JPS5854238B2 - 穿岩機用穿孔工具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、岩石やコンクリート等の穿孔に際してロッ
クビットを端部に装着したロッドを穿岩機に取付けて穿
孔作業をする穿岩機用穿孔工具において、特に高出力の
穿岩機用穿孔工具に関するものである。

従来この種の工具のロックビットをロッドに嵌着する方
法としては、ねじ式によるものとテーパ式の２種類が採
用されており、そして５０ｍｍφ程度以上の穿孔径を持
つ穿孔工具としては主にねじ式が、またそれ以下の小孔
径の穿孔径を持つ穿孔工具としては主にテーパ式がそれ
ぞれ採用されるのが一般的であった。

第１図はテーパ式のものを示し、テーパ角度θを有する
ロックビット１の嵌合部１ａに、同じテーパ角度θを有
するロッド２のテーパ部２ａを嵌着して組合わせる。

第２図はねじ式のものを示し雌ねじ部３ａを有するロッ
クビット３に、雄ねじ部４ａを有するロッド４をねじ込
み嵌着させる。

そして従来のテーパ式穿孔工具においては、ロックビッ
ト及びロッドのそれぞれの嵌着部１ａ及びテーパ部２ａ
のテーパ面は裸のままで嵌着して使用していたが、この
場合テーパ嵌合のなじみが悪く、使用時には穿岩機から
の強い打撃力によりロックビット１の装着部位に焼付現
象が生じ易く使用後のロックビット１の脱着を困難とし
、しいてはいわゆるかじり現象が発生しロックビット１
とロッド２との嵌合状態を悪くするばかりでなくそれぞ
れの強度を低下させ破壊の原因となっていた。

そこで、これ等の欠点を解消すべく、ロックビット１の
嵌着部１ａとロッド２のテーパ部２ａ間に銅シム（薄い
銅板）を介在させて、嵌着の際それぞれが直接接触する
のを避け、テーパ嵌合のなじみを良くする嵌着方法が工
夫されたが、近年穿孔能率の向上の要請が強くそのため
穿岩機の出力も強大化されており、この嵌着方法では穿
岩機の打撃力及び推進力により銅シムがちぎれる場合が
多く当初の目的を達成することができなかった。

一方ねじ式穿孔工具においては、従来ロックビット３の
嵌着部位にねじの摩擦及び穿岩後のロックビット３の脱
着性を考慮して上記嵌着面にグリースを塗布することが
一般的であるが、この嵌着方法では穿岩機の出力が大ｌ
となった場合、穿岩時に穿岩機の打撃力と推進力によっ
て上記嵌着面に加わる高面圧によりグリースの膜面が破
壊されてロックビット３の雌ねじ部３ａとロッド４の雄
ねじ部４ａが直接金属接触し、その結果焼付現象を起す
など前記したテーパ式穿孔工具で述べたと同様な種々の
欠点を有していた。

この発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、ロッ
ドにロックビットを嵌着した穿孔工具においてロッドあ
るいはロックビットの少なくとも一方の嵌着面にリン酸
塩被膜を形成し、ロッドとロックビットの嵌合なじみを
向上させるとともに穿岩機の出力が増大して上記嵌着面
に高面圧が加わっても穿岩中における嵌着部位の焼付現
象を防止し、穿岩後におけるロックビットの脱着性を著
しく向上させた穿岩機用穿孔工具を提供せんとするもの
である。

リン酸塩被膜は、従来防錆剤あるいは油保持性能を向上
させるための下地処理剤、または冷間鍛造用表面処理剤
として既知のものであるが、本発明は上記リン酸塩被膜
の用途からは当業者が容易に想到し得ない高面圧の加わ
る穿岩機用穿孔工具の嵌着面に形成させることによって
上記用途で得られる効果とは異質の効果を発揮するもの
である。

ここでリン酸塩被膜とは、リン酸マンガン法、リン酸マ
ンガン・亜鉛法、リン酸亜鉛法、リン酸亜鉛・石灰法、
リン酸鉄法の５つに大別できる方法で得られる被膜を云
い、特にリン酸鉄法以外の方法で得られたリン酸塩被膜
が本発明に適している。

そして上記リン酸塩被膜は本発明の嵌着面、即ち、テー
パ式穿孔工具においてはロックビット１の嵌着部１ａ及
び／あるいはロッド２のテーパ部２ａであり、ねじ式穿
孔工具においてはロックビット３の雌ねじ部３ａ及び／
あるいはロッド４の雄ねじ部４ａに形成する。

そして、リン酸塩被膜の形成法は、例えば亜鉛及びマン
ガンの第一リン酸塩を主成分とし反応促進剤として硝酸
根を含む水溶液を５０〜７０℃に加熱し、該溶液中に被
処理物を浸漬し、あるいは該溶液を被処理物に塗布し、
その後水洗、乾燥してリン酸塩被膜を形成するという従
来既知の処理法をすべて用いることができ何等処理法に
ついては限定するものではない。

