JPS5946832B2 - 二輪車用フロントフオ−ク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、二輪車用フロントフォークに関し、とくにア
ンダーブラケットへの締結部の改良により締結部インナ
ーチューブの疲労強度の向上をはかるものである。

二輪車用のフロントフォークは、サスペンションの機能
と強度部材としての機能をもち、インナチューブの先端
部にて車体側のアッパー、アンダーブラケットに片持支
持され、前輪に負荷される全荷重を極めて過酷な使用条
件下で支持している。

このため、とくにアンダーブラケットへの締結点におい
て疲労による破壊を生じやすかった。

これを第１図にもとづいて説明する。

アッパーブラケット１とアンダーブラケット２とによっ
て、フロントフォークのインナーチューブ３の先端部２
点がボルト１ａ、２ａで締結支持され、アウターチュー
ブ４の下端のアイブラケット４ａに支持した車軸からの
荷重を担持する。

このときの荷重にもとづく作用応力を解析してみると、
一般にフロントフォークは所要の傾斜角θをもって取付
けられるため、車軸荷重Ｗは軸方向とその直角方向の分
力ＱとＦとに分解できる。

そして、アンダーブラケット２の部分においては、軸方
向分力Ｑに耐える締付力と同時に曲げモーメントＦ、Ｌ
なる負荷を受けることになり、したがって、締は応力σ
Ｂと曲げ応力σヤとの合成応力がインナーチューブ２の
締付部分に発生する。

しかも、ポル）２ａによる締付応力分布をみると、第２
図のように、ボルト２′ａをアンダーブラケット２の中
心に位置させているため、中心部において最大値をとる
圧縮応力σＢｃと、上下端部の引張応力σＢｔが生じる
ことが知られており、したがって、アンダーブラケット
２の下端に位置してインナーチューブ２には極めてシャ
ープな応力集中があり、そして繰り返し曲げ荷重にもと
づき主としてこの締付下端において疲労破壊が発生する
のが常であった。

したがって、インナーチューブの材料としては、抗張力
、弾性限応力、伸び、疲労限応力などを十分に吟味した
高級材料を使用する必要があった。

一方、インナーチューブの疲労限界については、締付応
力σＢがない場合では、繰り返し曲げ疲労とすると、材
料のもつ抗張力の約１／３程度は十分確保できるが、し
かし、分力Ｑに耐える締付応力σＢを同時に作用させた
ときには、抗張力の約１１５程度にまで疲労限応力は低
下することが知られている。

そこで本発明は、アンダーブラケットの下端面に位置し
てインナーチューブに作用する疲労限界に影響を及ぼす
締付応力と共に応力集中を回避し、かつ曲げモーメント
による応力の作用点を車軸から受ける荷重に応じて移動
させるようにすることにより、フロントフォークの疲労
強度の大幅な向上をはかることを目的とする。

以下いくつかの実施例をあげて本発明を説明する。

第３図、第４図に示す第１の実施例において、１０はア
ッパーブラケット、１１はアンダーブラケット、１２は
フロントフォークインナーチューブ、１３は同じくアウ
ターチューブを示す。

そして、アンダーブラケット１１において、割溝１４を
締結するためのボルト１５が、ブラケット上下端１１ａ
、１１ｂの中心より上方又は最小限の効果の得られる中
心に位置するようにする。

つまり、ボルト中心から上下端面までの距離ａ。

ｂの関係がａ≦ｂとなるようにボルト１５を配置するの
が好ましい。

即ち、これによってブラケット下端１１ｂ部分における
締付力にもとずく引張応力が発生するのを防ぐことがで
きる。

換言すると、下端１１ｂの引張応力がすくなくとも上端
１１ａに発生する引張応力σＢｉｔよりも小さくなるよ
うにする（第５図参照）。

一方、アンダーブラケット１１の下部には、インナーチ
ューブ１２に作用する曲げモーメントの最大点を、荷重
に応じて変位させるための手段１６として、本実施例で
は薄肉支持部１６ａが構成され、インナーチューブ１２
の曲げモーメントに応じて薄肉支持部１６ａが弾性変形
して最大曲げ応力作用点を移動させ、他の応力とにもと
づく応力集中を回避し疲労強度を高める。

