JPS5826736Y2 - 工作機械用センタ−リング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、旋盤等の工作機械において被加工物へのセン
ター穴あけ作業およびセンター押し作業を行なうための
センターリング装置に関する。

一般に長尺物の旋削加工においては、センタードリルを
用いて被加工物にセンター穴加工を施した後に、ロータ
リーセンターを用いてセンター押し作業を行ないながら
被加工物の外周部分等を加工するようになっている。

従って、最初にセンターリング本体にセンタードリルを
取付けてセンター穴加工を行なった後で、センタードリ
ルをセンターリング本体から取外し、次にロータリーセ
ンターをセンターリング本体に取付け、被加工物にあけ
られたセンター穴内の切屑をエアブロ−によって除去し
てからセンター押し作業を行なうという手順が必要であ
る。

すなわち、かかる従来の加工工程においては、１個の被
加工物に対してセンタードリルの取付は取外しとロータ
リーセンターの取付は取外しとがそれぞれ必要とされる
結果、これらの治工具の交換に要する人手と作業時間の
損失や、センター位置のずれによる加工精度の低下ある
いは余分な切屑の発生、センター穴に残された切屑のエ
アブロ−による除去の困難さ等の多くの欠点が存在して
いた。

本考案は、従来のセンターリング装置のかかる欠点を除
去することを目的としたものであって、センターリング
本体に挿入される保持体の内部で回転自在に嵌挿支承さ
れているセンターピンの先端軸心にセンタードリルを嵌
着し、前記保持体上に回動可能に枢支した回り止め用ロ
ックアームの先端を前記センターピンの外周に形成した
凹陥部又は突起部と係合可能にし、前記ロックアームの
回動操作によって保持体とセンターピンとの間の相対回
転運動を制御するようにしたことを特徴としている。

かかる構成によれば、センタードリルとセンターピンと
が一体化されており、しかも回り止め用ロックアームの
掛は外しというワンタッチ操作だけによってセンター穴
あけ作業とセンター押し作業とを連続して行なうことが
可能になるので、作業時間が大幅に減少する。

またセンター位置がずれないことから加工精度が向上し
切屑の発生は最小限に抑えられる。

さらにセンター穴に残された切屑はエアブロ−によって
除去することなくそのままでセンター押し作業を行なう
ことができるので、作業能率が向上するものである。

以下、図面について説明する。

第１図乃至第３図は一実施例を示すもので、旋盤等の工
作機械のチャック装置１に被加工物２が把持されている
。

１０は本考案のセンターリング装置であって、センター
リング本体１１に取付けてハンドル９の操作によってベ
ッド上を移動させる。

１２はセンターピング本体に挿入される保持体であって
、頭部１２ａと挿入部１２ｂとを有している。

１３は保持体の頭部１２ａに固着したブラケットであっ
て、回り止め用のロックアーム１９を回動可能に枢支し
ている。

１４はセンター押し作業を行なうためのロータリーセン
ターとなるセンターピンであって、保持体１２の内部で
軸受１５，１６．１８によって回転自在に嵌挿支承され
ており、頭部１４ａに凹陥部１４ｂが形成されている（
第２図、第３図）。

１７はセンターピンに作用する軸線方向スラスト力を受
けるためのリング体であって、その外周面にはニードル
ベアリング１８が配置されている。

センターピン１４の先端軸心には孔１４Ｃを設け、セン
ター穴あけ作業を行なうためのセンタードリル２０を挿
入して止めねじ２１で固定する。

２０ａはセンタードリルの刃部を示す。かかる構成に基
づく本考案のセンターリング装置の作用は次のようにな
る。

まずチャック装置１に被加工物２を取付ける。

つぎに第２図の実線位置のようにロックアーム１９の先
端をセンターピン１４の凹陥部１４ｂ内に挿入した状態
で、センターリング装置１０をセンターリング本体１１
に挿入固定する。

ハンドル９を操作してセンタードリル２０を被加工物２
に接近させ、刃部２０ａを被加工物２の中心位置に当接
させて心出し調整を行なう。

心出し調整が終ったら機械のスイッチを操作して被加工
物２を回転させ、それからハンドル９を操作してセンタ
ーリング本体を被加工物に向けて送り操作し、刃部２０
ａによって被加工物の端面中心位置にセンター穴をあけ
る。

このセンター穴あけ作業の際はロックアーム１９の作用
によって保持体１２とセンターピン１４との間には相対
回転運動が生じないことに注意されたい。

センター穴をあけ終った状態で機械のスイッチを操作し
て被加工物２の回転を停止させる。

つぎにロックアーム１９を回動させてその先端を凹陥部
１４ｂから離脱させる。

それから再び機械のスイッチを操作して被加工物を回転
させ、機械が備えている各種の加工具（図示せず）を用
いて被加工物の外周等を加工する。

この加工の際はロックアーム１９が外されているので保
持体１２とセンターピン１４との間では相対回転運動が
許され、センターピン１４はベアリング１５，１６．１
８に支承された状態で被加工物２と一体になって回転す
る。

すなわち、本考案のセンターリング装置によれば、セン
ター穴加工を終った後でロックアーム１９を回動させる
だけのワンタッチ操作によって、センター押し作業を連
続して行なうことができることになる。

従って、従来の装置のように、センタードリルとセンタ
ーピンをそれぞれ別々に取付は取外しを行なう必要がな
くなるから、作業時間が大幅に減少すると共に加工精度
の向上が達成できる。

またセンター穴に残された切屑をエアブロ−で除去する
中間工程が省略されるので全体の能率が向上する。

本考案は図示の実施例に限定されることなく各種の変形
例をも包含する。

例えば、センターピンの外周には凹陥部１４の代りに突
起部を形成してロックアーム１９をこの突起部と適合す
る形状に作ることができる。

ロックアーム１９には係合位置と非係合位置とにそれぞ
れ保持させるためのリテーナスプリングを取付けること
ができる。

これまで述べてきたように、本考案のセンターリング装
置は労力と作業時間の大幅な削減および加工精度の向上
を達成したものであって、その実用的価値には顕著なも
のがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のセンターリング装置を工作機械に取付
けた状態を表わす正面図、第２図はセンターリング装置
の一部破断縦断面図、第３図は第２図の■−■線に沿う
側断面図である。 １０・・・・・・センターリング装置、１１・・・・・
・センターリング本体、１２・・・・・・保持体、１４
・・・・・・センターピン（１４ｂ・・・・・・凹陥部
、１９・・・・・・ロックアーム、２０・・・・・・セ
ンタードリル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ センターリング本体に取付けて被加工物へのセンタ
   ー穴あけ作業およびセンター押し作業を行なうための工
   作機械用センターリング装置であって、センターリング
   本体に挿入されている保持体の内部で回転自在に嵌挿支
   承されているセンターピンの先端軸心にセンタードリル
   を嵌着し、前記保持体上に回動可能に枢支した回り止め
   用ロックアームの先端を前記センターピンの外周に形成
   した凹陥部又は突起部と係合可能にし、前記ロックアー
   ムの回動操作によって保持体とセンターピンとの間の相
   対回転運動を制御するようにしたことを特徴とする工作
   機械用センターリング装置。 ２ 前記ロックアームを係合位置と非係合位置とにそれ
   ぞれ保持させるためのリテーナスプリングを有する実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のセンターリング装置。