JPS5843178B2 - 縦型ダイカストマシンにおける溶湯の充填方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は縦型ダイカストマシンにおける溶湯の充填方法
に関するものである。

更に詳細には、溶湯を貯溜するスリーブ下方の貯溜室内
に溶湯をこれのレベルがキャビティ内への湯の侵入口部
の下面と同−若しくはそれ以下となるように貯溜し、次
いで貯溜室の上位にあるプランジャを作動せしめて溶湯
をキャビティ内に移動させ、加圧充填するようにし、空
気の巻き込みを防止し、巣、湯境１．ひけ等の鋳造欠陥
の発生を抑制し、健全なダイカスト製品を得ることがで
きるようにした縦型ダイカストマシンにおける溶湯の充
填方法に関する。

従来のこの種のダイカストマシンで一般に採用されてい
る溶湯の充填方法は、注湯された溶湯が注湯時にキャビ
ティ内へ侵入しないように下位にあるカウンタでシール
しつつ受けて貯溜したり、或はランナ部に溶湯シャット
バルブを設けたりして対処している。

かかる従来手段では、溶湯の射出充填時にプランジャの
作動に合せてカウンタやシャットバルブを予じめ設定さ
れたタイミング及び速度で同期させなければならない。

しかしながら実際にはショット毎に完全に双方を同期さ
せることは注湯量のバラつき、設定タイミング値等のバ
ラつきが原因して非常に困難である。

例えば注湯量が多い場合を想定してみると、カウンタの
下降指令以前にプランジャが溶湯に接触して湯を加圧し
、これが圧力でスリーブとプランジャ間の摺動部に湯が
侵入して機外への吹き出したり、湯が摺動部で凝固して
作動性を阻害したりする不都合が生じる。

又溶湯量が少ない場合には、カウンタがプランジャの追
いつく以前に作動してランナ開口部を開き、溶湯がキャ
ビティに流入充填されるが、プランジャで加圧充填され
る迄の間に時間がかかりすぎ、湯境、巣、ひけ等が発生
し、鋳造品の品質に悪影響を及ぼし、製品歩留りは低下
する。

本発明者等は縦型ダイカストマシンの溶湯の充填におけ
る以上の如き問題点に鑑み、これを有効に解決すべく本
発明をなしたものである。

本発明の目的は、貯溜室内にキャビティ内への湯の侵入
口部の下面と同−若しくはそれ以下のレベルとなるよう
に湯を注入貯溜し、次いで貯溜室の上位にあるプランジ
ャを作動せしめて溶湯をキヤビテイ内に移動させ、加圧
充填する如くし、空気の巻き込みを防止し、巣、湯境、
ひけ等の鋳造欠陥の発生を可及的に抑制防止し、以って
健全なダイカスト製品を歩留り良く得ることができるよ
うにした縦型ダイカストマシンを提供する。

又本発明の目的は、カウンタやシャットバルブを必要と
せず、従って同期機構等の複雑な手段を必要とせず、マ
シン自体の構造の簡素化、コストダウンを図ることがで
き、上記歩留りの向上と併せ製品のコストダウンにも資
する縦型ダイカストマシンにおける溶湯の充填方法を提
供する。

次に本発明の好適一実施例を添付図面を参照しつつ詳述
しよう。

これにより本発明の利点は更に明らかとなるであろう。

図面は何れも本発明の実施に用いられる縦型ダイカスト
マシンの縦断面図で、工程順に作動を示している。

ダイカストマシン１は上型２及び下型３よりなり、各型
２，３の型合せ面２ａ、３ａには型合せ状態で製品キャ
ビティ４をなす突部２ｂ及び凹部３ｂを備える。

図示では凹部３ｂは下型３の型合せ面３ａより下位に設
けられ、一方、上型２の型合せ面２ａにはキャビティ４
と連通ずる湯道５が形成されている。

下型３の上記キャビティ４に隣接した部分には凹状に溶
湯貯溜部６が形成され、一方、上型２にはこの部分６と
対向する下方へ幾分突出した突部７が形成され、突部７
と凹部６間には上記キャビティ４の容積よりも大きい容
積の溶湯貯溜室８が型合せ状態で形成される。

