JPS5811764A - 熱処理歪の小さい肌焼ボロン鋼 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、浸炭時にオーステナイト粒が粗大化しない
、焼入歪の小さい脱燐ボロン鋼に関するものである。

従来、表面硬化用材として、ＪＩＳ−０４０５２に規定
されているような種々の肌焼鋼が知られており、特にそ
の中でも、　ＳＣＭ系やＳＮ０Ｍ系のものが緒特性に優
れていることから、広範に使用されてきた。しかしなが
ら、これらの肌焼鋼は、高価なＮ１やＭｏを含有してお
シ、その価格が高くなることから、これらに代えて安価
々Ｂを添加することによって焼入性を確保させた脱燐ボ
ロン鋼が、経済的代替鋼として一部実用化をみるに至っ
ている。

このような脱燐ボロン鋼は、必須元素としてＴ１が０．
０１〜０．０５％含有されているのが特徴であり、これ
は鋼中ＮをＴｉＮとして固定することによシ、ＢがＢＮ
を形成して焼入性向上効果を消失せしめるのを防止する
ためであった。

しかし、従来の脱燐ボロン鋼には、浸炭時にオーステナ
イト粒の粗粒化が生じ、焼入歪が大きくなるという問題
点が指摘されていた。

本発明者等は、上述のような観点から、浸炭時の焼入歪
が小さく、かつ経済的な機械構造用肌焼鋼を見出すべく
、特に価格の安い脱燐ボロン鋼に着目して、その浸炭時
のオーステナイト粒の粗大化を防止して焼入歪を抑える
べく研究を行なった結果、以下（ａ）〜（ｅ）に示す知
見を得るに至ったのである。すなわち、 （ａ）一般に、ＢｌｄＮと結合してＢＮになると焼入性
向上効果が消失するため、従来よシＢ添加鋼にはＮとの
結合力がＢよシも強いＴ１を添加して鋼中のＮをＴｉＮ
として固定することにより、焼入性の確保を果してきた
が、ＴｉＮは極めて固溶しにくい化合物であるため、圧
延後ないしは鍛造後にはすでに大型の析出物として存在
しており、オーステナイト粒粗大化阻止に有効な微細分
散の形態にはなっていない。従って、オーステナイト粗
粒化抑制という見地からすれば、ＴｉＮはほとんど寄与
しないから、Ｔｉ含有量とＮ含有量を化学当量的にバラ
ンスさせれば（すなわち、Ｔｉ＝３．４２Ｎとすれば）
、当然粗粒化じゃすくなシ、その結果、焼入歪が大きく
なること。

（ｂ）　　そこで、Ｔｉ含有量をＮ含有量よシ化学当量
的に多くすれば、過剰Ｔ１はＣと結合し、ＴｉＣを生成
することとなり、このＴｉＣはＴｉＮと異なってそれほ
ど固溶しにくい化合物ではないため、圧延後、あるいは
鍛造後の段階では生成しておらず、浸炭中、あるいは浸
炭前の熱処理、たとえば焼ならし中等に生成する。そし
て、その形態は、微細分散型であるため、浸炭加熱時の
オーステナイト粗粒化抑制に対しては極めて有効である
こと。

（Ｃ）シかも、この場合、過剰Ｔｌ量が０．０２チ以上
存在しなければ、はとんど効果がないこと。

（ｄ）　　鋼中のＮ含有量がＴｉ含有量よシ化学当量的
に多くなると、過剰ＮはＡｌと結合してＡｇＮとなるが
、ＡＩＮもまたＴｉＣと同様に、浸炭中あるいは浸炭前
の熱処理中に生成し、オーステナイトの粗粒化を抑制す
ること。ただし、この場合に過剰のＮが存在し、かつｓ
ｏｌ、Ａ１含有量が過剰Ｎ量より化学当量的に多くなけ
ればほとんど粗粒化抑制の効果がないこと。

