JPS5831523Y2 - 非観血式自動血圧計 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は非観血的且つ完全自動的に血圧測定を実施する
ための装置に関し、特に、血圧測定開始時におけるカフ
内の圧力不足を検出して自動的に昇圧補充するようにし
た自動血圧測定装置に関するものである。

従来技術 従来の血圧測定装置として、動脈血阻止用のカフと、そ
のカフの圧力を高めるための送気ポンプと、そのカフ内
の気体を放出せしめる手段とを備えたものが提供されて
いる。

斯る装置は、人体の腕にカフを巻きつけて空気圧により
腕を締付け、聴診器等によりコロトコフ音（血液流が血
管壁と摩擦して発する音）を聞きながら次第に圧力を下
げ、コロトコフ音の発生及び消滅時のカフ内の圧力を読
み取って診断するものであるが、これは専ら医師の視覚
と聴覚に依存し、雑音に妨げられて誤測定の虞れがあり
測定に熟練を要することから、機械的、電気的にその欠
点を改良した種々の装置が提案されている。

例えば、本出願人が先に出願した特開昭５２８４８８５
号公報（特願昭５０−１５７８４９号）に記載されてい
る装置は、アーチファクト等のノイズに起因して血圧測
定開始の適正圧を誤らせないための昇圧不足を表示する
ものであり、また同出願人の出願に係る特開昭５２−８
４８８６号公報（特願昭５０１５７８５０号）には、脈
音とコロトコフ音とを２色の異なる色の発光ダイオード
（異色発光ダイオード）の対比的発光に基づいて最高な
らびに最低血圧を目視し得る血圧測定装置に関する記載
がある。

しかしながら、これ等の装置によれば、血圧測定の個人
差がなく雑音や弱音のための誤測定の虞れがないため確
実な測定が可能であるが、カフの昇圧不足の場合に、そ
の不足空気圧を自動的に補充する技術に関しては何等記
載されていないのである。

これに対し、特公昭５０−２５４９号公報には、血圧測
定に際して、即に記憶されている前回の患者の最高血圧
値までカフ内の圧力を上昇させ、この圧力で不足の場合
には更に予め定められた一定の圧力幅だけカフ圧を上昇
させて、自動的にカフ圧を血圧測定に適した圧力に上昇
させ得る非観血自動血圧測定装置が開示されている。

しかしながら、斯る装置によれば、カフ圧が血圧測定に
適した圧力に到達したか否かを検知する際に、ノイズ等
に起因する誤作動を防止する技術について何等記載され
ておらず、カフ圧が必要以上に上昇させられる虞れがあ
るのである。

また、最初のカフ圧の設定値が前回の患者の最高血圧値
に定められているため、被測定者として老人から小児に
至るまで幅広く存在する血圧測定においては、場合によ
って被測定者に過大な苦痛を与えるという重要な問題が
内在されている。

目 的 本考案は斯る従来装置の問題を解決するために為された
ものであり、カフの昇圧不足を正確に検知し、圧力不足
の場合には自動的に昇圧を繰り返して適切な血圧測定開
始圧力に到達した後、血圧測定操作を開始し得るように
した非観血式自動血圧計を提供することを目的としてい
る。

解決手段 斯る目的を遠戚するため、本考案は、前記血圧測定装置
において、 （１）前記カフの血圧測定開始圧が予め設定され、その
血圧測定開始圧を表す初期設定信号を出力する圧力設定
器と、 （２）前記カフ内の圧力が、血圧測定を開始するに適当
な圧力値に昇圧されているか否かを、予め定められた所
定の時間内に大音のない連続したコロトコフ音の有無を
もって検知し、昇圧されていない場合には昇圧不足信号
を出力する昇圧不足検出器と、 （３）前記昇圧不足信号を計数し、計数内容を表わす計
数信号を出力する計数器と、 （４）前記計数信号が表わす計数内容に対応して、前記
血圧測定開始圧力の設定値を上昇させる圧力幅に相当す
る電圧信号に、その計数信号から変換するテ゛イジタル
／アナログ変換器と、 （５）前記初期設定信号及び前記電圧信号の内容を加算
して新たな設定信号を出力する加算回路と、（６）前記
カフ内の圧力を検出するカフ圧力検出器と、 （７）そのカフ圧力検出器によって検出されたカフ内の
圧力と前記新たな設定信号とを比較し、そのカフ内の圧
力がその新たな設定信号が表わす圧力値に到達したとき
停止信号を出力する比較器と、（８）前記停止信号に基
づいて、前記カフ内に送気する送気ポンプの作動を停止
させるポンプ制御回路と を設けたことを特徴とする。