この室８は斜め上方へ延出された連通路９で上位の既述
した湯道５に連通し、室８は湯道５より下位にある。

上記突部７にはスリーブ１０が嵌装され、スリーブ１０
は室８の天井に開口して連通している。

このスリーブ１０上にはプランジャ１１がこれと摺動自
在に嵌合する如く昇降動自在に設置され、又スリーブ１
０の上方一部には注湯用受口１２が臨んでいる。

尚図面中１３・・・は鋳造品等の押出ピンである。

次にキャビティ４への溶湯の充填について訣明しよう。

上・下型２，３の型合せ状態でキャビティ４への湯の侵
入口、即ち湯道５より下位に貯溜室８が形成される。

プランジャ１１はスリーブ１０の上方にあり、受口１２
から溶融金属の湯Ｍをスリーブ１０上から注入し、湯Ｍ
は室８内に貯溜される。

湯Ｍの液面レベルは、上記湯道５と同一面、若しくはこ
れ以下とし、湯Ｍがキャビティ４内に流入しない程度と
し、その範囲内でバラつきがあっても支障はない。

もつとも湯Ｍはキャビティ４の容積より充分に大きい量
であることを必要とする。

かかる注湯後の貯溜状態を第１図で示した。

次にプランジャ１１を降下させ、スリーブ１０内に嵌合
し、摺動降下させる（第２図参照）。

プランジャ１１の降下動でついにはこれ１１がスリーブ
１１の下位にある湯Ｍに接し、溶湯Ｍはプランジャ１１
の下降に伴れて押圧され、押し出されて移動し、連通路
９、湯道５を経てキャビティ４内に流入充填される。

この場合プランジャ１１の下降によってのみ湯は押し出
されて移動し、キャビティ４内に流入充填され、カウン
タやシャフトバルブを備えないためプランジャとこれの
速変、同期タイミング等の調整及びこれらの機構を必要
としない。

そして湯Ｍの量の多い、少ないに関係なく、湯にプラン
ジャ１１が接して初めて湯の充填が開始される。

従って湯境を生じることがないとともに、プランジャ１
１で湯を押し出し移動せしめるため充填は静かに円滑に
行われ、空気の巻き込み、これに起因する巣の発生も可
及的に抑制防止できる。

そしてプランジャ１１の充填下降ストロークＨ隅近傍で
充填された湯を加圧し、加圧充填を完了する。

この場合第２図のスリーブ１０内の湯面はこれが内部で
保持され、プランジャ１１の降下で最後に貯溜室８内に
混入し、従って空気酸化物等の不純物のキャビティ４内
への侵入は防止され、これの巻き込みを防止することが
できる。

これを第３図で′示した。上記湯の凝固後上型２を上動
させて下型３と型開きし、次いで押出ピン１３・・・を
作動せしめて製品Ｍ１′を払い出す。

これを第４図で示した。以上で明らかな如く本発明によ
れば、静止状態で貯溜された湯上面にプランジャが接し
た時点で湯、の移動が開始され、開始以前に湯に圧力が
加わったり、これの動きがないため空気の巻込等が防止
され、又酸化膜等の巻き込みがなく、更に湯境等も発生
することがなく、巣、ひけ等のない鋳造品を得せしめる
充填を円滑に行うことができる。

父上記を実施する装置はカウンタ、シャットバルブ等を
備える必要がなく、装置及び射出制御系は従来に比し簡
略化され、簡素且つ安価な装置により品質良好で健全な
鋳造品を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、図面は倒れも縦
断面図で、第１図は溶湯貯溜状態の図、第２図はプラン
ジャ降下状態の図、第３図はプランジャ降下限の充填完
了の図、第４図は製品払い出しの図である。 向図面中１は縦型ダイカストマシン、４はキャビティ、
５は湯の侵入口、８は貯溜室、１１はプランジャである
。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鋳型内に縦に設けたプランジャスリーブの下部の該
   鋳型内であって、鋳型キャビティの湯道より下位に形成
   された貯溜室内に、溶湯を上記キャビティ内への湯の侵
   入口部の下面以下の湯面レベルとなるように注入貯溜し
   、次いで上記貯溜室の上位にある上記プランジャスリー
   ブ内にプランジャを降下作動せしめて溶湯を上記キャビ
   ティ内に移動させ、加圧充填するようにしたことを特徴
   とする縦型ダイカストマシンにおける溶湯の充填方法。