（ｅ）　　肌ｍボロン鋼中に、ＮｂおよびＶの１種以上
を添加することによって、オーステナイト粗粒化温度が
さらに上昇され、高温浸炭が可能となってしたがって、
この発明は上記知見にもとづいてなされたものであって
、脱燐ボロン鋼を、Ｃ：０．１０〜０．３０％（以下チ
は重量％とする）、９ｉ：０．３５％以下、 Ｍｎ：　０．３０〜０．９０％、 Ｃｒ：　０．９０〜：１．８０％、 Ｂ　：　０．０００５〜０．００５０％、ｓｏｔ、ｔａ
　：　ｏ、ｏ　ｓ　１以下、Ｔｉ：０．１％以下、 を含有し、さらに必要に応じて、 Ｎｂ：０．０１〜０．１０優。

Ｖ　：　０．０２〜０．２０　％。

の１種以上を含有し、・ Ｆｅおよび不可避不純物：残り、 からなる組成で構成するとともに、Ｔ１含有量とＮ含有
量との間に、あるいはＴｉ含有量とｓｏｌ、Ａｌ含有量
とＮ含有量との間に（Ｔｉ、　ｓｏｔ、ＡＱ、、　　Ｈ
の含有量は重量％表示とする）、 ０．０２　（Ｔｉ　−３，４２Ｎ あるいは、 ｓｏＬ、Ａ（Ｌ Ｏ・ｏ　Ｏ４（Ｎ−ｓ、　、　２　（Ｔ丁「なる不等式
が成シ立つ如くすることによって、熱処理歪を極力抑え
たことに特徴を有するものである。

ついで、この発明の脱燐ポロン鋼において、その成分組
成を上記のように限定した理由を説明する。

（ａ）　　Ｃ Ｃ成分には、機械構造用肌焼鋼としての強度を確保する
作用がちシ、その含有量が０．１０％未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方０．３０俤を越えて含有
されると冷間加工性が劣化するとともに浸炭後の芯部の
靭性が急激に劣化するようになることから、その含有量
を０．１０−０．３０％と限定した。

（ｂ）　　Ｓｉ ＄１構成には、焼入性向上を無効にするＢの酸化を抑え
る作用があり、鋼の脱酸剤として添加されることにより
前記作用も伴われるものであるが、その含有量が０．３
５％を越えると、浸炭性を悪くするとともに、浸炭異常
層を拡大して疲労強度・耐ピツチング性を低下させるの
で、その含有量を０．３５％以下と限定した。

（ｃ）　　Ｍｎ Ｍｎ成分は、Ｂの酸化を抑えるのに有効な脱酸剤である
とともに、焼入性向上作用を有しておシ、かつ、ＭｎＳ
を形成してＳによる熱間脆性を防止するものであるが、
その含有量が０．３０９４未満では前記作用に所望の効
果が得られず、一方、０．９０チ一以上含有せしめると
冷間加工性や被剛性が急激に劣化するようになるととも
に、浸炭異常層が深くなることから、その含有量を０．
３０〜０．９０％と限定した。

（ｄ）　　Ｃｒ ｃｒ酸成分、焼入性１強度、靭性、耐摩耗性等の向上に
有効な元素であるとともに、浸炭性を改善し、浸炭異常
層の抑制にも有効な成分であるが、その含有量が０．９
０％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方、
１．８０９Ｊを越えて含有すると冷間加工性や被剛性が
低下するとともに、浸炭時に表面部が過剰浸炭されるよ
うになることから、その含有量を０．９０〜１．８０チ
と限定した。

（ｅ）　　Ｂ Ｂ成分には、極く微量で焼入性を著しく向上させ、かつ
低廉な元素であるが、その含有量が酸可溶量で０．０（
）０５％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方０．００５０　％を越えて含有せしめると逆に焼入性
が低下するようになることから、その含有量を０．　Ｏ
ＯＯ５〜０．００５０％と限定した。

（ｆ）　　ｓｏＬ、Ａ１ ５ｏｔ、Ａｌ成分は、Ｂの酸化を抑えるのに有効に脱酸
剤であるが、その含有量が０．０８％を越えるとアルミ
ナ系介在物が急激に増加して、被削性を劣化させるよう
になることから、その含有量を０．０８チ以下と限定し
た。

（ｇ）　　Ｔｉ Ｔ１成分はＮとの結合力がＢよシ大きく、したがってＢ
がＮと結合して焼入性向上効果を消失せしめるのを防止
する作用があるが、０．１％を越えて含有するとＴ１窒
化物が多量に生成して被剛性および靭性を劣化させるよ
うになることから、その含有量を０．１％以下と限定し
た。

