JPH1197171A - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

有機el素子およびその製造方法

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JPH1197171A
JPH1197171A JP9253766A JP25376697A JPH1197171A JP H1197171 A JPH1197171 A JP H1197171A JP 9253766 A JP9253766 A JP 9253766A JP 25376697 A JP25376697 A JP 25376697A JP H1197171 A JPH1197171 A JP H1197171A
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博 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細な間隔で分離された薄膜を基板上に形成
したEL素子、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 基板には、基板上に薄膜を形成した場合
でも薄膜が接続されないで形成される所定の大きさの溝
が形成してある。したがって、基板にかかる溝を任意に
形成し、その上に薄膜を形成することにより、溝によっ
て互いに分離された薄膜が容易かつ確実に形成できる。
又溝は直線でなくともよいことから所望の形状に薄膜を
分離できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機EL素子及びその製
造方法に関し、特に微細なピッチで発光させることので
きる有機EL素子及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般的な有機EL素子の構造を簡単に説
明する。図8(a)はガラス基板801上に有機EL素
子を作製したもので、ガラス基板上に陽極802が形成
され、その上に有機層809と陰極810がこの順に形
成されている。有機層809は正孔注入層803、正孔
輸送層804、発光層805、電子輸送層808、電子
注入層807などから構成される。陽極802として透
明導電性薄膜、あるいは金やアルミニウムの金属薄膜な
どが用いられ、陰極810としてマグネシウムに銀また
はインジウムを混合した合金、あるいはアルミニウムに
リチウムを混合した合金が用いられる。図8(a)のよ
うに、陽極802に正電圧、陰極810に負電圧を印加
し素子に電流を流すとガラス基板下面から発光する。
【0003】次に、単純マトリクス型有機EL表示装置
の概念を説明する。この形式の有機EL表示装置は、図
8(b)のようにストライプ状のパターンを持つ陽極8
02と、この陽極802に直交するようにパターニング
されたストライプ状の陰極810と、両電極間に挟まれ
た有機層809からなる。有機層809は正孔注入層、
正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などによ
って構成される。陽極802と陰極810をそれぞれ1
ヶ所ずつ選択し、陽極に正電圧、陰極に負電圧を印加す
れば選択した陽極と陰極の交点に電流が流れガラス基板
側から発光する。発光素子一つ一つをマトリクス駆動す
ることにより画像表示が可能となる。
【0004】高精細な画像表示を行うには陽極及び陰極
のストライプ幅を数百μm以下、隣り合うストライプ間
のギャップを数十μm以下にする必要がある。ストライ
プ状電極の形成にはいくつか方法がある。最も簡易な方
法は、メタルマスクを用いたマスク蒸着法である。しか
し、メタルマスクの微細加工は非常に難しいため、マス
ク蒸着法では数十〜数百μmという微細なパターンを形
成することはきわめて困難である。また、有機EL素子
の場合、陰極膜をマスク蒸着するときメタルマスクが有
機層に接触し、有機層あるいは陰極膜に傷やダメージを
与える恐れがある。
【0005】一方、半導体メモリなどの半導体デバイス
の製造において一般的なフォトリソグラフイ技術とエッ
チング技術を組み合わせた方法を用いれば、ミクロン単
位の微細加工が可能である。この方法は、液晶表示装置
やプラズマディスプレイ装置などの画像表示装置の製造
おける配線電極やトランジスタを作製する工程で、IT
O膜やシリコン酸化膜やシリコン膜などを加工する際に
用いられている。有機EL素子のITO電極の加工にも
有効な手段である。しかし、フォトリソグラフイ技術と
エッチング技術により有機EL素子の陰極をパターニン
グする場合、フォトレジストの塗布、現像およぴ陰極膜
のウェットエッチング、フォトレジストの剥離工程にお
いて、レジストの溶媒や現像液、エッチング溶液、レジ
スト剥離液に有機層が冒され素子の表示性能や寿命が劣
化するという問題が生じる。
【0006】有機EL素子の高精細化に伴う陰極の微細
加工に関する上記のような問題を解決するために、特開
平5−275172号公報に記載された方法が提案され
た。この方法は、陰極を分離する部分に壁を形成し、壁
に対して斜め方向から陰極材料を蒸着させることを原理
としている。
【0007】これを次のような日常的事例で説明する。
斜め上方から塀に日光が当たっている場面を考え、日光
が当たる側を表側とする。壁前の地面と壁の表側には日
