JPS5942423Y2 - 太陽熱利用の屋根板体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、太陽熱エネルギーを利用する熱吸収板、流通
管と屋根板とを一体化し、これらの機能を同時に発揮さ
せ、流通管内の水または温水の昇温効率を良好にし、施
工が簡易且つ迅速にでき、安価にできる太陽熱利用の屋
根板体に関する。

近時、省エネルギ一対策の一つとして、太陽熱エネルギ
ーを利用する研究、開発が盛んに行なわれている。

その中で、太陽熱利用温水器が数多く開発されている。

その温水器は住宅等の構造物の屋根または壁の一部に取
付けるものが殆んどであった。

このため、温水器の吸熱面積等も狭く、昇温効率や熱交
換率等が必ずしも良くない欠点があった。

また、その温水器は屋根または壁を葺成した後に、そこ
に取付けなければならず、極めて面倒であるし、その取
付に際し屋根または壁を損傷したり、この損傷で雨漏れ
の原因となったりした欠点があった。

また、取付ける温水器は、屋根または壁等の費用に加え
て割高になる欠点があった。

そこで、本考案は、主板の長手方向の両側に、山形重合
部を形成し、その主板の山形重合部の中間に、これと平
行して複数の山形部を膨出形成した屋根板とし、その隣
接する山形部間に断熱材を充填し、断熱材を充填した山
形部の頂部相互を熱吸収板で被覆して山形部に固着し、
この熱吸収板には凹溝を１乃至複数形成し、この凹溝に
流通管を嵌合固着したものとしたことにより、これで屋
根葺成すると、同時に太陽熱利用の温水装置も構成でき
るし、昇温効率や熱交換率も高くなり、また屋根と、熱
吸収板、流通管による温水装置が一体のため屋根を損傷
することもなく、施工、補修整備が簡易、且つ迅速にで
き、さらに安価に提供でき前記の欠点を解消したもので
ある。

その構造を図面について説明する。

１は長尺の屋根板であって、対候性を保つもので表面処
理した金属製であり、主板２の両側に、略台形状の山形
重合部３．４が膨出形成されている。

この山形重合部４の外側傾斜部は短く形成され、この山
形重合部４が隣接の屋根板１の山形重合部３の上に重合
するように山形重合部３の板厚分だけ大きく形成されて
いる。

５は略台形状の山形部であって、主板２の山形重合部３
．４の中間に長手方向に沿って複数（第１図乃至第５図
では２山、第６図では３山）膨出形成されている。

その山形部５の大きさは、前記の山形重合部３．４の大
きさと略同等である。

その主板２、山形重合部３．４、山形部５とで一体的に
構成されている屋根板１は、一枚の帯板を多数群のロー
ルにて屈曲形成したものである。

６はグラスウール、発泡合成樹脂等の断熱材であって、
隣接する山形部５．５間の主板２上に充填されている。

その山形部５が２山の場合（第１図乃至第５図参照）、
その間のみに充填するが、３山の場合（第６図参照）、
その山形部５．５間に夫々充填されている。

７は長尺の熱吸収板であって、銅等の比較的熱伝導の良
好な金属製で、平担状部の両側より下方に屈曲した傾斜
端縁が形成され、その平担状部の中間には、後述の流通
管９の下半分を嵌合する凹溝８が１乃至複数その長手方
向に沿って形成されている。

その熱吸収板７は、断熱材６を充填した隣接する山形部
５．５の頂部間に被覆され、その熱吸収板７の両側傾斜
端縁が山形部５にスポット溶接等で固着されている。

そのとき凹溝８の位置は、例え、山形部５が３山以上設
けられていても、山形部５上に存在せず、断面材６上に
存在するよう構成されている。

９は金属または合成樹脂製の流通管であって、円形管状
としたり（第１図、第３図、第４図、第６図、第７図参
照）、或いは扁平パネル状にし、その内部には長手方向
に多数の貫孔を併設したものにすることもある（第２図
、第５図、第８図参照）。

その流通管９が、熱吸収板７の凹溝８に嵌合固着されて
いる。

１０は表面板で、透明または半透明のガラスまたは合成
樹脂製であり、その流通管９及び熱吸収板７の上面を覆
い、熱吸収板７とで密閉空隙部が構成されている。

平板状の表面板の場合（第７図参照）にはガスケット等
を介して貼着されている。

扁平山形状にした場合（第８図参照）には、その山形部
５．５側部に、その傾斜端縁が固着されている。

その表面板１０は設けないこともある（第１図乃至第５
図参照）。

１１は構造物の母屋等の構造材、１２は屋根受金具であ
る。

次に作用効果について説明する。

まず、流通管９、熱吸収板７付の屋根板１を構造材１１
上に、屋根受金具１２等を介して載置し、次いで、この
屋根板１の山形重合部３に、隣接の屋根板１の山形重合
部４を上から重合してボルト等にて固着し、これを順次
繰り返して屋根葺成する。