（ｈ）　　Ｎｂ Ｎｂ成分には、炭窒化物を生成してオーステナイト粗粒
化温度をさらに上昇する作用があるが、その含有量が６
．ｏ　１１未満では前記作用に所望の効果が得られず、
一方０．ｌＯ％を越えて含有させてもその効果の向上が
望めず、コストも上昇するのでその含有量を０．０１〜
０．１０％と限定した。

（１）■ ■成分には、炭窒化物を生成してオーステナイト粗粒化
温度をさらに上昇する作用があるが、その含有量が０．
０２％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方
０．２０％を越えて含有せしめてもその効果の向上が望
めないとともにコストも上昇することから、その含有量
を０．０２〜０．２０チと限定した。

さらに、Ｔ１含有量とＮ含有量との間に、０．０２　（
Ｔｉ　−３，４２Ｎ なる不等式を規定した理由は、Ｔ１含有量をＮ含有量よ
り化学当量的に多くして、すなわち、０　（Ｔｉ−３，
４２Ｎ として、過剰のＴ１によりＴｉＣを形成せしめ、これの
微細分散によシ浸炭加熱時のオーステナイト時の粗粒化
抑制を図るためである。この場合に、過剰Ｔ１量が０．
０２％以上存在しなければ、はとんどその効果が見出せ
ないことから、 ０．０２（Ｔｉ−３，４２Ｎ と規定した。

また、Ｔ１含有量と、ｓｏＬ、Ｎ含有量と、Ｎ含有量と
の間に、 ｓｏｔ、ＡＰ。

０．００４（Ｎ−４４２〈　１．９３ なる不等式を規定したのは、Ｎ含有量がＴ１含有量よシ
化学当量的に多くなると、過剰のＮはＡｌ！と結合して
Ａ１１Ｎとなシ、これもＴｉＣと同様に、浸炭中あるい
は浸炭前の熱処理中に生成してオーステナイトの粗粒化
を抑制するが、この場合、過剰Ｎ量（Ｎ−−１−の正の
値）が、０，００４％以上存在し、３．４２ かつ、ｓｏｔ、Ａｌ含有量が過剰Ｎ量よシ化学当量的に
多くなければほとんど前記の効果が々いことによるもの
である。

ついで、この発明の鋼を実施例により比較例と対比しな
がら説明する。

まず、第１表に示す通りの化学成分組成の本発明鋼Ａ−
１〜Ａ−１２，および同Ｂ−１〜Ｂ−１２と、比較鋼Ｃ
−１〜Ｃ−１３を常法にて溶製し、第１図に示す通シの
形状（寸法：外径５５−×内径３５龍×厚さ１０朋×偏
心量８朋）のＣＩＪングを製造した。そして、本発明鋼
および比較鋼の焼ならし後のオーステナイト粗粒化温度
（粒度がＪ　Ｉ　Ｓ　Ａ　’ｉ’以上に彦る温度）と、
第１図に示したＣリングを浸炭焼入（９３０℃Ｘ４ｈｒ
→８６０℃×３０紘→６０℃のＯＱ、　　カーボンポテ
ンシャル＝ｏ、ｓ％）した時の開口部の変位量をあわせ
て第１表に示した。

また第２図は、第１表に示した鋼について、粗粒化温度
が９５０℃未満のものをＸ、９５０１：：以上のものを
○、さらに１０１０℃以上のものを＠として、それぞれ
のＴｉ−Ｎ量に相当する位置に示したグラフである。

第２図から明らかなように、本発明鋼の領域である、 ０．０２　（Ｔｉ　−３，４２Ｎ 領域、および、 １ ０・００４　（Ｎ　−−−（＜　’μ［■）３．４２　
　　　　　１．９３ 領域では、すべて粗粒化温度は９５０℃以上で、Ｎｂあ
るいはＶを含有する本発明鋼Ａ−１０〜Ａ−１２、およ
び同Ｂ−１０−Ｂ−１２はさらに高い１０１０℃以上と
なっておシ、また、それにともなって、第１表から明ら
かなように、Ｃリング開口部の変位量は比較鋼に比べて
本発明鋼の方が著しく小さくなっていて、本発明鋼の熱
処理歪の小さいことを証明している。

