JPS5827365Y2 - ピックアップア−ム装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はピックアップアーム装置に関するものである。

従来のピックアップアーム装置は、概略的に示すと第１
図のように構成されている。

すなわち一端に、針先１の機械振動を電気信号に変換す
るカートリッジ２を取付けたアーム本体３と、このアー
ム本体３の回動中心である軸受４とこの軸受４を挾んで
上記アーム本体３の他端に取付けられた鈎合いをとるた
めのバランスウェイト５で構成されている。

このようなピックアップアームは、第２図に示すように
アームレゾナンス周波数ｆｏにおいて鋭い共振点を持つ
低域周波数特性を呈する。

それ故、レコードの演奏を行なった場合、レコードのそ
りによってカートリッジ２が大きく上下し針先１に不必
要な力が加えられて再生信号が歪んでし１つたり機械イ
ンピーダンスが増大して低域において針先１がレコード
溝から遊離する、いわゆる針飛び現象を起こし易いとい
う欠点があった。

このような問題を解決するために、第３図に示すように
、ピックアップカートリッジ２を弾性部材６を介してア
ーム本体３に取付けることも提案されている。

ところが、このように単に弾性部材のみを用いたときは
、弾性部材６のコンプライアンスを大きくするとカート
リッジ２の重量をささえきれず、たわんでし１うため、
通常はそのコンプライアンスを成る値以下に制限しなけ
ればならない。

このため第２図のアームレゾナンス周波数ｆｏで谷をも
ちかつその両側にかなり鋭いピークをもつような低域周
波数特性しか得られず、針飛び現象を十分に防止しきれ
ないという問題があった。

本考案はこのような従来の欠点を除去すべく、低域周波
数特性における共振点のピークレベルを効果的に低減さ
せることができるピックアップアーム装置を提供するも
のである。

以下に本考案について第４図以降の実施例の図面ととも
に説明する。

第４図は本考案の一実施例のカートリッジ２取付は部分
の具体的構成を示したものであり、７は再生針先８の機
械振動を電気信号に変換するピックアップカートリッジ
、９は上記カートリッジ７を取付けてアーム本体３に結
合するためのヘッドシェルであり、このヘッドシェル９
はカートリッジ７を取付けるカートリッジ保持部９ａと
カートリッジ７の出力中継用コネクター１０が取付けら
れるコネクター取付部９ｂに分割されている。

そして、第４図の実施例では、板ばね１１に制動をかけ
るためにオイルダンプ機構を設けている。

すなわちカートリッジ保持部９ａには粘性油１５が充填
されたオイルポット１６が設けられ、上記粘性油１５中
に浸漬される制動板１７は支持板１８によってコネクタ
取付部９ｂに固定されている。

１９はオイルポット１６からの油漏れを防止するべく、
その開口部を覆う弾性膜である。

この板ばね１１は、コネクタ取付部９ｂに予めやや上向
きに取付けられ、カートリッジ保持部９ａにカートリッ
ジ７を取付けると、第４図のようにほぼ水平になるよう
に設定されている。

このような構成を持つ本実施例のピックアラファームの
振動系の低域における等価回路はほぼ第５図のように表
わされる。

第５図においてＬｌはカートリッジ保持部９ａとカート
リッジ７の針先８から見た等価質量、Ｌ２はアーム本体
、ウェイト５、カートリッジ保持部９ｂの等価質量、Ｃ
１ｔＲｌはカートリッジ７のコンプライアンス及び機械
抵抗、Ｃ２は針先８に換算したばね１１あるいは１２の
コンプライアンス、Ｒ２はオイルダンプ等による機械抵
抗である。

この等価回路において、第３図に示したような弾性部材
のみを用いた場合には、前述のような理由から弾性部材
のコンプライアンスに相当スルＣ２を大きくすることが
できないため、低域の制動効果を十分に実籾することが
できないが、上記実施例のように弾性部材と制動手段を
用いれば、弾性部材のコンプライアンスＣ２を十分大き
くし、かつこの弾性部材の共振のＱを制動手段の機械抵
抗Ｒ２で抑えることによって、低域の制動効果を十分な
ものにすることができる。

そこで実際に上記アーム装置の低域周波数特性を測定し
てみれば第６図に示す如く共振点の谷の両側におけるピ
ークレベルが効果的に低減され、きわめて低くなってい
ることがわかる。

捷た従来のへラドシェルは、たわみ、ねじれに対する弱
さから２００ Ｈｚ〜５００Ｈｚの中域に共振を生じた
が、本考案のアーム装置におけるヘッドシェルは大きい
コンプライアンスで、たわみやねじれの弱さによるコン
プライアンスを吸収してし１うため上記中域におけるシ
ェルの共振いわゆるシェルの鳴きを防止することもでき
る。

以上説明したように本考案のピックアップアーム装置は
、アーム本体の端部に板ばねを用いて弾性的にピックア
ップカートリッジを保持するとともに、アーム本体とピ
ックアップカートリッジの一方に粘性油を入れたオイル
ポットを、他方に上記粘性油中に浸漬される制動板を設
けたことを特徴とするものであり、板ばねによる弾性と
粘性油と制動板による十分な制動力とによって低域周波
数特性における共振点のピークレベルがきわめて低く抑
えられるので、レコードのそりによる混変調歪が少なく
、澄んだ再生音を得ることができ、低域における針先の
トレース能力が大幅に向上されるという優れた効果が得
られる。

しかも板ばねを使用しているため、特別な手段を用いず
にカートリッジの左右方向の動きを規制することができ
る。

斗たオイルの粘度や制動板の大きさによって容易に制動
力を変えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のピックアップアーム装置の概略構成図、
第２図は同装置の低域周波数特性図、第３図は従来の他
のピックアップアーム装置の概略構成図、第４図は本考
案のピックアップアーム装置の実施例を示す側面図、第
５図は同装置の振動系の低域における等価回路図、第６
図は同装置の低域周波数特性図である。 １・・・針先、２・・・ピックアップアームカートリッ
ジ、３・・・アーム本体、６・・・弾性部材、１１・・
・板ばね、１５・・・粘性油、１６・・・オイルポット
、１７・・・制動板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アーム本体の端部に板ばねを用いて弾性的にピックアッ
   プカートリッジを保持するとともに、上記アーム本体と
   上記ピックアップカートリッジの一方に粘性油を入れた
   オイルポットを、他方に上記粘性油中に浸漬される制動
   板を設けたことを特徴とするピックアップアーム装置。