JPS6019956Y2 - デイ−ゼル機関の直接噴射式燃焼室 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として小型ディーゼル機関に適用される直接
噴射式燃焼室の改良に関する。

ところで、この種の直接噴射式燃焼室は副室式燃焼室に
比較して構造が簡単であり且つ始動性に優れている等の
長所を有する反面、煤煙や窒素酸化物の排出量が多い等
、排気の状態が悪く、またシリンダ内の最高圧力が高い
ため騒音レベルが高い等の欠点があり、特に小型機関に
あってはピストン頂部に形成されるキャビティの径が小
さいためノズルから噴射される燃料噴霧が直接キャビテ
ィ内面に衝突して空気との混合が良好に行われないので
あり、これに対して噴霧の到達距離を短くするためノズ
ルの噴孔を細くすると成孔の目詰りが生じ易くなる等の
弊害を来たすのである。

このような直接噴射式燃焼室における欠点に対しては吸
気ポートの形状を特殊な形状にする等により吸入空気に
渦流を与え、これにより均一な混合気を速かに形成する
ことが有効であるが、小型機関の場合において吸、排気
弁のレイアウト等の関係でノズルをキャビティに対して
偏芯させなければならない場合は、該ノズルの各噴孔か
らキャビティ内面までの距離が一定しないため、吸入渦
流を形成しても均一な混合気が形成されないのであり、
そのため上記の直接噴射式燃焼室の欠点を完全に解消す
ることができないのである。

本考案はこのような実情に鑑みてなされたもので、ピス
トン頂部に平面形状を円形として形成されるキャビティ
に対してノズルが偏心し、かっ噴孔が上記キャビティ内
に指向させて設置される小型ディーゼル機関の直接噴射
式燃焼室において、ピストン上面における上記キャビテ
ィの形成箱内の上部に絞縮部を形成すると共に、該絞縮
部の平面形状をノズルに近い方の側部が円形、遠い方の
側部がノズル噴孔の平面よりみた指向位置近傍に隅部を
有する角形とされた半円半角形状とすることにより、ノ
ズル噴孔から遠い角形の側部において渦流を弱めて燃料
噴霧の到達距離を長くし、これにより均一な混合気を形
成すると共に、キャビティ内部には強い渦流を保存し、
またピストン頂面に上記絞縮部の隅部に通ずるスキッシ
ュ導入溝を形成して燃料濃度の濃い該隅部に集中的に空
気を供給するようになし、もって混合気の形成ないし燃
焼を促進せしめ、燃料を完全燃焼するようにして排気状
態を改善し、また最高圧力の低下を可能として騒音の軽
減を図るようにしたものである。

以下これを図に示す実施例により説明すると、第１図に
おいて１はシリンダブロック、２はピストン、３はシリ
ンダヘッドであり、こられにより燃焼室４が形成されて
いる。

５は上記ピストンの頂部を窪ませることにより形成され
た平面形状が円形のキャビティ、６は上記ヘッドに装着
された燃料噴射ノズルであるが、上記キャビティの中心
は吸、排気弁（図示せず）のレイアウト等の関係で燃焼
室の中心から偏芯せしめられていると共に、ノズルは更
に同方向に偏芯せしめられ、キャビティの中心に対して
も偏芯した状態とされていて噴孔は上記キャビティ内を
指向しているのである。

然してピストン上面におけるキャビティの上部には絞縮
部７が形成されていると共に、該絞縮部の平面形状は第
２図に示すようにノズル６に近い方の側部７ａが円形、
遠い方の側部７ｂがノズル噴孔の平面よりみた指向位置
近傍に隅部７ｃ。

７ｃを有する角形とされ、全体として半円半角形状とさ
れている。

ここで隅部７Ｃはノズル噴孔の指向位置ａから吸入渦流
の方向に若干ずらして形成するのが良い。

８，８はピストンの頂面に形成されたスキッシュ導入溝
であり、該ピストンの周縁部から絞縮部における各隅部
７ｃ、７ｃに夫々通じるよう放射状に形成されている。

上記の構成によれば、ピストン２の吸気行程時に吸気ポ
ートの形状等により燃焼室４内に形成される吸入渦流は
、キャビティ５の内部において減衰することなく保存さ
れると共に、該キャビティ上部の絞縮部７においては、
該部の形状が半円半角形状とされているため特に角形と
されたノズルから遠い方の側部７ｂで速度が低下し、全
体としてもキャビティ内部より低速の渦流となるのであ
る。

