JPS58786B2 - ヒンジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、柱などの取付枠側端面に対して、扉の内面が
突合せ状態となっている閉扉状態から、同房を開成させ
ることができるようにしたヒンジに関するものであって
、さらに詳しくは比較的厚みの大きい扉であっても、開
成時にこれを取付枠の斜側方へ操り出して該扉が取付枠
に衝当することなく開成できるようにしたものに関する
。

従来におけるこの種のヒンジは、第１図で示す閉扉状態
から第２図で示す展開状態にまで、扉ａを開成するに際
し、第１図中一点鎖線で示すように、該扉ａを取付枠す
の斜側方へ操り出し、これにより同房ａが取付枠すに衝
当しないようにするため、扉ａと取付枠すに夫々固着さ
れる一対の取付部材ｃ、ｄを、互いに略平行となるよう
枢着した二本のリンクｅ、ｆで連結して構成されている
。

しかしながらこのような従来のヒンジでは、取付部材ｃ
、ｄを二本のリンクｅ、ｆで連結している関係上、第２
図で示す如く、開成時にリンクｅ。

ｆ同士が互いに干渉し合って扉すを広角度に開成するこ
とができず、さらに広角度に開成するためにはリンクｅ
、ｆ板厚を極く薄くするとか、大きい曲率で曲成すると
いった手段を構しなければならず、従ってこのようなも
のでは充分満足し得る強度のものを製作するのが困難で
あった。

さらに二本のリンクｅ、ｆを夫々取付部材ｃ。

ｄに枢着しなければならないため、特に取付枠すに固着
される側の取付部材ｄの先端、即ち同取付部材ｄのリン
クｅ、ｆが枢着される部分を斜側方へ突出させなければ
ならないといった構造上の欠点も生じ、従って第２図の
ような開成状態において、この突出した部分が荷物の出
し入れの邪魔になるなどの難点もあった。

本発明は従来のヒンジにおけるこのような諸問題を解消
すべくなされたものであって、一対の取付部材を特殊な
手段で連結することにより単一のリンクで、いわゆる開
成時における扉の繰り出しを円滑に行い得るようにし、
もって開成角度、強度などの点で充分満足し得るヒンジ
を提供するものである。

以下この構成を図示の実施例に基き説明すると、先ず第
３図乃至第５図において、１は扉Ａの側端部に固着され
る取付部材で、これは第６図でも示す通り、上面開口の
空所２を有し、かつ該空所２の前面に開口３を設けた箱
形のソケット部４の上面にあって、後方側の略半側縁か
ら延設したフランジ部５とからなっており、上記開口３
側のソケット部４内面には、夫々軸孔６，６を有する軸
支部７，７が対向して設けられ、該軸支部７，７の間に
あって、同ソケット部４の底面からは、上面に弧状の円
曲周面８を有する固定部材９が突設されている。

一方１０は座板１１を介して壁板、柱などからなる取付
枠Ｂの側辺に取り付けられる取付部材で、これは長尺な
板体の両側辺を略９０°同方向へ曲成して断面が略門形
となるよう形成されたもので、その背板部１２にはネジ
挿通口１３を有する長孔１４が穿設され、その側板部１
５，１５の先端部りには軸孔１６，１６が対向して穿設
されている。

またこの取付部材１０を取付枠Ｂに取付けるべき上記座
板１１は、同取付部材１０の側板部１５１５が係当する
段落状の受座１６’、 １６’を側面長手方向に設ける
と共に、上面中央部にビス孔１７を穿設し、その両端寄
りにビス挿通孔１８，１８を下面にわたって穿設したも
のである。

さらに１９は上記両数付部材１，１０を互いに連結する
リンクであるが、これは略くの字形の対向する側板２０
，２０を背板２１で連設したもので、側板２０，２０の
両端寄りと略中央に夫々軸孔２２、２２．２３，２３お
よび２４．２４が対向して穿設されている。

次に２５，２６は固定伝動輪たる歯車で、このうち一方
の歯車２５は中心軸上に軸孔２７を穿設した円柱状の平
歯車からなっており、また他方の歯車２６は略４分の１
同根度の部分にのみ歯を形成した板状の部分歯車からな
っていて、その中心部分には、中心軸上に軸孔２８を有
するボス２９が設けられている。

また３０は遊星伝動輪たる歯車で、これは上記歯車２５
と同様に軸孔３１を有する円柱状の平歯車からなってい
る。

なおこの場合において上記各歯車２５，２６，３１は、
いずれも同一モジュールの同一歯形を有している。

そこで次に、これら各構成部材の組成状態につき説明す
ると、先ず歯車３０をリンク１９の側板２０．２０の間
に挟装してその軸孔３１を同側板２０．２０の軸孔２４
．２４に位置合せし、これら軸孔２４．２４および３１
に軸ピン３２を嵌挿してその両端をかしめ、これによシ
同歯車３０をリンク１９の中腹部に回動自在に軸支する
。

