過させることがで
きる。したがって、変形された環状部品７，１１は、低
床車６８の上で、低床車６８の側面方向に傾斜させて運
搬するのが有利である。本発明によれば、圧力容器３の
組立は次のように行われる。円筒部４の主要部６と、鏡
板５の主要部１０とは、圧力容器の設置場所で、それぞ
れの構成部品から溶接によって組み立てられる。

環状部品７，１１は、工場で完成され、その後、テンシ
ョン装置６９によって弾性的に楕円形に変形された状態
で、圧力容器の設置場所へ輸送される。輸送されてきた
環状部品は、圧力容器の設置場所で、テンション装置６
９を取り外される。その結果、環状部品７，１１は、弾
性により、もとの円形の状態に戻るが、所望ならば、半
径方向に延びる支持装置（図示せず）によって、円形と
なるように保持してもよい。環状部品７，１１は、その
後、円筒部４の主要部６および鏡板５の主要部１０に、
それぞれ溶接される。環状部品７，１１の輸送中に、わ
ずかに弾性限界を越えた変形が、環状部品に生じた場合
は、これらの環状部品を円筒部４の主要部６および鏡板
５の主要部１川こ溶接したのちに、円筒部４と鏡板５と
の間に寸法のずれが生ずることがある。

このような問題点は、環状部品７，１１を、円筒部およ
び鏡板の主要部６，１０１こ溶接する前に、共通の藤線
を有するように互いに固定することによって避けられる
。また、このような問題点は、構造的には、環状部品７
，１１に上述のような厚肉部１２，２０を形成すること
によっても避けられる。さらに、このような問題点は、
上述のように、環状部品１１の外側脚部２２と内側脚部
２３の間に、環状部品７をかみあわせるように構成する
とによっても、減少させることができる。（発明の効果
）本発明による製造方法は、圧力容器と同程度の厚さの
環状部品を、工場で加工したのちに楕円形に弾性変形さ
せて、圧力容器の設置場所へ輸送するようにしたので、
直径の大きな環状部品を、完成状態で、鉄道輸送等に供
することができる。

したがって、環状部品を、所定の精度で、あらかじめ工
場で加工しておくことが可能となり、圧力容器の組立が
容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の方法によって製造された圧力容器で
あって、高圧ボイラーを取り囲む圧力容器の垂直断面図
、第２図は、第１図に示す圧力容器の継手部分の拡大詳
細図、第３図は、弾性的に変形された環状部品の輸送状
態を示す概略図である。 ３・・・・・・圧力容器、４…・・・円筒部、５…・・
・鏡板、６・・・・・・円筒部の主要部、７，１１・・
・・・・環状部品、１０・・・・・・鏡板の主要部、１
５，１６，１７・・・・・・へこみ、１８，１９・・・
・・・パッキング、２４・・・…差込へこみ部、３０・
・…・穴、３１…・・・ボール、６９…．・・テンショ
ン装置。 ＦＩＧ．ｌ ＦＩＧ．２ ＦＩＧ．３

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円筒部と、鏡板と、円筒部と鏡板の間に設けた可撓
   性のパツキング要素とを有する、直径の大きな圧力容器
   を製造する方法において、次の工程を有する方法。 （イ） 円筒部４と同じ直径にされかつ円筒部と同程度
   の厚さにされ、半径方向に延びるフランジを有せず、封
   止装置１６，１７，１８，１９，２４と鎖錠装置１５，
   ３０，３１とを有する、２個の環状部品７，１１を、あ
   らかじめ工場で製造する工程。 （ロ） 圧力容器を設置する場所で、前記円筒部の主要
   部６を、その構成部品から、溶接によつて製造する工程
   。 （ハ） 圧力容器を設置する場所で、前記鏡板５の主要
   部１０を、その構成部品から、溶接によつて製造する工
   程。 （ニ） 前記環状部品を、テンシヨン装置６９によつて
   、弾性的に楕円形に変形させる工程。 （ホ） 前記変形させた環状部品を、圧力容器の設置場
   所へ輸送する工程。 （ヘ） 前記変形させた環状部品から、テンシヨン装置
   を取り外す工程。 （ト） 圧力容器を設置する場所で、前記２個の環状部
   品を、前記円筒部の主要部と鏡板の主要部とにそれぞれ
   溶接する工程。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の方法において、前記（
   ト）の溶接工程は、溶接の前に、前記２個の環状部品を
   互いに共通の軸線を有するように固定する工程、を含む
   ことを特徴とする方法。