が当たるが、塀の裏側は影になり塀の影が背後にのび
る。ここで、日光を成膜する材料の素子に置き換え、基
板上に何らかの方法で壁に相当する物体を形成したとす
れば、壁の手前と表側には粒子が付着し薄膜が形成され
るが、壁の裏側や影になる部分には粒子が到達せず膜は
形成されない。特開平5−275172号公報の発明で
は、このような壁と斜方蒸着法による陰極分離を行って
いる。図8(c)〜(e)を用いて特開平5−2751
72記載の有機EL装置の構成例を説明する。
【0008】まず、図8(c)のようにガラス基板80
1上に、ITO膜を加工して複数の平行ラインからなる
ITO電極802を形成する。次に、このITO電極8
02と直交するようにレジスト壁808を作製する。特
開平5−275172の実施例記載によると、ガラス基
板801上に塗布したネガティブワーキングレジスト、
フォトリソグラフイ法を用いて加工してレジスト壁80
8が作製されている。のちの工程で成膜する有機EL媒
体(有機層)809の厚さより高いことが壁の条件であ
る。
【0009】レジスト壁808を作製した後、図8
(d)のように真空蒸着法により有機EL媒体(有機
層)809の成膜を行う。次に、図8(e)のように斜
め方向から第二電極(陰極)810となる金属薄膜を付
着させる。特開平5−275172号公報によると、金
属薄膜の形成には材料源から飛来する金属粒子の方向性
が制御された、たとえば真空蒸着法、電子ビーム蒸着
法、イオンビーム蒸着法、レーザーアブレション蒸着法
およびスパッタリング法が適当とある。
【0010】特開平5−275172号公報の実施例に
は真空蒸着法を用いた陰極の形成方法が記されている。
蒸発源から飛来する粒子の蒸着方向812を限定し、斜
め方向から蒸着粒子を基板に直進入射させれば、粒子の
進路が壁によって遮蔽される部分には金属薄膜が付着し
ない。その結果、レジスト壁808に沿って金属薄膜の
分離領域が作られ、ITO電極802に直交するストラ
イプ状の陰極810が形成される。特開平5−2751
72に記載の実施例によると、金属粒子の蒸着方向81
2とガラス基板801表面に立てた法線とのなす角度
(=蒸着粒子の入射角度)811は約10〜60度、好
ましくは約15〜45度がよいとある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−27517
2に記載の方法を用いて、有機EL素子の陰極を形成す
る場合、蒸発源から飛来する蒸着粒子の入射に対して、
基板上に設けられたレジストの壁が影を作るように、蒸
着粒子の入射方向と基板に立てた法線とのなす角度を一
定に保持しなければならない。その結果、次のような不
具合が生じる。
【0012】(1)大型画面表示装置の作製は不可能で
ある。言い換えると、大型ガラス基板の全面に対して蒸
着粒子の入射角度を一定にすることは、現実的な成膜装
置では大変難しいということである。その理由を以下に
説明する 一般的な蒸着装置の構造を図9(a)に示
す。
【0013】この蒸着装置を用いて特開平5−2751
72に記載の方法で陰極を形成するには、金属材料を入
れたるつぼあるいは蒸着用ボート(蒸発源)919の位
置と、基板901の位置を、水平方向に互いにずらして
固定する必要がある。さらに、蒸着粒子の入射角度がほ
ぼ一定と見なせる領域内に、基板を設置し、さらに基板
はこの領域内からはみ出さない程度の大きさでなければ
ならない。
【0014】特開平5−275172号公報には蒸着粒
子の入射方向と基板に立てた法線とのなす角度として、
約10〜60度、好ましくは約15〜45度にある場合
に確立されるとある。例えば5cm幅の基板を用い、蒸
着粒子の入射方向と基板に立てた法線とのなす入射角度
を15度で蒸着する場合を考え、入射角度の誤差範囲と
して10%を許容する。つまり、蒸発源に近い部分の入
射角度が13.5度、最も遠い部分の入射角が16.5
度とするには、基板を蒸発源から約89cm上方にセッ
トしなければならない。これを10インチサイズの基板
に置き換えた場合、蒸発源と基板との間に必要な距離は
鉛直方向で約260cmとなり、蒸着装置として現実的
な大きさではない。
【0015】(2)蒸着する薄膜の膜厚面内の均一性が
落ちる。つまり、基板上において発光むらが生じるとい
うことである。蒸着法による薄膜形成では、蒸発源から
遠ざかるほど成膜速度が落ちる。そのため、蒸発源から
近い部分では膜厚は厚く、遠い部分は薄くなる。陰極と
して用いる金属膜のシート抵抗は膜厚に依存するため、
金属膜の膜厚に分布がある場合、陰極を流れる電流の大
きさが基板面内によって変化する。その結果、発光特性
に面内バラツキが生じることになる。一般的な蒸着装置
を用いる場合、通常、基板支持台を水平に回転させ基板
から蒸発源までの距離や蒸着方向をランダムにして膜厚
の不均一性を抑える。しかし、特開平5−275172
記載の方法を実施するには、図9(a)に示すように基
板と蒸発源の位置を水平方向にずらして固定しなければ
ならないため、形成する薄膜の膜厚面内バラツキは解消
されない。
【0016】また、このような膜厚の面内バラツキは、
二種類以上の材料を共蒸着する場合に材料混合比の面内
バラツキという問題も引き起こす。例えば図9(b)に
示すように、マグネシウムと銀の共蒸着層を形成する場
合、特開平5−275172号公報に記載の方法ではマ
グネシウム材料の蒸発源に近い部分はマグネシウムリッ