効果 この様にすれば、血圧測定に際してカフ内の圧力が血圧
測定を開始するに適当な圧力値に達していない場合には
、その圧力不足が昇圧不足検出器によって正確に検知さ
れ、カフ圧が所定の圧力幅ずつ段階的に昇圧されて自動
的に血圧測定開始に適した圧力値とされるので、カフの
昇圧不足に起因する誤測定が好適に解悄されるとともに
、測定者の負担が軽減されて測定者は必要な診断のみに
専念し得るのである。

同時に、本考案の昇圧不足検出器は、予め定められた所
定の時間内に大音のない連続したコロトコフ音の有無に
よって圧力不足を検知するように構成され、コロトコフ
音に近似した弁別困難なノイズ等に起因する誤作動が防
止されているので、必要以上にカフ圧が上昇させられて
被測定者に苦痛を与える虞れが殆どないのである。

また、血圧測定に際して、カフ内の圧力を予め定められ
た一定の初回設定圧力まで上昇させるために、その初回
設定圧力を設定する圧力設定器が設けられて、初回設定
圧力をその測定対象に基づく血圧測定開始に必要な圧力
幅の中間値に設定し得、被測定者に過大な圧迫を加える
ことが防止されている。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて詳細に説
明する。

第１図において、昇圧不足検出器１はカフの空気圧が血
圧測定開始に適切な圧力より低いか否かを検出するもの
であり、この−例として本出願人が先に出願した前述の
特開昭５２−８４８８５号公報に記載されている装置が
ある。

これは、所定の測定時間内に大音のない連続したコロト
コフ音の発生を確認すれば、その時点のカフ圧力は最高
血圧より低いものとして昇圧不足の信号を出力する装置
に関するもので、この装置はそのまま本実施例に適用し
得る。

すなわち、第２図に示されるように、モノステーブルマ
ルチバイブレータ１１は、回路スタートトリガーとして
の、後述の比較器７から出力される停止信号に基づいて
作動し、適当な時間に調節し設定された４時間のパルス
（昇圧確認パルス）を出すことによりシフトレジスター
１２のゲートを開く。

このシフトレジスター１２は、たとえば人体の腕部に押
圧されるマイクロフォン等を含む図示しないコロトコフ
音センサから出力されるコロトコフ音（Ｋ音）信号パル
スをｔ時間内だけカウントし、そのカウント数が規定の
数に達してシフＩ・レジスター１２の出力Ａ、Ｂ、Ｃが
全て１になった時ＡＮＤ回路１３から出力が出される。

フロップ。フロップ１４はＡＮＤ回路１３の出力に従っ
て作動させられ、計数器２に昇圧不足信号が供給される
のである。

ここで、昇圧確認のパルスを及びに音信号パルスは、そ
れぞれ第３図に示されており、ｔの設定時間は脈拍数及
びノイズ防止−ヒ適当に定められれば良いが、本実施例
では脈拍３個分を取っている。

そして、を時間内に連続３個のに音パルスをカウントす
るということは、Ｋ音パルスが大音なく完全な状態で発
生していることを示すものであり、この時の空気圧は最
高血圧と最低血圧の間の圧力で血圧測定開始に必要な圧
力（最高血圧を超える圧力）に達していないことを示し
ている。

従って、血圧測定者の体が動いたときに発生するモーシ
ョンアーチファク１−のような、コロトコフ音の周波数
特性に近似し且つ電気的に弁別不能なノイズが回路に混
入した場合においても、これ等のノイズはもともとコロ
トコフ音のように周期的に発生しない性質があるため、
昇圧不足検出器１はそのようなノイズに起因して誤作動
することがなく、必要以上にカフ内の圧力が上昇させら
れて被測定者に苦痛を与えることが解消されるのである
。

