JPS5838186B2 - シ−トベルトリトラクタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はシートベルトリトラクク、特にベルトに瞬時に
大きな張力が掛った際、リトラクタ内に巻き込まれたベ
ルトが巻き締リしてリトラクタから伸び出ることのない
巻き出し防止装置付シートベルトリトラクタに関する。

従来、ラチェットとラチェットポールでシートベルトを
緊急時にロックする構造のりトラクタ、即ち緊急ロック
式リトラクタあるいは自動ロック式リトラクタは広く知
られ、かつ広く実用化されている。

しかし、これらは実際にロックされるラチェットと、乗
員拘束に供せられるベルト部分の間に、ベルトスプール
上にスパイラル状に巻き上げられなベルトが存在するた
め、このスパイラル状ベルトに巻き出しが生じ、ラチェ
ットとポールがロックしているにもかかわらず、ベルト
のスパイラル部分からのベルトの伸び出しによって、車
の衝突時の乗員の前方移動量が増大し、場合によって乗
員の頭部がステアリングホイール、インストルメントパ
ネルなどに衝突したりする危険もあり乗員の十分なる拘
束、保護が得られなかった。

上記点を解決する手段として、ソレノイドを用いて衝突
時にベルトをカム・ローラあるいは楔等によってクラン
プするもの、あるいはベルトを何回も折曲げてベルトの
張力を利用してカム・ローラによりベルトをクランプす
るものが多く提案されている。

しかし、前者はセンサー・ソレノイド等高価な部品を必
要とする。

後者はベルトの折曲げによる摩擦．摺動抵抗が犬き＜リ
トラクタの巻き取りばねの力では充分に巻き取り得ない
ものであり、これを解決するために巻き取りばねの巻取
力を増大するとしても、ばねの耐久性が低下したり、ベ
ルト締付による乗員の拘束感が増大したりする欠点があ
る。

また、ローラ・カムによってベルトをクランプするもの
は拘束力が弱い点、接触面積が少ない点等からベルトが
すべったりする欠点を同時に有する。

本発明は上記の欠点に鑑みなされたものでありその目的
とするところは、緊急ロック時ベルトのスプールでの巻
き出しを生じさせずにベルトをロックし、かつベルトの
破断を生じさせずに乗員の保護を図ることにある。

また、本発明の他の目的は、スペースをとらずかつ安価
なシー１・ベルトリトラクタを提供することにある。

このような目的を達成するために本発明は、通常の緊急
ロック機構に、更にベルトに加わる荷重を検出し、ある
設定以上の荷重が加わると自動的にアームが回動して、
このアームで楔状の可動ロック片を作動させ、楔状の可
動ロック片と固定ロック片との間にベルトを挾持するこ
とによって、ベルトの巻き出しを瞬時に停止させるよう
な巻き出し防止機構を設けたものであって、以下実施例
により本発明を説明する。

第１図は一般的なラチェット式の緊急、自動又は手動ロ
ック式リトラクタに本発明の巻き締り防止装置を取り付
けた外観を示してあり、緊急ロック機構はＡに、ベルト
巻き上げばねはＢに組み込まれる。

これらは広く知られていることから詳細な説明は省略す
る。

第２図は本発明のシートベルトリトラクタを取り付けた
車体の配置の一実施例を示す。

すなわち、シートクッション１の内側後部には短ベルト
２を介してバックル３が固定されている。

また、シートベルトリトラクタ４はボテーサイド下部に
固定され、このシートベルトリトラクタ４から延びるベ
ルト５はセンターピラー上部に配設されたショルダース
ルーリング６を通り、シートクッション１上を横切って
バックル３に着脱されるスルータング７を通り、折返し
て再びシートクッション１上を通ってシートベルトリト
ラクタ４の近傍に固定されるラツプアウターアンカ８に
接続される。

前記ベルト５は、ショルダースルーリング６とスルータ
ング７との部分はショルダーベルト９と呼ばれ乗員を胸
から肩にかけて拘束し、スルータング７とラップアウタ
ーアンカ８との部分はラップベルト１０と呼ばれて乗員
の腰を拘束する。

この実施例においてはシートベルトは能動型の配置であ
るが、本発明のシートベルトリトラクタは能動型および
受動型の全ての安全ベルトシステムに応用できる・ つぎに、第３図ａ ＋ ｂの動作図および第４図の分解
図を参照しながら本発明の巻き出し防止機構を有するシ
ーｈベルトリトラクタを説明する。

このシートベルトリトラクタにあっても従来と同様にコ
字状のハウジング１１と、ハウジングに回動自在のスプ
ール１２と、スプール１２に固定されたラチェット車１
３と、ラチェット車１３を緊急時にロックする緊急ロッ
ク機構Ａと、前記スプール１２をベルト巻取方向に付勢
する図示しない巻取ばねとを有する。