次にこの歯車３０に歯車２５を噛合させた状態にて、該
歯車２５を上記側板２０，２０の間に挟装してその軸孔
２７を同側板２０．２０の軸孔２２．２２に位置合せし
、これら軸孔２２，２２および２７に軸ピン３３を嵌挿
する。

さらにこの軸ピン３３の両端は、一方の取付部材１の軸
孔６，６に嵌挿してかしめることによりリンク１９の一
端を同取付部材１の軸支部７，７間に回動自在に枢着す
るが、このとき上記歯車２５は、その一部の歯が固定部
材９の円曲周面８に押当ないしは係当して回動しないよ
う固定される。

一方歯車２６は、これまた歯車３０に噛合させた状態に
て、上記側板２０．２０の間に挟装してその軸孔２８を
同側板２０，２０の軸孔２３゜２３に位置合せし、これ
ら軸孔２３．２３および２８に軸ピン３４を嵌挿する。

さらにこの軸ピン３４の両端は、他方の取付部材１０の
軸孔１６，１６に嵌装してかしめることにより、リンク
１９の他端を同取付部材１０の先端部に回動自在に枢着
すると共に、上記歯車２６は溶接などの手段により、同
取付部材１０の背板部１２内面に固着する。

そしてこのように連結した両数付部材１，１０を、扉Ａ
と取付枠Ｂに夫々取り付けるには、一方の取付部材１の
ソケット部４を扉Ａの端縁側面に凹設した嵌入凹所に嵌
着すると共に、そのフランジ部５のビス孔３５，３５，
３５に挿通したビス−３６，３６，３６を同庁Ａに螺着
して該取付部材１を扉Ａに固着し、一方取付枠Ｂ側には
、ビス挿通孔１８，１８に挿通したビス３７．３７によ
って座板１１を端縁側面に固着し、さらにこの座板１１
の受座１６’、１６’に他方の取付部材１０の側板部１
５，１５を係当させて同部材１０を該座板１１に被設す
ると共に、その背板部１２にある長孔１４から同座板１
１のビス孔１７にビス３８を螺合締着して、取付部材１
０を取付枠Ｂに固定するものである。

しかして上記の構成からなる本発明のヒンジでは、先ず
第３図のような閉成状態において、一方の取付部材１０
の先端、およびリンク１９が他方の取付部材１の空所２
に収容され、かつこれら取付部材１，１０、即ち扉Ａと
取付枠Ｂが互いに直交した状態となっているが、この状
態から扉Ａを、第４図のように開成する方向へ操作して
ゆくと、リンク１９は軸ピン３４を回転中心として図中
時針方向へ回動せしめられる。

このとき、リンク１９に枢着された遊星伝動輪たる歯車
３０は固定軸たる上記軸ピン３４に対して固定された固
定伝動輪たる歯車２６に噛合しているので、該歯車２６
を太陽歯車とした遊星歯車運動、即ち同歯車２６の周り
を図中時針方向に公転しつつ、自己の回転軸である軸ピ
ン３３を中心として図中時針方向に自転する運動を行う
。

さらにこの歯車３０は、固定軸たる軸ピン３３に対して
固定された固定伝動輪たる歯車２５にも噛合しているの
で、相対的に該歯車２５を太陽歯車とした遊星歯車運動
をも行う。

即ち、軸ピン３３を固定軸とした場合、リンク１９は同
軸ピン３３を中心として歯車２５、つまりこれを固定し
た取付部材１に対し図中時針方向へ相対的に回動するこ
ととなるので、これに枢着された上記歯車３０は、歯車
２５の周りを同方向へ公転する。

従って取付部材１は軸ピン３４を中心として図中時針方
向、即ち第２図中矢印方向へ回動せしめられるリンク１
９に対し、軸ピン３３を中心として図中反時針方向へ相
対回動せしめられることとなり、この結果扉Ａは、その
開成に際し、取付枠Ｂの斜側方へ矢印イの如く繰り出さ
れるのである。

さらにこのような歯車の噛み合せにより扉Ａを取付枠Ｂ
の側方へ繰り出しつつさらに開成される方向へと回動し
ていくと、同庁Ａは取付枠Ｂに接触することなく開成さ
れてゆき最終的に第５図で示すような展開状態となる。

そしてこのとき扉Ａは、取付部材１，１０が単独のリン
ク１９により連結されているため第３図の状態から９０
′以上（図示の場合は約１０５°）展開することが可能
となるのである。

次に以上の実施例は、遊星伝動輪たる歯車３０が単一の
歯車で構成された場合であるが、例えばこれを異なる歯
数０２個の歯車を結合して構成することもできる。

即ち第７図の実施例では、上記歯車３０が、いずれも軸
ピン３２に枢着され、かつ互いに固定された歯数の異な
る二個の歯車３０ａ３０ｂからなっていて、一方の歯車
３０ａを歯車２５に、また他方の歯車３０ｂを歯車２６
に噛合させたものであり、勿論この場合において歯車２
５と３０ａおよび歯車２６と３０ｂは夫々同一モジュー
ルの歯車である。