尚、昇圧確認パルスが消滅するとその立下りで作動する
図示しないモノステーブルマルチバイブレータから自動
的にクリヤー信号及びリセット信号が供給されて、シフ
トレジスター１２の内容がクノヤーされるとともにフリ
ップフロップ１４がリセットされるようになっている。

計数器２は昇圧不足検出器１から供給される昇圧不足信
号を受けた回数を計数し、繰り返し昇圧不足の信号を受
ければその都度加算され、その計数内容を表わす計数信
号をディジタル／アナログ変換器３に供給する。

ディジタル／アナログ変換器３は、計数器２より受けた
計数信号（昇圧不足信号の発生回数すなわちディジタル
量）を電圧信号（アナログ量）に変換し、その電圧信号
を加算回路５に出力する。

加算回路５には電圧信号の他に初回停止圧力設定器４か
ら初期設定信号が供給される二初回停止圧力設定器４は
カフに空気を送る送気ポンプ９を初回に停止せしめるた
めに、圧力を電圧（アナログ的）にプリセットするもの
で、第４図におけるａ点（カフ圧力１５０トル）を表わ
す初期設定信号を出力する。

尚、プリセットされる初回設定圧力ａは測定対象に基づ
く血圧測定開始に必要な圧力幅の中間値に設定されるこ
とが望ましく、これによって被測定者が異なった場合に
過大な圧迫を加えたり、昇圧時間が長くなることが防止
され得るのである。

加算回路５は、これ等の初期設定信号及び電圧信号に基
づいて新たな設定信号を比較器７に供給するものである
。

すなわち、初回設定圧力ａに相当する電圧値に、アナロ
グ変換された前記電圧値を加算し、一段高い新しい設定
圧力すなわち第４図におけるｂ点（１５０）−ル＋５０
トル＝２００１−ル）を定めるものである。

比較器７は、この新たな設定信号が表わす圧力値とカフ
圧力検出器６から供給される実際のカフ圧力とを比較し
、後者が前者に等しくなったとき、停止信号がポンプ制
御回路８に供給されて送気ポンプ９が停止させられると
ともに、前述の昇圧不足検出器１が作動させられる。

昇圧不足検出器１によって、新たな設定圧力まで高めら
れたカフ圧力が血圧測定開始に適切な圧力であるかどう
か、すなわち最高血圧より僅かに高い圧力であるかどう
かが検知され、昇圧不足でないことが確認されると以後
血圧測定が開始されるが、昇圧不足が検出された場合に
は前述と同様な作動が繰り返される。

すなわち、計数器２によって昇圧不足信号の２回目が計
数されると、−回毎に昇圧する圧力値５０トルの２倍が
電圧値に変換され、初回停止圧力に相当する電圧値が加
算されて更に一段高い新たな設定圧力すなわち第４図の
Ｃ点（１５０）−ル＋５０トルｘ２＝２５０ ）ル）が
定められる。

そして、カフ圧力がこの新たな設定圧力に等しくなった
とき、送気ポンプ９が自動的に停止させられるとともに
昇圧不足検出器１が作動させられる。

昇圧不足検出器１によって、この新たな設定圧力まで高
められたカフ圧力が昇圧不足と検知された場合には上述
の昇圧作動が再び繰り返され、カフ内の圧力が血圧測定
を開始するに適した圧力値に達するまで段階的に且つ自
動的に昇圧させられる。

従って、血圧測定に際してカフ内の圧力を血圧測定の開
始に適切な圧力値にする作業が解消され、測定者は必要
な診断のみに専念し得るとともに、カフの昇圧不足に起
因する誤測定が好適に防止されるのである。

昇圧不足検出器１によって昇圧不足でないことが確認さ
れると、以後公知の手段すなわちカフ圧力を下げながら
、コロフト音の発生時及び消滅時の圧力値を読み取って
最高、最低血圧を測定する。