上述のように、この発明の脱燐ボロン鋼は、安価で、か
つ熱処理歪の発生がきわめて小さいので、高温浸炭が可
能となシ、浸炭時間を著しく短縮できるなど、工業上有
用な効果をもたらすのである。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）および（ｂ）は熱処理歪を測定するための
ＣＩＪングを示す正面図および側面図、第２図はＴｉお
よびＮ量に関して鋼の粗粒化温度域を示したグラフであ
る。 出願人　　住友金属工業株式会社 代理人　　富　　１）　和　　夫

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 （１）　　Ｃ：　０．１０〜０．３０　％、Ｓｉ：０．
   ３５チ以下、 Ｍｎ　：　０．３０〜０．９０％、 Ｃｒ　：　０．９０〜１．８０　％、 １３　：　０．０００５〜０．００５０％、ｓｏｔ、Ａ
   ｌ　：　０．０８　％以下、Ｔｉ：０．１％以下、 を含有し、 Ｆｅおよび不可避不純物：残シ、 （以上重量％）からなる組成を有し、がっ、Ｔ１含有量
   （重量％）と不可避不純物としてのＮ含有量（重量％）
   との間に、 ０．０２　（Ｔｉ　−３，４２Ｎ 　１− なる不等式が成り立つことを特徴とする熱処理歪の小さ
   い肌焼ボロン鋼。 （２）　　Ｃ：　０．１０〜０．３０チ、Ｓｉ：０．３
   ５チ以下、 Ｍｎ：　０．３０〜０．９０％、 ｃｒ：　０．９０〜１．８０％、 Ｂ　：　０．０００５〜０．００５０チ、ｓｏｂ、　Ａ
   Ｑ　：　０．０８チ以下、Ｔｉ：０．１％以下、 を含有し、さらに、 Ｎｂ：　０．０１〜０．１０チ、 Ｖ　：　０．０２〜０．２０　％、 のうちの１種以上を含有し、 Ｆｅおよび不可避不純物：残シ、 （以上重量％）からなる組成を有し、かつ、　Ｔｉ含有
   量（重量％）と不可避不純物としてのＮ含有量（重量％
   ）との間に、 ０、０２　（Ｔｉ　−３，４２Ｎ なる不等式が成シ立つことを特徴とする熱処理歪の小さ
   い肌焼ボロン鋼。 （３）　　Ｃ：　　０，１０〜０．３０％、Ｓｉ：０．
   ３５％以下、 Ｍｎ：　　０．３０〜０．９０　％、 Ｃｒ：　　０．９０〜１．８０　％、 Ｂ　　：　０．０００５〜０．００５０％、ｓｏＬ、Ａ
   ｔ：　０．０８　％以下、 Ｔｉ：　０，１％以下、 を含有し、 Ｆｅおよび不可避不純物：残シ、 （以上重量％）からなる組成を有し、がっ、Ｔ１含有量
   （重量％）およびｓｏＬ、Ａｌ含有量（重量％）ならび
   に不可避不純物としてのＮ含有量（重量％）との間に、 １ ０．００４（Ｎ−−（１′先 ３．４２　　１．９３ なる不等式が成シ立っことを特徴とする熱処理歪の小さ
   い脱燐ポロン鋼。 （４）　　Ｃ：　０．１０−０．３０　％、Ｓｉ：０．
   ３５−以下、 Ｍｎ　：０．３０〜０．９０％、 Ｃｒ：０．９０〜１，８０％、 Ｂ：０．０００５　〜０．００５０％、ｓｏｔ、ＡＱ：
   　０．０８　％以下、 Ｔｉ：Ｏ，１％以下、 を含有し、さらに、 Ｎｌ）：０．０１〜０．１０チ、 ■二〇、０２〜０．２０％、 のうちの１種以上を含有し、 Ｆｅおよび不可避不純物：残り、 （以上重量％）からなる組成を有し、かつ、Ｔ１含有量
   （重量％）および８０６Ｍ含有量（重量％）ならびに不
   可避不純物としてのＮ含有量（重量％）との間に、 ＳＯｔ、ＡＰ。 ０．００’＜Ｎ””　３，４２〈１．９３なる不等式が
   成シ立つことを特徴とする熱処理歪の小さい脱燐ボロン
   鋼。