チ、銀の蒸発源に近い部分は銀リッチな共蒸着膜になっ
てしまう。マグネシウムと銀の混合比の変化は陰極から
有機層への電子注入効率に大きな影響を与えるため、基
板面内に発光むらが生じ、場所によって明るさが異なっ
てしまう。
【0017】(3)二種類以上の材料を共蒸着する場
合、一つのドット内において共蒸着材料の混合比バラツ
キによる発光むらが生じる。この原理を図9(c)を用
いて説明する。図9(b)のような蒸着装置を用いた場
合、マグネシウム粒子が左下方向から、銀粒子が右下方
向から基板に入射する。図9(c)のようにマグネシウ
ム粒子は壁によって遮蔽され壁の右側に到達しない.逆
に、銀粒子はレジスト壁によって壁の左側には到達しな
い。マグネシウムと銀の共蒸着層はマグネシウム粒子と
銀粒子の両方が付着する領域、つまりマグネシウム層9
14と銀層915がオーバーラップする領域に限られ、
この部分のみ明るく発光する。しかし、銀が蒸着されな
い部分は電子の注入効率が落ちるため、発光強度が低下
する。ドット内において発光に強弱が生じることにな
る。
【0018】(4)粒子の入射方向に対して垂直方向に
伸びるストライプのラインしかパターニングできない。
蒸着粒子の入射方向と基板に立てた法線とのなす角度を
限定し、蒸着粒子の入射に対して影が出来るように壁を
形成しなければならないためである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決するため、有機EL素子およびその製造方法を次の
ように構成した。
【0020】すなわち、(1)分離パターニングする薄
膜を成膜する以前の工程で、薄膜を分離する部分に溝部
を形成し、その上に薄膜を形成し溝部によって薄膜を互
いに分離させることとした。
【0021】(2)溝部を二重壁によって形成すること
とした。
【0022】(3)二重壁は、フォトリソグラフィ技術
を用いてフォトレジストを加工することにより成型する
こととした。
【0023】(4)二重壁は、無機絶縁膜あるいは有機
絶縁膜をフォトリソグラフイ技術とエッチング法を用い
て成型することとした。
【0024】(5)二重壁は、無機絶縁膜あるいは有機
絶縁膜にレーザー光を照射して加工することとした。
【0025】(6)溝部は素子を作製する基板に直接加
工することとした。
【0026】(7)溝部を基板に加工する方法として、
型を用いて鋳造する方法、サンドブラスト法、ダイヤモ
ンド加工法、レーザー光による溶融法あるいはレーザー
アブレーション法、フォトリソグラフイとウェットエッ
チングを組み合わせた方法を用いることとした。
【0027】(8)溝部は、有機EL素子を形成する透
明基板表面に透明薄膜を成膜し、この透明薄膜を加工す
ることにより形成することとした。
【0028】特開平5−275172記載の方法では、
陰極を分離する予定領域に壁を設け、蒸着粒子を斜めか
ら入射させ、壁によって粒子の入射進路が遮蔽される部
分には蒸着されないという効果を利用して金属薄膜を分
離する。この方法では、蒸着粒子の飛来方向を限定する
ため、基板と蒸発源の位置を固定する必要がある。
【0029】さて、蒸着法やスパッタリング法など、蒸
発源やスパッタリングターゲットから飛び出す粒子が直
進性を持つ成膜方法では、成膜される薄膜のカバレッジ
特性は悪い。例えば細く深い溝や径の小さい穴の底部あ
るいは内部の側壁には成膜されないことが多い。その理
由は次のように説明できる。蒸着法やスパッタリング法
では基板へ飛来する粒子は直進入射するが、図10
(a)に示すように開口部が狭い溝あるいは穴1008
の場合、その内部へ侵入できる粒子は非常に限られてい
る。さらに、図10(b)に示すように開口部には蒸着
粒子やスパッタ粒子が過剰に付着するため、その付着物
1016によってますます開口部が狭くなり、溝や穴の
内部への粒子の回り込みはほとんどないといってよい。
【0030】半導体装置の製造において段差や穴に形成
する薄膜のカバレッジが問題となることがある。その多
くは、拡散層やゲート電極と上部の配線電極とを接続す
るコンタクトホールヘの金属膜の埋め込み工程で発生す
る。1ギガビットダイナミックランダムアクセスメモリ
(1Gbit DRAM)ではコンタクトホールの直径
は約0.3μm、深さは約1.2μm、アスペクト比は
最大約4となる。現在では、埋め込み金属膜成膜後のリ
フロー技術、コリメーターを用いたスパッタリング成膜
技術、被覆性に優れた気相化学成膜(CVD)技術の進
歩により、コンタクトホールへの埋め込みという問題を
解決しようとしている。ここで、コリメーターを用いた
スパッタリング成膜というのは、図10(c)に示すよ
うに、スパッタリングターゲット1018から任意の方
向で飛来するスパッタリング粒子を、コリメーター10
17を通過させることにより粒子の飛来を一定の立体角
内に収め、基板1001に対してほぼ垂直入射させコン
タクトホールへのボトムカバレッジを向上させる方法で
ある。
【0031】本発明は狭い溝や穴への薄膜形成の難しさ
を利用したものである。パターンを分離する部分に狭い
溝を形成し、溝への被覆性の悪い蒸着法あるいはスパッ
タリング法を用いて成膜することを特徴としている。
【0032】特開平5−275172記載の方法では、
蒸着粒子の入射方向と基板に立てた法線とのなす角度を
一定に保持しなければならず、そのためにいくつかの欠
点が生じる。
【0033】本発明による方法では、蒸発源と基板の位