このリン酸塩被膜を嵌着面に形成した後ロッド２及び４
の端部にそれぞれロックビット１及び３を嵌着する。

次に本発明をテーパ式穿孔工具を用いた実施例について
説明する。

例えば油圧式穿岩機に直径３２闘φ、かつテーパ部２ａ
の角度θ６のロッド２と４２闘φかつ嵌着部１ａの角度
θ６のロックビット１を嵌着した穿孔工具を用い、打撃
力２０〜２２ｋｇ・ｍ７回、打撃数２７００回／ｍ１ｙ
ｒ、推力３００〜５００ｋｇ、回転トルク１５ｋｇｍの
条件で、圧縮強さ２６ｏｏ１ｖ／ｉの岩石を穿孔した。

この時平均穿孔速度は１０００〜１２００闘／ｍ１ｙｒ
であり、穿孔長さ３．□ｍ／本を１０本穿孔した後、通
常の方法に従い大ハンマーを使用してロックビット１の
肩部に当てた合金部分に強打を与え、ロックビット１を
ロッド２から取り外した。

その結果を嵌着面に何等の処置を行わない場合と本発明
の処理品とを比較検討すると、前者の場合ロックビット
１の嵌着部１ａ及びロッド２のテーパ部２ａのいずれか
に所謂かじり現象が発生し、かつハンマーによりロック
ビット１の嵌着部１ａの外側部を著しく損傷して変形し
、再度使用を不可能としたのに比べ、後者の場合上記し
たかじり現象は全く認められず、ハンマーによる１回の
打撃でロックビット１をロツ゛ド２より離別することが
できた。

これは本発明に係るリン酸塩被膜は被処理金属表面に強
固に固着し、かつ延性に富むため、ロッド２へのロック
ビット１の嵌着なじみが良く、そして近年の高出力穿岩
機による嵌着面の高面圧に対しても被膜層が破壊される
ことがなく、そのため金属同志の接触を完全に防止して
穿岩時の焼付き現象を防ぎロックビット１のロッド２か
らの脱着性を向上させることができるものである。

尚、穿岩機用ロッドにロックビットを嵌着した穿孔工具
における、ロッドあるいはロックビットの嵌着面へのリ
ン酸塩被膜形成は、少なくとも一方の嵌着面に被膜を形
成すれば本発明の目的は達成されるものであるが、上記
両底着面にそれぞれ上記被膜を形成しても良いことは云
うまでもない。

そして一度形成されたリン酸塩被膜は穿岩時に損傷され
ることがないので、再使用の場合新たに被膜を形成させ
ないでそのまま繰返し使用が可能である。

また、本発明によるリン酸塩被膜処理を施した穿孔工具
は、ねじ式穿孔工具に応用してもその効果を発揮する。

この場合の穿孔工具としてロックビットはねじ式ロック
ビット３の中型径（普通６０ｍｍφ位）乃至大型径（普
通１００ｍｍφ位）のものが用いられ、かつねじロッド
６．７は３２闘六角、３８闘φ丸、３８闘φ六角の所謂
中空鋼が使用されており、また上記ロンドロ、７は第３
図に示すようにロッド６とロッド７をスリーブ５を介し
て接続して用いる。

この場合においては上記したテーパ式穿孔工具と同様に
その嵌着面即ち、ロックビット３の雌ねじ部３ａ、ロッ
ド４の雄ねじ部４ａ及びスリーブ５の雌ねじ部５ａ、ロ
ッド６．７の雄ねじ部６ａ 、？ａのそれぞれ対応する
少なくとも一方の嵌着面にリン酸塩被膜を形成する。

その結果テーパ式穿孔工具に限らずねじ式穿孔工具にお
いても上記したテーパ式穿孔工具で得られたと同様な効
果が得られた。

以上詳述したように、本発明によれば穿孔工具の嵌着面
にリン酸塩被膜を形成させるという極めて簡単な方法に
より、ロッドとロックビットの嵌合なじみを良くし穿岩
時上記嵌着面に加わる高面圧にも拘らず従来品でみられ
る所謂かじり現象あるいは焼付は現象を悉く防止し、穿
岩後ロッドよりロックビットを極めて容易に離別するこ
とが可能となり、作業性を著しく向上させるものでその
実用的効果は著大である。

【図面の簡単な説明】

第１図はテーパ式穿孔工具の要部の一部破断側面図、第
２図はねじ式穿孔工具の要部の一部破断側面図、第３図
はスリーブの左右よりロッドを嵌着して連結した穿岩機
用ロッドの要部の一部破断側面図である。 １・・・・・・テーパ式ロックビット、２・・・・・・
テーパ式ロッド、３・・・・・・ねじ式ロックビット、
４・・・・・・ねじ式ロッド、５・・・・・・スリーブ
、６，７・・・・・・ロッド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 穿岩機用ロッドにロックビットを嵌着した穿孔工具
   において、ロッドあるいはロックビットの少なくとも一
   方の嵌着面に１）、ン酸塩被膜を形成したことを特徴と
   する穿岩機用穿孔工具。 ２ スリーブの左右よりロッドを嵌着して連結した穿岩
   機用ロッドにおいて、スリーブあるいはロッドの少なく
   も一方の嵌着面Ｉこリン酸塩被膜を形成したことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の穿岩機用穿孔工具。