JPS5929928Y2 - 金属粒子の製造装置

Info

【考案の詳細な説明】本考案は金属粒子の製造装置の改良に関する。

従来の金属粒子の製造装置としては、密閉チャンバー内
において、溶融金属を高速回転する円板上に滴下し、遠
心力により飛散させる装置は知られている。

しかし、この装置では得られる金属粉末の形状はフレー
クまたは不規則な角を有するものとなって球状の金属粒
子は得られない欠点があった。

また、密閉チャンバー内において、金属棒を回転させ、
該金属棒の先端部をアークまたはプラズマによって溶解
し、溶融金属を遠心力で飛散させるようにした装置も知
られている。

しかし、この装置では得られる金属粒子は、その形状、
大きさの範囲が広く、希望する大きさで且つ均一な形状
を有するものを得るためには、ふるい別等を行う必要が
あり、また、歩留りも悪い欠点があった。

本考案は従来のこれらの欠点を改善し、粒状、大きさの
均一な金属粒子を容易に製造することができる装置を提
供するにある。

本考案の装置を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案の装置の縦断面を示す。

図中、１は不活性ガス導入管、２は密閉チャンバー、３
は金属溶融るつぼ、４は溶融金属を滴下するタンディツ
シュ、５は高速回転装置、６は円錐型、７は金属粒子、
８は金属棒である。

第２図の９はＶ字型の高速回転体である。

金属棒８を金属溶融るつぼ３において溶融させてタンデ
ィツシュ４に送り、溶融金属を円錐型６に滴下する。

円錐型６は高速回転装置５により高速回転しており、滴
下された溶融金属は遠心力により飛散され、不活性ガス
の雰囲気中で凝固固化して金属粒子１が形成される。

金属の溶融・滴下装置は図面に示すものに限らず、任意
に変更し得られる。

また密閉チャンバー、不活性ガスの導入は金属の種類に
より、必ずしも密閉であること、また不活性ガスの導入
を必要としない。

円錐型６の回転は通常毎分２，０００〜４０，０００回
転であることが好ましい。

溶融金属の飛散状況は、金属の溶融物性、円錐型の材質
、円錐の角度、回転速度等により変化するので、これら
を適当に組合せることにより均一な粒度の球状物となし
得る。

円錐型の材質は溶融金属の物性、特にぬれ性との関係が
あるため、黒鉛、アルミナ質、マグネシャ質の耐火性材
料が好ましい。

円錐型またはＶ字型の角度は中心線に対して１５〜７５
度の範囲であることが好ましい。

１５度より小さいと球状の金属粒子が得難く、また７７
５度を超えると飛散が悪くなり粒子の粒度がそろわなく
なる。

また、円錐型またＶ字型の周縁部には水平面がなく、傾
斜面に沿って直線状であることが必要である。

周縁部に水平面があると、得られる金属粉末の形状がフ
レークまたは不規則な角を有するものが混在して来、球
状の均一粒子が得られず、また、周縁部が傾斜面に沿っ
て直線的でなく、例えば波状であると、凹部に入った溶
融金属が一時に飛散され、球状のものができる欠点が生
ずる。

本考案の装置によると、溶融金属を滴下する板か円錐型
であるため溶滴が均一に飛散され、得られる金属粒子の
形状は球状となり、且つ均一の粒度のものが容易に得ら
れる効果を有する。

また、高速回転体の形状を第２図に示すＶ字型にした場
合にも同様な効果が得られる。

図面に示す装置において、内径４３０間の密閉チャンバ
ーにアルコンガスを毎分０．１７流入させ、チャンバー
に設けたアーク電極および耐火るつぼによりアーク電圧
２０■、電流４００アンペアで銅を溶融し、タンディツ
シュに注湯した。

タンディツシュの底には径４ＷＬ１１Ｌの滴下孔が設け
られており、滴下孔から５０１ｆｔｍ下方に設けられた
円錐型（４５度）に滴下した。

円錐型の回転速度は毎分３０．０００回転で行ったとこ
ろ、粒度１００〜３００メツシユの銅の球状粒子が得ら
れた。

また、回転速度を４０，０００回転とし、ＮｉＴｉ合金
の粒子を製造したところ、４００メツシュ以上の微粒子
が得られた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の金属粒子の製造装置の一実施態様を示
す縦断面図である。第２図は、第１図の円錐型６に代えてＶ字型９を使用し
た縦断面図である。１：不活性ガス導入管、２：密閉チャンバー３：金属溶
融るつぼ、４：タンディツシュ、５：高速回転装置、６
：円錐型、γ：金属粒子、８：金属棒、９：Ｖ字型。

【実用新案登録請求の範囲】