置を固定させる必要はなく、一般的な蒸着装置やスパッ
タリング装置を用いて通常の成膜を行えばよく、前述し
た4つの課題は解決される。
【0034】
【発明の実施の形態】以下本発明にかかる有機EL素子
およびその製造方法について説明する。
【0035】(実施例1)一般に真空蒸着法あるいはス
パッタリング法による成膜は段差被覆性が悪く、段差被
覆性に影響を与える成膜条件は(1)真空槽内の圧力、
(2)蒸着の場合は蒸発源から基板までの距離、スパッ
タリングの場合はターゲットから基板までの距離、
(3)基板温度、の3つである。溝や段差やコンタクト
ホールでの薄膜の被覆性を向上させるには、(1)飛来
する粒子の平均自由行程を伸ばすため、真空槽内の圧力
を下げる(高真空にする)、(2)粒子が入射するとき
の立体角を小さくするために蒸発源から基板を遠ざけ
る、(3)基板表面における付着粒子のマイグレーショ
ン効果を下げるため基板加熱を行うといった手段をとれ
ばよい。
【0036】図1(a)に示すような深さ約1100μ
m、幅200、350、720、1100μmの溝を加
工したガラス基板101に、真空蒸着法によりアルミニ
ウム薄膜を400nm成膜し、アルミニウム薄膜の分離
絶縁性を調べた。それぞれ溝のアスペクト比(=溝深さ
/溝幅)は5.5、3.1、1.5、1.1である。
【0037】図1(b)はアルミニウム膜の蒸着に用い
た装置の概略である。蒸発源から基板までの垂直距離は
約22cm、アルミニウム材料を入れたるつぼ119は
基板支持台121の回転の中心から外側へ約11cmの
位置にある。溝が刻まれたガラス基板101の大きさは
50mm×50mmの正方形、基板101の中心が基板
回転中心より約33mm離れた位置にくるように、ま
た、溝の開口部が下になるように、基板支持台121に
セットした。
【0038】アルミニウム膜蒸着時の真空槽内圧力は4
×10−4〜1×10-3Pa、蒸着速度は約1.0nm
/秒。基板支持台121を同転させながら蒸着を行っ
た。基板加熱は行っていない。蒸着したアルミニウムの
膜厚は約200nmである。
【0039】アルミニウム薄膜蒸着後の基板101を光
学顕微鏡で観察すると、溝幅720μm以上、アスペク
ト比1.5以下の溝の底部へのアルミニウム膜の付着が
見られたが、溝幅220μm以下、アスペクト比が3以
上の狭い溝には底部への成膜は確認されなかった。ま
た、溝による電気的分離性を調べたところ、全ての水準
において導通は確認されず、数十メガオーム以上の絶縁
性を示した。従って、図1(b)に示すような蒸着装置
を用いた場合、アスペクト比が1.1以上あれば電気的
なパターン分離は可能であることがわかった。
【0040】次に、ガラス上に成膜したレジスト膜に深
さの異なる溝を形成しアルミニウム薄膜の被覆性を調べ
た。図1(c)に示すようにガラス基板上の厚さ15μ
mのネガ型ドライフィルムフォトレジスト107表面
に、KrFエキシマレーザーを照射して、幅約3〜4μ
m、深さ約2、4、5、9μmの溝を形成した。それぞ
れの溝のアスペクト比(=溝深さ/溝幅)は約0.5、
1.1、1.3、2.3である。ネガ型ドライフィルム
フォトレジスト107は、日本合成化学工業株式会社製
のNIT215を使用し、ガラス基板にラミネートした
後、露光、現像工程を通過したものである。
【0041】実施例1で用いた真空槽122に、図1
(b)で示すように基板フォトレジストを加工した基板
106と、アルミニウムをいれたるつぼ119をセット
した。ガラス基板106とるつぼ119の位置は実施例
1と全く同じである。蒸着時の真空槽内の真空度は約5
0×10-4Pa、基板回転は行ったが、基板加熱は実施
していない。蒸着したアルミニウムの膜厚は約200n
mである。
【0042】アルミニウム蒸着後の基板を光学顕微鏡で
観察したところ、深さ2μm、アスペクト比0.5の溝
以外は溝底部にアルミニウム膜が形成されていなかった
ことから、アスペクト比が1以上あれば溝による金属膜
の分離は可能であることが判明した。
【0043】次に、二重壁によって形成される溝を利用
し、陰極の分離を行ったドットマトリクス型有機EL素
子を作製した。その形成方法を図2を用いて説明する。
【0044】ガラス基板201はコーニング社製無アル
カリガラス7059で、基板サイズは100mm×12
0mmの長方形である。図2(a)で示すように、この
ガラス基板201上に透明導電膜であるITO膜202
をスパッタリング法により成膜する。ITO膜202の
膜厚は約120nm、12オーム/ロのシート抵抗を持
ち、光透過率80%以上の特性を有する。
【0045】次に、一般的なフォトリソグラフイ技術と
ウェットエッチング技術を用いて、ITO膜202のパ
ターニングを行う。まず、図2(b)のようにITO膜
202上にポジ型レジスト203をスピンコーティング
し、陽極用のパターンを刻んだフォトマスクを用いて露
光する。レジスト現像を行うと、図2(c)に示すよう
にレジストパターンが形成される。つづいて、塩酸と塩
化第二鉄の混合溶液を用いて、ITO膜202のレジス
ト203で保護されていない部分をエッチングする。そ
の後、レジスト203を剥離すると、図2(d)に示す
陽極となるITO電極202が形成される。このときの
ITO電極202のパターン幅は200μm、パターン
のピッチは340μmである。
【0046】パターニングされたITO電極付ガラス基