そして、多数併設した流通管９．９の下端相互、上端相
互を図示しない下部連結管、上部連結管にて夫々連結し
て温水装置の施工を完了する。

このように本考案においては、主板２の両側に山形重合
部３．４を形成した屋根板１とし、その主板２上に熱吸
収板７、流通管９を設けたことにより、これを、構造物
の構造材１１上に載置させて、その隣接する屋根板１．
１の対向する山形重合部３．４を順次重合固着すると、
太陽熱エネルギーを利用する集熱部または熱交換部を屋
根葺成と同時に取付けが完了でき、簡易且つ迅速な施工
ができる。

さらに、その集熱部としての熱吸収板７、流通管９は、
山形重合部３．４より内側の山形部５．５間に存在して
おり、屋根葺成する際に、その集熱部が葺成の支障にな
らず、通常の屋根板と同様に葺成できるものである。

また、本考案では、その主板２の中間に複数の山形部５
を膨出形成させ、その隣接する山形部５．５間に断熱材
６を充填し、この断熱材６を充填した山形部５．５の頂
部相互間を被覆するように熱吸収板７を設け、この熱吸
収板７には凹溝８を１乃至複数形成し、この凹溝８に流
通管９を嵌合固着したことにより、水または温水が入る
流通管９には太陽光線の輻射熱が当たるし、その熱吸収
板７が加熱された熱は凹溝８を介して流通管９に熱伝導
されることとなり、太陽熱エネルギーによる水または温
水の昇温効率または熱交換率を極めて良好にできるし、
その熱吸収板７下面の断熱材６の存在で、流通管９内の
温水の下方への放熱を防止することができる。

また、このように屋根板１と集熱部を工場にて予め一体
化していることから、従来のように別個に屋根または壁
に取付け、その際に屋根等を損傷することもなく、雨漏
れ原因を防止できるし、伺よりも施工を迅速化でき、そ
して本考案は、集熱部を設けるに、格別の部品を使用す
ることなく、屋根板１の構造を利用して取付けることが
できて経済的で安価に提供できる。

また、屋根板１に夫々集熱部を設けたので、大量の水の
温水化も可能である。

また、本考案の屋根板体を葺成すると、外観的には従来
周知の屋根と略同様であり、極めて整然且つ優美な温水
装置内蔵の屋根にできるものである。

また、主板２の中間に、断熱材６、熱吸収板７、流通管
９、即ち集熱部を内蔵し、その他の部分は平担な主板２
部分であって、その部分に乗ることができ、自由に歩け
るので、熱吸収板７や流通管９に埃りが積ったりして熱
吸収が悪くなったり、破損した場合は集熱部の両側主板
２上に乗って容易に清浄したり補修することができるし
、集熱部を破損したりすることがないし、集熱部は屋根
板１の左右の山形重合部３．４と関係ない部分に設けら
れているので、集熱部を設けても、これによる雨漏りの
原因が生じない等の効果を奏する。

なお、流通管９、熱吸収板７をある空隙を有して表面板
１０で覆うように構成すれば、流通管９及び熱吸収板７
は外気とは遮断された空気層が形成され、この空気層が
、温水の放熱防止の断熱層となったり、その空気層の高
温化（約１３０℃）で、流通管９内の水または温水を一
層昇温させることかできる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案の斜視図、第３図は本考案にて
屋根葺成した斜視図、第４図は第３図の縦断正面図、第
５図、第６図は本考案の別の実施例にて屋根葺成した斜
視図、第７図、第８図は本考案に表面板を設けた要部縦
断正面図である。 １・・・・・・屋根板、２・・・・・・主板、３．４・
・・・・・山形重合部、５・・・・・・山形部、６・・
・・・・断熱材、７・・・・・・熱吸収板、８・・・・
・・凹溝、９・・・・・・流通管である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主板２の長手方向の両側に、山形重合部３．４を形成し
   、その主板２の山形重合部３．４の中間に、これと平行
   して複数の山形部５を適当の間隔に膨出形成した屋根板
   １とし、その隣接する山形部５．５間に断熱材６を充填
   し、断熱材６を充填した山形部５．５の頂部相互間を熱
   吸収板７で被覆して山形部５に固着し、この熱吸収板７
   には凹溝８を１乃至複数形成し、この凹溝８に流通管９
   を嵌合固着したことを特徴とした太陽熱利用の屋根板体
   。