JPS594848Y2 - リサ−キュレイテイングボ−ル式ステアリングギア装置用ウオ−ムシヤフト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車等の車輌のステアリングシステムに於け
るリサーキュレイテイングボール式ステアリングギア装
置に係り、特にそのステアリングギア装置に用いるウオ
ームシャフトに係る。

車輌用ステアリングシステムに於けるステアリングギア
装置の一つとして、ねじ溝を有するウオームシャフトと
、前記ウオームシャフトの外周に嵌合し内周にねし溝を
有し且つ外周にラックを有するウオームナツトと、前記
ウオームシャフトと前記ウオームナツトのねし溝間に挿
入された多数のボールと、前記ウオームナツトのラック
に噛合しピットマンアームを駆動するセクタとを有し、
前記ウオームシャフトがステアリングシャフトによって
回転されたとき前記ボールがねし溝内を転動しつつ前記
ウオームナツトを前記ウオームシャフトの軸線方向に移
動させ、この移動によりセクタを回動させるよう構成さ
れたリサーキュレイテイングボール式ステアリングギア
装置が知られている。

かかるリサーキュレイテイングボール式ステアリングギ
ア装置に於いては、ウオームシャフトとウオームナツト
とが転がり接触になり、一般の滑り接触のねじに比して
摩擦係数が極めて小さいため、回転トルクをほとんど増
大することなくボールの転動部（ねじ部）のバックラッ
シュを実質的に零にすることができ、この結果、ステア
リング系の遊びを減少してステアリング操作時のステア
リング系の剛性を向上でき、ステアリング操作のフィー
リングを改善することができる。

しかし、ボールの転動部のバックラッシュを零にすると
、高い工作精度を必要とするため、生産コストが高騰し
、またボールを転動部に挿入しにくくなって組付は作業
能率が著しく悪化し、大量生産を行ないにくくなる。

このため従来一般には生産コストの組付は性との兼合い
によりボールの転動部にバックラッシュを与えているの
が現状である。

本考案は上述の如き点に鑑み、生産コストをさほど高く
することなく、また組付は作業性を悪化することなくボ
ールの転動部のバックラッシュを実質的に零にでき、ス
テアリング操作時のステアリング系の剛性を向上してス
テアリング操作のフィーリングを改善することができる
リサーキュレイテイングボール式ステアリングギア装置
に用いるウオームシャフトを提供することを目的として
いる。

かかる目的は、本考案によれば、外周にボールが係合す
るねし溝を有するねじ部を含んでおり、このねじ部は中
空軸になっており、その中空部に前記ねし部を拡径方向
に膨張させるべく流体が加圧封入されている如きリヤー
キュレイティングボール式ステアリングギア装置用ウオ
ームシャフトによって達成される。

本考案によるウオームシャフトを使用すれば、ウオーム
シャフトとウオームナツトとの間にボールを組付けた後
、ウオームシャフトの中空部に油、空気等の流体を加圧
封入し、その流体圧によってウオームシャフトのねじ部
を拡径方向に膨張させることにより現物合せ式に前記ボ
ールの転動部のバックラッシュを実質的に零にすること
ができる。

従って、ウオームシャフト及びウオームナツトの工作精
度を向上させることなくバックラッシュを実質的に零に
することができ、また転動部にバックラッシュがある状
態にてボールをその転動部に組付けることができ、組付
は作業性を悪化することがない。

以下に添付の図を用いて本考案を実施例について詳細に
説明する。

添付の第１図は本考案によるウオームシャフトを組込ま
れたりサーキュレイテイングボール式ステアリングギア
装置の一つの実施例を示す断面図である。

図に於いて、１はギアボックスを示しており、このギア
ボックス内にはウオームシャフト２がボール軸受３，４
によってその軸線の周りに回転可能に支持されている。

前記ウオームシャフト２及び前記ボール軸受３，４は前
記ギアボックス１にねし結合されたカバー要素５によっ
てその軸線方向には移動できないようにされている。

前記カバー要素５にはロックナツト６が組付けられてお
り、また前記カバー要素５と前記ウオームシャフト２と
の間にはシール要素７が取付けられている。

ウオームシャフト２はその一端部に図には示されていな
いステアリングシャフトとの接続を行なうためのスプラ
イン９を有しており、また前記ギアボックス１内に位置
する部分の外周に実質的に半円状断面のねじ溝１０が形
成されている。

このねじ溝１０が形成されている部分のウオームシャフ
ト２は中空軸になっており、その中空部１１はプラグ１
２によって密閉されるようになっている。

またこの実施例の場合、中空部１１には、その内周面に
ねじ溝１３が形成され、中空軸の肉厚の均一化が図られ
ている。

第２図はウオームシャフト２のより具体的な一例を示し
ている。

この場合、プラグは中空部１１やねじ溝１３の加工を行
ないやすくするためにプラグ１２ ａと１２ｂとを含む
二段プラグになっている。

また前記ギアボックス１内には前記ウオームシャフト２
の外周に嵌合しその軸線方向に移動自在なウオームナツ
ト１４が設けられている。

このウオームナツト１４はその内周面に実質的に半円状
のねじ溝１５を有しており、また外周の一部にラック歯
１６を有している。

前記ウオームシャフト２のねじ溝１０と前記ウオームナ
ツト１４のねし溝１５どによって郭定された実質的に円
形断面のねし溝内には多数のボール１７が入れられてい
る。

また前記ギアボックス１内には前記ラック歯１６と噛み
合うピニオン歯１８を備えたセクタ１９が設けられてい
る。

このセクタ１９は図には示されていないピットマンアー
ムに駆動連結されている。

前記ウオームシャフト２の中空部１１内には水、空気等
の流体が加圧封入されている。

これによりウオームシャフト２の中空軸部は弾性限度内
で拡径方向に膨張し、ボール１７の転動部のバックラッ
シュを実質的に零にしている。

中空部１１に対する流体の封入は、ウオームシャフト２
の外周にウオームナツト１４が組付けられ、更にねじ溝
１０，１５内に所定個数のボール１７が入れられた後行
なわればよい。