然してこの状態でピストン２が圧縮行程に移行し、該行
程終了時にノズル６から燃料が噴射されると、燃料噴霧
はノズルから遠い角形の側部７ｂにおいては渦流が弱い
ため遠方まで到達し、ノズルに近い円形の側部７ａにお
いては比較的渦流が強いため第２図の鎖線に示すよう絞
縮部７を通過する際、該渦流でさらに円周方向に流され
ることによりキャビティ５への到達距離が長くなり、そ
のため両側部における燃料噴霧の状態が略等しくなると
共に、角形の側部７ｂの隅部７ｃにおいては渦流が特に
弱いから燃料噴霧が分散されないで高濃度で分布するの
であるが、該隅部にはピストン頂面の周縁部からスキッ
シュ導入溝８が形成されているから、圧縮行程時にキャ
ビティ５内に空気が押し込められる所謂スキッシュがこ
の溝に導かれて該隅部に集中的に導入されるのであり、
これによりキャビティ上部における絞縮部７に均一な混
合気が形成され、且つキャビティ内部には強い渦流が保
存されているから、該絞縮部に形成された混合気は速か
にキャビティ内部の空気とも混合するのであり、このよ
うにして混合気の形成が促進され、着火後においては短
時間に燃焼を完了することになり、もって燃料が完全燃
焼されて煤煙や窒素酸化物の排出量が著しく減少され、
また出力が向上することになるのである。

尚、第４図はピストン１２の頂部に形成されるキャビテ
ィ１５の底面が第１〜３図の実施例におけるキャビティ
５と異なって中央部に突出部がないフラットな場合の実
施例であるが、該実施例においても絞縮部１７、スキッ
シュ導入溝１８等により上記第１〜３図の実施例と同様
の作用を果すのである。

以上のように本考案は、ピストン頂部に平面形状が円形
として形成されるキャビティに対してノズルが偏心し、
かつ噴孔が上記キャビティ内を指向させて設置される小
型機関の直接噴射式燃焼室において、上記キャビティ形
成範囲内上部に絞縮部を形成すると共に、該絞縮部の平
面形状をノズルに近い方の側部が円形、遠い方の側部が
ノズルの噴孔の平面よりみた指向位置近傍に隅部を有す
る角形とされた半円半角形状とし、且つピストン頂面に
周縁部から上記隅部に通ずるスキッシュ導入溝を形成す
る構成としたことにより、ノズルがキャビティに対して
偏芯しているにも拘らずキャビティ上部の絞縮部におい
ては、ノズルからの距離が異なる両側部における燃料噴
霧の状態が略等しくなると共に、燃料が高濃度で分布す
る上記隅部には集中的に空気が供給され、且つキャビテ
ィ内部には強い渦流が保存されることにより、混合気の
形成ないし燃焼が速かに行われるとになり、これにより
燃焼状態が改善され、煤煙や窒素酸化物の排出量が減少
されて排気の状態が良好になると共に、燃焼室内の最高
圧力を低く設定しても所要の出力性能が得られるから、
直接噴射式燃焼室の欠点である騒音を低減させることが
できる等の効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例における燃焼室周辺の縦断面
図、第２図は該実施例におけるピストンの平面図、第２
図は該実施例におけるピストンの平面図、第３図は第２
図■−■線で切断したピストンの一部縦断面図、第４図
はキャビティの他の実施例を示すピストンの縦断面図で
ある。 ２はピストン、５はキャビティ、６はノズル、７は絞縮
部、７ａはノズルに近い側部、７ｂはノズルから遠い側
部、７は隅部、８はスキッシュ導入溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストン頂部に平面形状を円形として形成されるキャビ
   ティの中心に対してノズルが偏心し、かつ噴孔を上記キ
   ャビティ内へ指向せしめて設置される構成において、上
   記キャビティの形成範囲内の上部に絞縮部を形成すると
   共に、該絞縮部の平面形状をノズルに近い側部が円形、
   遠い側部がノズル噴孔の平面よりみた指向位置近傍に隅
   部を有する角形とされた半円半角形状とし、且つピスト
   ン頂面に周縁部から上記絞縮部の隅部に通ずるスキッシ
   ュ導入溝を形成したことを特徴とするテイーゼル機関の
   直接噴射式燃焼室。