板201上に、フォトリソグラフイ技術を用いてレジス
トからなる二重の壁を形成する。まず、図2(e)に示
すように、厚さ15μmのネガ型ドライフィルムフォト
レジスト204をITO付ガラス基板表面にラミネート
する。ここで用いたドライフィルムは日本合成化学工業
株式会社のNIT215である。
【0047】ドライフィルムフォトレジストは厚さ15
ミクロンなので、溝の深さは15μmとなる。本実施例
の冒頭で述べた通り、陰極金属膜を溝によって分離する
には、1以上のアスペクト比が必要であるため、溝幅は
15μm以下にしなければならない。しかし、用いるド
ライフィルムの解像力は15μmで、15μm以下のパ
ターン形成は困難である。従って、次のような方法で溝
幅約10μmの二重壁を形成する。
【0048】基板201にドライフィルムをラミネート
した後、所望するパターンを加工したフォトマスクを用
いて露光を行い、ドライフィルムを感光する。露光に用
いるフォトマスク205には図2(f)に示すように、
15μm幅の一重壁を形成するパターンが刻まれてい
る。まず、図2(f)のように二重壁の左側の壁となる
部分にフォトマスク205をアライメントし露光する。
露光には水銀ランプを用いた紫外光の平行光線を照射す
る。照射量は積算で340mJである。一回目の露光に
より、図2(f)に示すように、幅15μmの左側の壁
部分が感光される。続いて、図2(g)に示すように、
フォトマスクを右へ25μm平行移動して再度露光を行
う。露光条件は1回目と同じ積算で340mJである。
二回目の露光で、図2(g)のように、右側の壁部分が
感光される。その後、濃度約1%の炭酸ソーダ水溶液を
用いてレジストの現像を行うと、図2(b)および
(i)に示すように二重壁207に挟まれた探さ15μ
m、幅10μm、アスペクト比1.5の溝208が形成
される。なお、解像カに優れた液体レジストと二重壁用
に設計されたフォトマスクを用いれば、さらにサイズの
小さな二重壁を一度の露光で形成することが可能であ
る。
【0049】次に、正孔輸送層、発光層および電子輸送
層を積層した有機層209を形成する。有機層209形
成後の断面図を図2(j)に示す。図2(j)は図2
(i)の破線で囲まれた部分を拡大した図である。有機
層209は図2(j)に示すように、発光部ITO電極
202上だけでなく溝底部のITO電極202上にも形
成し、ITO膜が露出しないようにすることが望まし
い。なぜならば、有機層209形成後、陰極である金属
膜を成膜するが、この金属膜が、溝底部のITO電極2
02の露出部に付着した場合、隣接するITO電極を短
絡させる恐れがあるからである。従って、有機層の成膜
に関しては段差被覆法を上げる必要がある。段差被覆性
に影響を与える条件は前述したとおり(1)真空槽内の
圧力、(2)蒸着の場合は蒸発源から基板までの距離、
スパッタリングの場合はターゲットから基板までの距
離、(3)基板温度の3つである。段差被覆性を向上さ
せるには、真空槽内の圧力を下げ(高真空にする)、蒸
発源から基板を遠ざけ、基板加熱を行えばよい。
【0050】最適な条件は蒸着装置あるいはスパッタリ
ング装置の溝造により異なるが、本実施例では、図1
(b)とほぼ同様な構造を持つ蒸着装置を用い、真空槽
内の圧力を4×10-5Paまで減圧し、蒸発源から基板
までの距離を約47cm、基板支持台の回転中心から約
26mm離れた位置に基板の長辺が半径方向と直交する
ように基板を支持し、基板回転させながら有機層の蒸着
を行った。なお、有機EL素子の場合、有機層を構成す
る有機膜のなかにはガラス転移温度の低い材料が含まれ
ている場合があるので、本実施例3では基板加熱は行っ
ていない。有機層209として正孔輸送層、発光層およ
び電子輸送層をこの順に積層する。第1層目の正孔輸送
層として、N,N’−ジフェニルーN,N’−ビス(α
−ナフチル)一1,1’−ビフェニルー4,4’−ジア
ミン(以降α−NPDという)膜を約0.3nm/秒の
蒸着速度で約55nm厚まで成膜した。次に、発光層と
してトリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(以
降Alq3という)とキナクリドン(以降Qdという)
の共蒸着層を約25nmの厚さまで付着させた。このと
き、Alq3の蒸着速度は約0.3nm/秒、Qdの蒸
着速度は約0.02nm/秒である。その後、Qdの蒸
着をやめ、電子輸送層としてAlq3の単層膜を蒸着速
度約0.3nm/秒で約20nm厚になるまで成膜し
た。有機層209を構成する正孔輸送層、発光層、電子
輸送層は、有機EL素子の表示面積に相当する部分に形
成すればよい。従って、有機層209形成時には、表示
面積以外の部分はメタルマスクで遮蔽する。
【0051】最後に、真空蒸着法を用いて陰極層を成膜
する。本発明の骨子は、真空蒸着法あるいはスパッタリ
ング法による成膜の段差被覆性の悪さを利用して、二重
壁207の間に設けた溝208の内壁あるいは底部への
蒸着粒子あるいはスパッタ粒子の回り込みを抑え、陰極
の分離パターニングを行うというものである。本実施例
3では陰極としてマグネシウムと銀との共蒸着膜を採用
した。図3にマグネシウムと銀の共蒸着に用いた装置概
略を示す。マグネシウムを入れた蒸着用ボート319
と、銀を仕込んだボート320および有機層成膜済みの
ガラス基板301を金属膜形成用の真空槽322に設置
する。基板301は基板回転中心から約26mm離れた