これと同じ効果を発揮させるために、第６図に示すよう
に、アンダーブラケット１１の下部に、アルミニューム
、マグネシュームあるいは銅合金などまたは合成樹脂か
らなる低弾性材リング１６ｂを圧入し、該リング１６ｂ
の変形により荷重の作用点を移動させるか、または許容
限曲げ荷重を負荷したときのインナーチューブ１２の弾
性曲線に沿って、圧入リング１６ｂとの接触面が変位す
るように、予め接触部分の形状を設定しておく。

さらには、第１図に示すように、アンダーブラケット１
１の挿通孔１８の下部を、インナーチューブ１２の弾性
曲線に沿って微少な末広りのテーパ孔１６ｃとして、作
用点を移動させることもできる。

以上のように構成した本発明の応力分布状態を第５図に
示し、これにもとづいてさらに詳しく説明する。

アンダーブラケット１１の挿通孔１８に通したインナー
チューブ１２の締付けは、車軸荷重の軸方向分力に対し
て所定の締付力（把持力）が得られるようにボルト１５
を介して行われる。

しかるに、ボルト１５が上下端１１ａ、１１ｂの中心よ
り上方に移動しであるため、この締付力にもとづく圧縮
応力σＢｃと、これに対抗的に作用する引張応力σＢ１
１．σＢｔ□とは第５図のようになり、とくに下端１１
ｂにおけるσＢｉ２は変形手段１６による逃げもあって
ほとんどゼロになる。

一方、車軸荷重にもとづく曲げモーメントの最大値は、
変形手段１６がインナーチューブ１２の曲げ応力に応じ
て弾性変形し、その作用へがＡ −Ａ、Ｂ−Ｂ、Ｃ−Ｃ
のように次第に変化するので、例えば曲げ応力σＭｉｌ
はＡ−Ａ面に、同じく０Ｍ１□はＢ−Ｂ面に、σＭｊ３
はＣ−Ｃ面に作用することになり、この結果、最大応力
の作用する疲労断面が１個所に集中しない。

したがって、上記した引張応力σＢ１□の除去と曲げ応
力σＭ１の移動により、応力のブラケット下端１１ｂへ
の集中を避けると同時に、最大応力作用点の変位による
疲労面の分散にもとづき、インナーチューブ１２の疲労
強度は大幅に改善される。

以上のように本発明によれば、アンダーブラケットのボ
ルト締結位置をブラケットの強度を損わない限界のブラ
ケット上下幅中心位置又はこの中心位置より上方にずら
せて配置することと、インナーチューブ挿通孔の下部に
位置する上方に移動するのと、インナーチューブ挿通孔
の下部に位置して弾性変形手段とを設けるという、極め
て簡易な手段によりインナーチューブの疲労強度を高め
、耐久性、安全性の向上、あるいはインナーチューブの
低コスト化をはかることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のフロントフォークを示す側面図、第２図
はフロントフォークに作用する応力分布を示す説明図、
第３図は本発明の第１の実施例の側面図、第４図は平面
図、第５図はインナーチューブに作用する応力分布を示
す説明図、第６図、第７図はそれぞれ他の実施例の要部
をあられす断面図である。 １０・・・・・・アッパーブラケット、１１・・・・・
アンダーブラケット、１１ａ・・・・・上端、１１ｂ・
・・・・・下端、１２・・・・・・インナーチューブ、
１３・・・・・・アウターチューブ、１４・・・・・・
割溝、１６・・・・・・弾性変形手段、１６ａ・・・・
・・薄肉支持部、１６ｂ・・・・・・圧入リング、１６
ｃ・・・・・・テーパ孔、１８・・・・・・挿通孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アンダーブラケトの挿通孔にインナーチューブを挿
   入し、このインナーチューブをボルトを介してアンダー
   ブラケットへ締結するようにしたフロントフォークにお
   いて、前記インナーチューブ挿通孔の下部に位置して弾
   性変形手段を備えたことを特徴とする二輪車用フロント
   フォーク。 ２ 弾性変形手段が薄肉支持部であることを特徴とする
   特許請求め範囲第１項記載の二輪車用フロントフォーク
   。 ３ 弾性変形手段が低弾性材リングであることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載の二輪車用フロントフォ
   ーク。 □４ 弾性変形手段が末広がりのテーパで
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１瑣記載の二輪
   車用フロントフォーク。 ５ ボルト中心を少なくともアンダーブラケットの中心
   よりも上端側に位置させた特許請求の範囲第１項記載の
   二輪車用フロンドラオーク。