JPS5840368Y2 - 車輌の走行用高低速切換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、トラクタ等の車輌における走行用高低速切換
装置に関し、高負荷時に車速を減速してエンジンストッ
プを防止するようにしたものである。

トラクタ等の車輌では、走行系とは別にＰＴＯ系を備え
、これら両動力系を１個の搭載エンジンで夫々駆動する
ようにしているので、例えば走行状態で作業機を駆動す
る場合等、作業形態によってはエンジンに高負荷が加わ
りやすく、不測にエンジンストップを招くと云う欠点が
あった。

本考案はこのような従来の問題点を解消したものであっ
て、その特徴とするところは、走行系中に変速装置を備
えた車輌において、走行系中に、遊星減速機を備えた高
低速切換装置を前記変速装置とは別に設け、遊星減速機
は遊星キャリヤに支持された遊星ギヤーと連動する連動
ギヤーを出力軸に接続するための高速用油圧クラッチと
、遊星キャリヤを出力軸に接続するための低速用油圧ク
ラッチとを備え、この両者油圧クラッチを遊星キャリヤ
の内部に収めかつ軸方向に並設した点にある。

以下、図示の実施例について本考案を詳述すると、第１
図はダブルクラッチ式トラクタのミッション系を示し、
同図において、１はエンジン、２はＰＴＯクラッチ、３
は走行うラッチで、これらクラッチ２，３は所謂ダブル
クラッチ構造となっており、ＰＴＯクラッチ２はＰＴＯ
系軸４．ＰＴＯ変速装置５を介してＰＴＯ軸６に連動し
、また走行うラッチ３はＰＴＯ系軸４に相対回転自在に
外嵌する走行系軸７を介して主変速装置８に連動する。

なお主変速装置８は副変速装置９、デフ装置１０等を介
して後輪に連動する。

走行系軸７には第２図に示す如く遊星減速機１１を利用
した高低速切換装置１２が組込まれている。

即ち第２図に示す如く走行系軸１は筒軸であって、入力
軸１３と出力軸１４とに前後２分割されており、その入
力軸１３と出力軸１４との間に減速機１１が組込まれて
いる。

減速機１１は入力軸１３の後端部に固定された太陽ギヤ
ー１５と、出力軸１４側に支持された遊星キャリヤ１６
と、この遊星キャリヤ１６に遊星軸１７を介して軸支さ
れた周方向複数個の遊星ギヤー１８と、クラッチハウジ
ング１９とミッションケース２０との間の遮断隔壁２１
側に設けられた内歯ギヤー２２とを備えて成る。

遊星キャリヤ１６は出力軸１４に遊転自在に套嵌される
と共に、ミッションケース２０の支持壁部２３にボール
軸受２４を介して支持されている。

遊星ギヤー１８は太陽ギヤー１５及び内歯ギヤー２２に
咬合する小径ギヤー１８ａと、これよりも大径の大径ギ
ヤー１８ｂとを備えた２連ギヤーであって、その大径ギ
ヤー１８ｂに咬合する連動ギヤー２５は出力軸１４の前
端部に遊転自在に套嵌されている。

遊星キャリヤ１６と連動ギヤー２５は油圧クラッチ２６
．２７により出力軸１４に選択結合されるのであり、そ
の油圧クラッチ２６．２７はピストン２８．２９により
ディスクを挟圧する湿式多板クラッチとされ、また両ピ
ストン２８．２９は出力軸１４に固設された支持体３０
の両側面に設けられている。

なお各油圧クラッチ２６．２７に対する作動油は、支持
体３０に形成された油路を通り、出力軸１４側の油路（
図示省略）から供給するようになっている。

次に作用を説明する。

通常の作業時には油圧クラッチ２７を接続しておくので
あるが、この場合、入力軸４が第３図ａ矢示方向に回転
すると、この入力軸４と一体回転する太陽ギヤー１５を
介して遊星ギヤー１８はその小径ギヤー１８ａが内歯ギ
ヤー２２と咬合状態にあるので、ｂ矢示方向へ自転しな
がら遊星キャリヤ１６と共にａ矢示方向へと公転し、ま
た遊星キャリヤ１６は低速回転する。