中空部１１内に封入した液体の加圧はプラグ１２を中空
部１１内に向けて押込むことにより行なえばよい。

プラグ１２はかしめ、或は溶接によってウオームシャフ
ト２に固定されてよく、この場合、ウオームシャフト２
とプラグ１２との間には中空部１１内に加圧封入した流
体が漏洩しないよう気密性が必要である。

ボールの転動部のバックラッシュが零になることにより
、操舵時に於けるステアリング系の剛性が向上し、また
ウオームシャフトが弾性限度内で膨張することによりね
じ部に予荷重を与えることができ、ボール転動部やボー
ルが摩耗してもバックラッシュが増大することがない。

また、ボール組付は時にはボール転動部にバックラッシ
ュがあってよいので、それの組入れを容易に行なうこと
ができる。

次に、ステアリングウオームシャフトをその拡径方向に
必要量膨張させることが可能であることを立証するため
にステアリングウオームホイルの膨張に関する理論計算
を行なった。

計算を簡略化するために、ここではステアリングウオー
ムシャフトを、第３図に示されている如く、ねじ部がな
い中空軸として理論計算を行なった。

第３図に示された中空軸の各部の寸法は次の通りで゛あ
る。

外径２２ ｍｍ、内径１８ ｍｍ、ｌ＝１０６ｍｍ、
ａ＝３０ｍｍ、 ｂ＝７６ｍｍ０ 内圧を受ける厚肉円筒の式は下記の如く与えられる。

Ｕ：半径座標に於ける半径増大量（ｍｍ）、Ｒ１：内半
径（ｍｍ）、Ｒｏ：外半径（ｍｍ）、ｒ：半径座標、Ｅ
：縦弾性係数（２，１５Ｘ １０４ｋｇ／ｍｍ２）、シ
：ポアソン比（０，３）、Ｐｌ：内圧（ｋｇ／ｍｍ２）
ボール転動部の隙間を零にするには数μの膨張であれば
よく、ここでは直径にして２０ Ｘ １０−３ｍｍの膨
張が必要であると考える。

第３図に示されている中空軸を２０Ｘ１０−３ｍｍ、そ
の拡径方向に膨張させるのに必要な内圧を求めるべく前
記各諸元を上式に代入すると、 Ｘｌ＋ ｉ ／ −ノ ノ となり、これから内圧Ｐ１を求めると、 Ｐ＋ ＝ ３．６９７ ｋｇ／ｍｍ” ＝ ３６９．７
ｋｇ／Ｃｍ２となる。

ここで０．５ ｃｍ’の平面を有するプラグにて封入さ
れた液体を圧縮する場合、約１８５ ｋｇの軸圧で約３
７０ｋｇ／ｃｍ２の内圧を発生させることができる。

従って２０ＸＩＰｍｍの軸径の膨張は実現可能である。

次にすえきり時に発生する１０００ ｋｇの荷重（実験
による実測値）に対する危険断面の垂直応力を求め、張
りの強度を評価する。

危険断面の垂直応力は下式によって与えられる。

σｍａｘ（ｘ） ：Ｍｍａｘ（ｘ） ／ Ｚ（ｘ）σｒ
ｎａｘ （ｘ ） ：危険断面の垂直応力（ｋｇ／ｍｍ
” ）Ｍ ｍａｘ（ｘ） ：最大曲げモーメント （ｋ
ｇ／ｍｍ）Ｚ （Ｘ） ：断面係数 Ｍ工ゆ（、）−Ｗ−ｈ／１ Ｚ−π〔（２Ｒｏ）４− （２Ｒ１）４〕／６４Ｒｏで
あるから、 二二で、焼きならし鋼の平均的なＳ −Ｎ線図により破
壊までの繰返し数Ｎ−１０７回の時の限界曲げ応力は機
械構造用炭素鋼（ＪＩＳ規格５５５Ｃ）で３０ ｋｇ／
ｍｍ２であるので、充分な強度を有すると判断する。

以上の計算により本考案は成立可能と判断する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるウオームシャフトを組込まれたり
サーキュレイテイングボール式ステアリングギア装置の
一つの実施例を示す断面図、第２図は本考案によるウオ
ームシャフトのより具体的な一例を示す断面図、第３図
は理論計算を行なう中空軸を示す断面図である。 １・・・ギアボックス、２・・・ウオームシャフト、３
゜４・・・ボール軸受、５・・・カバー要素、６・・・
ロックナツト、７・・・シール要素、９・・・スプライ
ン部、１０・・・ねじ溝、１１・・・中空部、１２・・
・プラグ、１３・・・ねじ溝、１４・・・ウオームナツ
ト、１５・・・ねじ溝、１６・・・ラック歯、１７・・
・ボール、１８・・・ピニオン歯、１９・・・セクタ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周にボールが係合するねし溝を有するねじ部を含んで
   おり、このねじ部は中空軸になっており、その中空部に
   前記ねし部を拡径方向に膨張させるべく流体が加圧封入
   されていることを特徴とするリヤーキュレイティングボ
   ール式ステアリングギア装置用ウオームシャフト。