JPS5914843B2 - 遮蔽付耐火電線 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は遮蔽付耐火電線の改良に係り、特に電線管に引
込み布設されるものとしても好適する沁５ 蔽付耐火電
線に関する。

従来、遮蔽付耐火電線としては耐火絶縁線心上に金属テ
ープを重ね巻きし、この上に難燃性ポリエチレンソース
を施したものが使用されている。

し力化ながらこのような構成の耐火電線におい１０ては
、耐火絶縁線心の外側が金属テープで覆われているので
火災時に電線が蒸し焼き状態とされ、これによつて発生
する導電性の塩素ガスが耐火絶縁線心の耐火層に入り込
み、耐火特性を低下させる欠点があつた。このため導電
性ガスが耐火層に１５入り込まないように前記金属テー
プをギャップ巻きしたり、あるいは金属テープの替わり
に金属編組を施すなどの試みがなされている。しかるに
前者においては金属テープをギャップ巻きとしているの
で、遮蔽層に流れる電流の電気抵抗が大きくフ０ なり
、その分たけ遮蔽効果が低下する不都合がある。また、
例えは１０００ｍ程度の布設ルート中に曲がりが数個所
もある布設ルートに前記電線を延線する場合、延線中に
前記電線の金属テープが頻繁に曲けられることにより金
属テープが析れたノ５ り、あるいは製造の際に接続し
た金属テープの接続部が外れたりして、遮蔽付耐火電線
の遮蔽効果が著しく低下する不都合がある。後者におい
ては、前者の金属テープ遮蔽付電線の製造方法に比し、
作業工程が一工程増え、更にその作業スピードも１０遅
くかつコスト高となる不都合がある。一方、耐火電線の
シース材料としてはポリオレフィン組成物が使用されて
いるが、この組成物はそのままでは可燃性であるため、
耐火電線のシース材料としては不適当であつた。このた
め、ポリ１５オレフィン組成物に難燃性を付与するため
に、通常ハロゲン系難燃剤を添加する等の試みもなされ
ているが、この場合においては前述したと同様の欠点が
生じるので好ましくなかつた。更にポリオレフイン組成
物に水酸化アルニウム等の無機系難燃剤のみを添加して
所要の難燃効果を得る試みもなされているが、この場合
においては、充分な難燃性を得るために前記無機系難燃
剤をかなり多量に配合する必要があり、そのためポリオ
レフインの機械的特性、電気的特性および加工性等が著
しく低下する欠点があつた。

本発明はこのような欠点を解消するためなされたもので
、銅テープギヤツプ巻層の直下もしくは直上に銅線を縦
添えし、耐火電線のシース材料として非ハロゲン系難燃
剤を使用することにより、所要の？蔽特性および耐火特
性を満足する遮蔽付耐火電線を提供しようとするもので
ある。

以下本発明を一実施例の図面に基づいて説明する。

第１図において、本発明に係る遮蔽付耐火電線は、耐火
絶縁線心１と、この外周またはこの線心を多数杢より合
わせた外周にギヤツプ巻きした銅テープ２と、この銅テ
ープギヤツプ巻層上に設けた難燃性シース３と、前記銅
テープの直下または直上長さ方向に縦添えした銅線４と
で主に構成されている。

耐火絶縁線心１は、導体５とこの外側にマイカ側が導体
５側に向くように縦添えしたマイカガラステープ等によ
る耐火層６と、耐火層の外側に設けたポリエチレン等か
らなる絶縁体７とで構成されている。

銅テープ２は例えば３鼎程度のギヤツブを持たせて横巻
きされる。

ギヤツプを持たせるのは、燃焼時における導電性ガスが
耐火層に隠らないようにするためである。銅線４は、銅
より線等からなり、銅テープ２と電気的に接続しうるよ
うに少なくとも１条縦添えされる。

ここで、遮蔽層として銅テープを使用した理由について
述べる。

通常、遮蔽層は銅テープまたはアルミテープのラツプ巻
きにより形成されている。ところが、耐火電線の遮蔽層
をアルミテープで形成すると、アルミテープの融点が低
いので、８４０℃、３０分の燃焼試験に合格しない難点
がある。すなわち、アルミの融点が約６５０℃であるの
で火災時には初期段階でかかるアルミ遮蔽層が溶けてし
まい所定の遮蔽効果を発揮し得ない難点がある。そこで
、耐火電線の遮蔽層として融点力塙い銅テープ（約１０
８３℃）を用いたのである。

難燃性シース３は、（ａ）ポリオレフイン１００重量部
（ｂ）オルガノポリシロキサン１〜１０重量部（ｃ）有
機バリウム塩及び／または赤リン、１〜３０重量部を含
有する非ハロゲン系難燃ポリオレフィン組成物で形成さ
れている。ポリオレフインとしては、ポリエチレン、エ
チレン−プロピレン共重合体、ポリブタジエン、エチレ
ン一酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル
共重合体等がある。

これらは単独あるいはブレンドして用いても良い。しか
しこの場合、エチレン一酢酸ビニル共重合体等の酸を含
むポリマーを多量に使うと、電線管内は弱い導電性のガ
スの影響を受けて多少絶縁抵抗が低下する傾向にあるの
で、ポリエチレンやエチレン−プロピレン共重合体の方
が好ましい。オルガノポリシロキサンとしては、２５℃
の溶融粘度が１万センチポイズ以上のジメチルポリシロ
キサン メチルフエニルポリシロキサン等が適切である
。これらはベースポリマ一１００重量部に対して１〜１
０重量部が好ましく、これより少ないと難燃効果がなく
、これより多いと加工しにくくなる。有機バリウム塩と
してはステアリン酸バリウム ラウリル酸バリウム等が
ある。赤リンとしては、赤リン単独あるいは赤リンと酸
化チタンとのブレンド物のように赤リンを含むものであ
ればよい。本発明においては有機バリウム塩と赤リンは
、それぞれ単独で使用しても良いし、より一層の効果を
あげるためには両者を併用してもよい。

