JPS5841385Y2 - クラツチデイスク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車用摩擦クラッチのクラッチディスク
に関するものである。

一般に自動車の駆動系には、その捩り共振やトランスミ
ッションまたはディファレンシャル装置のギヤのバツク
ラツシなどが原因となって、各種の異音が発生する。

この防止対策として、クラッチディスクに釦けるトーシ
ョンスプリングの材質、あるいはクラッチディスクバブ
とディスクプレート、サブディスクプレートとの間の摩
擦材（スラストライニング）の材質や、その押しつけ力
を選定することにより、クラッチディスクのヒステリシ
ス幅を調整することが知られている。

そして、シュミレーション計算釦よびシュミレーション
実験の結果によるとヒステリシス幅を極めて小さい値に
設定することで、上記の異音を抑制するうえで非常に効
果的であることが判明した。

ところが、現状のクラッチディスクの構造では、ヒステ
リシス幅を、異音抑制に充分な効果が期待できる小さい
値に調整することは困難であり、かつヒステリシスを安
定した精度に保持することも困難であった。

このような従来の問題点にかんがみて、この考案は、僅
かな改良によって自動車の駆動系の異音を抑制すべく、
ヒステリシス幅を極めて小さく段設す−ることかでき、
しかもそのヒステリシスを安定した精度に保持し得るク
ラッチディスクの提供を、その目的とするものである。

次に、この考案の構成を、図面で示す実施例に従って詳
細に説明する。

１ず、クラッチディスクを断面で表した第１図において
、クラッチディスクのクラッチディスク・・ブ１には、
フランジ２が一体に形成されている。

このフランジ２の両側には、ディスクプレート８および
ザブディスクプレート９が配設されており。

これら両ディスクプレート８，９はフランジ２の外周に
治って一定の間隔で形成されている各切欠部３を通じて
ストッパーピン１０で相互に結合されている。

また、ディスクプレート８の外周には、その円周方向に
泊って複数枚のディスクスプリング１１が固定されてい
て、これらのディスクスプリング１１の両側にはフェー
シング１２が固定されている。

な釦、上記のフランジ２と両ディスクプレート８，９と
の間には、これらの円周方向に沿って複数個のトーショ
ンスプリング５が、フランジ２と両デイスウプレート８
，９との間のトルク伝達どきに周知のダンパー機能を果
すように設けられている。

さて、上記のフランジ２と両ディスクプレート８．９と
のそれぞれの間には、環状の摩擦材４がそれぞれ介在さ
せられている。

これらの各摩擦材４は、第２回転よび第３図からも明ら
かなようにクラッチディスクのスラスト方向（図面の左
右方向）に関して二つの要素４ａにそれぞれ分割されて
いる。

そして、この分割された各要素４ａの間にはゴム等の素
材よりなる弾性体６が介在させられている。

つ１す、各摩擦材４は、それぞれの要素４ａの間に弾性
体６を挾み込んだ構成となって釦り、この弾性体６の弾
発力に基づいて、各要素４ａがフランジ２および両ディ
スクプレート８゜９に押しつけられているのである。

なネ・１弾性体６と各要素４ａとを接着しておけば、各
摩擦材４を、それぞれ単体部品として取り扱うことがで
きる。

さらに、両摩擦材４に釦いて、フランジ２訟よび両ディ
スクプレート８，９との対向面、すなわち各要素４ａの
表面には、第３図から明らかなように、その円周方向に
沿って複数本の溝７が一定の間隔で形成されている。

これらの溝７により、各要素４ａの表面には、それぞれ
独立した複数個の摩擦接触面１３が構成されている。

そして、これらの摩擦接触面１３のみが、フランジ２お
よび両ディスクプレート８，９に接触するのである。

なお、各摩擦材４にむける上記の摩擦接触面１３は、第
４図で示す如く、各要素４ａの表面に円板状Ｏ突起Ｔ′
ヲ複数個形成することによって構成してもよい。

また、クラッチディスクによってはいずれか一方側の摩
擦材を雀略することもできる。

以上のように構成したクラッチディスクにおいて、クラ
ッチディスクハブ１と両ディスクプレート８，９とは、
これら相互のトルク伝達どきにおいで、ハブ１側のフラ
ンジ２に形成されている切欠部３とストッパーピン１０
との円周方向に関する離間寸法の範囲で、トーションス
プリング５のダンパー機能を果しつつ相対的に角変位を
起こす。

この角変位により、フランジ２と両ディスクブレー）８
．９との間で、前記の各摩擦材４を通じて摩擦が生じ、
この摩擦力がクラッチディスクのヒステリシスとなる。

そして、この実施例では、フランジ２および両ディスク
プレート８，９に対する各摩擦材４の接触面１３を、前
述しまたように複数個の独立した面としているので、前
記の摩擦力に基づくヒステリシス幅が、極めて小さい値
となる。

このヒステリシスと異音との関係についてシュミレーシ
ョン実験で得た結果のグラフを第５図で表している。

この第５図のグラフは、縦軸に音圧レベル、横軸に周波
数をとり、実線は現状のクラッチディスクによるヒステ
リシスの場合、点線は極めて小さいヒステリシスの場合
を示している。

このグラフから判るように、ヒステリシスを小さくすれ
ば音圧レベルを低く抑えることができる。

また、この実施例では、前記の各摩擦材４を、それぞれ
二つの要素４ａに分割し、かつこれらの相互間に弾性体
６を介在させ、この弾性体６の弾発力を利用してフラン
ジ２釦よび両デ・イスクプレート８，９に対する摩擦材
４の接触力を得ていル（７）ｆ、要求される摩擦力、つ
まりヒステリシスの設定が容易となる。

そのうえ、上記の弾性体６を介在させたことによって安
定したヒステリシスを得ることができる。

なお、上記のヒステリシスは、摩擦材４の材質や、その
摩擦接触面１３の数（接触総面積）、あるいは弾性体６
のばね定数などの選定によって調整することができる。

以−Ｌのように、この考案は、摩擦材の構成を僅かに改
良することにより、クラッチディスクのヒステリシス幅
を、駆動系の異音抑制に有効な極めて小さい値で、しか
も安定した精度に設定することができ、もって異音抑制
のために要求されるヒステリシスに対して容易に応じ得
る利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の実施例を示し、第１図はクラッチデ
ィスクの一部を表した断面図、第２図は第１図の要部を
拡大して表した断面図、第３図は摩擦材の一部分を表し
た外観斜視図、第４図は異なる形状例の摩擦材を第３図
と同様の状態で表した斜視図、第５図はクラッチディス
クのヒステリシスと駆動系の異音どの関連を表したグラ
フである。 １・・・クラッチディスクハブ、２・・・フランジ、４
・・・摩擦材、６・・・弾性体、８・・・ディスクプレ
ート、９・・・ザブディスクプレート、１３・・・摩擦
接触面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラッチディスクバブのフランジと、ディスクプレート
   釦よびサブディスクプレートの少くともいずれか一方の
   プレートとの間に環状の摩擦材を介在させてヒステリシ
   スを得るように構成したクラッチディスクであって、前
   記の摩擦材をクラッチディスクのスラスト方向に関して
   二分割し、これら相互の間に弾性体を介在させるととも
   に、前記のフランジあ・よびプレートとの各摩擦材の対
   向面に部分的に独立した複数個の摩擦接触面を形成した
   ことを特徴とするクラッチディスク。