巻き出し防止機構は緊急ロック式リトラクタ内に組み込
まれる。

そして、ハウジング１１内には双胴の逆Ｃ字形状のロッ
ク部材１４（以下アームと称する）が配設され、その中
央部をスプール１２に回動自在に支持されている。

アーム１４の上部は張力検出アーム１５を形作り、先端
にベルトガイド部材であるローラ１６を有し、このロー
ラ１６はスプール１２から延びるベルト５の一面に接触
するようになっている。

ベルト５の一端はループ１Ｔを形作り、このループ１１
部分がスプール１２の盲孔１２ａ内に入り、スプール１
２の一端から挿入されるピン１８が前記ループ１７内に
入ることから、ベルト５はスプール１２から外れること
なく巻き取られる。

また、スプール１２のハウジング１１の側板１１ａに突
出した突出端にはスナップリング１９が嵌合され、スプ
ール１２のハウジング１１からの脱落を防止している。

一方、アーム１４の下部は屈曲して先端をハウジング１
１の底板１１ｂの近傍に臨ませる駆動アーム２０を形作
っている。

また、前記張力検出アーム１５にはシエアピン挿入孔２
１が設けられ、このシエアピン挿入孔２１にはハウジン
グ１１の側板１１ａに穿かれたシエアピン挿入孔２２に
固定嵌合するシエアピン２３が挿入され、ハウジング１
１に対して回動しないようになっている。

前記シエアピン２３はあらかじめ設定した荷重（約車体
Ｇが５〜６Ｇ、荷重１００ＫＰ〜１５ｏＫｐ）以上を受
けると破断するようになっている。

また、駆動アーム２０の先端には可動のロック片２４が
配設されている。

この可動ロック片２４は底面をハウジング１１の底板１
ｌｂに接触させ、両端に設けたそれぞれ２つのガイドピ
ン２５をハウジング１１の側板１１ａに穿った底板１ｌ
ｂと平行に延びる長溝からなるガイド溝２６に遊嵌して
摺動するようになっている。

そして、アーム１４がシエアピン２３によって固定され
ている状態では、可動ロック片２４は最も下方に降下し
ていて、その下端面を駆動アーム２０の下端で支えられ
ている。

また、この可動ロック片２４のハウジング底板１ｌｂに
接する面とは反対となる扶持面２７は上方に向かって底
板１ｌｂとの間隔が狭くなる傾斜面となり、ベルト５に
面しかつ非接触状態となっており、可動ロック片２４は
楔状に形成されている。

また、扶持面２７はローレット加工され、かつベルト５
を傷付けないように波形となっている。

他方、ベルト５を挾んで可動ロック片２４の反対側には
固定のロック片２８がハウジング１１の側板１１ａにね
じ２９を介して固定されている。

この固定ロック片２８の可動ロック片２４の扶持面２７
と対応する扶持面３０は互いに平行となり、かつ固定ロ
ック片２８の扶持面３０も波形のローレット加工処理を
施こされている。

．また、駆動アーム２０によって可動ロック片２４が押
し上げられない状態では固定ロック片２８の挾持面３０
にベルト５は接触しない。

なお、図中３１はハウジング１１の下部に設けられたカ
イドシャフトであって、スプール１２に巻き取られたベ
ルト５の直径に関係なく常にベルト５の巻き出し方向を
一定にするものであり、このガイドシャフト３１によっ
てベルト５は固定・可動ロック片２８．２４間を接触す
ることなく延在する。

つぎに、作動について説明すると、ある設定荷重以内（
例えばコーナリングの０． ７ Ｇ位のとき）では緊急
ロック機構のみでロックするがある設定荷重（５〜６Ｇ
）以上である例えば車輌の衝突時には緊急ロック機構の
みならず巻き出し防止機構をも働らく。

即ちスプール１２の回転が阻止されベルト５にある設定
荷重以上の張力Ｆが掛る。

すると、ローラ１６を介してアーム１４に回転モーメン
トＦａが掛り、シエアピン２３が剪断されてアーム１４
は第３図ａにおいて時計方向に回転し、駆動アーム２０
の先端で可動ロック片２４を押し上げ、固定ロック片２
８の扶持面３０と可動ロック片２４の扶持面２７内にベ
ルト５を、可動ロック片２４の楔効果と波形のローレッ
ト加工された挾持面２７．３０の全面とにより、強固に
クランプして以後のベルト５の巻き出しを防止する。

このため、乗員はベルト５で保持されるため、頭部等を
フロントガラス等にぶつけることもなく、安全に保たれ
る。

このように、緊急ロック機構が作動し、しかもある設定
荷重以上の場合に瞬時にベルト巻き出し防止機構が働く
ことから、乗員をシートに拘束でき、安全を保つことが
できる。