一方遊星ギヤ−１８の大径ギヤー１８ｂには連動ギヤー
２５が咬合状態にあるので、遊星ギヤー１８が回転する
と、連動ギヤー２５はａ矢示方向へと回転し、その動力
が油圧クラッチ２７を介して出力軸１４へと伝達されて
行き、従って出力軸１４は高速回転状態になり、トラク
タは主変速装置８及び副変速装置９で変速した車速で走
行する。

このような状態での作業中にエンジン１負荷が高くなる
と、油圧クラッチ２７を切断し、油圧クラッチ２６を接
続して、出力軸１４を高速から約３０％程度低下させた
低速状態で回転させるのであり、これによって主変速装
置８及び副変速装置９側を何等操作することなくトラク
タの車速を落し、エンジン１の負荷を軽減して、エンジ
ンストップを防止することができる。

即ち、遊星キャリヤ１６と連動ギヤー２５との間では連
動ギヤー２５側が高速であり、高速時には前述の如く該
連動ギヤー２５を油圧クラッチ２７で出力軸１４に結合
していたが、低速時には遊星キャリヤ１６を油圧クラッ
チ２６で出力軸１４に結合し、該遊星キャリヤ１６側か
ら出力軸１４へと動力を伝達するので、出力軸１４は低
速回転状態となり、従ってトラクタの車速か低下する。

なお減速率は各部のギヤー比によって適宜決定できるが
、トラクタのエンジンストップ防止上は３０％程度が適
当である。

なお高低速切換装置１２は主変速装置８と副変速装置９
との間等に介装しても良いが、図例のように設ければ、
トルクを小さくできる利点がある。

以上実施例に詳述したように本考案によれば、走行系中
に変速装置８，９を備えた車輌において、走行系中に、
遊星減速機１１を備えた高低速切換装置１２を前記変速
装置８，９とは別に設け、遊星減速機１１は遊星キャリ
ヤ１６に支持された遊星ギヤー１８と連動する連動ギヤ
ー２５を出力軸１４に接続するための高速用油圧クラッ
チ２１と、遊星キャリヤ１６を出力軸１４に接続するた
めの低速用油圧クラッチ２６とを備えているので、通常
、高速用油圧クラッチ２７を接続して高速状態としてお
き、エンジン負荷の増大時に、油圧クラッチ２７を切っ
て低速用油圧クラッチ２６を接続すれば、他の変速装置
８，９の煩わしい変速操作をすることなく車速を落して
エンジン負荷を軽減することができ、不測のエンジンス
トップを防止できる。

また油圧クラッチ２６．２７は遊星キャリヤ１６の内部
に収めかつ軸方向に並設しているので、全体をコンパク
トにでき、しかも各油圧クラッチ２６．２７に対する油
路を形成する際の加工等を容易にすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はトラクタミッ
ションの構成図、第２図は要部の断面図、第３図は動作
説明図である。 １・・・・・・エンジン、１１・・・・・・遊星減速機
、１２・・・・・・高低速切換装置、１３・・・・・・
入力軸、１４・・・・・・出力軸、１６・・・・・・遊
星キャリヤ、１８・・・・・・遊星ギヤ、２５・・・・
・・連動ギヤー ２６．２７・・・・・・油圧クラッチ
。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行系中に変速装置８．９を備えた車輌において、走行
   系中に、遊星減速機１１を備えた高低切換装置１２を前
   記変速装置８，９とは別に設け、遊星減速機１１は遊星
   キャリヤ１６に支持された遊星ギヤー１８と連動する連
   動ギヤー２５を出力軸１４に接続するための高速用油圧
   クラッチ２７と、遊星キャリヤ１６を出力軸１４に接続
   するための低速用油圧クラッチ２６とを備え、この両者
   油圧クラッチ２６．２７を遊星キャリヤ１６の内部に収
   めかつ軸方向に並設したことを特徴とする車輌の走行用
   高低速切換装置。