位置に、基板の長辺が半径方向と直交するように支持さ
れている。蒸発源から基板までの垂直距離は約22c
m、マグネシウムを入れたボート319は基板支持台の
回転中心から外側へ約11cmの位置にあり、銀材料の
蒸発現320は基板支持台の回転中心点に対してマグネ
シウムのボートと対称の位置にある。陰極は有機EL素
子の表示面積に相当する部分と外部電極との接続部分に
形成すればよいから、メタルマスクを用いて、表示部分
以外の部分を遮蔽する。
【0052】基板と蒸着材料の設置後、真空槽322内
を減圧する。本実施例2では有機層蒸着時に比べ約1桁
ほど低真空の約5×10-4Paまで減圧した。マグネシ
ウムおよび銀の蒸着レートはそれぞれ0.4nm/秒お
よび0.04nm/秒で、共蒸着層を約200nm厚ま
で成膜する。
【0053】このようにして形成したマグネシウムと銀
の共蒸着膜は、図2(1)に示すように、二重壁の間に
作られた溝208によって分離されている。その結果、
ピッチ約340μm、幅約200μm、電気的に完全に
分離された陰極210を作製することが可能である。
【0054】(実施例2)ガラス基板に直接溝を刻み、
この溝によって陰極を分離する方法を以下に説明する。
図4(a)に示すように、ガラス基板401に幅15μ
m、深さ20μm、ピッチが215μmの溝408を加
工する。ガラスの加工には鋳型を用いて鋳造する方法、
サンドブラスト法、ダイヤモンド加工法、レーザー光に
よる溶融あるいはアブレーション法、フォトリソグラフ
イ法とウェットエッチング法を用いた方法などがある。
【0055】次に、溝を設けたガラス基板401上に、
厚さ約150nmのITO膜を段差被覆性に富むイオン
プレーティング法、あるいはCVD法などで成膜する。
ITO膜を通常のフォトリソグラフイ技術とウエットエ
ッチング法を用いて、幅200μm、ピッチ215μm
に加工し、図4(b)のようなガラス基板の溝と直交す
るストライプ状のITO電極402を形成する。
【0056】つづいて、実施例1と同様にして、真空蒸
着法を用い正孔輸送層、発光層、電子輸送層からなる有
機層408と、陰極としてマグネシウムと銀の共蒸着層
を形成する。
【0057】図4(d)に示すように、マグネシウムと
銀の共蒸着層は、ガラス基板表面に刻んだ幅15μm、
深さ20μm、アスペクト比1.3の溝によって分離さ
れ、陰極310が形成される。
【0058】実施例1で示した二重壁間に形成された溝
による陰極の分離法では、溝および二重壁部分は発光し
ない。また、発光面積は二重壁の微細化に依存し、ドラ
イフィルムフォトレジストを用いる場合は壁幅15μm
以下の加工は困難である。さらに、二重壁の段差によっ
て蒸着粒子の回り込み方が影響を受け、壁と発光部の境
界付近で有機層の膜厚が変化する恐れがある。
【0059】しかし、本実施例2のように基板上に直接
溝を刻むことによって、不発光部は溝の部分のみとなる
ので、発光面積を拡大することが可能になり、かつ蒸着
面をフラットにすることによって、一つ一つのドット内
において均一な膜厚の有機層を形成することができる。
また、素子完成後はフォトレジストが残らないので、レ
ジスト構造や成分の経時的な変化の影響を受けない。
(実施例3)ガラス基板上に透明薄膜を成膜し、この透
明薄膜を加工して所望するアスペクト比の溝を刻む方法
がある。実施例2に示したような、ガラスを加工して溝
を刻む方法では数十μm以下の微細加工は難しい。しか
し、基板上に透明薄膜を成膜し、これを加工することは
容易で、微細化が可能である。
【0060】図5(a)に示すようにガラス基板501
上にシリコン窒化膜507を成膜する。シリコン窒化膜
507の膜厚は約1μmである。通常のフォトリソグラ
フイ法とウェットエッチング法によりシリコン窒化膜5
07に溝508を刻む。溝の幅は、シリコン窒化膜膜厚
とほぼ同じ、約1μmである。
【0061】窒化膜パターンを形成後、ITO膜を成膜
する。成膜には窒化膜の段差にも高カバレッジな成膜が
可能なCVD法等の方法を用いる。次に、一般的なフォ
トリソグラフイ法とウェットエッチング法を用いて、図
5(c)に示すような、発光部面積に応じた幅のITO
電極502に加工する。
【0062】その後、真空蒸着法を用い正孔輸送層、発
光層、電子輪送層からなる有機層508を形成する。こ
のとき、溝508の内壁、底部にも十分成膜されるよ
う、有機膜の被覆性を上げるために反応室圧力を5×1
-5以下に保つ。有機層の積層終了後、基板を金属膜形
成用の反応室へ搬送する。金属膜用反応室内の圧力は有
機層形成時より大きく(低真空に)設定し、蒸着時に基
板へ飛来する金属粒子の平均自由行程を短くする。
【0063】こうすることにより、溝508内部への金
属粒子の回り込みが抑制され、溝による陰極分離が可能
となる。陰極410としてはマグネシウムと銀の共蒸着
層を用いた。マグネシウムと銀の蒸着レートは10対1
である。この方法を用いれば、非常に高精細な表示装置
を作製することができる。
【0064】(実施例4)実施例1では、陰極を分離す
るためにフォトレジストを用いて二重壁を作成した。本
実施例4では、フォトレジストの代わりに無機絶縁膜を
用いて二重壁を形成し、有機EL素子を作製する方法を
示す。
【0065】まず、図6(a)に示すようにパターン幅
200μm、ピッチ220μmのITO電極をガラス基
板上に形成する。次に、無機絶縁膜として厚さ約2μm