尚、巻き出し防止機構は一旦働くと二度とは使えない。

また、ベルト扶持は楔効果であり、かつ扶持面はローレ
ット加工が施こされ、さらに摩擦面が広い。

このため、ベルトのすべりが発生せず、乗員拘束の信頼
性が高い。

また、ローレット加工部分は波形でなだらかであること
から、ベルトも傷が付かずベルトが破断するおそれも少
ないことから乗員拘束の信頼性も高い。

また、この実施例によれば、ベルトの折曲部分が少なく
巻取抵抗が小であり、巻取ばねを強化する必要がない。

したがって、乗員に必要以上の拘束力を加えないことか
ら、快適にシートベルトを使用することができる。

また、この実施例によれば、ベルト巻き出し防止機構を
シートベルトリトラクタに内蔵できるため、余分なスペ
ースを必要とせず小型化が図れる。

さらに、この実施例によれば、構造が簡単であることか
ら、量産性に優れ価格も低廉となる。

なお、本発明は前記実施例に限定されない。

たとえば、可動ロック片の摺動性を向上するために、ハ
ウジングの底面あるいは可動ロック片の底面の少なくと
も一方に滑動性の良好なフッ素樹脂をコーティングして
もよい。

また、両ロック片でより確実にベルトをクランプするよ
うに、扶持面をゴムで被ってもよい。

また、前記実施例では固定ロック片は強度が必要である
が、可動ロック片は圧縮荷重が働くだけであることから
材料強度はあまり大きくなくてよい。

このため、可動ロック片を生産性の高いアルミダイキャ
ストや粉末冶金製品で作ってもよく、また樹脂で作って
もよい。

特に樹脂の場合には、ベルト材質がナイロン、アクリル
、ＡＢＳ樹脂、ポリプロピレン等で作られている場合に
摩擦係数が犬となり、ベルトのクランプ効果も増大する
実益もある。

以上の実施例においては緊急ロック式リトラクタを用い
て説明したが、自動又は手動式リトラクタに本巻き出し
防止装置を組込むことも可能である。

以上のように、本発明のシートベルトリトラクタによれ
ば、緊急ロック時ベルトのスプールでの巻き出しを生じ
させずにベルトを確実にロックするため、乗員をシート
に確実に拘束でき、乗員の安全を保つことができる。

また、本発明のシートベルトリトラクタは従来のシート
ベルトリトラクタに内蔵できかつ構造も簡素であること
から製造コストも安価となる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のシートベルｌ− ＩＪ’ ｝ラクタの
外観斜視図、第２図は同じく使用状態を示す斜視図、第
３図ａ，ｂは同じく動作状態を示す断面図、第４図は同
じく分解斜視図である。 １・・・・・・シートクッション、３・・・・・・バッ
クル、４・・・・・・シートベルトリトラクタ、７・・
・・・・スルータング、９・・・・・・ショルダーベル
ト、１０・・・・・・ラップベルト、１１・・・・・・
ハウジング、１２・・・・・・スプール、１３・・・・
・・ラチェット車、１４・・・・・・ロック部材（アー
ム、１５・・・・・・張力検出アーム、１６・・・・・
・ローラ、２０・・・・・・駆動アーム、２３・・・・
・・シエアピン、２４・・・・・・可動ロック片、２７
・・・・・・挾持面、２８・・・・・・固定ロック片、
３０・・・・・・挾持面、３１・・・・・・ガイドシャ
フト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ハウジングと、ベルトの一端を支持しかつベルト巻
   取力を付与されるように前記ハウジングに取付けられた
   スプールと、前記スプールに固定されたラチェット車と
   、前記ラチェット車に係止して前記スプールの回転を阻
   止するロツクポールと、前記ロツクポールを前記ラチェ
   ツ１・車に係合させる手段とを有するシートベルトリト
   ラクタにおいて、前記スブールと同軸に遊嵌され、ほぼ
   Ｇ字状に形成され、その一端に前記ベルトと常に接する
   ローラを設けた張力検出アーム，と、他端に１駆動アー
   ムとを有し、前記ハウジングにシエアピンを介して固定
   したロック部材と、前記ハウジングに固定された固定ロ
   ック片と、前記ハウジングに取付けられ、前記ベルトに
   ある設定以上の荷重がかかると前記シエアピンが剪断さ
   れ、前記ロック部材が回動しこのロック部材の駆動アー
   ムの回動力により前記固定ロック片に向けて押し付けら
   れてこの固定ロック片と共に前記ベルトを挾持する楔状
   の可動ロック片よりなるシートベルトリトラクタ。