JPS5948220B2 - 魚移送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は主として活魚を水と一緒に移送する魚の移送
装置に関する。

活魚の移送装置にとって何よりも大切なことは魚をいか
に損傷および斃死させずに移送できるかにある。

従来の、この用途に使用されるポンプは渦巻状の通路が
回転するインペラを有するもので、このインペラで水と
一緒に魚を加速して移送するものがあるが、この種のポ
ンプは、回転するインペラ内を魚が通過する為に、搬送
時、特にポンプ通過時の魚の傷付きを皆無にはできず、
全体の何割かは傷付き、しかもポンプの運転状態によっ
ては傷付きが相当に増大した。

特にポンプで移送された魚を、直ちに殺さずに水槽で活
魚のまま置く場合は、魚の傷付きは著しく商品価値を低
下させる為、この用途に使用されるポンプには他の用途
では考えられないようなシビアな条件が要求される。

本発明者は、魚を水と一緒に真空タンク内に吸入する魚
ポンプを開発し、このポンプによって魚の傷付きを極減
することに成功したのであるが、困ったことにこの構造
のポンプは、比較的能率が悪くて、大がかりとなる欠点
があった。

気密に密閉された水槽を設け、この水槽に多孔板を介し
て水ポンプの吸入側を連結し、水ポンプで水槽から排水
して水槽内に黒水を吸入する装置は開発されている。

（特開昭５１−５７５９３号公報、特開昭５２−５５
９９０号公報） しかしながらこの構造のものは、特別に気密に設計した
魚槽にしか揚魚できず、しがも、大量の魚類を収納する
大容積の水槽は、内部が減圧されると表面積が広いので
、圧力に対する相当に丈夫な耐圧構造が要求され、既存
の魚槽には簡単に採用できない欠点があった。

本発明は従来のこれ等の魚移送装置が有する全ての欠点
を除去すること、即ち構成および取扱いが簡単であると
共に、移送時の魚の傷付きを極減できる魚移送装置を提
供するにある。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図および第２図に示す魚移送装置は、両開口端が、
区画分離されると共に水面レベルが異なる水中、即ち吐
出側開口端１が魚槽２に、吸入側開口端３が網４で囲ま
れた海水に潜没され、中間の最上部に、内部の空気が排
出される吸引孔５が穿設された送魚管６と、この送魚管
６の吸引孔５に吸入側が連結された真空ポンプ７と、魚
槽２内の水を排水する水ポンプ１１とを備えている。

送魚管６は、吸引孔５が穿設された本体８と、この本体
８の両側に連結された可撓性ホース９とからなり、本体
８の吸引孔５は、空気は通過できるが、魚が吸い出され
ないように、通気性を有するが魚を通さない通気板で塞
がれており、この通気板は魚が衝突することなくスムー
ズに管内を移送されるように、管の内面と同一平面状に
張設されている。

第２図に示す吸引孔５は、送魚管６の一部に格子状に細
長い吸引孔５を穿設したもので、この構造は魚の傷付き
が最も少ない。

ところで魚を、区画されたひとつの槽から他の槽に移す
場合、両槽の水面レベル差を常に一定値以上に保持する
為、第３図に示すように、送魚管６の吐出側開口端１が
潜没された魚槽１２に、魚槽内の水を排水する水ポンプ
１１の吸入側を連結し、送魚管６の吸入側開口端３が潜
没された水槽１０には水ポンプ１１の吐出側を連結する
のがよい。

第１図の水ポンプ１１も、第３図の水ポンプ１１と同様
に、魚槽２内の水を矢印の方向に排水して魚槽２内の水
位を低下させる。

水ポンプ１１の吸入側は、魚槽１２内の魚が吸入されな
いように、網材１３で区画された水室１４と連結されて
いる。

真空ポンプは、空気のみでなく、なるべくは水が混入し
た空気をも移送できるポンプ、例えば液封式真空ポンプ
等が使用可能で、送魚管が水で満たされたときには、吸
入側が閉止されるように、例えば第２図に示すように、
本体の吸引孔と真空ポンプの吸入口との間にフロートバ
ルブ２２等が介在されるのがよい。

フロートバルブと真空ポンプの間には、第１図に示すよ
うに、逆止弁２３が連結され、この逆止弁によって、真
空ポンプ停止時に吸引孔に空気が吸入されるのが阻止で
きる。

この発明に係る魚移送装置は、送魚管の両端部が、大気
に開放された状態で区画された水域に連結されると共に
、送魚管の最上部に開口する吸引孔から送魚管内の空気
が排出されて送魚管内が水で満たされると共に、水ポン
プでもって送魚管の両端に水位差を生せしめこれによっ
て、送魚管のサイフオン作用でもって水と一緒に魚を搬
送するように構成したものであるから、魚は管内を移送
されるだけで、ポンプのインペラ等を通過せず、移送時
の傷付きは他のいかなるポンプよりも少なく、魚ポンプ
にとって正に理想的な特性が実現され、更に全体の構造
が簡単で安価でしかも取り扱いも簡便で、使用状態によ
る魚の傷付きもなく、全体的にも著しくコンパクトであ
る等従来の魚ポンプを卓越する数々の特長を備える。