のシリコン窒化膜をスパッタリング法で成膜する。この
窒化膜を、一般的なフォトリソグラフイ法とウェットエ
ッチング法とにより加工し、図6(b)に示すような、
1μmの間隙をあけた幅14.5μmの2本の帯を、2
20μmピッチに並べたシリコン窒化膜パターン607
とする。このシリコン窒化膜パターン607によって、
図6(c)に示すような幅1μm、深さ2μmの溝60
8が作られる。
【0066】シリコン窒化膜パターンを作製した後、実
施例3と同様に、真空蒸着法を用いて正孔輸送層、発光
層、電子輸送層からなる約110nmの厚さの有機層6
09を形成する。その後、基板を金属膜形成用反応室に
搬送し、陰極としてマグネシウムと銀の共蒸着層を形成
する。マグネシウムと銀の割合は、蒸着速度で10対
1、マグネシウムと銀の共蒸着層は200nmである。
このマグネシウムと銀の共蒸着層は、シリコン窒化膜で
挟まれた幅1μm、深さ2μm、アスペクト比2の溝に
よって分離され、陰極610がパターニングされる。
【0067】本実施例4に示す方法では、シリコン窒化
膜膜厚が実施例1のレジストより薄いため、有機層形成
時の蒸着粒子の不均一な回り込みがなくなり、ドット内
において均一な膜厚の有機層が形成される。また、完成
後の素子にはレジストが残存しないので、レジストの経
時変化による素子の劣化はない。
【0068】(実施例5)フォトレジストを用いた二重
壁や溝の形成方法として、レーザー光照射によってパタ
ーニングするという方法がある。この方法は微細パター
ンに対する解像カを持たないレジストにも溝を刻むこと
ができる。
【0069】まず、図7(a)に示すようにレジストあ
るいはその他無機絶縁膜あるいは有機絶縁膜を用いて、
ラインアンドスペースのパターンを形成する。本実施例
5では15μm厚のドライフィルム型フォトレジストを
用い、これを25μm幅、330μmピッチで形成す
る。レジストあるいは透明絶縁膜からなるパターンは、
通常のフォトリソグラフイ技術とエッチング技術を用い
て形成すればよい。
【0070】次に、図7(b)に示すように、レジスト
パターン707の中央部に幅5μm、深さ約10μmの
溝を形成するため、レジストパターン中央を縦断するよ
うにレーザー光723を照射する。レーザー光723の
容熱・蒸発あるいはフォトアブレーション機能によりレ
ジストパターン707中央に図7(c)に示すような溝
708が刻まれる。
【0071】レーザー光723のビーム径、波長、強
度、照射時間を適当に調節することにより所望する幅お
よび深さの溝が形成できる。本実施例5では図7(c)
に示したような、下地のITO電極に届かない溝708
を作る。このようなITO膜まで届かない凹型の断面を
もつ溝は、溝底部におけるITO表面の露出による、隣
接電極間の短絡を防止することができる。
【0072】その後、基板701を有機層成膜用の反応
室に搬送し、実施例1と同様、正孔注入層、発光層、電
子注入層をこの順番に真空蒸着する。最後に、陰極とな
るマグネシウムと銀の共蒸着層を形成して、図7(d)
に示すような有機EL素子が完成する。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は陰極とな
る金属薄膜の形成工程において蒸着法やスパッタリング
法が持つ、溝内部への被覆性の悪さを利用したものであ
って、特開平5−275172に記載されているように
蒸着粒子の基板入射角を固定するなど成膜装置の使用法
を限定する必要はない。本発明では成膜装置が有する性
能を落とすことなく利用することができるため、成膜装
置が許す最大の基板サイズに対して、成膜装置が有する
最適条件で薄膜の形成を行うことができる。
【0074】従って、有機EL素子の陰極の形成につい
て、次のような効果がある。
【0075】(1)成膜装置が許す範囲内で、大型基板
全面にわたって均一な膜厚の薄膜を形成することができ
るため、有機EL素子の発光むらが大幅に減少し、か
つ、一枚の基板上に複数個の素子を作製しても素子間バ
ラツキはなくなる。
【0076】(2)二種類以上の材料を共蒸着する場合
に生じる壁近辺における共蒸着材料の混合比の変化とい
う問題が解決され、ドット内における発光むらは生じな
い。
【0077】(3)蒸着粒子やスパッタ粒子の基板への
入射角を固定する必要がないので、平行なストライプパ
ターンだけでなくあらゆる形状のパターニングが可能で
ある。
【0078】(4)メタルマスク蒸着法のようにメタル
マスクによって有機層や金属層を傷付けることがなく、
また、メタルマスク法では非常に困難なミクロン単位の
微細なパターン加工が可能である。
、 (5)フォトリソグラフイ技術とウェットエッチング技
術を組み合わせた方法のように、レジスト溶媒、現像
液、剥離液、エッチング液による有機膜や金属膜のダメ
ージがないため、素子寿命や特性が劣化しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明にかかる有機EL素子
の実施例1を示す図である。
【図2】(a)〜(k)は本発明の実施例1による有機
EL素子の製造方法を示す図である。
【図3】本発明の実施例1による有機EL素子の製造方
法を示す図である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の実施例2による有機
EL素子の製造方法を示す図である。