尚、前述の特開昭５２−８４８８６号公報に記載の装置
をここに使用すれば、２色の異なる色の発光ダイオード
の対比的点滅によって最高、最低血圧を明確に目視によ
って診断することができ、聴力の助けを借りる必要もな
く雑音や弱音のための誤測定の虞れもないので、個人差
のない確実な測定が可能となる。

即ち本考案と上記出願とは、援は合って血圧測定の自動
化に寄与するものである。

また昇圧操作について附言すれば、第４図において測定
開始と共に送気ポンプ９の作動によってカフ圧力は大気
圧より高められ、初回設定圧力ａを越えようとするとき
ポンプ９が停止させられる。

昇圧不足検出器１によって昇圧不足の信号が出たとき送
気ポンプ９を作動を開始し、カフ圧力が新しい設定圧力
すを越えようとするときポンプ制御回路８によって送気
ポンプ９は停止せしめられる。

再び昇圧不足の信号があれば送気ポンプ９が作動し、更
に新しい設定圧力Ｃを越えようとするときポンプ９は停
止する。

以上の通つ昇圧不足の信号のたびに昇圧操作が繰返され
るのである。

次に本考案の別の実施例における作動状況を第５図によ
って説明する。

この装置の特色は、昇圧不足の信号が出た後、カフ圧力
が一度大気圧まで下がり、送気ポンプ９の作動によって
改めて０より新設定圧力値まで連続して一気に昇圧する
ことである。

この利点とするところは次の通りである。（１）カフ圧
力が高圧のまま続くことは人体に有害であるから、これ
を避けるようにしたこと。

（２）送気ポンプの能力が少なくてすむこと。

（３）カフの密着性がよくなり圧力指示が安定すること
。

以上の説明では、昇圧不足信号の後一定圧力の段階的昇
圧について述べたが、累加的に異なった圧力を加算する
ことも可能である。

これは、カフ最高圧３００ ）ルに達する昇圧回数の設
定などに際し、加算圧力を変化させることが望まれる場
合に適用される。

以上、本考案の一実施例について説明したが、本考案は
その精神を逸脱しない範囲において種々変・換され得る
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す回路構成図である。 第２図は、第１図の装置に備えられた昇圧不足検出器の
一例を示すブロック線図である。 第３図は、第２図の装置の昇圧確認パルスとに音信号パ
ルスとの関係を示す作動説明図である。 第４図は第１図の装置の作動説明図である。 第５図は本考案の別の実施例における作動説明図である
。 ａ：初回設定圧力、ｌ）、ｃ ：新たな設定圧力。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 動脈血阻止用のカフと、該カフの圧力を高めるための送
   気ポンプと、該カフ内の気体を放出せしめる手段とを備
   え、コロトコフ音の発生及び消滅時の該カフ内の圧力を
   読み取る血圧測定装置において、 前記カフの血圧測定開始圧が予め設定され、該血圧測定
   開始圧を表わす初期設定信号を出力する圧力設定器と、 前記カフ内の圧力が、血圧測定を開始するに適当な圧力
   値に昇圧されているか否かを、予め定められた所定の時
   間内に大音のない連続したコロトコフ音の有無をもって
   検知し、昇圧されていない場合には昇圧不足信号を出力
   する昇圧不足検出器と、 前記昇圧不足信号を計数し、計数内容を表わす計数信号
   を出力する計数器と、 前記計数信号が表わす計数内容に対応して、前記血圧測
   定開始圧力の設定値を上昇させる圧力幅に相当する電圧
   信号に、該計数信号から変換するディジタル／アナログ
   変換器と、 前記初期設定信号及び前記電圧信号の内容を加算して新
   たな設定信号を出力する加算回路と、前記カフ内の圧力
   を検出するカフ圧力検出器と、 該カフ圧力検出器によって検出されたカフ内の圧力と前
   記新たな設定信号とを比較し、該カフ内の圧力が該新た
   な設定信号が表わす圧力値に到達したとき停止信号を出
   力する比較器と、 前記停止信号に基づいて、前記カフ内に送気する送気ポ
   ンプの作動を停止させるポンプ制御回路と、 を設けたことを特徴とする非観血式自動血圧計。