更に又、本発明の魚移送装置は、送魚管の両開口端に圧
力差を生ぜしめ、この圧力差によって黒水を送魚管で移
送するものであるが、この圧力差は、気密に密閉された
氷室から排水して減圧するものではなく、大気に開放さ
れた状態で区画された水域に給水および／または排水し
て水面レベル差を生せしめ、これによって送魚管の両開
口端に圧力差を発生させる。

従って、送魚管内を黒水が極めてスムーズに移送される
ことに加えて、区画水域を気密に密閉する必要がなく、
はとんど全ての魚槽に簡単に装着可能である。

更に又、気密に密閉された水槽内の水を排水してここに
黒水を吸入する従来の移送装置は、吸入管に通水が詰ま
ると水槽内が相当に負圧に減圧され、吸入管に詰まった
魚に無理な力を掛けて魚を弱らせる欠点がある。

これに対し、本発明の魚移送装置は、例え送魚管の吸入
端に魚が詰まったとしても、両区側水域の水面レベル差
に変化はなく、魚が強い力で無理に吸引されることがな
く、強吸着による魚体の弱り又は損傷を極減できる卓効
がある。

この特性は、この種の装置にとって極めて重要である。

というのは、この種の移送装置は活魚の移送に最適でこ
れに多用されるが、活魚移送に於ては、ポンプでの移送
後数田こ発生する斃死魚をいかに極減できるかが重要で
ある。

本発明の魚移送装置は、前述のようにいかなる状態に於
ても活魚は最もスムーズに移送されて無理がなく、移送
後前の斃死率が極減できることを実証した。

又、簡単な構造の移送管は、これを太くすることによっ
て、少ない水位差で大量の黒水が短時間に移送可能であ
る。

本発明者の実１験によると、送魚管のホース径が４００
ｍｍφで、全長が１０ｍのとき、水位差１０ｃｍ、２０
ｃｍ、３０ｃｍ、４０ｃｍ、５０ｃｍに於て、流量は順
番に、７．５トン／分、１１トン／分、１３．５ ）ン
／分、１５．５ ）ン／分、１７．５）ン／分で、短時
間に多量の魚が移送できた。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例に係る魚移送装置の使用状
態を示す側面図、第２図は第１図および第３図に示す送
魚管の本体部を示す一部断面図、第３図は他の実施例を
示す側面図である。 １・・・・・・吐出側開口端、２・・・・・・魚槽、３
・・・・・・吸入側開口端、４・・・・・・網、５・・
・・・・吸引孔、６・・・・・・送魚管、７・・・・・
・真空ポンプ、８・・・・・・本体、９・・・・・・可
撓性ホース、１０・・・・・・水槽、１１・・・・・・
水ポンプ、１２・・・・・・魚槽、１３・・・・・・網
材、１４・・・・・・水室、２２・・・・・・フロート
バルブ、２３・・・・・・逆止弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 吸入側と吐出側の両開口端が、大気に開放されて区
   画分離された水域に連結され、吸入側開口端は区画分離
   された水中に潜没されており、かつ中間の最上部に、内
   部の空気が排出される吸引孔が穿設された送魚管と、こ
   の送魚管の吸引孔に吸入側が連結された真空ポンプと、
   送魚管の吸入側と吐出側とが連結された大気開放の区画
   分離水域に水位差を発生させる水ポンプとを備えており
   、該真空ポンプでもって、送魚管内の空気が排出されて
   送魚管が水で満たされ、水ポンプが送魚管の吸入側と吐
   出側とが連結された大気開放の区画分離水域に水位差を
   発生させ、送魚管の吐出側開口端は吸入側開口端が連結
   された水域の水面レベルよりも下方に延長されており、
   この水位差によって送魚管が水と一緒に魚を移送するよ
   うに構成された魚移送装置。 ２ 吸引孔が通水性を有するが、魚を通さない通水板で
   塞がれ、この通水板が送魚管の内面と同一平面ないしは
   ほぼ同一平面状に張設された特許請求の範囲第１項記載
   の魚移送装置。 ３ 送魚管に、軸方向に延びる細長い吸引孔が格子状に
   穿設された特許請求の範囲第２項記載の魚移送装置。 ４ 送魚管が本体と、この本体の両端に連結された可撓
   性ホースとからなり、本体に空気の吸引孔が穿設された
   特許請求の範囲第１項記載の魚移送装置。