【図5】(A)〜(e)は本発明の実施例3による有機
EL素子の製造方法を示す図である。
【図6】(a)〜(d)は本発明の実施例4による有機
EL素子の製造方法を示す図である。
【図7】(a)〜(d)は本発明の実施例5による有機
EL素子の製造方法を示す図である。
【図8】(a)、(b)は一般的な有機EL素子の構造
を示す図である。(c)〜(e)は従来の有機EL素子
の製造方法を示す図である。
【図9】(a)〜(c)は従来の有機EL素子の製造方
法を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は成膜方法を示す図である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501、601、7
01、801、901、1001 ガラス基板 102、103、104、105、108、109、1
10、111 溝 112 アルミニウム粒子の入射方向 119 アルミニウム材料およびるつぼ 121、321、921 基板支持台 122、322、922 真空槽 202、402、502、602、702、802 I
TO電極 203 ポジ型フォトレジスト 204 ネガ型ドライフィルムフォトレジスト 205 フォトマスク206:感光部 207、707 二重壁 208、408、508、608、708 溝 209、309、409、509、609、709、8
09 有機層 210、310、410、510、610、710、8
10 陰極 312 マグネシウム粒子の蒸着方向 313、913 銀粒子の蒸着方向 319 マグネシウム材料および蒸着用ボート 320、920 銀材料および蒸着用ボート 507 シリコン窒化膜 607 シリコン窒化膜パターン 723 レーザー光 803 正孔注入層 804 正孔輸送層 805 発光層 806 電子輸送層 807 電子注入層 808、907 レジスト壁 811、911 入射角度 812 蒸着方向 912 金属材料の蒸着方向、マグネシウム材料の蒸着
方向 914 マグネシウム層 915 銀層 919 金属材料およびるつぼ、マグネシウム材料およ
ぴ蒸着用ボート 1008 溝あるいは穴 1012 粒子の飛来方向 1016 付着物 1017 コリメーター 1018 スパッタターゲット
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年11月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に互いに分離された薄膜を形成し
    てなる有機EL素子において、分離パターニングする前
    記薄膜を形成する基板上に、該基板上に生成した前記薄
    膜が該薄膜の形成工程によっては互いに分離された状態
    で形成される溝部を前記薄膜の境界部分に有し、前記溝
    部によって所定の形状に分離した前記薄膜が前記基板上
    に形成されていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 【請求項2】 基板上に互いに分離された薄膜を形成し
    てなる有機EL素子の製造方法であって、前記基板上に
    前記薄膜が接続されないで形成される溝部を前記基板に
    形成し、該溝を形成した基板に前記薄膜を形成して所定
    のパターンに分離される前記薄膜を前記基板上に形成す
    ることを特徴とした有機EL素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記溝部は前記基板に設けられた二重壁
    により形成したことを特徴とする請求項1または2に記
    載の有機EL素子またはその製造方法。
  4. 【請求項4】 前記二重壁は、フォトリソグラフィ技術
    を用いてフォトレジストを加工することにより形成する
    ことを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子または
    その製造方法。
  5. 【請求項5】 前記二重壁は、無機絶縁膜あるいは有機
    絶縁膜をフォトリソグラフイ技術とエッチング法を用い
    て加工したことを特徴とする請求項3に記載の有機EL
    素子またはその製造方法。
  6. 【請求項6】 前記二重壁は、無機絶縁膜あるいは有機
    絶縁膜にレーザー光を照射して加工することを特徴とす
    る請求項3に記載の有機EL素子またはその製造方法。
  7. 【請求項7】 前記溝部は素子を作製する基板に直接加
    工することを特徴とする請求項1または2に記載の記載
    の有機EL素子またはその製造方法。
  8. 【請求項8】 前記溝部を基板に加工する手段として、
    型を用いて鋳造する方法、サンドブラスト法、ダイヤモ
    ンド加工法、レーザー光による溶融法あるいはレーザー
    アブレーション法、フォトリソグラフイとウェットエッ
    チングを組み合わせた方法のいずれかによること特徴と
    する有機EL素子またはその製造方法。
  9. 【請求項9】 前記溝部は、有機EL素子を形成する前
    記基板表面に透明薄膜を成膜し、この透明薄膜を加工す
    ることにより形成することを特徴とする有機EL素子ま
    たはその製造方法。
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