しかしてこの第７図の実施例では、歯車３０ａと３０ｂ
の歯数の違いにより、前述実施例の場合より大きな減速
比が得られる。

さらに歯車３０は、一個だけでなく、異なる軸上に三個
以上の奇数個軸承して用いることもできる。

即ち第８図で示す実施例のように、遊星伝動輪たる同一
モンジュールの歯車３０，３０′、３０″を夫々軸ピン
３２，３２′、３２″によりリンク１９に枢着すると共
に、これら歯車３０，３０′、３０″の隣接するもの同
士を噛合せ、かつその末端のもの、例えば図示の場合で
は、歯車３０，３０″を夫々固定伝動輪たる歯車２５，
２６に噛合させて構成することもでき、これはリンク１
９を長尺なものとして開成時における扉Ａの繰り出し量
を特に大きくとりたい場合に用いられる。

また以上の各実施例は、いずれも固定伝動輪および遊星
伝動輪として歯車を用いたものであるが、第９図で示す
ように、これら各伝動輪として互いにころがり接触を行
う摩擦車２５，２６，３０を用いてもよく、特にこの場
合において、各摩擦車間の伝動効率を高めるため、図示
の如く接触する周面円周方向に、互いに噛み合う数条の
溝を周設した溝付摩擦車を用いるのが好ましい。

以上説明した通り、本発明は扉Ａと該扉Ａの取付枠Ｂに
夫々固着される一対の取付部材１，１０に固定伝動輪２
５，２６を夫々固定し設けると共に両端を該各固定伝動
輪２５，２６の軸心上に夫夫枢着したリンク１９により
、上記両数付部材１゜１０を互いに連結し、該リンク１
９には、上記軸心を回転中心とした同リンク１９の回動
により、上記両固定伝動輪２５．２６に連動してその周
りを公転しつつ自転するようにした遊星伝動輪３０を回
動自在に軸承したものであるから、これによれば、従来
の如く二本のリンクを用いて取付部材１．１０を連結し
なくとも単一のリンク１９のみで開成時における扉Ａの
繰り出しく第４図中央印イ参照）を行うことができるよ
うになり、従って扉Ａを取付枠Ｂに衝当させずに開成す
ることが可能であるばかりでなく、二本のリンクが干渉
し合って扉Ａの開成を阻けるといったこともないから開
扉Ａを極めて広角度に開成することができ、しかも広角
度に開成するため、リンク１９を肉薄としたり、大なる
曲率で曲成したりする必要も一切なく、同リンク１９と
しである程度幅や厚みのあるものを用いることができる
ので強度の点でも充分満足し得るヒンジが提供できる。

さらに取付部材１，１０には単一のリンク１９を枢着す
ればよいから、夫々の枢着箇所は一箇所で足り、従って
一方の取付部材１０の先端を突出させるといったことも
不要となり、このため当該ヒンジが荷物の出し入れの障
害となるようなこともない。

【図面の簡単な説明】

第１図はヒンジの従来例を示す閉扉状態の縦断側面図、
第２図は同開扉状態の側面図、第３図乃至抛５図は本発
明の一実施例を示す、夫々閉扉状態、開扉操作状態およ
び全開状態の縦断側面図、第６図は同実施例の分解斜視
図、第７図および第８図は夫々異種実施例を示す開扉操
作状態の要部縦断側面図、第９図イは同じく異種実施例
を示す開扉操作状態の要部縦断側面図、同図口はイにお
ける伝動輪の接触状態を示す要部拡大正面図である。 １．１０・・・・・・取付部材、１９・・・・・・リン
ク、２５゜２６・・・・・・固定伝動輪、３０・・・・
・・遊星伝動輪、Ａ・・・・・・扉、Ｂ・・・・・・取
付枠。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 扉と該扉の取付枠に夫々固着される一対の取付部材
   に固定伝動輪を夫々固定して設けると共に、両端を該各
   固定伝動輪の軸心上に夫々枢着したリンクにより、上記
   両取付部材を互いに連結し、該リンクには、上記軸心を
   回転中心とした同リンクの回動により、上記両固定伝動
   輪に連動してその周りを公転しつつ自転するようにした
   遊星伝動輪を回転自在に軸承してなることを特徴とする
   ヒンジ。 ２ 固定伝動輪がいずれも歯車からなっていて、かつ遊
   星伝動輪がこれら歯車に噛合う歯車からなっている特許
   請求の範囲第１項記載のヒンジ。 ３ 遊星伝動輪が同軸共動二個の歯車からなり、夫々の
   歯車が固定伝動輪たる各別の歯車に噛合している特許請
   求の範囲第２項記載のヒンジ。 ４ 遊星伝動輪たる歯車は異軸に三個以上の奇数側設け
   られ、これら歯車の隣接するもの同士が互いに噛合うと
   共に、末端のものが夫々固定伝動輪たる歯車に噛合して
   いる特許請求の範囲第２項記載のヒンジ。 ５ 固定伝動輪がいずれも摩擦からなっていて、かつ遊
   星伝動輪が、これら摩擦車にころがり接触する摩擦車か
   らなっている特許請求の範囲第１項記載のヒンジ。