単独で使用する場合はベースポリマー１００重量部に対
して１〜３０重量部が適切で、併用して用いる場合は合
計３０重量部の範囲内で各々１〜２０重量部が適切であ
る。これより少ないと難燃効果がなく、これより多いと
機械特性、加工性が低下する。難燃性シースにおいては
、上記配合剤以外に、タルク、クレー、水酸化アルミニ
ウム、炭酸マグネシウム等の無機質充填剤を、機械特性
を損わない範囲で添加してもよく、また老化防止剤、滑
剤、軟化剤等適宜添加しても良い。なお図中８は介在物
、９は抑えテープを示している。

次に、本発明によつて得た遮蔽付耐火電線（以下Ａとい
う）と、従来の遮蔽付耐火電線（以下Ｂ、Ｃという）に
ついて耐火試験を行なつたところ、第２図および、第３
図に示す通りであつた。

なお前記Ａは、遮蔽層として銅テープギヤツプ巻層の直
下に軟銅線を縦添えし、シースとして第１表の各成分か
ら成る組成物いわゆる非ハロゲン難燃ポリエチレンシー
スを所要厚さ押出被覆した遮蔽付耐火電線であり、前記
Ｂは、前記Ａの非ハロゲン難燃ポリエチレンシースに代
えてビニルジースを用いかつ、遮蔽テープをラツプ巻き
した遮蔽付耐火電線であり、また前記Ｃは、前記Ｂにお
いて遮蔽層を除去したいわゆる無遮蔽の通常の耐火電線
である第２図は前記ＡＢおよびＣの電線を露出状態で第
３図は電線管内にそれぞれ電線Ａ．ＢおよびＣを挿入し
てそれぞれ耐火試験を行なつた場合の耐火試験特性を示
している。

なお、耐火試験は、ＡＣ６ＯＯＶを印加した状態で、Ｊ
ＩＳＡｌ３Ｏ４の火災温度曲線に準じて３０分間加熱し
これに耐え、その後の絶縁抵抗が０．４ＭΩ以上でかつ
ＡＣｌ５ＯＯＶｌ分の耐圧試験を印加するものである。

第２、３図より、Ｃの電線は露出試験の場合においては
、絶縁抵抗は良好であるが電線管内試験では悪く、約２
０分で絶縁破壊に至つている。

Ｂは電線管内試験においては、Ｃより多少特性が良いも
のの、２２分程度で絶縁破壊し、露出ネ験においてはＣ
よりも悪く、約２０分で絶縁破壊している。Ｃは露出お
よび電線管内の両試験に対して所要の耐圧特性を有し、
絶縁抵抗も０．４ＭΩ／１．３ｍあり、充分規格値を満
足していることが判る。上述した本発明の遮蔽付耐火電
線においては、ギヤツプ巻きした銅テープの内側もしく
は外側に銅線条を縦添えし、更にシースとして排ハロゲ
ン系難燃ポリオレフイン材料を用いているので、従来に
比し遮蔽効果が良好であり、また電線布設時に仮りに銅
テープが切断しても銅線で導通し得る。更に接地工事に
際して前記銅線を接地線として使用できるので、接地工
事を簡単に行ない得る。更に本考案においては、銅テー
プに、この銅テーブと同材質の銅線を縦添えしているの
で銅テープと縦添えする線間の金属腐食を懸念しなくて
もよい０従つて、アルミテープ等に、このテープと異種
の線を縦添えする場合には、線自身に半田メツキを施さ
なければならないが、本考案においてはかかる半田メツ
キ層を形成しなくてもよいので、従前の縦添え線と比較
すればメツキ層がない分だけ縦添え線の製作を簡単にな
し得、また、メツキ層がある場合には、メツキ層の分た
けみかけの断面積が増加するのでそれだけ電気抵抗が増
大するが、本考案においては、メツキ層がないのでその
分だけ縦添え線の太さを細くできる利点がある。また、
本発明の遮蔽付耐火電線は電線管内の様な密閉条件下の
燃焼に際しても充分な耐火性能を有し、しかもシース材
料の製造上の加工性、汎用の電線としての機械特性等の
低下がなく、極めて有用なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明における遮蔽付耐火電線の一実施例を示
す横断面図、第２図は各種耐火電線の露出状態での耐火
性能を示すグラフ、第３図は各種耐火電線の電線管内で
の耐火性能を示すグラフである。 １・・・・・・耐火絶縁線心、２・・・・・・銅テープ
ギヤツプ、巻層、３・・・・・・難然性シース、４・・
・・・・銅線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 導体と絶縁体との間に耐火層を有する絶縁線心の外
   側に銅テープをギャップ巻きし、この外側に難然性シー
   スを施してなるものにおいて、前記銅テープギャップ巻
   層の直下または直上に銅線を長さ方向に添つて縦添えし
   、前記シースを、（ａ）ポリオレフィン１００重量部、
   （ｂ）オルガノポリシロキサン１〜１０重量部、（ｃ）
   有機バリウム塩及び／または赤リン、１〜３０重量部を
   含有する非ハロゲン系難燃ポリオレフィン組成物で形成
   したことを特徴とする遮蔽付耐火電線。 ２ ポリオレフィンがポリエチレンおよび／またはエチ
   レン−プロピレン共重合体である特許請求の範囲第１項
   記載の遮蔽付耐火電線。